俺とコウの物語
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#309 []
幸子の手荷物を持ち、俺は改札口へ向かった。
見ぬふりをしよう。
気付かないふりをしよう。さりげなく、さりげなく…
「志乃くん待ちなさい。まだ揃ってませんよ。」
改札口へ向かう俺の腕を掴み、コウがにっこり微笑んだ。
気付かれたか…。
:08/02/02 04:44 :P904i :☆☆☆
#310 []
「ねぇ、ほんまにあたし大丈夫?初対面やし仲良くなれるんかなぁ…」
小さな声で幸子が言った。
「まぁ、別に無理して仲良くする必要もないで。」
てか、できれば仲良くしないでくれ。
「あ、到着されたようですね。姫菜さん、こちらです。」
…来ちゃったか…。
そう、覚えている方はいるだろうか?
コウの条件とは旅行に姫菜を誘う事、だった。
:08/02/02 04:48 :P904i :☆☆☆
#311 []
「姫菜さん、今日もお美しいですね」
………………
「姫菜さん、おしるこ飲みます?」
…………………
「姫菜さん、暑くないですか?」
…………………
「姫菜さん、」
「姫菜さん、」
「姫菜さん、」
ええい!!!
:08/02/03 01:17 :P904i :☆☆☆
#312 []
「やかましいわ!!」
姫菜をうちわで仰いでいたコウが、驚いた表情で俺を見る。
なんでうちわ持ってんねんこいつは。
「なんですか志乃くん大きな声出さないで下さい」
「ベタベタすんなや!暑苦しい!!」
:08/02/03 01:20 :P904i :☆☆☆
#313 []
俺とコウが火花を散らしていると、困ったような表情の幸子が、
「電車、きたんちゃう?」
と指差した。
「あ、来ましたね。乗りましょう。志乃くん早く席取ってください」
「俺が!?」
「あなた以外誰が?」
お前じゃ!!
:08/02/03 01:23 :P904i :☆☆☆
#314 []
やはりいつものようにコウに使われやすい俺は、真っ先に四人用の席を取った。
「志乃くんもやればできるじゃないですか」
棒読みでコウが言い、席に座る。
礼くらい言わんかい!
:08/02/04 03:20 :P904i :☆☆☆
#315 []
伊豆までの電車内は
それはそれは地獄だった。コウの姫菜へのサービスはエンドレスで、見ている幸子はずっと苦笑い。
俺?俺はもちろんコウにやかましいオーラを出しまくった。まぁ完璧無視を決め込まれたけど。
ようやく地獄から伊豆へ到着した。
「やっと地獄から脱出!」
:08/02/04 03:24 :P904i :☆☆☆
#316 []
電車から降りるなり、でかい声で叫んだ俺を、コウは怪訝な顔つきで見る。
「地獄とは?」
「あ〜別に気にすんな」
イヤミったらしく言うてやった。
「そうですか」
気にせえや!!
:08/02/04 03:26 :P904i :☆☆☆
#317 []
イライラしながら別荘までの道のりを歩いていると、前方から幼い少女が歩いてきた。
「おや、あの子は…」
コウが少女を見ながら呟いた。
「知り合いか?」
「いえ、彼女、幼いながらお美しいです」
お前はロリコンか!
:08/02/04 03:30 :P904i :☆☆☆
#318 []
コウを不審者に思いながらも、俺も少女が気になった。
見る感じ小学5〜6年といったところか。
サラサラの長い髪に白い肌。伏せている目は、長いまつげにおおわれている。
美少女、といったところか。
でも俺はその美少女にそぐわない、あるものが気になっていた。
そう、彼女の右目には
眼帯がつけられていた。
:08/02/04 03:35 :P904i :☆☆☆
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