クソガキジジイと少年」
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#480 [ザセツポンジュ]
「気持ちが悪いぞ!コノヤロウ!」

トミーはきーさんを殺さない程度に叩きまくった。
「トミオちゃ〜ん」
きーさんはトミーの顔をベタベタ触りチューを試みた。
「死ねジジイ!」

トミーは、きーさんの手を思いきり噛んだ。
「イッチチチチチチ!」
きーさんは目をつぶり手を押さえた。

⏰:06/09/11 20:42 📱:W41S 🆔:szQEfsT2


#481 [ザセツポンジュ]
その時だった。


きーさんの脳内の小さい引き出しが全て開放されたのだ。

気が狂って、拳をまるまま口に入れたすーさん。

気持ち悪さに抵抗して思いきり噛みついた
我が孫、トミー。


共通点は歯形。


女の子がキレイな自分の手を口の中に入れる━━。



「ハッッッ!!分かったぞトミオ!!」

ゴツン━。

きーさんは嬉しさついでにトミーにゲンコツをくらわした。

「くぅ……ぅぅ。」

きーさんのゲンコツは痛いのだ。

⏰:06/09/11 20:48 📱:W41S 🆔:szQEfsT2


#482 [ザセツポンジュ]
「鈴木ヒト━━━━━━シ!!!!」
トミーは、たまらず隣の家のエロジジイに叫んだ。
「こんのクソガキやっかましぃわ!!!!62歳のジジイだと思ってなめるんじゃないよ!!!今大事なビデオを観賞中なんじゃ!!!!次叫んだら売り飛ばすぞこのボケタレ!!!」
ピシャン━。
すーさんは窓の鍵をしめてカーテンをきっちりとしめ電気を消したた。
「ムフフフ…」


「わぁ〜〜ん。」
トミーの両目から涙がちょちょぎれた。

やっぱりきーさんのゲンコツはとっても痛いのだ。

⏰:06/09/12 00:18 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#483 [ザセツポンジュ]
━━季節は冬になった。

寒い寒い
冬になった。

ジョウはまだストラップを渡せずにいた。

生徒会役員が集まる生徒会室にエノシタさんはいつもいた。

用事以外何にも話せないジョウがいた。

それとは逆にかわいくなったエノシタさんとも、他の女子ともわけへだてなく楽しそうに話しているトミーがいた。

⏰:06/09/12 00:30 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#484 [ザセツポンジュ]
ジョウは、いつもいつもエノシタさんだけを見ていたのだ。


だけれども、やっと気付いた。


自分の大好きな人の大好きな人は
イヤでも分かってしまうものなのだ。


(エノシタさん…いつもいつもトミーを見てる。ボクはエノシタさんをいつもいつも見てるから、よく分かってしまうよ。)

⏰:06/09/12 00:34 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#485 [ザセツポンジュ]
「おーぃ。ジョウジロウちゃん。何考えてんだ帰るぞ。」

ボケーっと夕焼けを見つめ、心を切なくさせていたジョウジロウちゃん。

心をしめつけられるような、泣きたくなるような、もどかしい気持ちが全身をかけめぐっていた。
「ん?うん…そうだね。」

トミーは、遠い目をしたジョウを少し見ていた。

「…どの辺を見てるんだ。」
「ボクの心の中を見ているんだよ。トミー。」

⏰:06/09/12 05:01 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#486 [ザセツポンジュ]
ジョウは白く淡いため息をついた。
そして少しくしゃくしゃになってしまって、渡せないまんまのストラップはポケットの中で冬眠している。

「……ジョウ。」
トミーは眉をひそめてジョウの顔を覗き込んだ。
「ん?」

「気持ち悪いぞ。詩人にでもなりたいのか。」

「……。それもいいね」

⏰:06/09/12 05:09 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#487 [ザセツポンジュ]
ジョウは特に言い返す力もなく、カバンを背負った。

「トミー。おうちへ帰ろうか。ボクは早く帰りたいよ。」

「お前変だぞ。変態だ。早く帰りたいのにも関わらず、1時間も夕日を眺めたお前は異常だ。ワガママだな。俺は待ってたんだぞ。」
「ごめんごめん。」

⏰:06/09/12 05:13 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#488 [ザセツポンジュ]
トミーは前を歩いた。
日が暮れて、薄暗い道を二人は1列になって歩いていた。

「なぁ。」

「うん。」

最初に口を開いたのはトミーだった。

「具合悪いのか?ジョウジロウちゃん」

体操服を蹴りながら、ぶっきらぼうに前を歩くトミー。

ジョウは少し小走りしてトミーの横に並んだ。
「健康だよボクは。」
「そっか。ならいいんだよ。」

⏰:06/09/12 05:22 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#489 [ザセツポンジュ]
トミーはもう何にも言わず、体操服を蹴りながら、ぎこちない鼻歌を歌って歩いた。

ジョウは複雑な気持ちを重たいカバンの中に詰め込んで歩いた。

「ジョウ。また明日な。」

「うん。バイバイ、トミー。」

⏰:06/09/12 05:28 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#490 [ザセツポンジュ]
コトッッ━━。
コトッッ━━。
コトッッ━━。

