きらきら
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#960 [○○&◆.x/9qDRof2]
では、私が座布団代わりにしているこの棺桶の中に眠る、私そっくりな人物は誰だ。そっくりというか、見る限りでは毎朝鏡で見る私自身だ。じゃあ、やはり夢だろう。私はここにいるし、誰も私に反応しない。
:22/10/20 09:04
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:nvDpRiyU
#961 [○○&◆.x/9qDRof2]
これが現実であるはずがない。だが、ただ一つだけ、私の脳裏に現実的な答えが巡った。もしかして.......
「私…死んだ?」
私の言葉に誰も反応しなかった。私の前で、お坊さんの唱えるありがたいお経は終わりを告げた。
:22/10/20 09:05
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:nvDpRiyU
#962 [○○&◆.x/9qDRof2]
家族がお礼をしている姿が映ったが、私はそれどころではなかった。受け入れがたい仮説に、どうしていいかわからなかった。その後、わかったことが二つあった。
:22/10/20 09:05
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#963 [○○&◆.x/9qDRof2]
一つは、やはりこれは夢じゃないこと。もう一つは私は間違いなく死んでいること。最高に現実的な悪夢を見ている訳でないなら、私の姿や声に誰か反応するはずだし、体が浮くことも、人や物を体が突き抜けることもないはずだ。私は目の前で起きている事実を痛感せずにはいられなかった。ドアノブを握ろうとした私の手が、無抵抗に空を掴んだ。
:22/10/20 09:05
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#964 [○○&◆.x/9qDRof2]
私は小さく溜め息を漏らした。確かにここに存在するのに、触れられない。すでに時計は午後十一時を指していた。ドアという一枚の壁をものともせず、身体は向こう側へと通り抜ける。リビングは、電気も付けていない薄暗さの中、母が静かに泣いていた。
:22/10/20 09:05
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#965 [○○&◆.x/9qDRof2]
譫言のように私の名前を呼ぶ母の姿は痛々しく、胸が締め付けられた。涙が出ない。死人には涙は必要ない、ということか。涙が出ない自分への悔しさと母への申し訳なさが拳を強く握った。
「お母さん.......」
やはり返事はない。私は落胆するように肩を落とした。自分だけ隔離された世界にいるように感じた。
:22/10/20 09:05
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#966 [○○&◆.x/9qDRof2]
「私はここにいるよ、」
母の横に立ってみたが反応は得られなかった。
「お母さん。ごめんね、ごめんねっ…!」
通り抜けないように母を抱きしめる形になるよう身体を合わせた。謝罪の言葉を漏らした途端、その僅かな心の亀裂から溢れ出してきた想いが、波のように押し寄せてきた。
:22/10/20 09:06
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#967 [○○&◆.x/9qDRof2]
「今まで育ててくれたのに、先に死んでごめん。たくさん愛情を注いでくれたのに、返せなくてごめんっ。親孝行しなきゃいけないのに、最後に悲しませてごめん.......もう一緒の世界に居れなくてごめんっ!」
:22/10/20 09:06
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#968 [○○&◆.x/9qDRof2]
唇を強く噛んで沸き上がる気持ちを抑える。痛みはないが、胸の奥はいつまでもキリキリと痛んだ。母は突然泣き止んで私の身体を突き抜けて立ち上がると、私の抜け殻がある部屋に入って行った。私には、後を追う勇気がなかった。あれ以上、大好きだった母の哀しむ姿を見るのは堪えられなかったのだ。私は、朝までソファに座っていた。
:22/10/20 09:06
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#969 [○○&◆.x/9qDRof2]
私はようやく完全に現実を受け入れた。自分でも不思議なほど冷静だが、やはり動揺は隠せない。私はまだ十八歳の高校生だし、やり残したことの方が多い。大学受験も残っている。とにかく未練は数え切れない。時間の経過と共に気分は滅入っていく。
:22/10/20 09:06
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