クソガキジジイと少年」
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#237 [ザセツポンジュ]
──決戦の土曜日がやって来た。

きーさんとすーさんは美容室の控え室で待機をしていた。仕事を終えたピーマンもかけつけた。
美容室の店長がピーマンの知り合いと言う事もあり、無理に無理を言ってインカム(無線)とカメラを設置する事に成功した。
ちょっとした番組のコーナー気分を味わいたいだけなのだろう。
7時、店は閉店した。
片付け係が3人ほど残り、他はみな帰って行った。
『まだか、きーさん。』
すーさんは貧乏ゆすりが止まらなかった。

⏰:06/06/17 04:53 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#238 [ザセツポンジュ]
きーさんは、エノシタさんを改造してくれる美容師、吉田(オス)にインカムを装着させた。
そして裏方に回った。
『マイクテスッッマイクテスッッ。ヨッシー聞こえるかね!!』
『OKーっす。』
おもむろに、すーさんが、マイクのついたきーさんの胸のあたりに、ケツを突き出した。
『プ〜〜〜…』
そして、すーさんはマイクを掴み
『今のオナラの音階が、わかるか!!?ヨッシー!!』
『………み、ミ!!?』
『ファ#だ。』

⏰:06/06/17 05:01 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#239 [ザセツポンジュ]
ゴツン。
きーさんは62年分の思いを込めて、すーさんにゲンコツをかました。
すーさんから映る映像はマンガの用にヒヨコがピヨピヨとかけまわっていた。
『お前にとっちゃ、ファのシャープかもしれんがな!!ワシにとっちゃ、ブチくさの汚い屁でしかないのだ!!全部吸ってしまった、ワシの事も考えろ!!罪だぞ!!吉田!!クイズに答えたお前も罪だ!!バカたれ!!』
きーさんは久々に切れた。
──カランカラン
切れている場合ではなくなった。エノシタさんが無事到着した姿がモニターに映っている。

⏰:06/06/17 05:08 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#240 [ザセツポンジュ]
『あ、エノシタさんですか!!?』
『は、はい。よろしくお願いします。』
服が、冴えないエノシタさんが店へ入ってきた。
そこでピーマンはモニターを見ながら
『あぁ…サマーセール1980円でした、みたいな服やけんが、ダサすぎる。あの子には黄色とか、はっきりした色がいい…』
『ピーマン、終わったら服をコーディネートしてやってくれないか。』
『了解なまこん』
ダサいヤツを見るとピーマンは意欲を発揮したくなる。速答でOKを出した。

⏰:06/06/17 05:15 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#241 [ザセツポンジュ]
すーさんを起こし、エノシタさんの髪型をモニターで見させた。
ヨッシーは、とりあえず、エノシタさんを座らせた。『えーと、今日は、僕のしたいようにさせてもらうって事なんだけど、いいかな!!?絶対よくするからね。』
『あ、はい。おまかせします。』
エノシタさんは緊張しているようだ。
すーさんはエノシタさんのゴワゴワの髪の毛を見てイライラし、そして指示をだした。
『吉田。とりあえずすけ。とにかくすけ。』
『はい。』
『???』
エノシタさんはいきなり返事をした、美容師を不思議に思った。

⏰:06/06/17 05:22 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#242 [ザセツポンジュ]
『お前は、アホか。ワシの声に返事してどうする!!』『ハイ、すません。』
エノシタさんは、いきなりあやまる吉田を見て、少し不信感を抱いた。
『きーさん、吉田はブッ殺決定だな。』
『あぁ、ぶっころ決定だ。』

吉田はマズイと言う顔をしたが、平然を装いハサミを持った。
『じゃあとりあえず、軽くすいていきますね。』
『は、はい。』
『バッサバサすいていけよ、吉田。』
『は………歯医者いいとこ知ってる!!?』
いきなりの質問にエノシタさんは戸惑った。

⏰:06/06/17 05:29 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#243 [ザセツポンジュ]
『え、あの、あたし虫歯になったことないんです。』手強い髪の毛をすきながら、ホッとした表情をうかべた吉田。
うまく切り抜けたと安心していた。
『今のは歌うべきだったよな。』
と、すーさん。
『は…………ぁなが咲いたはーなが咲いた、真っ赤なばぁらぁがぁー♪』
すーさんは歌い出してしまった。
『真面目にやってくれないか。』
『あ、はい。』     きーさんは真剣だった。

⏰:06/06/17 05:33 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#244 [ザセツポンジュ]
髪の毛をすくのに時間がかかりそうだったため、すーさんは吉田に質問をさせた。
《ヨッシー。エノシタさんは中3だが一応、年を聞け。》
『……エノシタさんは何才かな!!?』
『15です』
《あなたホント、ブッサイクな15歳ですね。》
『…………あ、そうなの。じゃあ中3か。若いねぇ。』
《おい吉田!!お前もそう思ってるんだろ!!》
『……受験大変なんじゃないの?』
《おい、きさまワシを無視する気か!!》
『あぁ、大変です…って、あんま興味ないのに質問してるでしょう!!?』
《ヒャッヒャッヒャッ。中3に図星つかれてどうする吉田》

