きみを送るA
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#601 []
 
――――…‥

《バタンッ!!!》

勢いよく部屋のドアがあき
俺は目を覚ました。

「志乃くん!!」

ドアの前には
息切れをしたコウが立っている。

「志乃くん勝手に上がってすみません」

肩で息をしながら
コウが汗をたらしながら言った。

⏰:07/06/07 03:31 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#602 []
「いいけど…どうした?」

「実は昨日ゆうみさんが…」

コウの言葉を最後まで聞かなくてもわかる。

「怪我したんやろ」

俺の言葉にコウは目を見開いた。

「なぜ知ってるんです?」

⏰:07/06/07 03:33 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#603 []
「夢で見た」

「…夢を?」

「…このはが怪我する前の日も、このはの夢を見た。昨日はゆうみちゃんの夢を。だから」

「…なるほど。どのような内容の夢を?」

「このはとゆうみちゃんが叫んで、身体から血を噴き出して…俺の後から声が」

⏰:07/06/07 03:36 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#604 [あちゅ]
頑張って

⏰:07/06/07 03:36 📱:F902iS 🆔:thAL88kg


#605 []
「声、とは?」

「…犯人の…」

「ほう。それで志乃くんは犯人を見たんですか?」

「いや…」

「…なるほど。見る必要もありません犯人はやはりアコさんです」

「…それよりゆうみちゃんの怪我って…?」

⏰:07/06/07 03:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#606 []
「ああ、大丈夫です。今回は足を切られましたが…軽い怪我でした」

「…そっか」

「それで志乃くん、今日は夢を見たんですか?」

「…見た」

「次は誰が?」

コウが険しい表情をしながら俺を見つめる。

⏰:07/06/07 03:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#607 []
「実は…」

「はい」

「今日の夢で、俺は犯人の顔を見た…」

「本当ですか?誰です?一体誰が誰を?」

「……が………を……」

「すみません聞こえませんでした。もう一度お願いします」

⏰:07/06/07 03:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#608 []
コウは俺の声を聞きとろうと俺のもとへ歩み寄った

次の瞬間…

《グサッ…》

コウの腹部に
ナイフが刺さる

「……志乃…く…」

コウがふらりと倒れ込む

「俺がお前を殺すんだよ」

ニヤリと笑う俺の手には

血だらけのナイフが握られていた。

⏰:07/06/07 03:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#609 []
「…あな…た…が……」

コウは腹部を押さえながらひざをついた。

「クックックッ…」

俺の口から笑いがこぼれる

「苦しいか?」

⏰:07/06/08 01:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#610 []
「志乃…く…ん…」

コウが苦しそうな表情で俺の名前を呼ぶ。

「苦しいだろ?」

ニヤリと笑いながら
俺はコウの元へ歩み寄る

コウを見下ろしながら
俺は頭上にナイフをかかげた。

「苦しいなら、さっさと死ねよ」

⏰:07/06/08 01:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#611 []
コウに向かい
ナイフを勢いよく下ろした時だった。

「すみません…」

コウが涙を流し
弱々しく謝った。

その姿に
俺は手を止める。

「すみません…僕は…あなたを…助けられませんでした……」

⏰:07/06/08 01:31 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#612 []
弱々しく微笑むコウ。

「……あ………」

これは

あの日の夢だ。


俺の手からナイフが落ちる

「……俺…は………」

気付いた時には

血まみれのコウが倒れていた。

「…コ…ウ……?」

⏰:07/06/08 01:33 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#613 []
「コウ!!おい!コウ!」

コウの身体を軽くゆさぶると
コウは目を開け俺を見て微笑んだ。

「…大丈夫で…すか?」

何が…何が大丈夫ですか、だ。
大丈夫じゃないのはお前の方だろ。

「コウ…ッ……」

⏰:07/06/08 01:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#614 []
俺は携帯をとり
救急車を呼ぼうとした

「だめです…」

ダイヤルを押す俺の手を
コウは阻止した。

「なんで…っ!!」

「救急車を呼べば…あなたは捕まってしまいま…す」

⏰:07/06/08 01:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#615 []
「でも……」

