【CARTAIN CALL】美しい村の醜い男
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#81 [オッズ]
「……切り刻まれて縫い合わされた人間はひどく醜いの。
見た目もそうだけど、中身も変わってしまって……。
何かを憎んでいるように、うなり声ばかりあげるの」

僕はなんとなくわかってきた。

ジェラルドもどうやらわかってきたらしい。

こんなおもしろいことはない、と言いたげに、顔中に美しい笑みを浮かべている。

「で?
パーティに行かなかった連中はどうなったんだ?」

⏰:07/06/20 19:45 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#82 [オッズ]
ジェラルドは意気揚揚と尋ねた。

すっかりやる気みたいだ。

「ミロはパーティの翌日、変わり果てた人々をパーティに来なかった人たちに見せたの。
『殺されるのが嫌だったら、私に切り刻まれろ』って言ったわ。
もちろん町の人たちは、あの姿になるのを嫌がった。
そしたら、ミロは夜のうちに次々と町の人たちを殺していった……」

「だから、死刑執行人って呼んだんだね?」

キキは小さな声で『えぇ』と答えた。

⏰:07/06/20 19:51 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#83 [オッズ]
「ここは安全なのか?」

ジェラルドはキキの家の中を物色しながら聞いた。

ジェラルドの手には、キキの物らしいはナイフが握られている。

「今のところは。
ここはミロが住んでいるところから離れているし。
あなたたちが居た所から少し離れたところが、今狙われているの……」

キキはそう言ってから、ジェラルドを眺めた。

「ところで何をしているの?」

⏰:07/06/20 19:56 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#84 [オッズ]
ジェラルドはキキを無視し、小さなキッチンを荒らしはじめた。

代わりに僕がキキに話し掛けた。

「ねぇ、キキ?」

「何?」

キキは疲れた笑みを浮かべた。

キキの顔はこの世のものとは思えないほど美しい。

ジェラルドだって勝ち目がないほどに。

やっぱりこれは夢なのかな……。

⏰:07/06/20 20:01 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#85 [オッズ]
そのほうがいいのかもしれない。

これから僕とジェラルドは危険な目にあうだろう。

でも夢なら、目覚めてしまえばそれですべてが終わる。

「ミロはなんでそんなことするのかな?」

「……わからないわ」

「キキは、この町を出ていかないの?」

僕は祈るような気持ちでそう聞いた。

⏰:07/06/20 20:05 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#86 [オッズ]
キキは首を振った。

「この町を去った人もいるわ。
だけど、こんな状況になってもほとんどの人が残っているのよ。
みんなこの町を愛しているから。
ミロが来る前の生活が、再び訪れるのを夢見てる」

僕は何も言えなくなってしまった。

想像してみる。

ミロというやつが来る前はどんなだったのかを。

⏰:07/06/20 20:12 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#87 [オッズ]
みんなキキみたいに美しかったのだろうか?

キキは静かに言った。

「とにかく、明日の朝には旅立ったほうがいいわ。
ここは危ないところよ。
朝のうちはミロは襲ってこないはずだから……」

「馬鹿言ってんじゃねぇ」

いつのまにか、ジェラルドはキキの横に居た。

「俺たちはここに残る」

⏰:07/06/20 20:15 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#88 [オッズ]
キキは目を真ん丸くした。

「馬鹿はそっちよ!
こんなところに長く居たってろくな目にあわないわ」

ジェラルドはにんまりとした。

「長居はしないぜ。
ミロを殺してとっとと出ていく」

キキはボーッと、自信満々にそう言うジェラルドを眺めていた。

僕も恨めしげにジェラルドを見る。

⏰:07/06/20 20:20 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#89 [オッズ]
「お前を助けてやる。
……俺らは救世主だ」

ジェラルドは手に持っていたナイフを、木のテーブルに突き刺した。

あぁ、やっぱり僕は危ない目にあうんだな。

僕とジェラルドが間違っていなければ、ジャクリーンの頼みは“この町を救え”ってところだろう。

いいさ、やってやる。


キキはジェラルドと僕を見つめ、また涙した。

⏰:07/06/20 20:24 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#90 [オッズ]
――――――――――…

