俺とコウの物語
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#356 []
不気味だが、コウは眉間にしわを寄せ親指を噛んだ。
イラついているコウのくせだ。

「幸子さんが見たのは恐らく右目。昼間の少女が隠している右目です。そして少女もまた、僕達を見ています。」

「…見て…?」

見て…い ま す ?

「はい。気付きませんか?ほら、そのテーブルの下から。見られていますよ、僕たち。」

⏰:08/03/20 04:55 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#357 []
コウの言葉を聞き、テーブルの下に目を向ける。

「…な…なんやねんアレ」

「眼球です」

「見たらわかるわ!なんで眼球が浮いてんねん!」

「僕にわかるわけないでしょう?」

以前おまえ何でもわかる言ってたんちゃうんかい。

⏰:08/03/20 10:42 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#358 []
俺は眼球から目が離せない。眼球はただただじっとこちらを見ている。

俺…眼球と見つめあっとる…?

「大丈夫ですよ、ただ見ているだけ…危害は加えないでしょう」

コウはろうそくの火をフッと消し、リビングの電気をつけた。

その瞬間、眼球はパッと消えてしまった。

⏰:08/03/20 10:48 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#359 []
「…気味が悪いな」

眼球がウロウロしてるなんて気持ち悪すぎる。

「ええ…」

コウは眉間にしわを寄せながら腕を組んだ。

「伊豆にいる間、毎晩覗かれているのでは姫菜さんに手が出せません。」

お前は一体何の心配をしとるんじゃ!

⏰:08/03/24 03:15 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#360 []
「まぁ、僕の方は見られていても平気ですし、むしろ燃えますが。姫菜さんは嫌がるでしょうね」

こいつさっきイラついとったんはこーゆー事考えとったからか。

「どーでもいい。俺、幸子んとこ戻るわ。」

リビングを出る俺に、コウは背後から小さな声で言った。

「部屋を暗くすると現れますよ。」

⏰:08/03/24 03:19 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#361 []
【第八章 ギブス】

その日、俺は眠れなかった。コウの言う通り部屋の明かりを消さなかった。

「志乃…?」

幸子が目を覚ます。

付き合ってから初めて見る寝起きのマイハニー。

か わ い い 。

この一言に尽きる。

⏰:08/03/25 05:58 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#362 []
幸子は目をぎゅっと瞑りながら、「ん〜」と大きく伸びをした。

はっ!いかんいかん。
俺の息子さんが反応しちまう!

「志乃ぎゅーして?」

寝起きは甘えたさんなのか?寝ぼけたようなかわいらしい顔で幸子が言った。

限界。

俺は幸子を抱きしめた。

⏰:08/03/25 10:45 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#363 []
俺の息子が元気になったところで部屋のドアが開いた。

「…すみませんタイミング悪く…ご飯ですよ」

…ノックしろ。

「神谷くん、おはよ」

にっこりした幸子が言う。

「幸子さんおはようございます。志乃くんもおはようございます。志乃くんの息子さんもおはようございます。」

こいつ…!いらん事まで!

⏰:08/03/25 11:04 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#364 []
「息子…?」

きょとんとしながら幸子が俺の顔をのぞいた。

「いや、なんでもないなんでもない。飯食い行こ」

俺は前かがみになりながらドアのそばに行き、コウをぺちんと叩いた。

「いらん事言うなアホ」

「勃起しながら出来ず終いな方にアホとは言われたくありません。」

コウはわざと幸子に聞こえるようにでかい声で言った。

こいつマジしばくしばくしばく!!!

⏰:08/03/25 11:08 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#365 []
イライラしながらリビングへたどり着くと、
姫菜がキッチンのところにしゃがみ込んでいた。

「おい、どーした…」

「姫菜さん!どうされましたか!?」

俺の言葉を遮ってコウが姫菜に駆け寄った。

⏰:08/03/25 23:31 📱:P904i 🆔:☆☆☆


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