「好き」と言いたい。
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#400 [あんみつ]
 
パコンッ

携帯を閉じて、私は前を向いた。

それに気付いて、佐古さんが振り向く。

「ごめんね。・・・で、話って・・・??」

私は、恐る恐る聞いた。

けど、本当は何を言われるか、何となく分かる。
 

⏰:07/10/29 16:16 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#401 [あんみつ]
 
佐古さんは、私と正面から向き合った。

だいぶ前に、洋平君と話した裏庭。

今はあの時より、何となく花も色褪せて見える。

佐古さんは1度下を向いて、顔を上げると口を開いた。

「・・・不安なんです」

活発そうな佐古さんが、消えそうな声で言った。
 

⏰:07/10/29 16:17 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#402 [あんみつ]
 
風が吹いて、お互い前より伸びた髪がなびく。

「・・・根宮先輩のことは聞いてます。大事な幼なじみだって。私も、それで納得しようとしました。けどっ・・・」


・・・あぁ、やっぱり。

ほんとは、こんなことを言われる日が、くるんじゃないかって思ってた。

 

⏰:07/10/29 16:19 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#403 [あんみつ]
 

『・・・分かってるよ。ねこちゃんにとっても、健二にとっても・・・お互いが大事なのは』


佐古さんの姿に、洋平君の姿が重なって見える。

 

⏰:07/10/29 16:21 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#404 [あんみつ]
 

「・・・不安なんです。健二先輩にとって、私は・・・根宮先輩以下の存在なんじゃないかって」

佐古さんは、泣きそうな顔をして続ける。

私は、何も言えなかった。

 

⏰:07/10/29 16:22 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#405 [あんみつ]
 

『ねこちゃんの1番って誰??俺は、健二以上になれないの??』


・・・あぁ、一緒だ。

佐古さんも、洋平君と。

私のせいで、傷ついてる。

 

⏰:07/10/29 16:23 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#406 [あんみつ]
 

ぼーっとする頭で、私は佐古さんの次の言葉を待つ。

佐古さんは言いにくそうに、目をつむる。

そして、一息つくと、目を開いて私を真っすぐ見た。

「だから・・・健二先輩と、離れてください」
 

⏰:07/10/29 16:25 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#407 [あんみつ]
 
予想していたといっても、佐古さんの言葉は、私に重くのしかかった。

体の横に握り締めた佐古さんの手は、かすかに震えていた。

「・・・私のわがままだって分かってます。・・・けど、このままじゃ・・・」

言葉をつまらせて、佐古さんはうつむいた。

 

⏰:07/10/29 16:28 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#408 [あんみつ]
 

・・・ねぇ、健二。

佐古さん・・・健二の彼女。

健二のこと、本当に好きなんだね。

こんなこと言うの、きっとすごい勇気がいるよ。

なのに、泣きそうになりながら。

何、つらい思いさせてんの。

・・・私もか。

 

⏰:07/10/29 16:30 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#409 [あんみつ]
 

佐古さんは、うつむいたまま何も言わない。


『ねこ!!』


(・・・健二・・・私は)


もう、傷つけたくないよ。

 

⏰:07/10/29 16:32 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#410 [あんみつ]
 

「・・・分かった」

私は、重い口をゆっくり開いて、言った。

佐古さんが、涙のたまった目で私を見る。

私も、真っすぐ見返す。

そして、もう1度、口を開いた。

「・・・分かったから。・・・その代わり・・・」

 

⏰:07/10/29 16:33 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#411 [あんみつ]
 

・・・ねぇ、健二。

私・・・

間違ってないよね??

 

⏰:07/10/29 16:34 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#412 [あんみつ]
――――――――


――――――――
9/17 22:03
To 竹本健二
Sub 遅くなってごめん

日曜、大丈夫だよ☆
どこ行くの??
――――――――

メールを送ると、私はベットに座って、携帯を握り締めた。

少したって開いて、閉じてはまた開いてを繰り返す。
 

⏰:07/11/03 15:27 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#413 [あんみつ]
 
私はベットに仰向けになって、天井を見た。


『・・・その代わり・・・もう1度、健二と2人で出かけたい。ちゃんと話がしたいの。・・・明後日、それで最後にするから・・・』


私は佐古さんに、確かにそう言った。

佐古さんはゆっくりうなずいて、私に頭を下げた。

 

⏰:07/11/03 15:29 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#414 [あんみつ]
 

このままじゃダメだと思った。

洋平君や佐古さんを傷つけてまで、健二と一緒にいたいと思うのは、私のわがまま。

・・・いい加減、健二から離れなきゃ。

しっかりしなきゃ。

健二なしでも、大丈夫なように。

強くなれるように。

 

⏰:07/11/03 15:30 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#415 [あんみつ]
 

ピーピピーピー♪

私は飛び起きて、携帯を開いた。

――――――――
9/17 22:08
From 竹本健二
Sub 無題

よし!!
じゃぁ、俺午前は用事あるから1時に駅前でいい??
行く場所は・・・まぁぶらぶらしながら考えよう。
――――――――
 

⏰:07/11/03 15:33 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#416 [あんみつ]
 
