新☆きらきら
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#601 [向日葵]
友姫「ひ、ひどいよ皆ぁぁぁ!!」

私の叫びは高らかにエコーし、夕方になりかけた空に響いた。

夏休みはまだ始まったばかり。

これからまた何があるか。何が待っているのか。

先はまだまだ長い……。

⏰:07/06/20 17:41 📱:SO903i 🆔:rw2wQ4wA


#602 [向日葵]
**bP2 出会い**

私、東雲 結女。

友姫姉ちゃんのイトコで真貴とは双子。私は妹なの。現在15歳。高校1年生。
この前、林先生との別れて以来恋はしていなかった。

「やっぱりアイツ駄目だわ。」

今は友達と遊んでいる。
彼氏がいるこの子は、別れてよりを戻してを繰り返していた。

波奈「アンタいい加減にしなさいよ?!次別れても私達知らないかんね!」

⏰:07/06/20 17:48 📱:SO903i 🆔:rw2wQ4wA


#603 [向日葵]
波奈は私の親友。

私達は相談しているこの子に振り回されてばっかいる。そろそろ我慢も限界だった。

「やっぱ男は包容力がなきゃダメ!今カレ全然だもん!」

波奈とその子が言い合っている中、私は自分の世界に引き込もって思っていた。
文句言うんだったらさっさと別れればいいじゃない。そーゆーの含めて好きになったんじゃないの?

そんなの……彼氏がいるって言うレッテルが欲しいが為にいる彼氏だよ。

⏰:07/06/20 17:52 📱:SO903i 🆔:rw2wQ4wA


#604 [向日葵]
友達はほとんどの子がそんな感じだった。

好きで両想いになったのに、付き合っていけばボロがお互い段々出てきてその度に幻滅する。

そんなのどってことない。
私だったらどんな部分も愛してみせる。

そんな覚悟もないくせに、贅沢ばっかり言って……。

アンタ達に分かる?
付き合って当たり前じゃないのよ?

両想いって事がどれだけ素敵な事か……。

⏰:07/06/20 17:56 📱:SO903i 🆔:rw2wQ4wA


#605 [向日葵]
波奈「……め。結女!」

結女「はっ。」

完全に周りの存在を忘れていた。

結女「ゴメンネ!ちょっとぼーっとしてて…っ。」

そういえば、林先生と一緒にいる時もこんな風に自分の世界に引き込もってたっけ。

林先生はその度に笑って現実に呼んでくれた。

もう……それも叶わない……。

結女「ゴメンネ!私帰る!」

「ちょっと結女ー!」

⏰:07/06/20 18:01 📱:SO903i 🆔:rw2wQ4wA


#606 [向日葵]
最寄りの駅まで一っ走りした。

今日はもう帰ろう。

友姫姉ちゃん達がかき氷大会してるから恵んでもらって……。

電車が止まる印の所で列になって止まった。
夏休みのせいか平日でも電車は結構混んでそうだった。

『……。』

何か後ろから視線が来るよう……な。

私はそろーっと後ろを振り返ると、右斜め後ろの背の高い容姿が結構カッコイイお兄さんが私をギッ!睨んでいた。

⏰:07/06/20 18:57 📱:SO903i 🆔:rw2wQ4wA


#607 [向日葵]
なんだか顔が青ざめていく。

『な、なんで?!あたしなにもしてないよね?!』

と思う内に電車が到着した。
お兄さんから少しでも離れようとサッサーと奥まで行って目を合わせない様に窓の外を見る。

やっぱり電車は少し混んでて、冷房が効いてても少し暑苦しい感じがした。

『早く出発し……。』

窓越しに横を見ると、隣にさっきのお兄さんがいた。
そしてやっぱり私を睨んでいる。

⏰:07/06/20 19:02 📱:SO903i 🆔:rw2wQ4wA


#608 [向日葵]
『ひぃぃぃぃっ!!!!』

脳内で自分が泣いてる姿を想像しながら意識をお兄さんから離して出来るだけ気にしない様にした。

『き、今日はいい天気だなぁー…。』

嘘だ。
今日の天気は少し曇っている。

もぅ色々パニックだ。

・・・・・・・・・・・・

「●●駅ー。●●駅ー。」

止まる駅まではあと3つ。お兄さんは未だに横。

もう少し……もう少し……

⏰:07/06/20 19:06 📱:SO903i 🆔:rw2wQ4wA


#609 [向日葵]
すると…………

ゾワァッ!!!