他にミロについてわかっていることは特になかった。

ミロに切り刻まれた人たちはミロの家やその周辺に住んでいるらしい。

そして、キキの妹も切り刻まれた人間の一人らしい。

「妹はダコタっていうの。
すっごく可愛い子だったのよ。
肌はピカピカだし、髪は虹色なの……」

⏰:07/06/20 22:09 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#91 [オッズ]
キキは懐かしそうな顔をしていた。

ダコタはキキみたいに綺麗だったんだろうな。

切り刻まれた人間がどんな姿になってしまうのかわからないが、麗しい姿とは言えないだろう。

「なぁ、さっそくミロの家に行ってみようぜ!」

ジェラルドは陽気にそう言ったが、僕とキキはとてもそんな風にはしていられない。

「ダメよ!
夜はすごく危険なの!
せめて明日の朝になるまで待ちましょう」

⏰:07/06/20 22:15 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#92 [オッズ]
ジェラルドは顔をしかめたが、すぐに表情を緩めた。

「わかった。
じゃ、さっさと寝ようぜ」

ジェラルドは床に寝転がると、すぐにいびきをかきはじめた。

「どういう神経してるんだよ?」

僕は呆れながらも、ジェラルドの隣に横になった。

キキはほほ笑みながら、僕達に布団をかけてくれた。

⏰:07/06/20 22:19 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#93 [オッズ]
――――――――――…

朝。

僕は寝ていることができずに、早い時間に目を覚ました。

まだうっすらと空が明るくなってきたばかりだ。

僕は目を擦り、立ち上がった。

「……ん?あ、あれ?」

僕の隣に寝ていたはずのジェラルドがいない。

僕は焦った。

⏰:07/06/20 22:23 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#94 [小説案内人]
頑張れ
天才なオッズさん

⏰:07/06/22 14:59 📱:N703iD 🆔:☆☆☆


#95 [オッズ]

小説案内人さん
ありがとおございます
頑張りますね(*´∪`)
天才
ふつーの凡人オッズです

⏰:07/06/23 06:55 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#96 [オッズ]
僕は小さな家の中をキョロキョロと見回した。

ジェラルドは居そうにない。

家から出て、外を眺めてみたが静まり返っており、人の気配はない。

ジェラルドのやつ……。

僕は仕方なくキキを起こしに行った。

「キキ……」

キキは美しくベッドに横たわっていた。

僕が声をかけると、すぐにパチリと目を開けた。

⏰:07/06/24 17:38 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#97 [オッズ]
「おはよう、ハンス」

キキは笑顔を見せた。
表情が明るい。

たぶん、何ができるかわからない子供ではあるが救世主がやってきたことで少し希望を持ったのだろう。

でもキキが期待してるのは僕じゃない。

ジェラルドだ。

口は悪いし、乱暴だけど、他の人が持ってないような何かを持っている。

僕と違って、ジェラルドは側に居てくれるだけで頼もしい。

そんなジェラルドがいなくなったなんて……。

⏰:07/06/24 17:43 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#98 [オッズ]
「おはよう、キキ。
あのさ……」

キキは可愛らしい笑顔を保ちながら、ベッドから起き上がった。

「何?
あ、お腹すいてる?」

確かにすいてはいるんだけど……。

「違うんだ。
あの……居なくなっちゃったんだ」

キキは目を真ん丸くした。

「何が?」

⏰:07/06/24 17:47 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#99 [オッズ]
「ジェラルド……」

そう言った途端、キキの笑顔は萎んでいった。

僕は腑甲斐ない自分を恨み、申し訳なく思った。

「そっか……。
きっとこの町から出てっちゃったのよ」

キキはふらふらとした足取りで部屋から出た。

僕はあわててキキの後をついていく。

ジェラルドがこの町を出ていった?

