darkness;FROM OZ
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#110 [OZ]
女の人の悲鳴を聞いて目を覚ました。

小さな声ではあったが、僕は深い眠りに就けずにいたので聞き取ることが出来た。

一瞬躊躇ったが、意を決して起き上がると、音を立てないようにして階段を下りていった。

階段を下りていったところでまた悲鳴が聞こえた。

てっきり悲鳴は家の外からしているものかと思っていたが、どうやら家の中から聞こえているようだ。

……長谷川さんの声?

⏰:07/09/16 17:41 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#111 [OZ]
僕は血の気がひいていくのを感じた。

なおも悲鳴や話し声がとぎれとぎれに聞こえてくるが、内容はまったくわからない。

よろよろと、声が聞こえてくるほうに向かって歩き出す。

なんだか夢を見ているような気分だった。

どうして自分がこんなに怯えているのかわからない。

自分はこんなにも臆病だったのだろうか。

⏰:07/09/16 22:28 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#112 [OZ]
僕の足は長谷川さんの寝室の前で止まった。

ふすまが閉まっているため、中の様子は全く見ることが出来ない。

悲鳴はやんでいたが、誰かが喋っているのが微かに聞こえる。

ここに来て、ようやくまともに思考する力が戻って来た。

もしかしたらふすまの先には長谷川さんの他に誰かいるのではないだろうか?

長谷川が一人で喋ったり悲鳴をあげたりするのは考えにくい。

⏰:07/09/16 22:37 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#113 [OZ]
だったら何か武器になるようなものを持ってくるべきだった。

けれどもう遅い。

僕にはそんなことをしている余裕はなかった。

手がするするとふすまに伸びていく。
気付いたときには、ふすまを開け放っていた。

一瞬、時間が止まったように思う。


ふすまの奥には長谷川さんと女の子がいた―…。

⏰:07/09/16 22:42 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#114 [OZ]
いや、女の子ではなく女の人だった。

僕は立ち尽くし、今にも倒れそうになっていた。
目の前の状況を理解することが出来ない。

長谷川さんも唖然とした表情である。

女の人は涙でぐちゃぐちゃになった顔で、僕を見つめている。

「長谷川さん……」

僕はやっとの思いで、そうつぶやいた。

女の子はそれを引き金に叫び出した。

⏰:07/09/16 22:49 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#115 [OZ]
助けて、と言っているのがかろうじて聞こえる。

耳をつんざくようなひどい叫び声だったが、僕の耳は耳栓をしたかのようで、叫び声はほとんど聞こえなかった。


女の人は可夜であった。

しかし、飾られていた写真の彼女とは、すっかり変わってしまっていた。

僕が彼女を女の子と見間違えたのも仕方なかったと思う。

⏰:07/09/16 23:01 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#116 [OZ]
彼女には手足がなかったのだ。

足は膝から下がなく、腕はすっかりない状態だった。

もちろん写真に映っていた可夜には、ほっそりとした手足があった。

切断面には乾燥した赤黒い血がびっちりとこびりついている。

そんな彼女を、長谷川さんは抱き抱えるようにして座っていた。

⏰:07/09/17 18:49 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#117 [OZ]
これをシルエットだけを見たとしたならば、子供を抱いている老人に見えたはずだ。

僕の心臓は早鐘のように脈打ち、頭は混乱を極めた。

それでも僕の目は可夜にくぎづけとなり、そらすことができない。

可夜は服を着ておらず、胴体の辺りに布を巻いているだけであった。

げっそりと痩せ細り、これ以上人間が痩せることは不可能に思える。

⏰:07/09/17 18:57 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#118 [OZ]
漆黒の黒い髪は乱れに乱れ、半ば抜け落ちていた。

なにがどうしたらこうなるのだ?

