孤独な天使
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#1 [なー]
私は天使。
孤独な天使。
:12/08/03 05:00 :N03B :☆☆☆
#2 [なー]
暗い部屋。
カーテンレールに垂れた太いロープ。
るりこは自室で自らの命を絶とうとしていた。
:12/08/03 05:16 :N03B :☆☆☆
#3 [なー]
るりこは冴えない高校3年生。
地味な容姿と性格。
友達と呼べる人物はいない。
いつもひとりで本を読んでいるようなタイプだ。
るりこが自殺を決意したのに複雑な理由などなかった。
ただ、この世から消え去りたかった。
:12/08/03 05:33 :N03B :☆☆☆
#4 [なー]
一番楽に逝けるらしい首吊りを選んだ。
ロープは先日近くのホームセンターで購入した。
太くて丈夫そうなものにした。
肝心のロープをぶら下げるものがない。
なので耐久性が少し心配だがカーテンレールにぶら下げることにした。
深夜2時。
家族は寝静まっている。
「さぁ、そろそろだ。」
:12/08/03 05:46 :N03B :☆☆☆
#5 [なー]
いよいよ自殺決行。
垂れたロープをじっと眺める。
「死ぬときは苦しいかもしれないけど、死んだら楽になれる。やっと楽になれるんだ。」
机の上の遺書に目をやる。
「お父さんお母さん、ごめんなさい。」
そう呟き、先端の輪っかに首を通す。
苦しい。
段々と意識が薄くなっていく。
頭がふらつく。
(…やっと楽になれる。)
:12/08/03 06:01 :N03B :☆☆☆
#6 [なー]
『本当は死にたくないんじゃないの?』
(何言ってるの。死にたいから今こうして首吊ってるんでしょ。)
『本当は生きたいんでしょ?』
(この世に未練なんてないわ。私みたいな必要のない人間はさっさと消えた方がいいのよ。)
朦朧とした意識の中で、るりこは自問自答を繰り返した。
『本当に必要のない人間?』
(ええ、誰からもね。)
『どこかにるりこを必要としている人いるんじゃない?』
(いるわけないじゃない。)
『いつか出会うかも。』
(私を必要としている人間に?)
:12/08/03 12:30 :N03B :☆☆☆
#7 [なー]
(そうね、世界中に一人くらいはいるかもね。
私を必要としている人間…。
会いたい。
会いたいわ。
あれ、なんだか急に死ぬのが怖くなってきた。
何故?
死なんて生きることに比べたらよっぽど怖くないはずなのに。
馬鹿にされて罵られて生きていくことの方がとても怖いのに。
怖い。
死ぬのが怖い。
怖い。怖い。怖い。
怖い!!!)
:12/08/03 12:36 :N03B :☆☆☆
#8 [なー]
朝を迎えてしまった。
るりこは死ねなかった。
未遂に終わった。
「死ねなかった…。」
カーテンレールから垂れたロープが、そんなるりこを嘲笑うかのように揺れている。
ロープを押し入れのタンスに片付けた。
親に見つかると怪しまれる。
「…臆病者。このっ、臆病者っ!!!」
るりこは泣き崩れた。
「何で死ねないのよぉ…。」
:12/08/03 12:42 :N03B :☆☆☆
#9 [なー]
鏡に映る自分が、いつもよりいっそう惨めに見えた。
首にロープの跡がくっきりとついていた。
幸いにも季節は冬。
タートルネックを着ていくことにした。
扉が勢いよく開いた。
「あら、るりこ出かけるの?」
「うん、ちょっと。」
(ノックぐらいしてよ…。)
「あら、そ。」
あまり関心のなさそうな母親の声。
(もし私が死んでたら第一発見者は母親か…。)
またいつも通りの毎日が繰り返される。
るりこは何も食べずに家を出た。
:12/08/03 12:53 :N03B :☆☆☆
#10 [なー]
行き先は特に決まっていなかった。
(とりあえずコンビニでパンでも買って、近くの公園で食べよう。)
コンビニへ向かう途中、見覚えのある人物が前方から歩いてくる。
(誰だろう…。あっ、同じクラスの篠宮さんだ!)