「あなたが捕まれば…たくさんの方が悲しみ…ます」

「でも…!!」

話しているうちにも
コウの腹部からは
どんどん血がでている。

「僕は大丈夫ですから」

苦しそうにも微笑むコウはゆっくりと立ち上がった。

⏰:07/06/08 01:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#616 []
落ちているナイフを拾い、コウは部屋を出ていこうとドアノブに手をかけた。

「どこに行くんや!?」

「…自宅へ…。大丈夫ですから。ナイフも僕が処分します」

「だめや!!!」

俺はコウの腕を掴んだ。

「!!!!」

⏰:07/06/08 01:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#617 []
腕を掴んだ瞬間
俺の脳裏にコウの思考が流れた。

俺はコウの腕を振り払うと携帯をとり
素早く電話をかけた。

「救急車一台至急お願いします」

「志乃くん!?」

俺の行動に
コウは困惑した表情をみせた。

⏰:07/06/08 01:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#618 []
「なぜ…!?志乃くんが捕まってしまいます!」

焦ったようにコウが言う

「それでいい。俺がやった事やから。このはもゆうみちゃんも…俺が…」

俺の脳裏に流れたのは
自宅へ戻ったコウが
ナイフから俺の指紋を拭き取り自分の指紋をつけ
自殺に見せ掛けるというものだった。

⏰:07/06/08 01:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#619 []
「それに俺が普通に生活しても…周りに被害が及ぶ…だから俺は捕まった方がえーねん」

「でも志乃くんは…」

話の途中で
コウは倒れてしまった。

「コウ!!」

「……………」

「おい!!コウしっかりしろ!!コウ!!」

⏰:07/06/08 01:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#620 []
【第26章 黒幕】

コウが倒れしばらくしてから救急車が着いた。

覚えてないが
俺は救急車員の胸倉を掴み殴り掛かったらしい。

「あの時のきみは、ものすごい剣幕やったらしいよ。それほど大切な友人やったんやね」

「はい…とても」

⏰:07/06/08 02:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#621 []
目の前には優しそうな
中年の男性。

「じゃあなぜ、きみは神谷くんを刺したんや?」

俺は今
鑑別院の中にいる。

そう、あの事件の日
俺は捕まった。

「…今から話す事…信じてくれますか…?」

⏰:07/06/08 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#622 []
 
―――…‥‥

「コウ!!コウ!!」

救急車の中で
俺は何度も何度も
コウの名前を叫んだ。

「落ち着きなさい!すぐ病院に着きますから!」

救急隊員が俺を静止する声も俺の耳には全く入らなかった。

⏰:07/06/08 03:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#623 []
病院へ着き、
集中治療室と書かれた部屋へコウはつれて行かれた。

しばらくして
看護婦さんが俺のもとへ走ってきた。

「誰か身内の方は!?」

治療室の前のソファーには俺しかいない。
看護婦さんは焦ったように周りをキョロキョロ見渡した。

⏰:07/06/08 03:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#624 []
「身内は…おらん」

俺の言葉に
看護婦さんは
まさか、という表情をしたが、すぐさま

「輸血する血液が足りません!!彼と同じ血液の方を…」

と言った。

⏰:07/06/08 03:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#625 []
血液が…

コウは確か俺と同じ…

「俺、同じや!俺の血使ってくれ!!」

「わかりました!早くこちらへ」

俺は看護婦さんの後を追い治療室の中へ入った。

「…コウ……」

そこには
真っ青なコウがベッドに横たわっていた。

⏰:07/06/08 03:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#626 []
「彼一人か!?」

突然執刀医だろう男が
さっきの看護婦に向かい叫んだ。

「はい。身内はおられないそうなんです…」

医者が困ったように俺を見る。

「まいったな…さすがに彼だけでは…彼の方が危なくなる危険がある…」

⏰:07/06/08 03:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#627 []
「大丈夫や!!俺の血を…全部使ってもえーから!コウを助けてくれ!!」

