黒蝶・蜜乙女
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#121 [向日葵]
セツナはクスクス笑って顔を近付けてきた。

やっぱりいくら食事とは言え、この瞬間には慣れない。端正な顔が間近にあると思うと胸の高鳴りは抑えられないし、第一どのタイミングで目を瞑ればいいかも分からない。

私はもうすぐ唇が触れるくらいの時に目を瞑る。
その間は逃れられないセツナの瞳をジッと見つめる。
セツナ「何を考えてるんだ?」

甘く低い声が脳に響き渡る。吐息が顔にかかる。

蜜「乙女の事情をあれこれと……。」

⏰:07/07/10 10:14 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#122 [向日葵]
セツナはフッと笑うと顔を少し傾けて唇を押し付けてくる。

その時点で私はくらくらしてしまう。

最近思う。
“愛のくちづけ”を口実に“食事”してたと前は思ってたけど、この頃はそれが逆なのではないかと。

セツナ……それは只の欲求不満だよ!!

そんな事を思いながらなんとなくまだ唇を塞がれたまま目を開けてみた。

蜜「――!ちょっと!!なんで目を開けてるんですか!!」

セツナを引き剥がして顔が赤くなるのを自覚しながら怒る。

⏰:07/07/10 10:20 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#123 [向日葵]
セツナは口許を隠してクククク笑っている。

セツナ「いや、お前のカワイイ姿を見ておこうと思ってな。」

蜜「――っ!!いい加減にして下さい!!もぅ…教室に戻ります!」

立ち上がろうとしたら腕を引かれた。

セツナ「誰が帰っていいと言った?まだ充分な“蜜”はもらってないぞ。」

蜜「私のかっわいー顔が見れたから充分じゃないんですか?!」

皮肉たっぷりに言ってもセツナには聞かない。
するとセツナはゆっくり瞼を閉じた。

⏰:07/07/11 16:49 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#124 [向日葵]
セツナ「今度は瞑るから。」

……。
え?!つまり私からしろって言うんですか貴方!!

蜜「もーいいじゃないですか!!」

セツナ「蜜。」

はっきり名前を呼ばれて身震いした。
逃げたくても私の考えていることを分かってるように腕を力強く掴んでいる。

蜜「セツナ…っっ!」

セツナ「早くしないと昼休み終るよ?」

蜜「……っ!!」

⏰:07/07/11 16:58 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#125 [向日葵]
何回か深呼吸した後に、唇をキュッと結ぶ。
身をゆっくり乗り出してセツナの顔へ近づく。

『どうしてこんな恥ずかしいことこの人はやって退けるんだろう…。』

そして、唇が触れたと思った瞬間直ぐに離れた。

暑い!!顔が暑い!!!!

セツナは目を開けると嬉しそうに目を細めて笑った。

蜜「も、帰って…いいですか?」

セツナ「あぁ。いいぞ。」

――――!!今分かった…。この人、私からキスして欲しかっただけだ!!

⏰:07/07/11 17:04 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#126 [向日葵]
蜜「セツナのバァァァッカァ!!!!」

走って階段を駆け降りていく。後ろで初めて会った時みたいにセツナが笑ってた気がする。

もぉやだ!!
あんな変態!!

でも知ってる。心の中では徐々にセツナにハマっていってる自分がいる事を。

そんな事を考える自分が更に恥ずかしくなった。

『ひぃぃぃっ!耳が暑いぃっ!!』

教室に着いて机にうつ伏せでいると清が心配してくれたけど、赤い顔をしてる自分を見られたくなくて「大丈夫」とだけ返事をした。

⏰:07/07/11 17:10 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#127 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・

放課後。
小川君と私は教室にいた。

『セツナ帰ったよね…。前みたいな事してくれなきゃいいけど……。』

ってか2月は普通自由登校なのになんでこの学校はみんないるんだろ……。謎……。


小川「俺達の学校は3月からが自由登校らしいよ。」

蜜「……。もしかして、私口に出してた?」

小川「ウン。しかも俺達の学校だけ。大学合格しても勉強しろみたいなんがあるんだって。流石にテストはないらしいけど。」

何そのとって付けた様なめちゃくちゃな規則……。

⏰:07/07/11 17:17 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#128 [向日葵]
ってかセツナはもうすぐ卒業じゃない。
大学とか行くのかな…。

蜜「なんか不敏だなうちの学校……。」

小川「まぁその分自由な面多いけどね!」

あーそうだなぁ。
休み時間お菓子とか食べてても怒られないし。

小川「あ。本山。ここ違う。これはこうしなきゃ。」

蜜「あ、ごめん。ありがとう。」

そういえばバレンタインって友チョコが有りだよね。

⏰:07/07/11 17:22 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#129 [向日葵]
蜜「小川君は甘い物大丈夫ですか?」

小川「ん?大丈夫だけど?」

蜜「なら、バレンタインデーにチョコあげるね!」

ボキッ!!

小川君のシャーペンの芯が勢いよく折れた。
小川君は顔を何故か赤くしている。

小川「な!なんで!!」

蜜「なんで……って……。お友達だから。友チョコってやつですよ!」

小川君は一気に拍子抜けした顔をして「あ、そうだよね。」と顔を更に赤くした。

⏰:07/07/11 17:26 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#130 [向日葵]
小川「か、勘違い…、した。」

蜜「は、はぁ……。」

そしてそれからはカリカリ真面目にアンケート結果を紙にまとめていった。

蜜「ふぅー!終わったぁ!!」

小川「送るよ。」

私の頭にフッとセツナがよぎる。

『帰ってるとは思うけど……。』

蜜「ううん。いいよ。寄るトコあるし。お疲れ様!バイバイ!」

小川「あ、あぁ。バイバイ……。」

⏰:07/07/11 17:33 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


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