相手はるりこに気付いていないようだ。
もう少し真っ直ぐ行くとコンビニだが、るりこはとっさに右に曲がった。
篠宮桃子はクラスでも目立つグループに所属(?)していて、お喋り好きな今時の女子だ。
(絡まれると面倒だから遠回りして行こう…。)
なんだか自分が情けなくなった。
(何で私コソコソしてるんだろう。)
:12/08/03 13:07 :N03B :☆☆☆
#11 [なー]
とっさに曲がったのは、見覚えのない細い道だった。
しばらく歩くと右手に小さな本屋が見えた。
みちくさ書店。
その佇まいから、昔ながらのいわゆる町の本屋さんといった感じだ。
るりこは「みちくさ書店」の雰囲気に何となく惹かれ、寄ってみることにした。
「いらっしゃい。」
狭い店内には店主と思われる白髪の老人が、本の整理をしていた。
本棚に様々な本がぎっしりと並べられている。
:12/08/03 13:36 :N03B :☆☆☆
#12 [なー]
どれくらいそこに居ただろうか。
ふと時計に目をやった。
14時30分。
(あと一冊読んだら帰ろう。)
『自殺未遂』というタイトルがるりこの目に止まった。
(今の私にぴったりじゃん…。)
『自殺未遂』を手に取り読み始めた。
すると店の扉が開いた。
「いらっしゃい。」
「こんにちは。」
店内に入ってきたのは、るりこと同年代くらいの青年だった。
:12/08/03 13:49 :N03B :☆☆☆
#13 [なー]
「お母さん、大丈夫なんかい。」
「来月には退院できるかもしれないって。」
顔馴染みの客らしい。
「そうかい。それはよかったねぇ。」
「うん。早希も物凄く喜んでたよ。」
「そういや早希ちゃんに長いこと会ってないなぁ。元気にしとるんかい?」
「うん。中学でも陸上部に入って頑張ってるよ。」
「そうかい。小学校から今も続けよるんかぁ。感心やなぁ。早希ちゃんもう中学生なんやなぁ。」
「おじちゃんは何も変わってないね。」
「あははは。」
青年は小さい頃からみちくさ書店に通ってるらしい。
楽しそうに談笑している。
しばらくして青年は店内の本棚を物色し、るりこの隣に立った。
:12/08/03 14:11 :N03B :☆☆☆
#14 [なー]
「田中るりこさん…だよね?」
「へ?」
不意に声をかけられ、声が裏返った。
「あ、はい。そうですけど…。何で私のことを…?」
るりこはこの青年のことを知らなかった。
(同じ学校の人かな。同じクラスでもないのに何で私なんかのこと知ってるんだ?)
るりこは地味で目立たないタイプだ。
自分のことで噂が立つようなこともない。
「田中さんは気付いてないかもしれないけど、僕達良く会ってるんだよ。」
「ほら、田中さん図書室良く行くだろ?僕も良く行くんだ。それで田中さんの顔と名前覚えちゃった。」
「そうなんですか…。」
「あっ、僕3年E組の竹内っていうんだ。今度図書室で会ったら声掛けるよ。」
「あっ…はい。お願いします。」
自分とは違い、屈託のない笑顔。
るりこは目を合わせることができず、彼のバッグにぶら下がっているストラップをじっと見つめていた。
(困ったな…。早くあっち行ってくれないかな…。)
:12/08/03 14:32 :N03B :☆☆☆
#15 [なー]
グルルルゥ。
「ハッ!ごめんなさい!」
お腹が鳴った。
そういえば朝から何も口にしていないことに気が付いた。
「あははは。田中さんもお腹鳴るんだね。」
るりこは顔が真っ赤になった。
「あ、あの、田中さん…。これから暇?もしよかったら喫茶店にでも行かない?」
「え…は、はい。行きます。」
2人はみちくさ書店から歩いて5分程の距離にある「まりん」という喫茶店に入った。
(…竹内君、何を考えてるんだろう。)
会話はない。
るりこはいたたまれなくなった。
(竹内君、私なんかと一緒にいて楽しくないよね…。)
「あのっ。私、やっぱり帰ります。すみません。」
「どうしたの?用事でも思い出した?」
