クソガキジジイと少年」
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#384 [ザセツポンジュ]
それ以上俺は
なんにも聞けなかった。
「そうか。そうだな。お前、今日学校早引けか。」
「……こんな過密なスケジュールを耐えれるのはお前の弟くらいだ。ちょっとシンちゃん。俺は寝るよ。」
「…あぁ、おやすみ。」
ちょっと気持ちが悪いが俺はしばらくトミーを見ていた。
:06/09/04 04:26 :W41S :T2waCVaU
#385 [ザセツポンジュ]
ママが具合が悪いと
学校へ行かなかった
トミー。
ママが大好きだったトミー。
ママがいなくなったトミー。
寂しさをこらえ続けているトミー。
いつか爆発してしまったらどうしようか。
俺は何をしてやれるだろう。
女をとっかえひっかえしているのも
チャラチャラしているのも
大好きな人がいなくなる寂しさを
トミーはよく知っているからだ。
それはもう二度と味わいたくないに決まっている。
目をつぶったトミーは今何を思い出しているのだろうか。
:06/09/04 04:32 :W41S :T2waCVaU
#386 [ザセツポンジュ]
「…シンちゃん。」
「お。おう。」
「もうちょっと大きくなったら話すよ。」
トミーは俺に背中を向け
丸くなって
眠り出した。
ちょっと悲しかった。
:06/09/04 04:38 :W41S :T2waCVaU
#387 [ザセツポンジュ]
まぁ
俺が悲しいと思う
その100万倍くらい
トミーは悲しいだろう。
俺は今日
トミーの感情をひっかきまわさしたにも関わらず
トミーは冷静で
最低な事をしてしまったような気になった。
:06/09/04 04:40 :W41S :T2waCVaU
#388 [ザセツポンジュ]
「ちーちゃん。小夜子ストロベリー」
「ジョウくん。今日一人なの。珍しい。」
「はぁ…。ちーちゃん。今ボクは明日が来るのが待ち遠しい気持ちと、切ない気持ちが戦争しているところだよ。」
ちーちゃんは目が点になった。
「大丈夫?何かあったの?おねえさんになんでも言ってよ。」
:06/09/04 04:45 :W41S :T2waCVaU
#389 [ザセツポンジュ]
━━━━
「それは恋よ。ジョウくん。」
「やっぱそうだよね。ボクはどうしたらいいか分からないよ。」
と肩を落として小夜子ストロベリーをほうばった。
「女の子ゎね、恋なんかした日にはこんな甘くて美味しいものですら食べられないのよ。」
ジョウはスプーンを置いて、ちーちゃんを冷たい目で見た。
「……いや、食べていいよ。あたしは疑ってないよ。恋だよ。いくら世界史好きのジョウくんだって恋くらいするわよ。そうよ。」
ジョウはため息をついた。
:06/09/04 04:51 :W41S :T2waCVaU
#390 [ザセツポンジュ]
「ちーちゃん。ボクはね、こんなに人を思って悩むのは久しぶり過ぎて困っているんだよ。そんな時になんだ。世界史好きのどうしようもないジョウくんはって…」
そうして再びスプーンを持った。
「…そこまで言ってないよ。ストラップ渡せるといいね」
「……トミーならできるんだろうな。トミーならかっこよくできるんだろうな。……トミーなら……こんなに悩まなくていいんだろうな」
:06/09/04 04:57 :W41S :T2waCVaU
#391 [ザセツポンジュ]
ちーちゃんは
ジョウの肩に手を置いた。
「かっこ悪くても一生懸命の人の方があたしは好き。なんでも器用にできる人よりも、何か自分の好きなものをひとつだけ一生懸命やれる人があたしは好きよ。トミーとジョウくんは同じ人間だけど全く違う生き物でしょう?だからジョウくんなりのやり方で不器用でもかっこ悪くても一生懸命やればそれでいいと思うよ。」
:06/09/04 05:05 :W41S :T2waCVaU
#392 [ザセツポンジュ]
「………それもそうだ。ありがとうちーちゃん。」
「……ストラップ渡せるといいね。」
ジョウは少し笑った。
窓の外を見ながら
いつも自分が考えている事を少しずつ
思い出した。
━流されない自分らしい自分でいる事。
いつだってそうしてきたじゃないか。
:06/09/04 05:11 :W41S :T2waCVaU
#393 [ザセツポンジュ]
空も地もすっかり秋色になり
老人達も少年達も
肌寒さを感じていた。
(自動販売機のお釣りのところににゴキブリのおもちゃを詰め込むと、手を突っ込んだバカな一般人はどうなるんだろうな…)
悪巧みのスペシャリスト━。
木田シゲル62歳の考え事。
:06/09/05 21:57 :W41S :cnUr1D/E
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