クソガキジジイと少年」
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#360 [ザセツポンジュ]
「…テイクスリー。エノシタさん、僕の気持ち受けとってください。……うわ!恥ずかしい!しかもただのストラップだよ!ふざけてると思われるよ!何やってんだ!!」
『…鈴木。』
「ギャフ!!!!!」
給食を心配した担任が屋上まで様子を見に来てくれた。
「なんですか!非常識に!」
ジョウの恥ずかしさは今世紀最大の域に達した。
:06/09/03 23:05 :W41S :FtQlwKtc
#361 [ザセツポンジュ]
『鈴木。お前ブツブツ一人でどうしたんだ。先生心配だよ。小便我慢し過ぎない方がいいぞ。給食食べなさい。今日はいちごもあるぞ。お前甘いモノ好きってプロフィールに書いてただろ。』
そのいちごよりも
真っ赤な顔の
ジョウジロウちゃんは
黙りこくってフルダッシュで階段をかけおりた。
:06/09/03 23:10 :W41S :FtQlwKtc
#362 [ザセツポンジュ]
(なんて最悪な日なんだ。トミー今頃寝てるんだろうな。僕も帰れば良かった。クソ)
:06/09/03 23:13 :W41S :FtQlwKtc
#363 [ザセツポンジュ]
━━ジョウが顔を真っ赤に染めている頃トミーは地獄を味わっていた。
「眠い眠い眠い眠い。ただいま…ぅゎ…回覧版…」
しばし回覧版を見つめるトミー。
※10歩先の鈴木家に回なければならない。
↓
眠い。
↓
でも回さなければならない。
↓
眠い。
↓
こんだけ疲れているといつ起きるか分からない。
↓
遅れる。
↓
すーさんに怒られる。↓
話が長いと予想される。
↓
またさらに疲れる。
↓
もしかしたらすーさんの首を絞めてしまうかもしれない。
↓
確実に少年院行きだ
↓
セックスがしばらくできない。
……
「しょうがないな…」
回覧版片手に鈴木家を訪ねる事を決意した。
:06/09/03 23:25 :W41S :FtQlwKtc
#364 [ザセツポンジュ]
「わ!!!!!」
すーさんが玄関で
死んでいる。
「ご愁傷様でした。」
トミーは回覧版を
すーさんの顔にかぶせ
回れ右をした。
:06/09/03 23:29 :W41S :FtQlwKtc
#365 [ザセツポンジュ]
「へんた〜い。止まれいっち、に!」
すーさんが口を開いた。
変な性癖はないが
トミーは
一応立ち止まり後ろを振り返る。
「…寝言だな。」
そしてまた前へ歩き出そうとした瞬間
「あぁ〜!!!トミオちゃん!!!」
トミーはすーさんが死んでいないことを
残念に思った。
「なんだよすーさん。」
:06/09/03 23:35 :W41S :FtQlwKtc
#366 [ザセツポンジュ]
「体中が痛い!!!誰ぢゃワシをこんな…ぅぅ…こんな…かたい…こんなかたいところに…放置したんじゃ…ワシゃ肩身が狭いよ…。トミオ。」
すーさんは玄関先で子供のように泣き出してしまった。
:06/09/03 23:39 :W41S :FtQlwKtc
#367 [ザセツポンジュ]
「俺が泣きたいよ。すーさん。涙をふいて階段を上がってごらん」
すーさんゎ立ち上がった。
「おい!!!トミオ!!!お前ゎ不良か!!!ワシはもう62だぞ!!この急な階段を見てみろ!!!死んでくれと言わんばかりなのが分かるか!!!!」
:06/09/03 23:43 :W41S :FtQlwKtc
#368 [ザセツポンジュ]
トミーはため息をついた。
「設計したのおばちゃんじゃん。要はすーさんの娘でしょうよ。」
「はぁ!?小生意気なクソガキめ!!!性病!!!!包茎!!!!お前はワシに死んで欲しいと言うんだな!!!こんなに疲れていると言うのに階段を登らしてツルってコケて死ねと言うんだな!!!!ぉーそうかそうか。じゃあな!!!」
:06/09/03 23:47 :W41S :FtQlwKtc
#369 [ザセツポンジュ]
「あーもぉ!!!!わかったよ!!!!おぶるよ!!!!すーさん!!!!」
トミーは最後の力を振り絞り
すーさんを引きとめた。
「えらいすんませんなぁ。お邪魔します。」
