クソガキジジイと少年」
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#747 [ザセツポンジュ]
この白熱した言葉の交換に
目をいったりきたりさせる
生徒達の心臓は高鳴っていた。
そして石崎さんの投げかけた質問の答えを
トミーにたくし、ステージを真剣に見つめた。


『俺は、人をいじめると言う趣味はない。それは誓う。それにクラスにも恵まれています。俺のクラスには多分いじめはない。でもそれは多分としか言えません。この学校は田舎で、生徒も割りと少ないほうで、いじめなんかなさそうに見えるが、この学校であるまじき行動を目撃したヤツがいる。俺はそれを聞くまで、いじめには無頓着だったから、俺も悪い。』

⏰:08/05/23 16:15 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#748 [ザセツポンジュ]
『だけど、いじめがあるんだったら、見逃すワケにはいかないだろう。俺は、全国のいじめをなくしたいとか、そんな偽善ぶったことは言えないし、できない。自信はない。でも俺はこないだの演説で約束したんだよ。みんなは覚えてないかもしれないけど、俺は自分が言った言葉に責任を持ちたい。この学校の中だけでも、どうにかしたいと思ったから、今日この集会を開いている。』

⏰:08/05/23 16:23 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#749 [ザセツポンジュ]
『石崎さんは、どうにかできるんですか?と質問してきたけど、もちろん俺だけでどうにかすることはできない。それが答えです。他に言いたいことはありますか?石崎さん。』

いつもなら、ダルいだけの集会で
いつもなら、人の話もロクに聞いてなくて
いつもなら、話している人の顔すら見ない生徒達だったが

全員が、右後方にマイクを向けられて立ったままの
石崎さんの顔を、石崎さんの目を見ていた。

石崎さんは自分の目では入りきれないほどの数の
全校生徒の目を見たまま答えた。

『あ、、、、ありません。』

⏰:08/05/23 16:30 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#750 [ザセツポンジュ]
石崎さんは、自分が今までしてきたことを
全て思い出し、そして全校生徒の目を自分が自分に突き刺さったように感じて、席に座った。

『それでは最後です。3組女子、18番』

『、、、。』

『、、、。名前、どうぞ。』

『、、、。』

トミーもジョウジロウも分かっていたのだ。
あまりの衝撃に言葉も出なくなった
この女子の名前を。

『山田さん。山田さんには、最後の質問に答えてもらいたいんですが、答えられますか?』

山田さんは、ただただ首を横に振って
座ってしまった。

山田さんは、石崎さんと毎日毎日
一緒にいる。

二人は仲良し。
どちらかがどちらかに
支配されている。
二人は仲良し。

どちらかが命令して
どちらかが従っている。
二人は仲良し。

⏰:08/05/23 16:44 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#751 [ザセツポンジュ]
トミーが質問をしている最中、
ジョウは体育館のマイクを持って2階に移動していた。

そして、人を探していた。

ポン、ポン。

『ジョウジロウちゃん。』

『ワッ。、、、。きーさん。何やってんの?服、オシャレだね。この日のために用意した、、、え!にいちゃん!来たの!にいちゃんこんな昼間に外に出て大丈夫なわけ?』

『俺をひきこもりみたいに言うなよ、インドア派なだけだ。』

『そ、そう。って言うかまさかウチのじいちゃんまで来てるの?』

『ジョウジロウちゃん。あそこを見てみろ、ほれ。あの遺伝子がジョウジロウちゃんに影響してないかがワシはただ心配じゃよ。』

きーさんが指をさした先の
我が祖父を視界に入れたジョウは愕然とした。

立ち見の若くてキレイな誰かのお母様のケツの下に
地味に座り込んでいる。
気分が悪そうな小芝居まで地味に披露。

ジョウはきーさんの肩で一瞬涙を見せたが
探していたのは
自分ちのじーさん達ではなかったのだ。

⏰:08/05/23 17:00 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#752 [ザセツポンジュ]
くたびれてくたびれて
だけどそれも隠そうとしていて
隠して隠して
化粧をしている。

そんな派手目なお母様をジョウは見つけた。

顔は美人で、若い時は娘と同じくらい
人気だったのかなとジョウか思った。
とても悲しそうな顔をしているお母様。

⏰:08/05/23 17:06 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#753 [ザセツポンジュ]
もう1人は、気の強そうなお母様。

自分の育て方は決して間違ってはいないと
無理に暗示をかかえているような
難しい表情で呆然としている。
こちらは夫婦で娘の行事に参加している様子。

ジョウはこの二人の母親のいる場所を把握して
トミーからのパスを待ちながら
石崎、山田。両者の姿をしっかりと見ていた。

⏰:08/05/23 17:12 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#754 [ザセツポンジュ]
『では、次のコーナーに参ります。生徒のみなさんは、後ろを向いてください。お父様、お母様方の意見を聞いてみましょう。鈴木くが2階にいると思うんですけど。鈴木くん、どこですか?』

『はいは〜い。トミオちゃ〜ん。人気者のトミオちゃ〜んこちら鈴木で〜、、、』

ゴツン。
ゴツン。

『もうやめてよ、じーちゃん!』

孫と隣の家に住む老人からの
ゲンコツをくらったすーさん。

確かに鈴木くんに間違いはないが、
中学生の鈴木くんは、恥ずかしくて倒れそうだった。

⏰:08/05/23 17:21 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#755 [ザセツポンジュ]
体育館中から笑いが起こり
空気が和らいだ。
これもすーさんのおかげと言えよう。

『みなさん、今のは鈴木君のおじいさんなんですが、別に危険人物と言うわけでもないので、この集会が終わった後、袋叩きとかにはしてあげないでください。もう62歳ですしね。中学2年生のほうの鈴木くん。準備はいいですか?』

ジョウはマイクを取り返し
恥ずかしさを隠せないでいた。

『お見苦しいところをお見せしましたが、僕は将来こうなるつもりは1ミクロもありませんのでご理解頂きたい。準備オーケーです。』

クスクスと言う温かめの
笑い声。


『はい、は〜い。静かにしてくださ〜い。ジョウジロウちゃんのじいちゃんの話はまた3学期に学校通信でお伝えします。1,2年生はご期待くださ〜い。』

『もうトミーいいよ、その話。こっちの身にもなってください。一刻も早く進めてください。』

トミーとジョウの
ステージと2階からのやりとりを見て
仲の良さがみんなに充分に伝わったところで
後半戦を開始した。

⏰:08/05/23 17:39 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#756 [ザセツポンジュ]
>>729-755
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/357/

⏰:08/05/23 17:50 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


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