俺は狂ったように
医者につめよった。

「…いいのか?」

「構わんから!早く!」

医者は困惑気味だったが
俺の必死な表情を見て
わかった、と言った。

⏰:07/06/08 03:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#628 []
コウの隣にベッドが用意され、俺はそこに横になる

「楽にして下さいね」

看護婦さんが
優しい口調で言った。

俺はコウの手を握り
目を閉じた。

あの悪夢の結末が

まさかこんな形になるなんて――‥‥‥

⏰:07/06/09 23:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#629 []
 
――――‥‥‥

気付くと俺は
真っ暗闇の中に立っていた

「ここは…?」

辺りをキョロキョロ見渡すが、闇が続くだけで何も見えない。

「…志乃さん」

背後から急に名前を呼ばれ俺はギヨッとした。

気配のない背後にいる声の主を振り返るとそこには

⏰:07/06/10 01:09 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#630 []
「…旬…?」

目を細めながら
立っている…いや、
浮かんでいるといったほうが正しいだろう。
コウの弟、旬がボウッと光っていた。

明らかにムスッとした表情をしている。

「あなたは一体何をしてるの?」

⏰:07/06/10 01:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#631 []
「え…何って…」

「僕との約束、全然守ってないでしょ?あげくには悪魔なんかに取り憑かれちゃったりしてさ〜」

「……………」

うう…、耳が痛い…

「本当に志乃さんは頼りにならないなぁ!兄の事刺しちゃうし…」

⏰:07/06/10 01:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#632 []
「コウは!?大丈夫なんか!?」

俺は旬につめよったが
旬は素早く俺から離れた

「知らないよ」

「なんで!!お前も役に立たん奴やなぁ〜!」

「志乃さんに言われたくないよ」

⏰:07/06/10 02:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#633 []
「だいたい、志乃さんが兄を刺すのが悪いんでしょ」

唇を尖らせながら
旬は何かをくるくる回しながら言った。

「何それ」

「え?…あっ……別になんでもないよ」

俺の視線に気付き、旬は慌てて【それ】をポケットに隠した。

⏰:07/06/10 02:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#634 []
「志乃さん」

旬が俺に近付き、
俺の顔を覗き込む。

「なに」

「なんで冷静なの?」

「なにが」

「志乃さんの事だからパニックになると思ってた。急にこっち側にきちゃったんだから」

⏰:07/06/10 02:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#635 []
「こっち側って?」

「知らないで来たの?」

旬は信じられない、という目で俺を見た。

「だから何が」

「……知らないから冷静なんだ…そっか…」

「だから何がやねん」

「ここは悪魔の住む場所だよ。志乃さんに憑いた悪魔もいるはずだよ」

⏰:07/06/10 02:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#636 []
悪魔の住み処!?

「え……っ…」

「おっと。今更パニックにならないでね面倒だから」

こいつ…

「それと、こっち側に来たのは多分悪魔が志乃さんを呼び寄せたのもあるけど、志乃さんの身体が危険ってのもあるから気をつけてね」

⏰:07/06/10 02:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#637 []
「どーゆー意味?」

てか悪魔って…
アコさんやよな…
アコさんが
俺を呼び寄せたのか?

「志乃さんの身体は今血液低下で危険な状態なんだよ。だからあなたの身体、僕と同じように透けてるでしょ?」

⏰:07/06/10 02:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#638 []
俺は自分の手を眺めた。

…透けてる……

俺が両手を眺めながら黙っていると
旬が横目で一瞬俺を見た

「…ねぇ、この場所にきちゃったからには悪魔を倒さないと元には戻れないんだよ」

つまり…それって……

「相手に倒されたら、あなたは死んでしまう」

⏰:07/06/11 02:45 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#639 []
「…死…ぬ…?」

俺が…

死 ぬ だ と ?