一気に鳥肌が立った。

こんな事……っホントにあるんだ……っ。

自分のお尻に違和感。
間違いない。
痴漢だ……。

初めての経験にどうすることも出来なくて、ただ身を縮ませていた。

『どうするのコレッ!!!そうだ……っ。手を掴んでこの人痴漢ですっ!!って!』

でも思い通り体が動かない。次の駅まで待つしか――っ!

⏰:07/06/20 19:10 📱:SO903i 🆔:rw2wQ4wA


#610 [向日葵]
幸い下はスカートじゃなくパンツだった。

でももしエスカレートしたら?
それに次で降りて逃げてもまた痴漢にあったら……?

もう恐くて涙が出てきそうになった。

その時、いい香りに包まれた。
多分香水の様な気がする。

『……ぇ…。』

なんと……
隣のお兄さんがあたしを抱き寄せて、痴漢の手を掴んでいた。

⏰:07/06/20 19:13 📱:SO903i 🆔:rw2wQ4wA


#611 [向日葵]
更新はまた明日の朝しますね

⏰:07/06/20 22:01 📱:SO903i 🆔:rw2wQ4wA


#612 [我輩は匿名である]
まってまーす

⏰:07/06/20 22:28 📱:SH702iD 🆔:11vFnjLA


#613 [向日葵]
我輩さん

ありがとうございます

一応感想板貼っときます

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2201/

⏰:07/06/20 22:37 📱:SO903i 🆔:rw2wQ4wA


#614 [向日葵]
「おっさん。みっともねぇーぞ。」

「な、何を言って…っそんなのい……。」

「言い掛かりじゃないか」とでも言おうとした痴漢のおじさんは、お兄さんの睨んだ目つきに怖じけ付き、次の駅で御用となった。

結女「あ、あの……っ。」

お兄さんを呼び止めると、先ほどよりは優しい目になっていた。

「あぁ。アンタ大丈夫か?」

結女「助かりました!……あの…時間があれば、私にお礼させてください!!」

⏰:07/06/21 09:48 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#615 [向日葵]
ホントに助かった。

エスカレートしていたらあたしはどうなったか……。

お兄さんはじっとあたしを見てから考えた。

「……じゃあ、何か食べさせて。部活帰りだから腹減ってんだ。」

・・・・・・・・・・・・・・

降りた駅の近くにケン●ッキーがあったので、あたし達はそこへ入って、まだ済ませていない遅いお昼ごはんを食べた。

結女「あたし、東雲結女っていいます。改めて、さっきはありがとうございました。」

⏰:07/06/21 09:52 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#616 [向日葵]
机すれすれぐらいまで頭を下げた。

「いやまぁ…。どってことないから。俺は浅瀬 大牙(あさせ たいが)。高3。」

結女「大牙さん……。」

落ち着いていて(クールって言うのかなぁ……。)改めて見ると珊瑚さんに負けないくらい綺麗な顔立ちをしていた。

カッターを第2ボタンまで開けて、中にちらっと見えるネックレスに色気を感じた。

結女「あれ?高3なのに部活まだあるんですか?」

大牙「後輩指導だ。」

結女「あぁなるほど……。」

⏰:07/06/21 09:58 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#617 [向日葵]
普通に話せるし、どうやらやっぱり初対面のようだ……。

なのに……。

結女「あ、あの。なんで私を睨んでいたんですか……?」

大牙さんはなんのことだかわからないかの様に目をパチパチした。

しばらくすると「あぁ。」と思い当たったらしく、説明してくれた。

大牙「別に睨んでたんじゃねぇよ。見張ってたんだ。列に並んでた時からアンタに痴漢したおっさんが怪しかったからな。そしたら案の定だ。」

⏰:07/06/21 10:02 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#618 [向日葵]
ジョローっとジュースを飲みながらあたしは話を聞いていた。