すーさんはトミーの背中へのしかかった。
(このジジイ。いつか殺してやる。)
トミーは階段を半分くらい登ったところで
立ち止まった。
:06/09/03 23:51 :W41S :FtQlwKtc
#370 [ザセツポンジュ]
「すーさん、俺。性病でもないし包茎じゃあないんだな。悪いな。」
「…お前立派だな。ワガママ言ってごめんな。」
そのまま後ろへ落としてやろうかといういきおいだったトミーも
素直なすーさんを見ると
許そうと言う気になれた。
:06/09/03 23:55 :W41S :FtQlwKtc
#371 [ザセツポンジュ]
すーさんは部屋につくやいなや
いびきをかいて寝始めた。
すーさんの部屋から
自分ちを覗くと
きーさんの部屋が見える。
ちゃんと布団で寝ている
我が祖父を見て
トミーは安心した。
:06/09/04 02:59 :W41S :T2waCVaU
#372 [ザセツポンジュ]
「おい、シンイチロウ。いるのか。」
久しぶりにトミーが
俺の部屋を訪ねてきた。
「久しぶりだなトミー。」
「お前家族からいじめられてるのか?何かあるんだったら俺に言えよ。すーさんもあんな急な階段じゃかわいそうに。」
布や絵の具や作業道具が散らばる俺の部屋だがトミーは堂々と踏み付けて
気にせず座った。
:06/09/04 03:03 :W41S :T2waCVaU
#373 [ザセツポンジュ]
俺は作業の手を止めた。
トミーには話したい事がたくさんあった。
ホントは強がっていてホントは今にもパンクしそうなんじゃないかとか
無理して笑っているんじゃないかとか。
:06/09/04 03:05 :W41S :T2waCVaU
#374 [ザセツポンジュ]
「なぁトミー。」
「俺は元気だ、何も心配する事はないぞ。それより今月のBUBKAはどこにあるんだ。」
俺はBUBKAをトミーに手渡した。
「トミー。俺はお前と話したいんだよ。」
「…シンちゃん。お前40歳の出会い系にハマった男のセリフみたいで気持ちが悪いぞ。」
トミーは真剣に忠告をして
愛読書BUBKAを読み始めた。
:06/09/04 03:10 :W41S :T2waCVaU
#375 [ザセツポンジュ]
「トミー今彼女何人いるんだ?」
「いないよ。俺の事好きな女ゎわんさかいるだろうけどな。」
俺は小さな冷蔵庫からジュースを取り出した。
「珍しいな。いないんだな。」
「おい、お前。ゲストをなんだと思っている。自分だけジュース取り出して飲むなんざ100万年早いぞ。俺だから良かったものの女が来た時ゎ女の分のジュースもちゃんと出せよ。甲斐性ナシと思われるぞ。」
俺はこんなクソガキに説教される自分が情けない。
できるものなら今日の洗濯物と一緒に俺をまわしてもらいたい気分だ。
:06/09/04 03:15 :W41S :T2waCVaU
#376 [ザセツポンジュ]
何を話そう。
何て言おう。
ママの事を口に出すのは気が引けるな。
何から話そう…
そう思っている間に時間はたち、トミーはBUBKAを読み終わっていた。
:06/09/04 03:18 :W41S :T2waCVaU
#377 [ザセツポンジュ]
「シンちゃん。俺疲れたよ。」
トミーはゴロンと横になって天井を見つめた。
「……まぁな、トミーもやっぱ辛いよな。うん。大切な事だよな」
「…なんの話だ。俺ゎ福岡生活で疲れているだけなんだけど」
「ぉ!?あ、そうか。福岡か。福岡な。楽しかったのか?」
:06/09/04 04:05 :W41S :T2waCVaU
#378 [ゆきな]
:06/09/04 04:09 :P901i :QPSfCtV6
#379 [ザセツポンジュ]
トミーは天井を見つめたまんま
ボーっとしている。
俺は何か逆にトミーを傷つけた気がして
一人でアタフタしていた。
:06/09/04 04:13 :W41S :T2waCVaU
#380 [ザセツポンジュ]
「シンちゃん。ママの事気にしてるのか?」
俺は心臓をコンパスでぶっさされるかのように痛くなった。
「…俺な、今でも思い出すよ。ママの事。大きくなったらクラブに顔出しに行こうかなぁとか考えたりする。けど、ママがどんな顔をするか検討もつかない。」