翌朝、ジョウはいつもより早く目が覚めた。
(じぃちゃん、こんな朝からどこ行くんだろう…。ぅぅ…寒い…。)

ジョウは布団にくるまった。

今日はいつもより冷えているらしい。

ジョウの部屋のテレビがそう言っている。

⏰:06/09/12 05:35 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#491 [ザセツポンジュ]
ジョウはバサっと起き上がり支度を始めた。
こんな早くから支度をしたって、トミーが迎えに来るにはまだまだ時間がある。

ジョウは顔を洗い、制服を来てマフラーを巻き、重たいカバンを背負い、支度をすまして家を出た。

(トミー。今日は先に行くよ。)

ジョウは、隣のトミーの家を少し見つめて歩き出した。

白い息。
冷たい風。
赤い鼻先。

ジョウだけが知っている気持ち。

今日は一段と冷えているからだろうか。

歯をくいしばって

涙が込み上がってこないように

ジョウは歩いた。

⏰:06/09/12 05:47 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#492 [ザセツポンジュ]
「あんた。おばちゃんに会いたいからってこんな早い時間に来て、一体何をしでかすつもりなのよ。スケベね。」

用務員のおばちゃんが教師用の玄関を掃き掃除しながら、一番のりしたジョウをお出迎えしてくれた。

「おはようおばちゃん。朝から言ってくれるじゃない。疲れるよボク。」

ジョウはおばちゃんに愛想笑いをして
生徒用の玄関の扉を引いた。


「ん!?」

⏰:06/09/12 05:59 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#493 [ザセツポンジュ]
くしゃくしゃに丸まった紙くずが
3年のクツバコから
何個も転がっている。
ジョウはしゃがんで
至近距離で紙くずを見つめた。

(……あれ?これクーポン雑誌?)

トミーが毎月エリアカフェで見ているクーポン雑誌が散らばっている…。

首をかしげながらジョウはくしゃくしゃに丸まった紙を広げた。


「え……。」



そしてまだ転がっている丸まったクーポンをひとつひとつ広げていった。

(…なんだ。…なんでだ……。)

⏰:06/09/12 06:10 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#494 [ザセツポンジュ]
その紙くず達をたどって行く━。

顔をあげたジョウは
愕然とし、地べたに座りこんだ。


━━━榎下━━

くしゃくしゃにまるまった紙くずが
ぎゅうぎゅうに押し込まれて、こぼれ落ちてしまうほどのこのクツバコは

紛れもなくエノシタさんのクツバコだった。

⏰:06/09/12 06:14 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#495 [ザセツポンジュ]
カサッッ━━。

涙のようにひとつぶ
、エノシタさんのクツバコからこぼれ落ちた
紙くずを

ジョウは、拾って

ゆっくりと恐る恐る広げた。

《調子乗んな!ブサイク、死ね!》

エノシタさんが美容院のカットモデルをして、ニッコリ笑った顔と一緒にクーポン券になってから2ヶ月たっている。

今月のクーポン雑誌も、変わらずエノシタさんの笑顔と一緒にクーポン券は発行されているのだ。

鋭い言葉を殴り書きされ、顔には落書き━。

⏰:06/09/12 06:38 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#496 [ザセツポンジュ]
ジョウは
心臓にコンパスをぶっ刺したかのような痛みを
押さえて

クーポン券の紙くずを全部ゴミ箱に入れて

焼却炉へと走った。

⏰:06/09/12 06:41 📱:W41S 🆔:x4l6J1Kg


#497 [なちゅき]
この小説マジ好きですだから上げ
マイペースでぃぃんでがんばってくださぃね

⏰:06/09/14 18:59 📱:N701i 🆔:eymO6fNw


#498 [きーさん]
なちゅきちゃん☆
ありがとぉ
(o`∀´o)
ワシゎ嬉しいよ!

⏰:06/09/14 22:45 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#499 [ザセツポンジュ]
ジョウが胸を痛めていた早朝、きーさんとすーさんは#7791カフェにいた。


「小夜子ストロベリーをふたつ。」

きーさんは、注文したあと、すーさんがみーちゃん話しかける暇もなく大量の資料をバシっと机の上に置いた。

⏰:06/09/14 22:49 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#500 [ザセツポンジュ]
「…うん。きーさん。文字のおけいこにドリルに学級新聞とはなかなか画期的な事業に取り組むみたいだがワシは遠慮するぞ。」

すーさんはしかめっ面できーさんを睨んだ。

「ワシは62だぞ。そんな宿題やってられるかこのクソジジイ。イカレポンチ。きもエロス。」

きーさんはいつになく真剣だった。

⏰:06/09/14 22:56 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#501 [ザセツポンジュ]
「きーさん。今回は何をするつもりだ。」

