俺とコウの物語
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#241 []
女は意外とするどい。
一真の気持ちの変化を、千春は見逃さなかった。
麻生と一真が初めて顔を合わせてから1ヶ月がたった頃、引き金を引く一真の言葉が鳴った。
《麻生さんのこと、好きになってしまった。》
:08/01/25 04:34 :P904i :☆☆☆
#242 []
女というのは
ねたみ、ひがみ、恨み、嫉み、全てが女に向かうもので。
当然千春は麻生を憎んだ。
麻生自身は無論、一真に気なんてなかった。
だけど女は哀しいもので…
:08/01/26 04:49 :P904i :☆☆☆
#243 []
千春には同じ高校の不良生徒と仲が良かった。
一真に振られた千春は、腹いせに不良男子生徒に麻生を襲え、と命じた。
が、麻生は容姿だけじゃなく性格も良かったため男子生徒は断った。
なんでも学園の花のような存在だったらしい。
今現在の姿を見て、そうは思えないが。
おっと、口が滑った。
:08/01/26 04:52 :P904i :☆☆☆
#244 []
そのことで麻生への嫉妬心がさらにつもった千春は、以前から麻生の人気に嫉妬していた女子生徒に事を話した。
途端に女子逹は口を揃えて言った。
《痛い目に合わせてやろう。》
:08/01/26 04:57 :P904i :☆☆☆
#245 []
そこから麻生へのいじめが始まった。
最初は本当に小さないじめ。
靴がなくなるとか、
女子逹からのシカトなど。
あとは…なんだ?
ここまで身動きせずに黙って話を聞いていたコウが、フッと意地悪く笑みをもらした。
:08/01/26 05:00 :P904i :☆☆☆
#246 []
「コウ…?どうかしたんか?」
話を続けていた麻生も、
コウの表情の変化に気付き口を止めた。
「…コウ?何笑ってん?」
不思議な表情の俺と麻生をよそにコウはいつもの自信たっぷりな表情で口の端をつりあげた。
「いえ、僕のことは気にせず続けて下さい。」
:08/01/26 05:03 :P904i :☆☆☆
#247 []
コウを気にしつつも、
ゆっくりと麻生は続きを話し出した。
小さないじめから
徐々にエスカレートしていった。
まるでドラマの内容だ。
制服が切り刻まれていたり
一番応えたのは
登校した時、複数のハムスターの死骸が机の中に入っていたという。
「…ひでぇ…。」
:08/01/26 05:13 :P904i :☆☆☆
#248 []
さすがに我慢できなかった麻生は、ある日千春逹がたまっている屋上へと向かった。
千春逹の姿を発見した麻生はゆっくり近づいていく。
声をかけようとしたその時、千春の一言で麻生は立ち止まった。
:08/01/26 05:15 :P904i :☆☆☆
#249 []
《マジむかつく。あいつの自慢の顔に傷でもつけなきゃおさまらない。もう考えはあるんだ。》
麻生は千春逹に気付かれないよう隠れ、じっと話を聞いた。
《これ!科学室から盗んだの。これを麻生の顔に少しぶっかけんだよ!もうチョーシのれねー顔になるっしょ!》
千春の手には
硫酸と書かれたビンが握られていた。
:08/01/26 05:19 :P904i :☆☆☆
#250 []
「…まさか…それでその火傷…」
俺は女の嫉妬がこれほどまでに醜いものなのか、と驚きを隠せなかった。
麻生は火傷を隠すように右頬を手で覆いながら頷いた。
「それで硫酸を…でも事前にわかってたなら防げたんちゃうんか?」
:08/01/26 05:21 :P904i :☆☆☆
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