⏰:07/06/24 17:51 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#100 [小説案内人]
あげ
更新頑張れ

⏰:07/06/27 00:13 📱:N703iD 🆔:☆☆☆


#101 [オッズ]

小説案内人さん
ありがとおございます
頑張ります(u_u)

テスト期間中なんで
終わりしだい
更新します
すいません(;´・∧・`)

⏰:07/06/28 21:29 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#102 [オッズ]
「それはないよ」

僕は力強く言った。

キキは立ち止まったが僕に背を向けたままだ。

「……なぜそう思うの?」

理由はいくつかある。

ここはジェラルドが知らない土地だ。

昨日、キキにここの地名を聞いてみたが、全く知らなかった。

僕らが住んでいた土地とは違う次元にあるか、すごく離れているかだ。

⏰:07/06/29 12:42 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#103 [オッズ]
いくらジェラルドだって、そんな得体の知れない土地からいきなり消え去ったりはしないだろう。

それに、ジェラルドはこれから身に起こることを楽しみにしていた。

それを思えば、ジェラルドはこの町から逃げたのではない。

考えられるのは……。

「ジェラルドは逃げたんじゃなくて、その逆なんだ」

キキは振り向いた。

眉間にしわがはいり、口元を歪めている。

⏰:07/06/29 12:47 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#104 [オッズ]
「まさか……」

キキの眉間にはより一層深いしわが刻まれた。

「ジェラルドはミロに会いに行ったんだ……。
それしか考えられない」

僕の声は擦れていた。

食べたものをすべて吐き出しそうになるくらい、気分が悪い。

あいつはミロに会いに行った……。


なんて命知らずなやつなんだろう。

⏰:07/06/29 15:51 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#105 [オッズ]
――――――――――…


僕とキキは林の中を通る一本の道を歩いていた。

二人とも足取りが重い。

風が僕らが先に進むのを阻止するかのように、ねっとりと吹き付けてくる。

「……もうすぐよ」

キキは言った。

僕は恐怖と不安で声を出すことができそうになかったので、とりあえずうなずいておいた。

⏰:07/06/29 22:22 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#106 [オッズ]
僕らはミロのところに向かっている。

だが、それは『ミロ』を殺すためというわけではなかった。

偵察するためといったところだろうか。

ミロがどんなやつなのかまったく知らなかったし、もしかしたらジェラルドがいるかもしれない。

僕とキキだけになった今では、ミロに太刀打ちするのは不可能だ。

相手は不思議な力を持っているようだし、切り裂かれた人々もミロの味方であるらしい。

⏰:07/06/29 22:26 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#107 [オッズ]
「切り刻まれて一つだけ特なことがあるとしたら、なかなか死なないことよ。
寿命はないし、病気にもかからない。
ひどい怪我を負わせれば息絶えるって聞いたけど、よくわからないわ。
誰もそんなことしたことがないし」

キキはそう語った。

ミロだけでなく、切り刻まれたやつらも強敵なわけだ。
なんて最高なんだ。


その時、異臭が僕の鼻をついた。

あの匂いだ……。

⏰:07/06/29 22:34 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#108 [オッズ]
ここに来たときと同じ匂い……。

人間の血の香りだ――。

全身でミロに近づいたことを感じる。

今すぐにでも走って逃げ出したい。

生きていられれば、元居た場所に帰れなくてもいい。
ジャクリーンの頼みなんて知ったことじゃない。

そもそもこの町を救うことがジャクリーンの頼みなのか?

⏰:07/06/29 22:38 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#109 [オッズ]
違うかもしれない。

例えば……隣の町で愛犬がいなくなってしまったおばあさんがいる。

そのおばあさんはジャクリーンの友達で、ジャクリーンの頼みっていうのは、その犬を見つけだすとか。

「はぁ……」

僕はため息を吐き、馬鹿らしい考えを頭から締め出した。

たとえこれがジャクリーンの頼みと違っていたって、今更どうにもできないじゃないか。

⏰:07/06/29 22:53 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#110 [オッズ]
関わってしまった以上、キキを放ってはおけない。

