【CARTAIN CALL】美しい村の醜い男
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#11 [オッズ]
ただ、ジェラルドには一つ問題がある。
大きな問題だ。
彼はひどい乱暴者なのだ。
僕はジェラルドと面識はなかったが、彼の噂はなんどとなく聞いた。
その中にいい噂は一つもなかった。
誰を病院送りにしたとか、二度と人に見せられない顔にされた子がいるとか、万引きをしたとか……。
噂のほとんどは真実だ。
:07/06/09 20:37
:N700i
:☆☆☆
#12 [オッズ]
そんなやつが目の前にいる。
しかもジェラルドは、狭い路地に座り込んでいるため、道の半分が塞がれてしまっている。
僕はその横を通り抜けなければならない。
困った……。
もしジェラルドに絡まれたら?
うっかり転んでしまって、彼を踏ん付けてしまったら?
僕は悩みながらもジェラルドに近づいていった。
:07/06/09 20:41
:N700i
:☆☆☆
#13 [オッズ]
相変わらず、ジェラルドはボーッとしているようで、僕になんの反応もしめさない。
これなら大丈夫かも。
足音をたてずに、慎重にジェラルドの横を進もうとした。
しかし、こんなに注意していたにもかかわらず、僕の努力は水の泡となった。
空想に耽っている様子だったジェラルドが、いきなり足を引っ掛けてきたのだ。
「うわっ!」
僕は倒れこみ、地面に顎を打ち付けた。
:07/06/09 20:48
:N700i
:☆☆☆
#14 [オッズ]
ジェラルドが倒れた僕の背中を思いっきり踏んだ。
思わずむせてしまう。
横目でジェラルドを見た。
彼は意地悪くほくそ笑んでいる。
天使なんてとんでもない。
あの笑顔は悪魔にしか見えない。
「よぉ、うすのろま」
「ぼ、僕はハンスだ……」
僕はうめきながらそう言った。
:07/06/09 20:51
:N700i
:☆☆☆
#15 [オッズ]
ジェラルドはおもしろくなさそうに、フンと鼻をならした。
僕はすかさず立ち上がる。
ジェラルドは僕と背丈はあまりかわらない。
なのに、力の差は歴然だ。
「俺は機嫌が悪い……」
ジェラルドが続きを言う前に、僕は全速力で走り出した。
逃げなきゃ……。
:07/06/09 20:55
:N700i
:☆☆☆
#16 [オッズ]
それしか頭になかった。
僕は逃げ足には自信があったため、ジェラルドからも簡単に逃げられると思っていた。
しかし、それは間違いだった。
ジェラルドは僕を追って走ってくる。
追い付かれることはないものの、引き離すこともできない。
ジェラルドが何か叫んでいたが、聞いている余裕はない。
僕はパニックになっていて、どこに行くかも考えず、やみくもに走り続けた。
:07/06/09 20:58
:N700i
:☆☆☆
#17 [オッズ]
気付いた時には、僕は森のなかを走っていた。
僕が住んでいる町は、まわりを森に囲まれた小さなもので、少しあるけば、森へと出てしまうのだった。
僕のあとから規則正しい足音が聞こえる。
ジェラルドは今だに追い掛けてきているのだ。
僕の足はそろそろ限界を迎えようとしていた。
だが、走り続けなければジェラルドに捕まり、とんでもないことになる。
:07/06/09 21:03
:N700i
:☆☆☆
#18 [オッズ]
絶望的だ……。
僕は、いつ走るのをやめるべきかを考え始めたときだった。
目の前に小さな家が見えたのは。
「あれは……」
息も絶え絶えに僕はつぶやいた。
あれは……魔女の家だ。
実際に魔女が住んでいるかは知らなかった。
町の間でそういう噂になっているだけだった。
ジェラルドと同様に悪い噂ばかりだったが、もしかしたら全部嘘かもしれない。
実は誰も住んでなかったり、気の優しいおばあさんが住んでいるかも。
:07/06/09 21:10
:N700i
:☆☆☆
#19 [オッズ]
僕は決めた。
あの家に逃げ込もう。
一か八かの賭けだ。
僕は最後の力を振り絞り、家まで走りついた。
ドンドンと必死で家のドアを叩く。
ドアは僕の背丈ほどしかない。
早くしないと……。
ジェラルドに追い付かれてしまう!
:07/06/09 21:13
:N700i
:☆☆☆
#20 [オッズ]
僕は無駄だと思いながらもドアの取っ手を掴み、まわした。
ギィー……
なんとドアは鈍い音をたてながらゆっくりと開いた。
僕は戸惑いながらも家に飛び込み、ドアを閉めて鍵をかけた。
ドアを閉めるとき、ジェラルドが悔しそうな顔をしているのが一瞬だけ見えた。
助かった……。
そう思ったのも束の間だった。
:07/06/10 11:30
:N700i
:☆☆☆
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