「そんな…助かる方法ないんか!?」

「僕の話聞いてた?相手を倒せばあなたは元に戻る。でも反対に倒されたら死ぬって事!だから倒せばいいだけの話。わかった?」

倒せばいいだけって…

⏰:07/06/11 02:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#640 []
「そんな…ゲームちゃうんやから…」

倒すとか倒されるとか…

「ゲームみたいもんだよ」

「え?」

「人生なんてゲームみたいものだよ。ただ、違うのはゲームみたいにリセットできない事だね」

⏰:07/06/11 02:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#641 []
つまり

「死んだらクリアできへんゲーム?」

「そう。だから僕達がゲームをクリアするんだ。ラスボスを倒して」

ラスボスて…

「ラスボスは誰?」

「………まずはアコさんを倒さなきゃ」

⏰:07/06/11 02:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#642 []
「アコさんはどこに?」

「…………」

旬は目を閉じ、
しばらくしてから指をさした

「あっちだ」

俺は旬の後を追いかけた。

しばらくすると暗闇にポツンと赤い光が見えた。

「覚悟はいい?」

⏰:07/06/11 02:57 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#643 []
覚悟…

ってか…

「ちょっと待って!」

「…なに」

「倒すってどうやって倒すん!?」

俺の発言に旬は目をパチクリさせた。

「ああ…忘れてた。志乃さんは丸腰だったね」

丸腰て

「これを」

旬は俺に小さな赤いボールを手渡した。

⏰:07/06/11 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#644 []
「なにこれ」

俺は赤いボールをまじまじと見つめる。

まさかこの小さいボールをアコさんにぶつけて倒すって意味か?
そんなくだらん倒し方か?

「それ、何に見える?」

⏰:07/06/11 03:05 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#645 []
「何って…赤いボール…」

俺の答えを聞き
旬は満足そうにニヤリと笑った。

「うん、じゃあ行くよ」

「えっ…このボールどうすんねん…」

俺を無視し、旬は赤い光の中へ消えて行った。

「…旬!!」

慌てて俺も中へ入る。

⏰:07/06/11 03:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#646 []
赤い赤い煙の中を抜けると

そこにはアコさんが高そうなソファーの上に
足を組みながら座っていた

「やっぱり来たんだ…」

ニヤニヤ笑いながら
アコさんは足を揺らす。

「…アコさん…ほんまにあなたが俺に取り憑いて…」

⏰:07/06/11 03:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#647 []
「手に何を持っている!」

俺が話終わる前に
アコさんがすごい形相で叫んだ。

「え?」

「お前…手に何を持っているんだ!それをどこで…」

手に…?

俺の手には赤い小さなボール。

これがどうかしたのか?

⏰:07/06/11 03:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#648 []
「お前…それをどこで…」

アコさんは怯えるような目で赤いボールを見ている

「これは………」

俺は旬に目を向ける。

旬は腕を組みながらニヤニヤとしながらアコさんに近づいた。

「僕があげたの。あなたには、あれが何に見える?」

⏰:07/06/11 03:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#649 []
「……………」

アコさんは何も答えない。
ボールから目を離さずガタガタと震えている。

「くっくっ…」

突然旬が笑いだし、
俺はなぜか怖くなった。

「あはははははは!!」

大声で狂ったように笑う旬は不気味という表現以外に当て嵌まるものがなかった

⏰:07/06/11 03:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#650 []
「旬…?どした…?」

恐る恐る旬に近寄り肩を掴むと
旬はくるりと振り返った

「さ〜問題です。僕は誰でしょう」

「………は?」

意味がわからない。

「どういう意……」

「僕は一体誰でしょう」

⏰:07/06/11 03:22 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#651 []
「誰って…?え?」

戸惑う俺を見ながら
旬はニヤニヤしている。

「旬?どーしたん?」

「旬?あはは〜残念!外れだよ志乃さん」

「……え?」

「僕は幻影の方さ。つまり神谷が…兄が作り出したほうのね。」

…意味がわからない。

⏰:07/06/11 03:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#652 []
「意味わかんないでしょ、馬鹿だから」

「……………」

さっきまでの旬と
全然違う。
どーいう意味だ?
さっきまでのは演技なのか?