「あれよ」

キキが静かにそういった。

僕は我に返り、キキが見つめる先を見る。

そこには小さな家が建っていた。

煉瓦を積み重ね、無理矢理固めたような粗末で汚らしい家だった。

「あれがミロの家よ」

⏰:07/06/29 22:59 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#111 [オッズ]
物音をたてないように家に近づいていく。

僕は不恰好に取り付けられている窓の側に行き、そっと覗き込んだ。

朝だというのに、家のなかはとても暗かった。

「何か見える?」

僕は首を振ったが、段々と家のなかの様子がわかってきた。

四角い部屋のまわりは、ぐるりと柵が囲いこむようにたっている。

たぶん檻なのだろう。

⏰:07/06/30 08:52 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#112 [オッズ]
そして部屋の真ん中には人がゆったりと寝そべることができそうな、銀色に鈍く輝く台が置かれていた。

テーブルに使っているのだろうか?

それにしては椅子がない。

檻があることだって、十分すぎるほどおかしい。

「ねぇ、キキ。
ミロの姿は見えないよ。
それから、檻とか変な台があるんだけど……」

僕はそう言いながら振り向いた。

キキは落ち着かなさそうにそわそわと辺りを見回している。

⏰:07/06/30 15:46 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#113 [オッズ]
「そう……。
私、ちょっと気分が悪いの。家の周りを歩いてくることにするわ。
気晴らしにもなるし、ジェラも見つかるかも」

キキは弱々しく笑いながらそう言うと、僕が止める間もなく林の中へ行ってしまった。

キキはどうしたんだ?

一人にしたらあぶないし……。

けれどキキはこのへんの土地をよくわかっているし、僕が居たって居なくったって同じかもしれない。

僕は再び家のなかをのぞいた。

⏰:07/06/30 15:52 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#114 [オッズ]
何かいる様子はない。

部屋はこれ一つしかないようだし。

「……ミロのやつ、どこにいるんだ?」

そのとき、背後から不気味な笑い声が聞こえた。

僕はさっと振り向く。

「……ミロ?」

言葉がついて出た。

僕の前には気色の悪い男が笑みを浮かべて立っていた。

⏰:07/07/01 18:42 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#115 [エ]
ぷぎゃー!!
テスト前なのに一気に読んじゃったじゃないよおーイイ(笑)

なんかうざい子で申し訳ないけど、一応応援してますので!!!
ファイトですよっイ

⏰:07/07/01 20:34 📱:W44K 🆔:/qHswysQ


#116 [オッズ]

>>115さん
テスト前なのに
読んでくださって
ありがとおございます

全然うざくなんて
ないですよ(゚Д゚V)
むしろ嬉しいです
誰も読んでないかと
思っていたので

頑張ります(o´ω`)

うちも明日からまたテストだ

⏰:07/07/01 23:03 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#117 [小説案内人]
テストがやっと終わって
オッズさんの小説が読めます
更新いつでも楽しみにしてます

⏰:07/07/02 23:58 📱:N703iD 🆔:☆☆☆


#118 [オッズ]

小説案内人さん

テストお疲れさまでした
うちも今日で
テスト終わりです(・∀・)

そういってもらえて
すっごく嬉しいです

更新たくさんできるよおに
頑張ります(o´ω`)

⏰:07/07/03 16:38 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#119 [オッズ]
「おぉ……!」

男は両手をあげて、大げさに驚いてみせた。

鳥肌がたつ。

「私の名前をよくご存じですね……」

ミロはニカッと口を開いて笑みを浮かべる。

真っ赤な腫れぼったい唇から黄色い小さな歯たちがむき出しとなる。

魚のような目は充血しており、意地悪く爛々と輝いている。

⏰:07/07/03 16:46 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#120 [オッズ]
ミロの外見は僕が想像していたよりも、普通の人間ぽかった。

風船のように突き出たお腹から、細くて短い手足が生えている。

どことなくピエロを連想させるような小男だ。

しかし、ミロの持つ雰囲気は想像以上だった。

なんといっていいのかわからないが、側にいるだけで相手を不快にさせる。

⏰:07/07/03 16:52 📱:N700i 🆔:☆☆☆


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