クソガキジジイと少年」
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#833 [ザセツポンジュ]
『めったに帰って来ないけど今日おねーちゃん帰ってくるよきっと。ねー。めったに帰って来ないけどあとでエッチしようねー。』

『やだ。』

『そうだよ!そう!一回は断って欲しいもん俺!』


なにがしたくてなにを理想としているのかは分からない少年だが、15歳になったエノモトさんは自分が思ったよりも速いスピードでトミーに惹かれて行くのであった。



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こないだ
携帯に非通知で
着信があったんだ。

でもどうしようもないから
画面を見つめていたら
また非通知で電話が
鳴り出した。

『はい。』

『…シンイチロウ。元気か?』

『あぁ。なんだ。なんで非通知なの?』

『それが使い方がよく分からなくって。』

⏰:08/06/06 22:05 📱:W51CA 🆔:H2Pa6if.


#834 [ザセツポンジュ]
こういうところ、ジョウジロウとそっくりだなと思った。

『どうしたの?』

『お前さ…クリスマスは何かするのか?』

『特になにもないけど…』

『飯でも食いに行こう。オゴってやるから。』

オレはクリスマスに
会う約束をした。

夕方頃、待ち合わせの
予定。

何を話すのが
いちばんいいだろうか。
あれも言ってやりたい。
これも言ってやりたいけど…

オレ、何かを
作るのは好きだけど

生身の人間と
直接言いたいことを
言い合うのは苦手だな。
だけど今日は
クリスマスだから
今まで言いたかったこと全部、言ってみようか。

もう時間が迫ってる。

⏰:08/06/06 22:16 📱:W51CA 🆔:H2Pa6if.


#835 [ザセツポンジュ]
>>814-834
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/357/

⏰:08/06/06 22:23 📱:W51CA 🆔:H2Pa6if.


#836 [ザセツポンジュ]
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バイトへ向かう前に
少し早く家を出て
雑貨屋巡りをする女の子。


(なにがいいのかなぁ…もう中学生だもんなぁ)

リンゴ、イチゴ、バナナの小物…

人にプレゼントすることが苦手な人種。

自分が中学生の頃、何を欲しがっていたのかも、思い出せなかった。

(…これにしよう。)

『プレゼント用にしてください。』

可愛らしい写真入れを選んで、リボンのついた小袋を手に持ち、バイト先へ向かった。

懐石料理“廣六”

⏰:08/06/17 22:19 📱:W51CA 🆔:Rv5ry/LU


#837 [ザセツポンジュ]
『悪いねぇ、きららちゃん。クリスマスなのに。昨日から珍しく予約が入って忙しくってな。夕方にはあがっていいからね。』

『いえいえ。かまいませんよ。』

『おや?彼氏と約束があるのかい?』

六さんは、きららちゃんが手に持った小さな紙袋に目をやって微笑んだ。

『違いますよ。今日、妹が誕生日なんです。』

『そうか!きららちゃん妹がいたんだったな!じゃあ今日きららちゃんが帰るまでに、用意しておくから、帰ったらワシの料理をみんなで食べなさい!ね!』

そう言って六さんは嬉しそうに笑った。


(みんなで…食べる…か。)

きららちゃんは
六さんの嬉しそうな笑顔を踏みにじることはできないだろう。

⏰:08/06/17 22:25 📱:W51CA 🆔:Rv5ry/LU


#838 [ザセツポンジュ]
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『ただいまぁ』

『おじゃましまぁす』

きーさんとすーさんは
リビングに入って来た
少年少女を二度見した後
顔を合わせ、目をかっぴらいたまんま
慌てふためいた。

『ど、ど、ど、どどど、どうもどうも!エノ…エノキ…エノキダケ!エノキダケ、ドコモダケ買って来たか!』

すーさんの目は
今だかつてない速さで
泳いでいた。

『え?エノキ岳?』

好きな子を勇気を出して家に呼んだのにも関わらず、オープニングから様子のおかしい老人2人。
鈴木ジョウジロウ14歳、クリスマスの落胆。

⏰:08/06/18 00:01 📱:W51CA 🆔:vSgbzwek


#839 [ザセツポンジュ]
『はじめまして、エノシタと言います。』

エノシタさんがおじぎをしたのも束の間、
きーさんは、ジョウもまだ握った事のないエノシタさんの手を握り
コタツへ案内した。

『はじめまして、エノシタさん。ワシの名前はシゲルです。62歳です。どうぞ、この辺に座って。』

すーさんは慌てて
エノシタさんのために
梅昆布茶を入れてあげようと、不思議な歩き方で台所へ移動。
おもむろに手に取るグラス。

『ちょ、ちょっと!きーさん!目が怖いよ!手も震えてるし!わっ!じーちゃん!じーちゃん、何やってんの!それ洗剤!食器洗うものでしょ!飲めないし!なんで挙動不審なんだよ!なんなの!!?2人してさ!』

⏰:08/06/18 00:13 📱:W51CA 🆔:vSgbzwek


#840 [ザセツポンジュ]
ジョウは粉を入れて
ポットの湯を入れれば
すぐさま完成する梅昆布茶を、少し水でぬるめて
すーさんに飲ませた。

『ジョウジロウちゃん、いや、落ち着け。まぁ、そうアセるな。サンタさんが来なかったからって非行に走るなよ!エ!エ…エノシタさん!ケーキ食べようね〜、ね〜エノシタさん、ね〜。』

理不尽な理屈を並べているのはシゲル。木田シゲル62歳。


孫から注がれた
梅昆布茶と言う活動源で、少しだけ落ち着きを取り戻した、鈴木ヒトシ62歳。

この2人の老人、

『なに?殺人でも犯したの?ついに。』


と、少年に侮辱されてもなんらおかしくない行動をとっている。

⏰:08/06/18 00:22 📱:W51CA 🆔:vSgbzwek


#841 [ザセツポンジュ]
こんな奇妙な家の中にいるのに、エノシタさんは、なんだか楽しそうに笑っていた。

きーさんは
自分の理不尽さは
棚に上げ、キッチンからジョウを追い払った。

首をかしげながら
コタツに入ったジョウは
何気なく座っている自分にハッとした。

エノシタさんの隣。

(あ…足とかあたったら…どうしよう…)

『エ…エノシタさん、なんかオープニングからこんな感じでごめんね。じーちゃん達いつもあんな調子でさ。』


申し訳なさそうな顔のジョウとは打って変わって、建て前ナシの笑顔で首を横に振るエノシタさん。

『いいなぁ。にぎやかで。面白いのね、おじいちゃん達。』


キッチンでなにやら
男の作戦会議を開始している老人2人を、エノシタさんは微笑ましく眺めていた。

⏰:08/06/18 00:31 📱:W51CA 🆔:vSgbzwek


#842 [ザセツポンジュ]
>>841

⏰:08/06/18 00:33 📱:W51CA 🆔:vSgbzwek


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