【CARTAIN CALL】美しい村の醜い男
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#136 [オッズ]
「俺ならここだ!」
ジェラルドの咆哮が狭い部屋に轟く。
ミロはギョッとし、振り返ろうとしたが、ジェラルドの素早さにはかなわなかった。
ジェラルドは飛び掛かり、首を絞めるような態勢でミロに抱きついた。
ジェラルドの手にはキキの家で調達したナイフが握られている。
「ジェラルド!」
:07/07/03 22:16
:N700i
:☆☆☆
#137 [オッズ]
僕は喜びの声をあげた。
ジェラルドは僕の方をちらりと見て、かすかに笑った。
「ハンス、なかなかやるじゃねぇか」
嬉しさを隠し切れずに、僕はにっこりと笑う。
ジェラルドに誉められた!
ミロを追い出そうとしたときに、ジェラルドが窓からこちらを覗いているのが見えたのだ。
:07/07/03 22:21
:N700i
:☆☆☆
#138 [オッズ]
そこで僕がミロの気を引いて、ジェラルドに気付かないようにしたのだ。
ミロの顔は、ジェラルドに首を絞められているため、土気色に変わっている。
「残念だったな……。
死ぬのは俺たちじゃなくてお前だ!」
ジェラルドは不気味に笑いながら、ナイフを振りかざす。
ミロの口から涎とともに悲痛な音がもれた。
「ま、待て……待ってくれ!!お前ら、俺が死んだら困ったことになるぞ……」
:07/07/04 18:11
:N700i
:☆☆☆
#139 [オッズ]
ミロは泣き叫んだ。
目は涙で潤み、鼻水が上向きについた不恰好な鼻から流れ出ている。
その姿は醜悪で、とても惨めだった。
ジェラルドは目を細めた。
獲物を狙う鷹のような目である。
そして、ナイフをそっとミロの頬にあてる。
一筋の血が垂れた。
「困んねぇな……」
:07/07/04 20:13
:N700i
:☆☆☆
#140 [オッズ]
「ひぃ!」
ミロはこの世の終わりでもやってくるかのような悲鳴をあげた。
「や、やめ……やめて!」
頬から流れる血。
赤い……。
ミロも一応人間なんだ。
僕がボーッとそんなことを考えていると、ミロがいきなりこちらを見た。
「ハンス君!
お願いだ……助けて!」
:07/07/04 20:22
:N700i
:☆☆☆
#141 [オッズ]
僕はこの醜い男から目をそらした。
「僕も困らないよ。
それに檻に入れられてるんだ。何もできない」
ミロは歯を食い縛った。
物凄い形相だ。
「いいや!困るはずだ!
ハンス君、よく考え……」
声はそこでとまった。
ジェラルドが更に力をこめて、ミロの首を締め付けたらしい。
「黙れ」
:07/07/04 20:27
:N700i
:☆☆☆
#142 [オッズ]
ミロはそれでも口をパクパクと動かし、必死で僕に喋りかけてくる。
しかし、何を言っているのかちっともわからない。
ミロが死んで困る?
馬鹿らしい。
生きている方が困るというのに。
町の人々を無残な姿に
変えて……
無残な姿に……?
そうか!
:07/07/04 20:55
:N700i
:☆☆☆
#143 [オッズ]
僕はハッとし、
「ジェラルド!」
と、大声を出した。
ジェラルドは驚き、ナイフをミロから遠ざけた。
「ジェラルド、ミロを離してやれ」
ジェラルドは不愉快そうにした。
「なぜだ?」
僕は肩をすくめる。
ミロは苦痛に顔を歪めながらも、声をあげて笑った。
「困ったことになるんだ」
:07/07/04 20:59
:N700i
:☆☆☆
#144 [オッズ]
「どういうことだ?」
「ミロを殺したら、町の人たちの姿はあのままだ」
僕は呟いた。
「その通りです!」
ミロが口をはさんだ。
絶望の表情は消え、生き生きとしている。
「ハンス君の言ったとおり、私を殺したって町の人々はもとの姿には戻れませんよ。
ですが……」
ミロは
えげつない顔で話す。
:07/07/04 21:26
:N700i
:☆☆☆
#145 [オッズ]
「私は彼らをもとの姿に戻すことができます。
ただし、生きていれば……ですがね」
ジェラルドは眉間にしわを寄せ、ミロを睨み付けた。
「関係ねぇな。
俺はこの町のやつがどんな姿だろうと、どうでもいいし」
僕はため息をついた。
「……だめなんだよ。
おそらく僕達がこの町に連れてこられたのは、町の人たちを元に戻すためのはずだ。
だから、ミロを殺してしまったら町の人々を元に戻せないことになる。
そしたら、僕らは家に帰れないんだ!」
:07/07/04 21:33
:N700i
:☆☆☆
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