クソガキジジイと少年」
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#880 [ザセツポンジュ]
星がとてもキレイなクリスマス。
街灯の明かりはとても小さいけど、二人の真上に広がる夜空は
とてもとても明るかった。
“せーの”
『怪獣のバラード!』
『怪獣のバラード!』
二人は顔を見合わせて笑った。
星がとてもキレイなクリスマス。
街灯の明かりはとても小さいけど、二人の真上に広がる夜空は
とてもとても明るかった。
“せーの”
『怪獣のバラード!』
『怪獣のバラード!』
二人は顔を見合わせて笑った。
:08/06/30 01:26 :PC :3PmgDCPQ
#881 [ザセツポンジュ]
:08/06/30 01:29 :PC :3PmgDCPQ
#882 [ザセツポンジュ]
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エノモトさんを送り終えたトミーは
人が隣にいなくなると
急に寒さを感じるものなんだと
痛感し、ポケットに手を突っ込んで
少し走った。
クシャ。
『あ。じーちゃんに1万円もらってたんだった。』
ケーキを買わなければいけない事に
気づいたトミーは
めんどくささを振り切り
ケーキの置いてある喫茶店まで
急いだ。
(さみぃさみぃ。)
:08/07/03 15:33 :PC :l1y/MU3Q
#883 [ザセツポンジュ]
カランカラン。
『えーと、モンブランと、あとは適当に。5つほど、オススメで。』
トミーはガラスケースのケーキも見ずに
店員の顔を見てオーダーした。
店員はニッコリ笑った。
『かしこまりました。お客様、お待ちの方が、あちらのお席に。どうぞ。』
『は?』
トミーは店員の手の指す方向をゆっくりと辿った。
辿るうちに、大好きだった懐かしい匂いが
漂っている事に気づいた。
『え、、、、。』
:08/07/03 15:34 :PC :l1y/MU3Q
#884 [ザセツポンジュ]
目をやった先には
自分が近年、葛藤し続けて来た
原因そのものが
椅子に座っている。
それはとても美しく
本来なら、飛びついてしまいたいほどの
事だったが、
トミーはそれを許してはいなかった。
顔を見る事もできず、
とりあえず席に座った。
『、、、、。』
何も話す事のできない自分。
喫茶店の暖房がよく効いている事だけは
分かった。
『トミオ。ケーキ食べる?』
トミーは相手の手だけを見つめ
首を横にふった。
:08/07/03 15:34 :PC :l1y/MU3Q
#885 [ザセツポンジュ]
『元気、、、だった?』
『、、、。うん。分かるだろ見たら。』
『そうね、、、。あの、、、。怒ってる?』
『、、、。その質問、間違ってると思わないの?』
いつになく緊張して
顔をこわばらせているトミーは
列記とした14歳の少年なのだ。
『トミオは、何にも聞きたくないかもしれないけど、』
『聞きたくないよ、ホントに。何も。ってか何でいるの?どうせじーちゃんに頼まれたんだろ。』
:08/07/03 15:35 :PC :l1y/MU3Q
#886 [ザセツポンジュ]
複雑な気持ちだけが
トミーに絡みついていた。
怒るにも怒れない。
笑うにも笑えない。
見るにも見れない。
そんな初めての気持ちと
緊張が、トミーを襲っていた。
『、、、。トミオ。』
その言葉にビクっとしたトミーは
顔をあげた。
そこには大好きな人が
困った笑顔を浮かべ
まっすぐにトミーを見つめていた。
『、、、。ごめんね。ママのこと、許してだなんて言わないわ。だけど、、、ごめんね。トミオ。』
トミーはテーブルにひじをついて
両手を頬にあてた。
ふくれっつらで
言葉もでないまま。
:08/07/03 15:36 :PC :l1y/MU3Q
#887 [ザセツポンジュ]
<何も言わずに置いて行くなんて卑怯だ。
うそつき。
女なんてクズだ。
弱虫。
俺はへこたれない。
お前みたいに
無責任な事はしない人になる。
最低女。
どこかで
そう思って過ごしていなければ
寂しさで埋もれてしまうような
気がしてたまらなかった。
:08/07/03 15:36 :PC :l1y/MU3Q
#888 [ザセツポンジュ]
ママが急にいなくなった。
じーちゃんは変な嘘をついて
ごまかしていた。
寝て起きて、寝て起きて
待っても待っても
ママがいない。
でもね、練習したんだ。
キレイに字をかけるように
目玉焼きも焼けるように
服もキチンとたためるように、、、。
じーちゃんと一緒に
練習したんだ。
ママが、帰って来たら
いや、帰って来るから
その時、書いた字を見せるんだ。
ママに褒めてもらうんだ。
ママがおなか減ったら
俺が目玉焼きを焼いてあげる。
ママの代わりに
俺が洗濯物もやってやるから
何にも心配しなくていいよ、ママ。
いつでも帰って来て大丈夫だよ
ママ、、、。>
:08/07/03 15:37 :PC :l1y/MU3Q
#889 [ザセツポンジュ]
トミーは
頬にあてていた手で
顔を覆った。
『、、、。、、、うぅ。。。』
恨んでいた気持ちは
負けた。
14歳にもなって
涙でノックアウトだなんて
恥ずかしくてたまらない。
学校にも行けない。
誰かに見られたら困るし、、、。
それでもトミーは
ずっとためていた想いを
止める事ができなかったのだった。
:08/07/03 15:38 :PC :l1y/MU3Q
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