「ふふ。違うよ」

「!!?」

「さっきは本物。あの光の中で入れ代わったのさ」

⏰:07/06/11 09:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#653 []
こいつ…
俺の心が読めるのか?
てゆーか
入れ代わった…?

「本物…は…?」

俺はよほど怯えた表情なのだろう。旬の幻影は俺を見ながらクスクス笑っている

「いるよ」

幻影は赤いボールを指す

「その中にね」

⏰:07/06/11 09:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#654 []
俺は赤いボールを見つめる

この中に…
旬が……?

戸惑う俺を見ながら
旬の幻影はフッと鼻で笑った。

「旬と一緒にラスボスを倒すんだろ?」

「……………」

幻影はニヤニヤしながら俺に近寄り、赤いボールを奪った。

「ラスボスはこの俺だ」

⏰:07/06/12 00:45 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#655 []
【第27章 旬】

「え………?」

意味がわからない

ラスボス……?
幻影がラスボス…?

「志乃くんは〜俺が神谷が勝手に作り出した幻影だと思ってるんでしょ〜う?」

馬鹿にしたような話し方で赤いボールを指でくるくる回しながら幻影が言った

「旬は死んだあと、この俺と約束をしたんだよ」

⏰:07/06/12 00:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#656 []
「約束…?」

「そう。旬ほどの霊力を持つ人間は死んだら魂は残らない。だが旬は兄貴が心配だからって霊として残りたいって言ったんだ。だから契約したのさ、この俺とね」

「…お前は一体……」

「俺か?俺は悪魔さ」

そう言って幻影は
赤いボールを投げつけた。

⏰:07/06/12 02:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#657 []
コロコロと赤いボールは転がりアコさんの足元へ落ちた。

「ひっ…!!」

アコさんは小さな悲鳴をあげ、ソファーから立ち上がった。

それを見て幻影の旬はクックッと不気味に笑う。

「アコは怖がりだな〜」

⏰:07/06/12 02:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#658 []
「ちょ…待てや」

「何〜?」

「その玉ん中に旬が入ってんねやろ」

「そうだよ〜」

「じゃあなんでアコさんがそれを怖がるん」

俺の問いもすぐさま幻影の笑い声に掻き消される。

「俺が悪魔なら、旬は神だ」

…………

………………は?

⏰:07/06/12 02:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#659 []
「なぜ、旬と俺が同じ姿なのか、お前はわからないのか?」

…わからん

わかりたくもない

きょーみない

「興味持て」

「……………」

「まぁいい。教えてやるよ。元々俺達は一つだった」

⏰:07/06/12 02:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#660 []
「一つって…?」

「俺と旬は一卵性双生児だった」

え…………?

そんな話聞いた事…

「ないはずだ。俺は産まれてきていないんだからね」

「……………」

「俺は生を持たずに消えた。神は残酷だ。なぁ人間は母胎にいる時から意思を持ってる事を知ってるか?」

⏰:07/06/12 02:36 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#661 []
「俺は自分が母胎の中で死ぬ時、意思があった。神はわかっていたんだよ。俺が悪魔だって事をね」

…そんな馬鹿な…

神とか悪魔とか
非現実的だ。

理解できない。
したくもない。

「理解できなくてもこれが現実なんだよ。ねぇ?志乃さん?」

⏰:07/06/12 02:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#662 []
「俺は神を怨んだ。怨んだが、俺のその怨みは見事に届いた。俺は悪魔として魂だけは残ったんだ。普通は胎児は魂は残らない。だが俺だけが残った。俺は感謝したよ」

幻影はニヤリと笑った。

「感謝したよ、神様にね」

⏰:07/06/12 02:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#663 []
幻影はアコさんの足元に転がる赤いボールを踏み付けるとニヤリ笑いを止め、眉間にしわを寄せた。