彼女は今にも死んでしまいそうだった。

腕や足がどのようにしてなくなってしまったかはわからないが、見たところなんの処置もされていないのはあきらかで、それで生きていられのが不思議だった。

「……長谷川さん。
説明してください……」

⏰:07/09/17 19:04 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#119 [OZ]
その時、長谷川さんのそばに包丁が転がっていたのが目に入った。

「……包丁?」

僕がそう言ったと同時に長谷川さんは、可夜に引けをとらない大声で泣き叫びながら後退して行った。

可夜は畳の上に放り出される。

老婆は這うように動き、部屋の壁に当たると頭を抱え込み、めそめそと泣き出した。

長谷川さんがどうしてこのように泣いているのか知らなかったが、僕はなんともいえない軽蔑の心がざわめき立つ。

⏰:07/09/17 19:18 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#120 [OZ]
可夜の方はようやく少し落ち着いて、静かに涙を流しながら力無く横たわっていた。

僕は無意識のうちに可夜の側へ行くと、長谷川さんがやっていたように、そっと彼女を抱き抱えた。

長谷川さんはそれから暫くの間泣いていたが、泣き止むと、心ここにあらずといった様子で、ボソリボソリと事の顛末を話し出した。

その頃には、僕は完全に長谷川さんを侮蔑し、憎んでまでいた。
長谷川さんがとても醜いものに感じられた。

⏰:07/09/17 19:29 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#121 [OZ]
長谷川さんの話はとても現実に起こったことだなんて信じられなかった。
しかもこの家で。


「可夜は私の孫でもなんでもないわ……」


可夜は、僕と同じような理由で長谷川さんの家に住まわせてもらうことになった女子大生だったそうだ。

両親はずいぶん前に亡くなり、結婚をしていなかった長谷川さんはもちろん家族もおらず、孤独だった。

⏰:07/09/17 19:40 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#122 [OZ]
そんな中、今から一年前くらいに現れた可夜は、長谷川さんにとって、何よりも大切な存在となった。

長谷川さんは可夜の美しさ、優しさを独り占めしたいと渇望した。

そして、可夜が本当の孫であればと思い、実際にそのように接した。

ところがある日突然に、可夜は長谷川さんの家を出ると言い出したそうだ。

それが彼女を哀れな姿に導くことになった。

⏰:07/09/17 19:51 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#123 [OZ]
長谷川さんはなんとかして引き止めようとしたが、彼女の決心は固かった。

可夜を絶対に手放したくなかった長谷川さんは、彼女の手足を切断した。

そして、僕が使っている部屋の押し入れに彼女を隠した。

可夜は奇跡的に死なず、生き続けた。

これが僕がこの家に来る、一週間前のことだという。

⏰:07/09/17 20:02 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#124 [OZ]
長谷川さんは僕を初めて見たとき、可夜の兄弟なのではないかと思ったそうだ。

可夜に兄弟を作ってあげるために、僕を自分の家に招き入れた。

彼女自信も男の子の孫が欲しいと思っていた。

僕が家にやってくる前に可夜を長谷川さんの寝室の押し入れに移した。

時が来たら僕に紹介するつもりだったらしい。

⏰:07/09/17 20:15 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#125 [OZ]
けれど、時間が経つにつれて、長谷川さんは可夜を疎ましく思うようになった。

新しい孫ができた今、手足のない孫などいらなくなってきたのだ。

可夜は頭がいかれてしまい、まともに話すことすらままならない。

可愛い孫としての機能を何も果たさなくなった。

それどころか奇声をあげたり、大声をあげるようになってしまった。

⏰:07/09/17 20:21 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#126 [OZ]
僕も何かを怪しみ初めて、ついに長谷川さんは心を決めた。

庭に穴を掘った。

人を埋められるくらい大きな穴を。

そして今日、可夜は死ぬはずだった。


「足腰が悪いのかと思ってました……」

僕の言葉は、静まり返った部屋に間抜けに響いた。

⏰:07/09/17 20:28 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#127 [OZ]
長谷川さんは完全に力を失い、何も答えなかった。

