黒蝶・蜜乙女
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#371 [向日葵]
風さんはニコニコ笑って私の周りをフワフワ飛ぶ。
蜜「風さん…。セツナの元に帰った方がいいですよ。」
風さんは小さな目をクリクリさせて私を見る。
蜜「もう……ここにはこないから……。」
ホントにあの言葉が違うなら、今頃撤回しに来るハズなのに……。それすら来ないなんて……。
私はフローリングに座りこんだ。
日が暮れていく。
あの山で見た夕日は綺麗だったのに…今じゃこんなに寂しいものになってしまった……。
:07/07/20 17:09 :SO903i :grPh0Y26
#372 [向日葵]
慣れなきゃ。ううん忘れなきゃ。
私は平凡平和な女子高生。彼氏なんか1度も出来た事は無い。
セツナなんて人だって知らない。一切、知らない……。
ポタタタタ
フローリングに小さな水溜まりが出来る。
蜜「せっかく抑えたのに……。」
涙が収まることなく次々と流れていく。
[馬鹿。]
どこかで忘れたい声が気がした……。
:07/07/20 17:13 :SO903i :grPh0Y26
#373 [向日葵]
―――――……
おばあちゃん達は無事に帰って来た。
お土産を一杯買って来てくれてとても嬉しかった。
疲れたのか今日はもう寝ると言って8時に床についてしまった。
私はその後夕飯の片づけとか、お風呂入ったりとか何気なく過ごしていた。
蜜「そろそろ私も寝よう……。」
明日って体育あったよね。用意して…宿題……あ、プリント。
時計を見るといつの間にかあれから2時間半が過ぎていた。
:07/07/20 17:17 :SO903i :grPh0Y26
#374 [向日葵]
もう…、明日しよう。
早く起きて、学校へ行こう。今日はくたびれた。
よろよろとベッドに歩いていく。
今日は満天の星が綺麗だ。
電気を消して、ベッドに入り、星を見ながら寝る事にしよう。
蜜「今は…カシオペアが見えるのかなぁ…。あ、カーテン半分だけ閉めておこう。」
その時だった。
ザァッ!
目の前を、黒い大きな影が横切った。
:07/07/20 17:23 :SO903i :grPh0Y26
#375 [向日葵]
思わずシャッてカーテンを両方閉めて、背中を向ける。
嫌だ……。
なんで?
ドン…ドンドン……。
セツナ「蜜。そこにいるんだろ。開けろ。」
私は答えなかった。
素早くベッドに行って布団を頭まで被った。
セツナ「オイ蜜!話を聞けよ!」
もういいから。消えて。私の前から姿を消して……。
セツナ「蜜!!」
魅惑の声に怒りが帯びる。でも私は答えない。
:07/07/20 17:26 :SO903i :grPh0Y26
#376 [向日葵]
むしろ両耳を塞ぐ。
傷つきたくないの。
もう沢山なの。
私に、構わないで……っ!
ドンッ!!
窓が割れそうなくらいセツナが叩く。
セツナ「そうしているといい。だがな蜜。お前を説得するまで俺は何度でも来てやるからな!」
その言葉を最後にセツナからの呼びかけは終わった。
どうやら帰ったらしい。
知らない。知らない!
来たって無駄だよ!!
……その窓を開ける日は、二度と来ない。
:07/07/20 17:31 :SO903i :grPh0Y26
#377 [向日葵]
そうこうしてると、私は眠りに落ちていた。
―――――……
ピピピピ ピピピピ
あ、アラーム…。朝だ……。
……いっけない!!今日早く行くんだった!!
超特急で支度して猛ダッシュで家を出た。
バタン!!
蜜「いってきます!……っ。」
言葉を失った。
いないハズの姿がそこにはあったからだ。
:07/07/20 17:34 :SO903i :grPh0Y26
#378 [向日葵]
そこにはセツナが塀にもたれていた。
名前を呼んではいけない。傷が開く…。
私は誰もいない様に振る舞い、セツナを無視した。
セツナ「蜜。」
足が止まりそうになるのを必死で動かしてセツナを更に無視した。
無駄だったけど、私は駆け足で学校まで行くことにした。セツナは空を飛べる。なんなく私に着いてくるだろう。
セツナ「蜜!返事くらいしろ!」
:07/07/20 17:38 :SO903i :grPh0Y26
#379 [向日葵]
振り返らなかったけど分かる。セツナは空を飛ばずに私と同じ様に走っている。
セツナ「オイ蜜!」
いくら呼ばれても決して返事をしない。
貴方なんて知らない。
私は平凡な女子高生。
そう言い聞かした。
やっとの事で学校に着く。下駄箱から教室に行こうとするとすぐそこにセツナがいた。
セツナ「いい加減にしないか。」
グッ!
:07/07/20 17:41 :SO903i :grPh0Y26
#380 [向日葵]
蜜「いたっ……!」
セツナの指が、私の手首に食い込む。
本気で怒ったらしい。
セツナ「話を最後まで聞かないか!1人で勝手に完結しやがって!!」
私は何も言わずに必死にセツナの手から逃れようとした。
しかしそれどころか指には更なる力が加えられていく。
セツナ「話を聞くまでは絶対に離さないぞ。」
それでも私は振りほどこうとした。
セツナ「どうやら聞く気は無いらしいな。」
:07/07/20 17:46 :SO903i :grPh0Y26
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