(・・・健二)

メールを見た途端、胸が苦しくなった。

カチ・・・カチッ

打ちながら、だんだん視界が滲んでくる。
 

⏰:07/11/03 15:34 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#417 [あんみつ]
 
――――――――
9/17 22:13
To 竹本健二
Sub Re:

分かった☆
じゃぁ、明後日ね!!
――――――――

短い文章に、言葉では言い表わせない気持ちをこめて。

私は、ボタンを押した。

 

⏰:07/11/03 15:36 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#418 [あんみつ]
 

ほんとはね、自信ないんだ。

健二なしで、これから笑っていける自信。


握り締めたままの携帯に、涙が落ちた。

(・・・健二)

 

⏰:07/11/03 15:38 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#419 [あんみつ]
 

一緒にいるのが、当たり前だった。

健二は、私の世界の一部だった。

だけど、健二と必要以上に一緒にいることは、他の人を傷つける。

・・・だから、終わりにしよう。

日曜・・・明後日が最後。
 

⏰:07/11/03 15:40 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#420 [あんみつ]
 
大丈夫、会えないわけじゃない。

「幼なじみ」じゃなくなるわけじゃない。

なのに・・・

ねぇ、健二。

なんで、こんなに涙があふれるのかな??


理由のよく分からない涙は、なかなか止まってはくれなかった。

 

⏰:07/11/03 15:41 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#421 [あんみつ]

15話目は以上です
感想くれると嬉しいです

感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/11/03 15:45 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#422 [め ぐ]
>>312-500

⏰:07/11/03 17:57 📱:F703i 🆔:38tfxjn2


#423 [れな]
一気に読みました
すごい良いです
切ないです
ハッピーエンドがいいな
更新
頑張って下さい!

⏰:07/11/03 21:11 📱:D903i 🆔:bxL3g9vE


#424 [あんみつ]

めぐさん
アンカーありがとうござぃます

れなさん
応援ぁりがとうございます
今から更新します
よかったら感想板にも来てくださぃ

⏰:07/11/11 20:51 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#425 [あんみつ]
16、1番


ずっと、ずっと健二がいた。

私の隣には健二がいて、健二の隣には私がいた。

それだけのことで、私は安心できたんだ。

 

⏰:07/11/11 20:55 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#426 [あんみつ]
――――――――


――――――――
9/18 20:28
From 竹本健二
Sub 無題

悪いけど、明日やっぱり地元の駅じゃなくて、街の駅前の広場で待っといて!!
――――――――

パコンッ

昨日の夜に健二からきたメールを確認して、私は携帯を閉じた。
 

⏰:07/11/11 20:56 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#427 [あんみつ]
 
広場を見回して、空いているベンチに座る。

広場の中央にある時計を見ると、まだ待ち合わせの15分前だった。

(・・・早かったな)

私はぼんやりと、街ゆく人を眺めた。

(・・・健二、用事って何なんだろ)

もう一度時計を見たけど、さっきからまだ2分ぐらいしかたってない。

 

⏰:07/11/11 20:58 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#428 [あんみつ]
 

一昨日、健二と離れるって決めた日。

その日の夜は、泣いた。

泣きたくないのに涙が出てきて、止まらなかった。

なのに、今、私の心は穏やかだった。

あの日に泣きすぎて、もう私の中に涙は残っていないのか。

理由は分からないけど、今日健二の前では、絶対に泣きたくなかったから助かった。

 

⏰:07/11/11 21:00 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#429 [あんみつ]
 

(・・・あと10分)

今日は、風がない。

9月も半分を過ぎたというのに、まだ日が当たると暑い。

私はなるべく木の日陰に入ろうと、少し体をそらせてベンチにもたれた。

その時、駅の方に歩いていく見知らぬカップルの姿が目に入った。

(・・・あ)

以前見た光景が、頭をよぎる。

 

⏰:07/11/11 21:03 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#430 [あんみつ]
 

確かあの時は、まだ7月だった。

・・・ここで、健二と佐古さんが一緒にいるのを見た。

あの後、健二と喧嘩しちゃったんだ。

健二が私に、本当のことを言ってくれなかったのが悲しくて。
 

⏰:07/11/11 21:05 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#431 [あんみつ]
 
・・・あの頃は、私も余裕なかったけど。

もっと余裕持ててたら、あんな風に喧嘩しなくて済んだのかな。


『お前だって・・・俺に何も言わねーだろ!!』

あの時の、健二の言葉がよみがえる。

(・・・言わないんじゃなくて、言えなかったんだよ)

 

⏰:07/11/11 21:07 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#432 [あんみつ]
 

健二と話さなくなって、本当に辛かった。

けど、奈津美がいて、洋平君がいて、落ち着いて考えて、心に余裕を持ったら、きちんと周りが見えたんだ。

それで、洋平君と付き合おうって決めて、健二とも仲直りできたんだ。
 

⏰:07/11/11 21:09 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#433 [あんみつ]
 
・・・私、あの頃より成長したよね??