「………。」
俺は言葉が出てこなかった。
:06/09/04 04:17 :W41S :T2waCVaU
#381 [ザセツポンジュ]
ちょっと周りを片付けたりしてみた。
自分の情けなさを隠すために
一人せわしく
あたりにある物を触ってみたのだ。
:06/09/04 04:19 :W41S :T2waCVaU
#382 [ザセツポンジュ]
俺は手を止めた。
と言うか触る物が段々なくなってしまった。
「トミー。ママに会いたいのか。」
しばらく沈黙になり
俺は緊張していたが
平然なフリをした。
トミーは口を開いた。
:06/09/04 04:21 :W41S :T2waCVaU
#383 [ザセツポンジュ]
「むかつくけど会いたいな。」
:06/09/04 04:22 :W41S :T2waCVaU
#384 [ザセツポンジュ]
それ以上俺は
なんにも聞けなかった。
「そうか。そうだな。お前、今日学校早引けか。」
「……こんな過密なスケジュールを耐えれるのはお前の弟くらいだ。ちょっとシンちゃん。俺は寝るよ。」
「…あぁ、おやすみ。」
ちょっと気持ちが悪いが俺はしばらくトミーを見ていた。
:06/09/04 04:26 :W41S :T2waCVaU
#385 [ザセツポンジュ]
ママが具合が悪いと
学校へ行かなかった
トミー。
ママが大好きだったトミー。
ママがいなくなったトミー。
寂しさをこらえ続けているトミー。
いつか爆発してしまったらどうしようか。
俺は何をしてやれるだろう。
女をとっかえひっかえしているのも
チャラチャラしているのも
大好きな人がいなくなる寂しさを
トミーはよく知っているからだ。
それはもう二度と味わいたくないに決まっている。
目をつぶったトミーは今何を思い出しているのだろうか。
:06/09/04 04:32 :W41S :T2waCVaU
#386 [ザセツポンジュ]
「…シンちゃん。」
「お。おう。」
「もうちょっと大きくなったら話すよ。」
トミーは俺に背中を向け
丸くなって
眠り出した。
ちょっと悲しかった。
:06/09/04 04:38 :W41S :T2waCVaU
#387 [ザセツポンジュ]
まぁ
俺が悲しいと思う
その100万倍くらい
トミーは悲しいだろう。
俺は今日
トミーの感情をひっかきまわさしたにも関わらず
トミーは冷静で
最低な事をしてしまったような気になった。
:06/09/04 04:40 :W41S :T2waCVaU
#388 [ザセツポンジュ]
「ちーちゃん。小夜子ストロベリー」
「ジョウくん。今日一人なの。珍しい。」
「はぁ…。ちーちゃん。今ボクは明日が来るのが待ち遠しい気持ちと、切ない気持ちが戦争しているところだよ。」
ちーちゃんは目が点になった。
「大丈夫?何かあったの?おねえさんになんでも言ってよ。」
:06/09/04 04:45 :W41S :T2waCVaU
#389 [ザセツポンジュ]
━━━━
「それは恋よ。ジョウくん。」
「やっぱそうだよね。ボクはどうしたらいいか分からないよ。」
と肩を落として小夜子ストロベリーをほうばった。
「女の子ゎね、恋なんかした日にはこんな甘くて美味しいものですら食べられないのよ。」
ジョウはスプーンを置いて、ちーちゃんを冷たい目で見た。
「……いや、食べていいよ。あたしは疑ってないよ。恋だよ。いくら世界史好きのジョウくんだって恋くらいするわよ。そうよ。」
ジョウはため息をついた。
:06/09/04 04:51 :W41S :T2waCVaU
#390 [ザセツポンジュ]
「ちーちゃん。ボクはね、こんなに人を思って悩むのは久しぶり過ぎて困っているんだよ。そんな時になんだ。世界史好きのどうしようもないジョウくんはって…」
そうして再びスプーンを持った。
「…そこまで言ってないよ。ストラップ渡せるといいね」
「……トミーならできるんだろうな。トミーならかっこよくできるんだろうな。……トミーなら……こんなに悩まなくていいんだろうな」
:06/09/04 04:57 :W41S :T2waCVaU
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