「このボールは、魂を封じこめるボールだ。俺は長い間こいつに……旬に封じ込められていた」

「え!?でもお前ずっとコウのそばに……」

「それは抜け殻さ。魂じゃない。だから神谷に手出しはできなかったんだ」

⏰:07/06/12 02:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#664 []
「…じゃあ…今…は…」

旬の幻影はニヤリと笑う

「今なら殺せる。長年待っていた神谷を…今なら簡単にな」

そんな……
コウを殺すなんて

「やめてくれ…」

「安心しな。神谷は…」

幻影は口角をあげる。

「お前を殺した後からだ」

⏰:07/06/12 02:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#665 []
「し…旬……は?」

「さぁね。俺だって片割れを消すのは心が痛むよ」

言葉とは裏腹に
幻影は赤いボールを踏み付けている。

「…お前の名前は…?」

「さあ?母は決めてたみたいだけどね。翔って」

⏰:07/06/12 03:17 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#666 []
「…翔……俺を…殺すのか…?」

「悪いけど殺すよ。邪魔だからね」

邪魔って…

「俺はずっとこの日を待っていた。旬がこの場にきて俺を解き放つ日を…。あの日からずっと……」

翔は過去を思い出しているのだろう、悔しそうな表情で唇を噛み締めた。

⏰:07/06/12 03:22 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#667 []
「どうして…」

「あんたにはわかんないだろーね。平凡な家庭に産まれて平凡に育って…わからないよ一生………まぁその一生も今終わるけどね」

「……………」

「あんたに怨みはないが、あんたの能力は俺からしたら邪魔だ。悪いが殺させてもらうよ」

⏰:07/06/12 04:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#668 []
翔はそう言うとニヤリと不気味な笑みを浮かべ
俺のもとへ近づいてきた

足が動かない…

足が……

「!?」

俺は自分の足元を見てゾッとした。

俺の足がきえかけている

「あぁ今頃現実のあんたは死にかけているだろうね」

俺の足元を見ながら
翔が笑いながら言った。

⏰:07/06/14 01:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#669 []
翔が近づくたびに
俺の足は徐々に消えていく

…あぁ…
翔が俺にたどり着く時
俺は死ぬんだ。

不思議と怖いという感情はなかった。

死ぬってこんな気分なのか?

穏やかなような…
悲しいような…

……………?

…悲しい………?

⏰:07/06/14 01:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#670 []
 
《志乃くん》

《志乃〜》

《志乃さん》

俺の頭の中に

コウの声や
幸子…旬……
関わった全ての人間の声が響いてきた。

《志乃くんがいなくなればみんなが悲しみます》

……コウ………

《志乃くんは僕の親友です》

⏰:07/06/14 01:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#671 []
…コウ………

《志乃くんは僕が守ってみせます》

…コウ…

《僕は…あなたを…助けられませんでした…》

コウ!!

ああ……俺は……

俺が死ぬという事は

コウが死ぬという事だ。

俺はまだ…

「俺はまだ死ねへん!」

⏰:07/06/14 01:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#672 []
俺は翔をキッと睨んだ。

翔は足を止め
まんまるな目で俺を見た

「…ふっ……」

再び翔の口元に笑みが浮かぶ。

「睨むだけじゃ俺は倒せないよ」

クックッと笑いながら
翔は足を動かした。
その時

「やめなよ!!」

⏰:07/06/14 01:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#673 []
叫び声に翔は足を止め振り返る。

その先には

「アコ…どうした?」

「もうやめな!もう無理だよ…翔……」

「なにがだ」

「…見て……?」

アコさんは震えながら
赤いボールに視線を落とした。

「…………?」

⏰:07/06/14 01:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#674 []
視線の先のボールに
俺も目をむける。

「楽しそうですね」

「コウ!?」

「こんな場所があるとは」

赤いボールから煙が出て

その影には

コウの姿があった。

「神谷…なんで…っ」

翔がビックリした表情でコウを見ている。

「なぜお前がこの場に…」

⏰:07/06/14 02:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#675 []
コウは驚く俺達をよそに
しれっとした表情で翔の顔を覗き込んだ。