⏰:06/06/17 05:43 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#245 [ザセツポンジュ]
『……いやいや、そんな事ないよ。僕も中3の今頃奮闘してたよ。』
《オナニーにな。》
『アッハハ。まぁそれもあるけどな。』
『え、誰としゃべってるんですか!!?大丈夫ですか。』           《吉田。気持ち悪がられているぞ。しっかりしろ》 『あっ、あぁ、いやそんなことないでしょ。大丈夫。』
『……言ってることめちゃくちゃですけど。フフッッ、変な人』
『ごめんね、ちょっと、待っててね。』

─ガチャン
─パタン

⏰:06/06/17 05:50 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#246 [ザセツポンジュ]
『あの!!真面目にやってもらってもいいですか!!?』

『まぁまぁ、下ネタに反応したヨッシーも悪い。』 かばったのは以外にもきーさんだった。

深呼吸をし、目をつぶり、意識を集中させ、つばをゴクリと飲み込んだ吉田。
(なぜ俺が緊張しなくてはならない…。)

『ごめんね、エノシタさん。美容室とかあんまり行かないの!!?』
とにかく吉田は、すーさんの声が入る前に自ら質問をした。
『あ…はい…行かないですね。』

⏰:06/06/17 06:01 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#247 [ザセツポンジュ]
《どうりで、すずめが出てきそうな頭をしているわけだな。》
『たしかに、そうですね。すずめが…』
『すずめ!!?』
『ぃや、や、するめ、そぅ、学校の給食のスルメおいしかったなぁって』
《いいわけが苦しすぎるぞ。吉田》
『………ああ、あたしも好きですね、スルメ。』
『ってかエノシタさん、美容室は行った方がいいよ。ウチならクーポン使えは学生は安いしさ。』
吉田は、これ以上流されまいと奮い立たせた。

⏰:06/06/17 06:05 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#248 [ザセツポンジュ]
『そうなんですか…あたし、いい美容室とか知らなくって…今まで適当にしてきちゃいました。』
《ハッハッハ。ただ、ブスはクーポンが効かないのだがな。》 
『じゃあ、ウチ来なね。女の子は手入れしなきゃだからね。好きな子とかいないの!!?』
すーさんは、完全にスルーされてしまった。
『あ…あの…い…』
『いるんだ!!いいね青春。どんな子なの!!?』

⏰:06/06/17 06:11 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#249 [ザセツポンジュ]
『すごく、よくモテるんです。人気者ですし…。』
《その子の出席番号は5番でしょ!!?と言ってみろ》
『もしかしてその子の出席番号5番!!?』
『ぃや、そこまで知りません、ひとつ下の学年なので。』
《こんの、ブサイクめ!!調べろそれくらい!!》
『年下なんだ。』
《吉田、次は、その子の名前は木田トミオだろと言え。》
『木田トミオくん?』
『え!!何でトミーの事知ってるんですか!!?』

⏰:06/06/17 06:18 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#250 [ザセツポンジュ]
『えぇ!!こん子が好きな子って、きーさんの孫!!?』
ピーマンは驚いていた。
『説明不十分だったが、そうらしいぞ。』
きーさんは、冷静に言った。

《ナンパされちゃってー。》
『ナ…んでって、たまに来るからね、カレ』
《チッ》
『え、そぉなんですか!!』吉田が奮闘するなか、髪の毛もだいぶ軽くなってきた。

⏰:06/06/17 06:28 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#251 [ザセツポンジュ]
《おいおい、吉田。もうハゲてしまうからハサミを止めろ。そんで……うーん、次は一番軽いストパーをあてろ。》


イタズラのすぎるすーさんだが、指示は的確だった。ピーマンも少し関心した。

《中学生や高校生はやたらストパーをきつくあてすぎなんだよ。どいつもこいつも下敷きがブラさがってるみたいでダメだ。エノシタさんは下敷きみたいにするなよ。》

⏰:06/06/17 06:33 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#252 [ザセツポンジュ]
時間が長引きそうなため、すーさんときーさんは、たけのこニョッキを開始した。ピーマンは、頭で、エノシタさんのコーディネートをイメージし、いらない紙に意欲をはきちらしていた。             『たけのこたけのこニョッキッキいち!!!!!!』
すーさんは出遅れた。
バチン!!
ビンタをくらう。
『たけのこたけのこニョッキッキいち!!!!!!』
またすーさんは出遅れた。バチン!!
ビンタをくらう。

すーさんは、自分が不利だと言う事に気付いた時には、左のホッペがモッコリ腫れ上がった後だった。

⏰:06/06/17 06:42 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#253 [ザセツポンジュ]
──1時間半後
もう夜の9時になっていた。
散々ゲームをしたジジイ二人。すーさんは負けまくりボコスコに殴られ顔が変形して少し男前になっていた。
ピーマンは50体ものデザイン画ができていた。