『目付きがたまたま悪いだけなのね…。』

大牙「怖がらせたんなら悪かったな。」

結女「あ、全然大丈夫ですよ。おかげで助かりました!」

大牙「……ふぅーん。」

表情はあまり見せないけど照れているのかもしれない。

『なんか段々分かってきたかも……。』

大牙「さて…。帰るか。送る。」

⏰:07/06/21 10:06 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#619 [向日葵]
結女「あ、いいです!大分空いてきただろうし。」

大牙「そ?んじゃ。ごっそーさん。」

『あ……。』

また香水の匂いがした。

次の瞬間、あたしは体が勝手に動いて大牙さんのカッターの裾を掴んでいた。

大牙「……。何?」

結女「……へ?いやあの、……っ。やっぱりお願いします!!」

・・・・・・・・・・・・・・

ガタン ガタン

やっぱり電車は空いていた。座れるけどまぁいっかと思い、あたし達は立ったまま外を見つめた。

結女「……いつもこの電車に乗ってるんですか?」

大牙さんは目線だけこちらを向いて「あぁ。」と言ってからまた外に戻す。

⏰:07/06/21 10:13 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#620 [向日葵]
大牙「アンタはこの電車よく使うの?」

結女「ハイ。通学に。今日は遊んでたんですけど。」

大牙「ふぅーん…。」

短い返事を返されるも、全然嫌味がなかった。
むしろベラベラ喋られるよりこれくらいが一番落ち着く。

結女「……また会えますか?」

『あれ……?』

あたし今なんて言った?
またなんか口走ったよね?
自分の言葉にびっくりしながら大牙さんをそろーっと見ると、こちらをじっと見つめていた。

でも全然怖くなんかない。

⏰:07/06/21 10:17 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#621 [向日葵]
結女「ふ、ふか、深い意味はありません!ただ感謝してもしつくせないくらいなだけで……。」

大牙「大抵はこの時間に乗ってる。」

ふと顔をあげると、大牙さんはまた外に目をやっていた。

時々冷房のせいでくる大牙さんの香水の香りが、なんだか心をざわざわさせた……。

――――……

大牙さんと駅で別れ、真っ直ぐ家に帰った。

結女「ただいまぁー。」

友姫「おかえり。早かったのねぇ。」

⏰:07/06/21 10:21 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#622 [向日葵]
結女「うん。かき氷まだある?」

抱きつきながら私が問う。
友姫姉ちゃんはいつもいい匂いがして落ち着く。

その瞬間あの匂いを思い出して、胸の奥がキューッと痛くなった。

友姫「あるよ。おいで。」

居間に行くと皆さん勢ぞろいで、珊瑚さんが千歳さんを懲らしめていた。(笑)

佳苗「あ、結女ちゃんおかえりー。」

結女「ただいまです。」

⏰:07/06/21 10:24 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#623 [向日葵]
微笑んでくれる佳苗さんにあたしも微笑み返す。

今ここにいる人達は好き。ホントにお互いを尊重しあって好き合っていると思うから。

特にお姉ちゃんの彼氏である珊瑚さんはそれは素敵な人だと思う。

珊瑚「?何?」

珊瑚さんを見つめていたのであたしに珊瑚さんが聞いてきた。

結女「いえ。」

ニコッと笑ってお姉ちゃんの側に駆け寄る。

友姫「シロップ何がいい?」

⏰:07/06/21 10:28 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#624 [向日葵]
結女「じゃあレモン!」

鮮やかな黄色が透明な氷の上に広がる。

結女「ありがとう!」

テーブルに行って私は大人しくかき氷を食べる。

大牙[大抵はこの時間に乗ってる。]

一口パクッと食べて大牙さんの言葉を脳内で反芻させる。

おかしいな……なんであたし、こんなに大牙さんのことばっか考えてるんだろう。

そう思った瞬間、林先生の優しい笑顔が一瞬かする。

⏰:07/06/21 10:32 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#625 [向日葵]
黄色が広がる器を節穴の様に見つめ、あたしはお姉ちゃん達の笑い声を遠くで聞いていた。

・・・・・・・・・・・・・・

真っ白な世界。
手をいくら伸ばしても欲しい物には手が届かない。

走ってもその距離は縮まらない。

叫んでも声にならない。

そしてその人は振り向いてあたしにこう告げた。

林「さようなら。」

結女「先生っ!!!!」

叫んだ瞬間目が覚めた。
どうやら夢みたい。不規則に息が上がる。

⏰:07/06/21 10:36 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#626 [向日葵]
目尻から一筋涙が溢れる。

