俺とコウの物語
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#271 []
「だけど?」
コウの眉間に更にしわが寄る。
「硫酸で火傷をしたあたしに、麻生は言った。…あんたは中身だけじゃなく、外見も醜い。あんたは生きてる意味がない…って。」
千春の瞳から
涙が流れた。
:08/01/29 04:57 :P904i :☆☆☆
#272 []
「ひでえ…。」
ひでえよ…なんだよ、その話。
千春が泣き止むまで、
俺は千春にかける言葉がなくただ黙っていた。
《ギィ…》
しばらくの沈黙を破り、
誰かが女子トイレを開ける音がした。
ドアに目を向ける。
「あれ?柏木くんとぉ…神谷くん?何してんの?」
目線の先にいたのは
:08/01/29 05:00 :P904i :☆☆☆
#273 []
「…美和子…」
キョトンとした表情の美和子だった。
「ここ女子トイレだよぉ?何してんのぉ?」
不思議そうに俺たちに近寄る美和子。
「お前…お前だけは…」
美和子を見た瞬間、千春の表情が変わった。
:08/01/29 05:03 :P904i :☆☆☆
#274 []
「千春…?どしたん?」
俺の声もむなしく、千春はまるで美和子しか見えていないかのように美和子に向かって進んでいく。
コウは
親指の爪を噛みながら黙って千春の様子を見ているだけだった。
:08/01/29 05:05 :P904i :☆☆☆
#275 []
「やだぁ…何この人ぉ」
美和子は近づいてくる千春を、まるで汚らわしいといった目で見る。
「あんただけは…」
千春には、もう美和子しか見えていないみたいだ。
血走った目で美和子を見ている。
:08/01/30 03:45 :P904i :☆☆☆
#276 []
「コウ…これヤバイんちゃうか?コウ…?」
どうしたらいいのかわからない俺は助けを求めるようにコウを見た。
コウは苛ついたように親指の爪をガリガリ噛みながら二人の様子をじっと伺っている。
「コウ…、なぁ…」
「志乃くん少し、黙って見ていましょう。」
:08/01/30 03:48 :P904i :☆☆☆
#277 []
コウの言葉の通り、
俺はハラハラしながら二人の様子を伺った。
千春が近付くたびに美和子は一歩ずつ後退りしていく。
ドアまでたどり着いた時、美和子が呆れたように鼻で笑った。
:08/01/30 03:50 :P904i :☆☆☆
#278 []
「あんた、何でも願いを叶えるんじゃないの?あたしの願いはいつ叶えんのよ?つーか近寄るなっての!マジでその顔キモいんだけど?」
バカにしたように美和子は笑いながら言った。
本性がでた。
なかなかえぐいな。
「黙ってないで何とか言ったら?近寄んなって!気味悪い。」
:08/01/30 03:53 :P904i :☆☆☆
#279 []
チラリとコウを見ると、
コウは満足そうに腕を組みながら口角を上げた。
「…美和子…」
俺は遠慮がちに美和子に声をかける。
どうしても気になったからだ。
「お前、何をお願いしたんや?」
:08/01/30 03:56 :P904i :☆☆☆
#280 []
俺の質問に、美和子は一瞬困った表情をした。が、
俺の前でもうブリッコする必要もなくなったのか笑顔で言った。
そう、笑顔で
「柏木くん。あんたの彼女の幸子の顔を、見れないくらいにぐちゃぐちゃにしてって頼んだのよ。」
楽しそうに言った。
:08/01/30 03:59 :P904i :☆☆☆
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