「あなたは誰ですか」

「…なっ……!?」

「旬…あなたにそっくりですね」

「僕の弟だよ」

コウの後ろからは
旬がひょこっと顔を出した

「!!??」

⏰:07/06/14 02:05 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#676 []
「ほう…なるほど」

「……………」

「志乃くんどうも」

全く状況が理解できない俺に、コウはニッコリと笑いかけた。

「コウ…なんで……」

「志乃くんに刺されて僕もどうやら危険な状態みたいです。気付くとこちらに来ていました」

⏰:07/06/14 02:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#677 []
「コウ…すまん…」

「気にしないで下さい」

気にしないでと言われても………

「志乃くんに殺されるなら僕は本望ですよ」

ニッコリ笑い
コウは言った。

「……………」

「おや?キモい、とは言わないんですか?」

⏰:07/06/14 03:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#678 []
キモいけど…

「言えへん…」

「なぜですか。あなたは取り憑かれていただけですよ。志乃くんが悪いわけではありません」

「そうそう!悪いのはこいつ!!」

コウの後ろからぴょんと飛び出し、旬は翔を指さした

⏰:07/06/14 03:05 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#679 []
翔には先程までの余裕の笑みがなくなり
目を見開いたまま固まっているみたいだ。

「旬…お前なんで…」

俺は旬が普通に話しているのが理解出来ずにいた。

「お前あの赤い玉ん中に入ってたんちゃん…?」

⏰:07/06/14 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#680 []
「入ってたよ」

「なんで…え…意味わからん……お前翔と契約…悪魔と……」

「志乃さんちょっと落ち着いたら?」

「志乃くん落ち着きなさい。あなたはこんな場所に来てまでパニックですか」

こんな場所だからこそパニックなんですけど。

⏰:07/06/14 03:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#681 []
「しかたないよ。志乃さんは僕達と違って馬鹿なんだから」

「旬、馬鹿とは失礼ですよ。頭が悪いと言いなさい」

おい。

「あ〜そっか。じゃぁ簡単に説明しとくよ」

旬は面倒くさそうに頭をポリポリと掻いた。

⏰:07/06/14 03:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#682 []
「確かに僕は翔と契約したよ。でもそれは翔が悪魔だって知らなかったから。契約した後で知って、僕は後悔した。でも契約したからって僕自身の能力が衰えるってのはなかったんだ」

旬は固まる翔をチラッと見て、唇の端をつりあげた

「だから翔を閉じ込めておいたんだ。このボールに」

⏰:07/06/14 03:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#683 [我輩は匿名である]
はよかけ

⏰:07/06/15 00:26 📱:D901i 🆔:☆☆☆


#684 []
うおっすんません
今仕事終わったのでもう少ししたら書きますね

⏰:07/06/15 00:45 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#685 []
ボールに

閉じ込めた……?

「でもお前…」

俺の言わんとしている事を旬は悟ったように先に口を開いた。

「さっきは悪かったよ…僕が閉じ込められてたって思ったでしょ?」

「うん」

「翔に閉じ込められる程僕は馬鹿じゃないよ。兄を迎えにいくのに時間がかかっちゃったんだ」

⏰:07/06/15 02:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#686 []
「迎えって?」

「いわばここは生と死の間。志乃さんみたいに能力がある人はここに来るんだよ。そして翔と戦う事になる」

………なんだそれ漫画みてぇ。

「漫画みたいって思ってるでしょ」

……………

「で、なんで時間かかったん?」

⏰:07/06/15 02:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#687 []
「それがさ〜…」

「精神と時の部屋に迷い込んでいました」

「……………」

「あちらの一分はこちらでは確か…」

「もう!ただ迷子になってただけでしょ!」

「……そうともいいます」

そうとしか言わんやろ!