結女「ハァ…ハァ……。ハァァァ……。」

息を大きく吸い込んで吐く。
早く…忘れないと……。
前に……進まないと……。

カチャ

ドアが開いたので急いでそのまま流していた涙を拭く。

友姫「あ、結女。起きてた?」

結女「今起きたの。」

友姫「今日登校日なんでしょ?早く起きなさいよ?」

⏰:07/06/21 10:40 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#627 [向日葵]
更に意識が覚醒する。

結女「忘れてたぁぁぁぁっ!!!!」

バタバタと階段を降りて洗面所に向かい、朝ごはんもとらず家を出た。

ギリギリ間に合う為の電車にはなんとか乗れて、手摺に捕まりながらゼーハー言う息を整える。

『大体なんで答え宿題と一緒に渡してくれないのよっ!あり得ない!!』

ふと思い当たって電車を見渡す。
本を読んでたり、携帯をいじってたり。皆様々だった。

⏰:07/06/21 10:45 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#628 [向日葵]
目的の物を見つけれなくてあたしはがっかりした。
そしてがっかりした自分にびっくりした。

『いないのは当たり前じゃない!きっと今頃学校なんだから!』

大牙さんは、どこにもいなかった……。

・・・・・・・・・・・・

波奈「結女!スタバ寄ってかない?」

時計を見るとまだ11時。

結女「うん。いいよ。」

答えを貰うだけなので早めに終わった。
久々に会ったクラスの皆は肌が焼けていたり、いつの間にか彼氏、または彼女が出来てたりした。

⏰:07/06/21 10:49 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#629 [向日葵]
*****************

キリます

よければ感想お願いします

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⏰:07/06/21 10:49 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#630 [向日葵]
夏休みはどの季節より一番浮足だつ。

波奈「そーいえば前どうしたの?いきなり帰ったりして。」

スタバに行く道で波奈が聞いてきた。

結女「んー。なんかむしゃくしゃしてっ。ゴメンネ一人ほったかしにして。」

波奈「ホントよ!アイツの相手すんの大変だったんだからね!」

結女「ゴメンて!!スタバ奢るからぁっ!」

スタバについて私は普通のコーヒー、波奈は抹茶ラテを頼んだ。

⏰:07/06/21 15:13 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#631 [向日葵]
結女「あ、そういえば昨日帰り痴漢に会ったんだぁ。」

波奈「え?!マジで大丈夫だったの?!」

結女「うん……。」

大牙さんを思うと心があったかくなった。

結女「大牙さんってお兄さんに助けてもらったの。」

波奈はしばらく私の顔をじっと見てから抹茶ラテを飲んでハァッと短く息をついた。

波奈「その人が好きになったってこと?」

⏰:07/06/21 15:17 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#632 [向日葵]
結女「はぁっ?!なんでっ!」

波奈「いい機会じゃない?林先生忘れる。」

その名を聞いて、私の鼓動は不規則に跳ねた。

林先生の事を知ってるのは波奈と友姫姉ちゃんと真貴しかいない。

結女「止めてよ…。忘れる口実に大牙さんを無理矢理好きになんてなりたくない……。」

波奈はまた溜め息をついて、頭を撫でながら「ゴメンゴメン」と呟いた。

好きになるなら、自然に好きになりたい。
口実で……なんて、とても失礼だ。

⏰:07/06/21 15:21 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#633 [向日葵]
次の更新は明日のお昼にします

よければまた感想ください
更新情報は感想板にてします

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2201/

⏰:07/06/21 22:07 📱:SO903i 🆔:IsdtrQz6


#634 [向日葵]
しばらくして、ポツポツと雨が降りだした。

窓に当たる雨をぼーっと見ながらコーヒーを飲む。

波奈も何も言ってこない。きっと気を使ってくれてるんだと思う。
それで良かった。

結女「帰ろっか!」

波奈「ウンそうだね。」

飲みきっていないコーヒーを持って外に出た。

ウィーン

『誰か入ってきた。よけなきゃ』

「結女?」

⏰:07/06/22 12:40 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#635 [向日葵]
私は一瞬目が凍りついた。