すーさんはため息をつきいやいや質問した。

きーさんは資料の一番上のプリントを取り、すーさんの目の前に差し出した。

「今回ワシらが取り組むのは…」

すーさんはハテナをいっぱい並べプリントを眺めた。

「THE、摂食障害?」
すーさんはそのタイトルを読み終えると席を立った。

⏰:06/09/14 23:00 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#502 [ザセツポンジュ]
「おい!すーさん!どこへ行く!」

きーさんはケンカして家を出ていく彼女を止めるかのようにすーさんの手をつかんだ。

「やってられないわよ!こんな事!横文字から始まり漢字が4つも並んであたいにできるわけないじゃないの!」

「朝からみっともないコントはやめてくれ。疲れるぞ。」

きーさんはすーさんの手を引き、七夕の席へ再び座らせた。

⏰:06/09/14 23:05 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#503 [ザセツポンジュ]
「お待たせしました。小夜子ストロベリーと、梅昆布茶…は、こちらのサービスです。」
状況を見ていたみーちゃんはいつになくかたい表情の真剣なきーさんに察して、すーさんの機嫌をとるために気を使ってくれた。

「みーちゃん!あぁ、みーちゃん!…みーちゃんがあと30歳、年をとっていたらワシは間違いなくプロポーズしていたよ…」

すーさんは目に涙を浮かべた。
自分がどれだけえらいのか分かねるが条件をはきちがえているのを今回は目をつぶってあげようではないか。

きーさんは真剣なのだ。

⏰:06/09/14 23:11 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#504 [ザセツポンジュ]
「お前きららちゃん分かるだろ?」

あんだけ溺愛している空ちゃんの店にいるきららちゃんを覚えないわけがない。
「あー。きららちゃんね。ちょっとポッチャリのね。」

すーさんは得意気だ。女の子の事ならこの鈴木ヒトシ(62)にまかしておけ。

きーさんはきららちゃんを思い浮かべ首をかしげた。
「きららちゃんポッチャリか?ワシはあれくらいが健康的でいいと思うけどもな。」

⏰:06/09/14 23:16 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#505 [ザセツポンジュ]
「きーさん。最近の子は痩せてないと気が済まないんじゃよ。」

きーさんはすーさんが最近の女の子に詳しい事にホッとした。
そうだ、すーさんは女の子の授業なら得意中の得意だ。

⏰:06/09/14 23:19 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#506 [ザセツポンジュ]
「じゃあ摂食障害も難しい話ではないよ、すーさん。」

きーさんは資料を手に取った。

「みーちゃん、みーちゃん。フーフーして、これ、フーフー。ウヒヒヒヒ。」

そのまま資料を丸めて思いきりすーさんを何度も殴った。

「すまん!すまんこすまん!悪かった、悪かった!」

きーさんはせきばらいをして説明を開始した。

⏰:06/09/14 23:24 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#507 [ザセツポンジュ]
「先月すーさんと空ちゃんとこに飲みに行ったが、お前は気持ち悪く酔っ払っていたな。」

「あぁ、そうだな…ズズ…ん〜やっぱ梅昆布茶だな時代は。……おい、気持ち悪いって何だ!」

「それでだ、すーさん。そのきららちゃんの手の甲に吐きダコがあるのを発見したのだ。」

「タコねぇ。」

すーさんは手の甲にタコが並んで宝塚ばりのダンスをする光景を想像していた。

⏰:06/09/14 23:29 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#508 [ザセツポンジュ]
「…いいか。摂食障害とは食って吐いたり、何にも食べなかったり、食べたものを飲み込まずに噛んだだけで口から出したり、まぁその他いろいろあるが得に女子に多いらしい。意味分かるか?」

「わかっとるわ!要するに、きららちゃんは一回食って吐くんだろ。そんで手にタコができたんだろう?その話題ワイドショーで見たんじゃよ。きーさん、助ける気か?無謀だぞ。同棲しているわけでもないのに見張ってられるか!バカタレ!」
すーさんは以外にも、ごもっともな意見をきーさんにプレゼントした。

⏰:06/09/14 23:35 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#509 [ザセツポンジュ]
「…ん〜……ん?すーさん、エノシタさんじゃ!」

きーさんはふと目を窓の外に向けてエノシタさんの姿をたまたま発見した。

すーさんも前のめりになってエノシタさんを見た。
「なんか悲しそうに歩いてるなぁ…。あぁ、もとからか。」

「……いや、なんかあったはずだよ。」

エノシタさんが通り過ぎた後、きーさんは本題に戻した。

⏰:06/09/14 23:40 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#510 [ザセツポンジュ]
「無謀だが…。すーさん。ワシはやってみたいのだよ。コミカルに。」

すーさんは、きーさんもまだ口につけていない小夜子ストロベリーをパクパク口に入れた。

「きーさん。ミュージカルでもないのにコミカルに進むわけないだろうよ。だいたい、お前が思いつくネタは、昔からくだらん事だったろう。ティッシュを丸めてくしゃみ選手権とか見知らぬ人にカンチョーして怒らせよう大作戦とか、チョークで勝手に道路に事故現場をかいてみたりだとか……最近意味のある事をしすぎだ。」

⏰:06/09/14 23:49 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


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