⏰:07/06/15 03:00 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#688 []
「てゆーか…さ……」

「なんですか?」

いや…なんですかって…

「俺ら…翔と戦わなあかんねやろ?」

俺の言葉にコウと旬は揃って翔に目を向ける。

「ああ…忘れてました」


俺の足元は

消えかけているままだ。

⏰:07/06/15 03:03 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#689 []
【最終章 きみを送る】

「志乃くんあなた足が…」

コウが気付き
目をまんまるにして俺の足元を見た。

「さっきから消えかけてんねやけど」

「…マズイね…」

旬が俺を見ながら眉間にしわを寄せ親指を噛んだ。

やっぱコウに似てるな…
って…

マズイって何が?

⏰:07/06/15 03:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#690 []
「マズイって…?」

旬は困ったようにチラッとコウを見た。

「どうかしましたか」

コウはこの機会に、といわんばかりに自分の身体をふわふわと浮かべ遊んでいる

ガキか。

「志乃さんが消えかけているのは翔のせいじゃない…」

⏰:07/06/15 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#691 []
「え?」

旬は目線を下に落とし
心なしかその目にはうっすら涙がたまっている。

「…現実の志乃さんの身体がもう…もたないかもしれない…」

……………え?

「どういう事ですか?」

ふわふわ浮くのをやめ
コウは旬につめよった。

⏰:07/06/15 03:11 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#692 []
「翔のせいで死ぬならば…身体が消えるなんて事にはならないはずなんだ。身体が消えかけているのは…現実の志乃さんの体力が…」

……そんな………

俺………死ぬのか…?

「あなたって人は…っ」

放心状態の俺の肩を
コウがガシッと掴んだ。

⏰:07/06/15 03:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#693 []
「…本当に弱い人です…本当に……」

やかましい

「いえ…そんな事を言いたいんじゃありません…」

言ったやん!!

あれ?

「…コウ……?」

コウは

泣いていた。

「僕なんかを…あなたは…僕なんかを助けるために……あなたって人は……なんて馬鹿なんですか」

⏰:07/06/15 03:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#694 []
「コウ……」

俺に抱き着き、静かに涙を流すコウを
俺はそっと抱き寄せた。

「お前のためにしねるなら本望や」

「…何言ってるんですか…キモいです……」

「キモいゆーな」

でもほんまに
そう思ってる。

俺はコウのためならしねる

⏰:07/06/15 03:20 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#695 []
「助けてやろーか…」

背後でボソッと声が聞こえ俺たちは顔をあげた。

声の主は
今まで固まっていたと思っていた翔だった。

「助けてやろーか?」

ニヤリと笑いながら
翔は俺たちに近づいてくる

⏰:07/06/15 03:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#696 []
「…助けて下さい…」

助けを望んだのは
俺ではなく

「志乃くんを助けて下さい。お願いします」

コウだった。

「コウ…何ゆーてんねん」

「お願いします…変わりに僕を……」

⏰:07/06/15 03:31 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#697 []
翔はコウを見ながら
困ったように唇を尖らせた

「なぜだ?」

「なぜとは…?」

「なぜ自分よりもそいつを助けたいんだ?」

翔は全く理解出来ない、といった表情でコウを見ている。
コウはふっと微笑んだ。

「親友だからです」

⏰:07/06/15 03:33 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#698 []
「親友…?」

「ええ、僕達は親友です」

「お前、怨んでないのか?お前はこいつに刺されて死にそうなんだぞ?」

「別に怨んでません」

「なぜだ」

「ですから…親友だからです。何度も言わせないで下さい」

⏰:07/06/15 03:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#699 []
「…そうか……」

翔はコウの言葉を聞き、
俯きながらフッと力なく笑った。

「俺は…生を持つ前に死んだんだ」

「はい」

「だから親友とかわからない」

「そうですか。では生まれ変わったら是非味わってみて下さい」

⏰:07/06/15 03:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#700 []
「なに……?」

コウの言葉に
翔は驚いた表情でコウを見上げる。

「生まれ変わったらいいじゃないですか」

「…………はっ…」

翔は呆れたように笑った

「俺は生まれ変われねーよ!生まれ持っての悪魔だからな!」

⏰:07/06/15 03:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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