:12/08/03 16:12 :N03B :☆☆☆
#16 [なー]
「あの…私、ダメなんです。他人とこうして向かい合ってると…その、緊張してしまって…。上手く話せないんです。」
(うわぁ。何言ってるんだ私。変な奴と思われたかなぁ。)
ちらっと彼を見る。
「緊張したっていいんじゃない。」
「え?」
「僕はそんなこと気にならないけどね。」
「上手く話そうとなんかしなくていいよ。僕はありのままの田中さんといたい。」
(あれ、なんだか気持ちが楽になっていく…。)
「あ…ありがとうございます。」
「けど無理はしないでね。せめて何か食べてからにしなよ。」
彼は微笑みながらテーブルの隅の呼び鈴を鳴らす。
「ベリーパンケーキひとつ。」
:12/08/03 16:22 :N03B :☆☆☆
#17 [なー]
「まりん」を出ると辺りはすっかり暗くなっていた。
「送ってくよ。」
「ありがとう。」
2人は歩調を合わせてゆっくりと歩く。
まるで別れを惜しむように。
(帰りたくないなぁ。)
帰り道も特に何を話す訳でもなく、ゆっくりと歩いた。
沈黙が心地よい。
つい先日、自殺未遂をしたとは思えぬくらい穏やかな気持ちだった。
「あそこが私の家。」
「そうなんだ。家の前まで送っていくよ。」
「ありがとう。けどもうここで大丈夫。」
「そうか。気をつけて。」
「竹内君もね。今日はありがとう。」
(不思議だ。目を見て話せる。)
「こちらこそ。じゃ。」
2人は別れを交わし、別々の方向に歩き始めた。
頬に当たる風がやけに冷たく感じた。
:12/08/03 16:33 :N03B :☆☆☆
#18 [なー]
いつもおどおどしていて、他人の目を気にして自然体でいられない。
思っていることを口に出せずヘラヘラ笑ってごまかし、いつも心の中にモヤモヤができる。
NOと言えない。嫌われるのが怖いから。
そんな偽りだらけのるりこが、竹内といるときだけ本当の自分でいられる気がした。
それから竹内と学校以外で会う回数も多くなった。
(早く会いたい。)
(もっと一緒にいたい。)
この感情が恋だと気付くのにそう時間はかからなかった。
:12/08/03 16:41 :N03B :☆☆☆
#19 [なー]
そして2人は付き合い始めた。
「るりこちゃん、学校終わったら僕んち来ない?親、いないから。」
るりこは返事に迷った。
(え、部屋に行くってことは…つまり…そういう事になるんだよね…)
いくら恋愛経験の乏しいるりこでも、男と女が部屋に2人っきりということがどういうことかはわかる。
(けど…竹内君なら…)
「う、うん。行く。」
:12/08/03 16:47 :N03B :☆☆☆
#20 [なー]
「お邪魔します。」
思っていたより小さくて古い家だった。
「ここが僕の部屋。適当に座って。」
狭い部屋だが想像通り綺麗に片付いてた。
ベッド、机、本棚、必要最低限のものしか置かれてない殺風景な部屋は男子高校生の部屋とは思えない。
「僕、お茶入れてくるね。」
好きな異性の部屋に一人きり。
いろいろと探ってみたい気持ちをぐっと抑えた。
特にベッドの下が気になる。
(竹内君だって男の子だもん。いやらしい本の一冊や二冊、持ってて当然だよね。)
ベッドの下を覗いてみる。
(あれ、ない!やっぱりベッドの下なんてベタすぎるよね。)
ふとベッドの上に目をやる。
(竹内君のベッド…。いつもここで寝てるんだよね。どんな匂いがするんだろう。)
るりこはよからぬことを考えた。
枕に顔を埋め、思いきり息を吸い込んだ。
(竹内君…スゥ。あぁ、いい匂い。男の人の匂い。たまらない。)
:12/08/03 17:04 :N03B :☆☆☆
#21 [なー]
すると、枕の下に固い感触がした。
(…ん?ハッ!あった!やっぱり竹内君も持ってるんだ。)
それはいわゆるエロ本だった。
ページをパラパラ巡ってみる。
(やだ、竹内君こんなの見てるの?)
