新☆きらきら
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#801 [向日葵]
秋帆と律は顔をこわばらせて私を見つめた。
青年は綺麗な目をこれ以上ないほど見開いていた。
秋帆「……え……。」
秋帆のかすれた呟きが、なんとか私の耳へ入って来る。
友姫「どうしたの?2人の知り合い?」
律「何を言ってるのよ……?!寛和は……っ」
友姫「寛和?」
本気で分からない私にようやく気付いたのか、3人共口を閉ざした。
珊瑚「俺……ちょっと……。」
:07/07/01 02:13
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#802 [向日葵]
綺麗な青年は部屋から出ていった。
『なんて素敵な低い声だろー…。』
そんな事をぼんやり考えていた。
秋帆「さっきの男の子は、寛和珊瑚君。友姫の……恋人だよ…?」
それを聞いて私はびっくりした。
まさか?!この男の子に興味ない私が恋人だなんてっ!!!!
友姫「びっくりさせよーったってそうはいかないわよ?」
律「嘘じゃないわよ……。」
:07/07/01 02:16
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#803 [向日葵]
悲しそうな真剣な顔をした2人を交互に見つめる。
『……え?』
私……どうしちゃったの?
・・・・・・・・・・・・・・
珊瑚「記憶……喪失ですか……。」
珊瑚は医師の元へ行っていた。
4文字の漢字が珊瑚をショックの谷へと落として行く。
医師「頭を強く打ち過ぎたんでしょう。よくあります。」
珊瑚「どうすれば……っ!!!記憶が戻るんでしょうか!!」
:07/07/01 02:20
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#804 [向日葵]
医師「分かりません。何年後か……何十年後か……。何か、本人が印象に残ってる事でもしなければ……。」
『何十年後……。』
珊瑚はズボンを握り締めてうつ向いた。
言葉が……出なかった。
ガラガラガラ
医師のいる部屋から出た珊瑚は会いたくない人物を目にする。
珊瑚父「お嬢さんの……容態は……。」
座っていた長椅子から立ち、1mくらい離れた所で立ち止まった。
:07/07/01 02:24
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#805 [向日葵]
珊瑚「お陰様で……俺を忘れてくれたさ。」
皮肉たっぷりな言葉に冷笑を浮かべ父の隣を通り過ぎた。
珊瑚父「私を!」
少し過ぎた所で珊瑚は立ち止まった。
珊瑚父「私を……警察に突き出すか……?」
珊瑚は前を見据えたまま話した。
珊瑚「そうだな……。それで無期懲役になればいいのに……。でももし、友姫に記憶が残っていたなら友姫はそんな事望まない。」
:07/07/01 02:27
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#806 [向日葵]
それだけ言って、珊瑚はその場を立ち去った。
友姫の病室まで歩いて行くと、外には佳苗、暁、千歳がいた。
珊瑚「暁。」
珊瑚の方を向いた暁は、困惑した顔をしていた。
千歳も同様だ。
佳苗は顔を手のひらで覆っていた。
どうやら泣いてるらしい。
千歳「友姫ちゃん…俺らに“誰”とか言ってきたんだけど……。」
呆然と部屋を指差しながら千歳が呟く。
:07/07/01 02:32
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#807 [向日葵]
珊瑚「あぁ…。知ってる。」
暁「珊瑚……お前…………。もしかして…。」
暁が言わんとしていることは分かっていた。
珊瑚はコクンと頷いた。
それだけで充分だった。
千歳「お前大丈夫かよ……っ!」
肩を掴み、揺らす千歳に、珊瑚はその手を振り払い、まるで苦痛に耐える様な顔をした。
珊瑚「大丈夫なわけ……ないだろ……っ。ふざけんな……。」
もどかしい気持ちが、珊瑚をイラつかせた。
:07/07/01 02:35
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#808 [向日葵]
珊瑚は腕で顔を覆った。
珊瑚「ちょっと……1人にしてくれ……。」
そう言って、珊瑚はどこかへ行ってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
珊瑚は誰もいない外へ出ていた。
手すりに手を置いて街並みをぼんやりと見つめた。
友姫[珊瑚君。]
笑う友姫が脳裏に浮かぶ。
友姫[私にも……珊瑚君を守らせて……。]
自分はどれほどその言葉に胸が震えただろう。
:07/07/01 02:40
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#809 [向日葵]
手を……見つめる。
自分が触れる度、顔を赤らめて、だけど嬉しそうに笑う友姫。
細くて壊れそうな彼女を抱き締める度愛しさでいっぱいになった。
なのに。
友姫「この男の人……誰?」
無関心な友姫が、そこにはいた。
珊瑚「―――――っ!!」
:07/07/01 02:42
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#810 [向日葵]
てすりを強く握り締めてしゃがむ珊瑚。
うつ向いた顔の鼻先からは、みるみる滴が落ちてコンクリートの地面へ染み込んでいった。
もう……友姫は戻らないかもしれない。
そう思うと哀しみで押し潰されそうになった。
珊瑚「……っ!……っっ!!!!」
声にならない鳴咽が、青空の下に響いた……。
まるで、そこにいない人の名を必死に呼ぶ様に。
:07/07/01 02:46
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