ドライヤーでかわかした後のエノシタさんをモニターから見たすーさんは、固まった。そして真剣なまなざし…
剥製すーさんの登場だ。
『ゴワゴワではなくなった。サラサラにもなった。軽くなった。何かが足りない。うーん。』
真剣になりすぎ、呼吸もあまりしなくなったその時──
《吉田!!前髪を切るんだ!!パッツンにしろ!!!!》

⏰:06/06/17 06:51 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#254 [ザセツポンジュ]
モニターをズームアップさせた。
きーさん、すーさん、ピーマンの3人は息を止め、静かに見つめた。

(ここで吉田が失敗したら、ただのブスでおわってしまう……)

吉田は、前髪に手をかけた……
──チョキン
─チョキ
─チョキ………

⏰:06/06/17 06:57 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#255 [ザセツポンジュ]
『うぉ────!!!!』
きーさんとすーさんは抱き合った。
吉田の腕は確かだった。すーさんの指示も的確だった。
まるいおめめのとびきりかわいくなったエノシタさんが誕生した。
《かわいくなったねと言ってやれ吉田!!》
『エノシタさん、ほんっっとうにかわいくなりましたね。』
『ホントですか!!?』
『ホントだよ。……ホントにホントだよ。』
ピーマンは裏から階段をおりてミッシェルに急いで戻った。

⏰:06/06/17 07:02 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#256 [ザセツポンジュ]
そして鍵を開けて、興奮しつつ、あわてて服を探した。
イメージはもう完璧にできていた。
あとは、頭の中と同じ服を探せばいいだけだった。
黄色をベースに黒を足す…スカートにパンプスに…
ピーマンはエノシタさんにミツバチをイメージし、形をつくっていった。
強さ、甘さ、激しさ。
生まれ変わった強い自分、恋をしてしまった甘い自分、これからたたかう激しい自分。
そんな願いをピーマンは洋服にたくした。

⏰:06/06/17 07:10 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#257 [ザセツポンジュ]
『これと…これ……ベルト、ベルト……と。…そいで、あれと……よし、これだ!!!!』
ピーマンは2分半で衣裳を探しだし、服をかかえ、二階へかけあがった。

美容室には、カメラマンが来ていた。
『エノシタさん、次の月のクーポンに載せる写真を撮らせてもらうよ。』
『え、あ、あたしいいです、あたしなんかが…』
クーポンマガジンに載せるためのカットモデルだったのだ。だからエノシタさんにはかわいくなってもらわないと困るのだった。

⏰:06/06/17 07:17 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#258 [ザセツポンジュ]
ピーマンは到着して、一分という驚異的な早さで全て服をたたんだ。
《吉田さん、すいません、ちょっと来てください。》ピーマン自らマイクを手にとり、吉田にお願いした。
『どうした!!?』
『あの、これエノシタさんに着せてください。あ、でも内緒で持ってきたけんが、トップシークレットってことで。』
『了解。』
ピーマンは、あせって吉田になにやら耳打ちをした。

『了解なまこん!!』

きーさんはニッコリとほほえみ右手を高くあげた。

⏰:06/06/17 07:23 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#259 [ザセツポンジュ]
エノシタさんは、言われるがままにトイレで着替え、撮影に挑んだ。

モニターを眺める3人は目を輝かせた
『うん、うん。かわいくなったな。』
梅昆布茶を垂れ流し否定していたすーさんも、絶妙な衣裳をまとったエノシタさんを見て納得をした。
『やっぱり輝いた。あの子はダイアモンドだったんだよ。』
きーさんは磨く側に立っている自分を幸せに思った。『大成功だ……』
ピーマンは、頭の中でのイメージ通りにうまくいったエノシタさんの姿を見て嬉しくなった。

⏰:06/06/17 07:31 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#260 [ザセツポンジュ]
きーさんは嬉しさついでにピーマンが選んで来た服を買いとることにした。
《おい、吉田。もうその服をエノシタさんにプレゼントしてくれ。》
きーさんは満足気に言った。
『エノシタさん、今日はどうもありがとう。その衣裳はプレゼントです。』
『え、あ、あたし髪もキレイにしてもらったうえに、そんな、もらえません!!!!あたしの方がありがとうございました!!!!』

『ずっと、エノシタさんがかわいくいられるように、来月また、エノシタさんの映ったクーポンを持って、ウチに来てよ。いい恋をしていってね。』

⏰:06/06/17 07:41 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#261 [ザセツポンジュ]
『は、はい…。』
エノシタさんは泣きそうだった。少し頬を染め嬉しそうにしていた。
そして笑顔で帰って行った。           その姿を見たきーさん達も、嬉しくなり

吉田の片付けを待って、男四人でキャバクラへ行った。提案したのも自らおごると言ったのもすーさんだ。
『空ちゃ〜ん』    …こりないジジイである。

⏰:06/06/17 07:47 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


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