大丈夫。

前とは違う。

喧嘩して離れるわけじゃない。

・・・大丈夫。

 

⏰:07/11/11 21:53 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#434 [あんみつ]
 

時計を見ると、丁度針が動いて1時をさした。


『だから・・・健二先輩と、離れてください』

目を閉じるとまぶたの裏に、泣きそうな佐古さんの姿が浮かんだ。

 

⏰:07/11/11 21:57 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#435 [あんみつ]
 

・・・話すのは、最後にしよう。

それまでは、楽しみたい。
久しぶりに健二と2人で、楽しい時間を過ごしたい。

・・・いいよね??


1時を5分過ぎた。

(・・・健二、早く来て)

私は手をぎゅっと握り締めた。

 

⏰:07/11/11 21:59 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#436 [あんみつ]
――――――――


また、時計の長針が動いた。

祈っても、虚しく時間は過ぎていく。

・・・健二が、来ない。

1時半を過ぎた。

メールを送ったけど、返ってこない。
 

⏰:07/11/11 22:00 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#437 [あんみつ]
 
(・・・どうしたの、健二)

妙な胸騒ぎがする。

今まで、こんなことなかった。

遅れることさえ滅多になかったけど、遅れるときはちゃんと連絡くれた。

(・・・怖い)

私は握り締めていた携帯を開いて、健二に電話をかけた。
 

⏰:07/11/11 22:03 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#438 [あんみつ]
 
プルルル・・・プルルル・・・

(・・・健二・・・出て)

携帯を握り締める手に、力が入る。

プルルル・・・プルルル・・・

(・・・お願い、健二)

プルルル・・・・・・

長い呼び出し音が、止まった。
 

⏰:07/11/11 22:04 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#439 [あんみつ]
 
私は、耳に携帯を押しつける。

が、何も聞こえない。

「・・・健二・・・??」

名前を呼んだ。

{・・・ねこ}

健二だ。

電話の向こうから聞こえた声は、紛れもなく健二の声だ。
 

⏰:07/11/11 22:06 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#440 [あんみつ]
 
(・・・良かった)

「健二、どうしたの??今どこ??」

{・・・・・・}

沈黙ばかりで、言葉が返ってこない。

健二が無事だと分かったのに、まだ胸が騒ぐ。

「・・・健二??」

{・・・ねこ、悪い。・・・今日、行けない}

やっと聞こえた健二の声は、何だか暗かった。
 

⏰:07/11/11 22:07 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#441 [あんみつ]
 
「・・・え・・・な、何で??」

{・・・・・・}

胸が苦しい。

ドクドクする。

(・・・健二・・・答えて)

{・・・健二先輩}

(・・・え・・・??)

体の中を、何か冷たいものが通った気がした。
 

⏰:07/11/11 22:09 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#442 [あんみつ]
 
かすかに聞こえた・・・佐古さんの声。

(・・・なん、で・・・)

{・・・ごめん、ねこ}

ピッ・・・プープー・・・

健二の言葉を最後に、電話が切れた。

 

⏰:07/11/11 22:11 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#443 [あんみつ]
 

何で??

ねぇ、健二。

ちゃんと答えてよ。

何で来れないの??

何で佐古さんと一緒なの??

何で答えてくれないの??

たくさんの「何で??」が頭に浮かんだけど、本当のことは何1つ分からない。
 

⏰:07/11/11 22:12 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#444 [あんみつ]
 
ただ分かっているのは、今、私の隣に健二はいない。

健二の隣に私はいない。

今、健二の隣にいるのは・・・佐古さん。

・・・私じゃない。

 

⏰:07/11/11 22:14 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#445 [あんみつ]
 

私は力なく手をおろすと、そこから動けなかった。

開きっぱなしの携帯を見つめる。

視界が、にじむ。

枯れたと思った涙が、また頬をつたった。

 

⏰:07/11/11 22:15 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#446 [あんみつ]
 

ねぇ・・・来てよ、健二。

私の隣に、来てよ。

佐古さんは彼女で、私は幼なじみ。

分かってるのに・・・。
 

⏰:07/11/11 22:21 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#447 [あんみつ]
 
健二は私より佐古さんを選んだ。

そう思ったら、苦しかった。

健二が大事なのは、私より佐古さん。

それを実感させられて、悲しかった。

 

⏰:07/11/11 22:23 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#448 [あんみつ]
 

「・・・ひっ・・・く」

止めようとしても止まらない。

この感じ、一昨日と一緒。

 

⏰:07/11/11 22:24 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#449 [あんみつ]
 

私は、健二が佐古さんと付き合い始めても、変わらず私の隣にいてくれることに、安心してたんだ。

何だかんだ言っても、私が健二を必要なように、健二にも私が必要なんだ、って。

心の底では、健二の1番は私なんだ、って。

自惚れてたんだ。
 

⏰:07/11/11 22:32 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#450 [あんみつ]
 
けど、違う。

違うんだ。

健二の1番は・・・私じゃない。

佐古さんなんだ。

 

⏰:07/11/11 22:33 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


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