懐かしいあの日々が、まるで走馬灯かの様に脳裏に次々蘇る。

固まってしまった筋肉をなんとか動かし、名前を呼んだ本人を見た。

結女「せ……んせっ……。」

そこにいたのは紛れもなく先生。
そして……後ろにいるのは……。


奥さんだ……。

先生は傘を畳むところだった。
周りの雑踏が一気に聞こえなくなって、傘から滴り落ちる水の音が聞こえる……気がする。

⏰:07/06/22 12:44 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#636 [向日葵]
「こんにちは。」

ニコッと優しく、そして大人っぽい笑顔を向けてくれた奥さんに、あたしは何も返す事が出来なかった。

気がついたら雨の中を走っていた。
制服に水が染み込んで行く。

生ぬるい空気があたしの喉を絡めとって息がしにくくなる。

そういえば波奈があたしを呼んだ気がする。
でもあたしの意識はその時なくて、ひたすら駅まで走った。

ホームに上がった途端電車が来た。
乗り込んであたしはドア近くの隅っこにたたずむ。

⏰:07/06/22 12:49 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#637 [向日葵]
急な雨だから、ずぶ濡れなのがあたしだけじゃなく、目立たないのが救いだった。

「ドアが閉まりまぁーす。」

閉まっていくドアをただ見つめる。
すると

ガッ!

いきなり手が入り込んできて、ドアが閉まるのを止めた。

息切れしながら入ってきた相手に私は目を見開く。

結女「大牙……さん。」

⏰:07/06/22 12:52 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#638 [向日葵]
声をかけられた大牙さんは私と同じくずぶ濡れだった。

大牙「なんだ…。またアンタか。」

プシュー

ドアが閉まり、電車が動き出した。

カバンをゴソゴソしていた大牙さんはタオルで適当に頭を拭くと、あたしの頭においてワシャワシャ拭いてくれた。

大牙「タオル持ってないのか?少しぐらい拭けよ。」

年上はズルイ。
子供扱いして優しさを心の中に置いていく。

⏰:07/06/22 12:56 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#639 [向日葵]
その優しさの種が、どう育っていくかなんてしりもしないでしょ?

私は大牙さんに先生を重ねてそう思った。

大牙さんは未だに頭を拭いてくれてる。

その手の体温が、あたしの心をぐしゃぐしゃに掻き回してダメにしていく。
折角我慢してたのに……。

ポタッ

雨の滴じゃないものが頬を流れる。
それに気付いた大牙さんは手を止め、少しあたしの頭を上に向かした。

⏰:07/06/22 13:00 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#640 [向日葵]
次々に流れていく涙。

泣きたくなかった。
先生を想って泣きたくなんかなかった。

だってそうでしょ?
無理なのに想い続けて何になるの?

歯を食いしばり、鳴咽が漏れない様頑張る。

でも、無理だった。

だって……あたしの頭を大牙さんの胸に押し当てたから。

暑いハズの人肌が心地よくて、涙が更に流れを増す。

大「何があったか聞かない。でも我慢はするな。」

⏰:07/06/22 13:05 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#641 [向日葵]
何かが崩れていった。

あたしは大牙さんの脇腹のシャツをギュッと掴んで胸に顔を埋めて少しずつ悲しみにくれていった。

周りなんて気にしない。

今は大牙さんの温もりが一番欲しかった。
泣いてる間大牙さんは何も言わず、ただ抱き締めてくれた。

・・・・・・・・・・・・

⏰:07/06/22 13:10 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#642 [向日葵]
雨の中、走りもせず2人で手を繋いで大牙さんは家まで送ってくれた。

手を繋いで、っと言うよりも引っ張ってくれたって言うのが正しいかな。
泣き止んだあたしは虚ろな目をしていた。

時々大牙さんが家の道を聞いてきて、あたしは手を出して指を指した。

何度もそのやりとりが繰り返された。
でも大牙さんは嫌な顔一つせず、あたしを連れて行ってくれた。

カチャ

結女「ただいまー…。」

⏰:07/06/22 13:15 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#643 [向日葵]
奥から友姫姉ちゃんがやって来た。

