【CARTAIN CALL】美しい村の醜い男
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#62 [オッズ]
僕は何も答えることができなかった。

僕だって何もわかない。

やっぱりジャクリーンの頼みなんて聞こうとするべきじゃなかったんだ。

そもそも頼みがなんであるかもわからない。

僕がうなだれていると、ジェラルドが背後にある茂みを見つめた。

「……誰だ」

⏰:07/06/16 22:40 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#63 [オッズ]
僕は慌ててジェラルドが見つめている方を睨んだ。

すると茂みがごそごそと動き、人影が見えた。

僕は腰が抜けるんじゃないかというほど驚いた。

ジェラルドは鋭い目付きで人影を眺めている。

「……あ、あの」

透き通った女の人の声。

茂みから出てきた人影は、今まで見たこともないような美しい女の子だった。

⏰:07/06/18 22:25 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#64 [オッズ]
僕とジェラルドは一気に肩の力が抜けた。

綺麗な子だな……。

女の子は僕らよりも少し年上くらいに見えた。

肌は皮膚の中にラメが入っているんじゃないかと疑うほど、キラキラと白く輝いている。

すらっと背が高く、浮かんでいるのかと錯覚してしまいそうになるくらい、美のこなし方が優雅だ。

そして、何より驚いたのが髪。

頭の天辺は藍色で、毛先にいくほど水色っぽい色になっていく。

僕はうっとりと見惚れた。

⏰:07/06/18 22:34 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#65 [オッズ]
ジェラルドも、僕には絶対に見せそうもない気取った笑みを浮かべている。
町の女の子なら、いちころだったろう。

しかし、藍色の髪の女の子はそれどころではないようだ。

何かに怯えた顔をしている。

「ここわ危ないわ!
速くしないとミロが……死刑執行人が来ちゃう!」

女の子は切羽詰まったような口調でそう言い、茂みの中に飛び込んでいった。

「ついてきて!」

茂みの奥から女の子の声が聞こえてくる。

⏰:07/06/18 22:39 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#66 [オッズ]
僕が女の子を追って駆け出すと、しぶしぶジェラルドも付いてきた。

走るのが得意な僕だったが、茂みの奥は鬱蒼とした草木ばかりで、すぐに足を取られてしまう。

ジェラルドは難なく、女の子に負けない軽やかな足取りで進んでいく。

しばらく走るとようやく森を抜け、小さな家の前に着いた。

女の子は安心した表情で、僕とジェラルドを家のなかに入れた。

⏰:07/06/19 22:12 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#67 [オッズ]
「ここは私の家なの。
私の名前はキキよ」

女の子は微笑んだ。

髪と同じ藍色の瞳が僕らに問い掛けるように向けられている。

「ジェラルドだ」

ジェラルドは堂々と自慢げに名乗った。

僕はおどおどしてしまい、ジェラルドように格好よく言うことができなかった。

まあ、いつものことなのだが。

「ハンス……」

キキは、ジェラルドにも僕にも同様に笑いかけてくれた。

⏰:07/06/19 22:17 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#68 [オッズ]
茂みの奥から現れた時とは全く違い、キキは生き生きとしていてより一層美しかった。

「ジェラにハンスね!」

キキはそう言いながら踊りだした。

ジェラルドのことをジェラと呼べるのは彼女だけなんじゃないかと思った。

僕はいつまでもキキが踊っている姿を見ていたかったが、ジェラルドはそうでもないらしい。

「おい、キキ」

「なあに?」

ジェラルドの不躾な質問も気にしていないようだ。

⏰:07/06/19 22:22 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#69 [オッズ]
「さっき言ってたミロって誰だ?
死刑執行人とも言ってただろう?
それに、何故さっきの民家には人がいなかったんだ?
ひどい匂いもしやがった」

僕はふと気付いた。

「この辺りはあまり匂いがしないね」

キキは踊るのをやめ、目を伏せた。

とても悲しそうな顔をしている。

「あなたたちって旅人かなにか?この町のこと、何も知らないのね……」

⏰:07/06/19 22:26 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#70 [オッズ]
僕とジェラルドは黙ったまま頷いた。

「さっき、あなたたちを見つけられて本当によかったわ。
何も知らない旅人が時々この町に迷い込むのよね。
だから私、見回りをしているのよ」

茂みで会ったときのように、キキは不安そうにしていた。

「何のために?」

ジェラルドは容赦なかった。

キキの体がぶるぶると震えだす。

⏰:07/06/19 22:31 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#71 [オッズ]
「守るためよ。
ミロに……殺されないように……」

キキの声はひどく擦れていた。

僕はキキの声の調子から、それが真実であって深刻な問題であると理解できたが、いきなり『殺される』と言われてもピンとこなかった。

ジェラルドも訝しげに首を傾げている。

「殺されるのよ……。
さっきの家の人々はみんな殺されたか、仲間にされてしまった。
臭いのは死体の匂いだと思う……」

⏰:07/06/19 22:36 📱:N700i 🆔:☆☆☆


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