(枕の下にあるってことは…昨晩も使ったのかしら?)
ここが人の部屋、しかも彼氏の部屋だというのをすっかり忘れまじまじと眺めていた。
(やだ、こんなモノ咥えて…汚らわしい。)
そう思いつつも興味津々だ。
ガチャ。
扉が開く音がした。
(ハッ!いけない!)
るりこはようやく我に帰り慌てて先ほどまで手にしていたそれを元の場所に戻した。
しかし竹内はその場面をばっちりと見てしまった。
「あ…。るりこちゃん…。」
「た、竹内君…。」
:12/08/03 17:16 :N03B :☆☆☆
#22 [なー]
「あの…、ごめんなさいっ。」
「謝らなくていいよ。僕こそごめんね。見苦しいもの見せちゃったね。」
「いや…、私が勝手に見てしまっただけだから…。」
「軽蔑した?」
「けっ、軽蔑なんて…っ!」
「女の子からしたら気持ち悪いよね…。けどわかってほしい。僕だって男なんだ。当然むらむらするし一人でしちゃうよ。」
「私は何も…」
「るりこちゃんは…そんな僕は、嫌?」
むしろるりこはいつも紳士的な竹内が、性欲に溢れたただの“男”だということに身体の奥がじんわりと熱くなった。
「そ、そんなことないわ。女の私だってむらむらするし、一人でしちゃうこともあるわ。」
「え、るりこちゃん、そうなの?」
(ハッ!何言ってるの私。)
るりこはしまったと思った。
「…私だって…女の子だって…あるのよ…性欲…。」
「るりこちゃん…」
:12/08/03 17:39 :N03B :☆☆☆
#23 [なー]
気づけばお互いの唇を重ねていた。
ファーストキスだった。
(唇ってこんなに柔らかいんだ。キスってこんなに気持ちいいんだ…)
「るりこちゃん、顔真っ赤だよ。可愛い。」
(可愛い?私が…?)
「るりこちゃん。僕、るりこちゃんとしたい。」
(え、したいって…まさか…私、竹内君とセックスするの?)
るりこはさっき見たエロ本の淫らな光景が頭に浮かび身体がぼっと熱くなった。
「…何を?」
「セックス。」
:13/04/09 01:55 :N03B :☆☆☆
#24 [なー]
「るりこちゃんとセックスしたい。」
改めて竹内の口から言われるとなんだか恥ずかしくて顔が真っ赤になった。
ふと視線を下にやると竹内のズボンの股関部分がやけに膨れあがっていた。
それがどういうことかはわかっている。
るりこも実は自分のスカートの中のパンツがほんのり湿っているのに気づいていた。
「私も、竹内君としたい。」
:13/04/09 02:02 :N03B :☆☆☆
#25 [なー]
「るりこちゃん、舐めて。」
窮屈なズボンの中から解放され、ビンビン、いやギンギンにそそり立ったソレはなんとも立派だ。
初めて見る男性のソレに、るりこは釘付けだった。
(竹内君の…あぁ、なんだか変な気分)
るりこは躊躇することなくソレを咥えた。
(あぁ。私男性のおちんちん咥えてる。こんなところ…やだ…いやらしい…。)
「あっ…はぁ…あ…」
竹内の口から漏れる声がよりいっそうるりこの気持ちを高まらせた。
(もっと感じて竹内君…私のお口で…気持ちよくさせてあげるからね…)
:13/04/09 02:13 :N03B :☆☆☆
#26 [我輩は匿名である]
あげあげ
:13/06/17 22:07 :KYL21 :☆☆☆
#27 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑ag
:22/10/24 13:59 :Android :☆☆☆
#28 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/24 14:10 :Android :☆☆☆
#29 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑
:23/01/06 18:59 :Android :☆☆☆
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