友姫「結女っ!ちょっとやだびしょ濡れじゃない!」

結女「それより大牙さんにタオル貸してあげて。」

友姫姉ちゃんは「誰?」と呟きあたしの背後を見た。大牙さんはお姉ちゃんに一礼する。

結女「昨日痴漢からあたしを助けてくれたの。少し雨宿りしてもいいでしょ?」

友姫「え?……上がってもらって部屋に連れて行きなさい。大牙……さん?どうぞ。」

⏰:07/06/22 13:19 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#644 [向日葵]
大牙さをはまた一礼して玄関のドアを閉める。

そして友姫姉ちゃんからタオルを貰って、あたしは自室。大牙さんはお風呂場へ向かった。

自室に入ってからフゥッと静かに息を吐く。
もうほとんど胸の痛みが消えている。

制服をハンガーにかけて着替える。
もうジャージでいっかぁ……。

コンコン

友姫「結女。大牙さん入ってもいぃ?」

結女「あ、いいよー。」

ガチャ

ドアが開いて大牙さんが入る。
珊瑚さんの服を借りたのか、大牙さんも着替えていた。

⏰:07/06/22 13:24 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#645 [向日葵]
その姿に少しみとれる。

大牙「悪い。雨足マシになったらすぐ帰るから。」

結女「お、おかまいなく!大丈夫ですから。」

大牙さんは「そうか」と答えて窓の外を見る。
沈黙が流れていった。

結女「……。好きな人がいました…。」

私はのろのろと話始めた。なんだか大牙さんに知って欲しくて……。

結女「でもその人は結婚してしまったんです。心の中では納得していました。好きな人が幸せになるならそれでいいと。……でも。」

⏰:07/06/22 13:29 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#646 [向日葵]
それは心の中の上辺の部分。

本当の最奥にある想いは

結女「“裏切られた”。……そう思ったんです。」

大牙さんはこちらをずっと見つめる。
不思議と心は痛まない。
まるで思い出話でもしてるような気分だ。

結女「たまたま今日その人と奥さんに会いました。そしたらまたその想いとか、色んな感情が入り混じって、気付いたら大牙さんの前で泣いちゃいました!」

少し恥ずかしくなって照れ笑いをした。

それでも大牙さんはまだあたしを見つめたままだった。

⏰:07/06/22 13:33 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#647 [向日葵]
大牙「俺は…。」

大牙さんが少し目線をずらして口を開いた。

大牙「俺は。俺なら。好きな奴を最後まで守りぬくけど。」

言い終わると大牙さんはあたしをまた見つめる。
あたしの心臓が2倍速に動く。

そしてあたしが座っているベッドに近づいて、両脇に手を置いてあたしと目線を合わせる。

その距離十数センチ。

大牙さんの顔が近づく。

あたし…いいの?このままキスして……。ちゃんと大牙さんを好き……?

⏰:07/06/22 13:39 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#648 [向日葵]
結女「や……っ!」

大牙さんを押し返してしまった。

大牙「……ゴメン。雨足マシになったから帰る。服、また返しに来るから。」

そう告げて部屋から大牙さんは出て行った。

あたしは見送りもせずに3倍速になった心臓と闘いながら布団に埋もれた。

部屋に残ったのは、雨音と後悔だった。

出ていってから気付いた。いつの間にか、大牙さんが心の中にいる。

あの香水の香りや優しさ、体温までがあたしを虜にしている。

⏰:07/06/22 13:44 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#649 [向日葵]
出会いと恋は突然やって来る。
なんか漫画で書いてあった。

まさにあたしは今その状態。
でもさっき大牙さんを拒否してしまった。
次会った時、向こうも拒絶したら……?



それからしばらく、駅に行こうなんて思わなかった。

――――――……

前の雨が嘘の様に今日は晴れだ。

蝉がうるさい。

お姉ちゃん達は買い物。
真貴はまたどっかに行った。

⏰:07/06/22 13:49 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


#650 [向日葵]
家にはあたし一人。

居間のソファーでダラダラしてた。

テレビ番組は面白くない。甲子園もガンバレーと思うだけ。

………………大牙さん…。

結女「会いに行こう。」

直ぐ様階段を駆け上って服を着替える。
会いたい。いますぐ。

大牙さん。
大牙さん。

あたし……っ貴方が……!

⏰:07/06/22 13:53 📱:SO903i 🆔:M9kb1RuU


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