可夜が再び喚き出した。

「……助け…て!痛い……。殺して……あのばあさんを……。殺せーーーーーーーーっ!!」

僕は片手で可夜を抱きながら、空いた手で落ちていた包丁を拾いあげた。

長谷川さんはその様子を見ると、ゆっくりと目を閉じた。

⏰:07/09/17 20:37 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#128 [OZ]
「母親に……なりたかった……」

しゃがれた声がゆっくりとそう告げた。

僕は重いっきり包丁を持った手を振り上げ、一気に振り下ろした。


「ギャーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


部屋中に可夜の悲痛な叫びが轟く。

僕は可夜の痩せ細った体に包丁を突き立てていた。

⏰:07/09/17 20:41 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#129 [OZ]
僕は何度も何度も可夜を刺した。

長谷川さんは呆然とその様子を眺めている。

長谷川さんへの憎しみの思いは消えていた。
母親になれずに、人生を孤独に生きてきたことを哀れに思った。

それに比べ、可夜の人間と思えぬ出で立ちや叫びに苛立った。

⏰:07/09/17 20:47 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#130 [OZ]
誰が彼女をそのようにしたかなど関係なかった。









この夜、僕は生まれた。

⏰:07/09/17 20:49 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#131 [OZ]
―――――――――…

僕は自分の部屋から庭を見ていた。

相変わらずじめじめとしているが、穴は綺麗に埋められていた。

「みのる君!ご飯が出来たわよー!」

下の階から老婆の声が響き渡る。


「今行くよ!お母さん」

⏰:07/09/17 20:54 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#132 [OZ]
END

⏰:07/09/17 20:56 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#133 [OZ]

【Twins】
>>2-61

【Family】
>>66-132

⏰:07/09/17 21:00 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#134 [冬嘩]
 
怖かった…

お疲れ様でした★
怖かったけど
とても面白かったですx

やっぱリ主サンは
文才ありまくりですね~
本当に尊敬します!!
次も頑張って下さいケ

⏰:07/09/17 23:36 📱:W52SA 🆔:cOOmk4dc


#135 [OZ]

冬嘩さん

読んでくださって
ありがとうございます

文才なんてほんっとうに
ないです(´・Д・`)
更新遅いし、話ぐだぐだで申し訳なかったです
でも一人でもおもしろいって言っていただけたのですごく嬉しいです

次も頑張りたいんですが、話を考えていないので、どうなるかわからないです
どんな感じの話がいいかとか言っていただけると助かります(;´ー`)

⏰:07/09/18 19:33 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#136 []
おもしろいです。
かなりはまりました。
学校での話しなど、
どうでしょうか..?
我が儘をゆって
すいません、、

⏰:07/09/18 20:06 📱:D903i 🆔:LA5tHREw


#137 []
主さんの大ファンです  ぜひとも、ウィルス感染パニック(ゾンビとかぢゃなく)ものなんか読んでみたいです 主さんにしか書けないと思い、お願いしているわけですどんなものを書こうとも、絶対読みます 楽しみにしてるので早く帰ってきてくださいね

⏰:07/09/19 01:24 📱:N903i 🆔:kJ/NIPfY


#138 [我輩は匿名である]
主さんの作品一気に全部読みました!。
まじ天才ですね~
Twinsがかなりリアルで頭に残ってます超怖いK寒けしましたK
普通に小説として本売ってそう~
これからも頑張って下さい。~X

⏰:07/09/22 08:26 📱:W43T 🆔:eVyhkya.


#139 [我輩は匿名である]
上手すぎます
すごく怖いけどはまっちゃう(゚д゚`)
次も期待してます
主さんの小説読み続けます(´Д`)/

⏰:07/09/22 10:34 📱:N601i 🆔:e7/Hx.3E


#140 [OZ]

さん*

読んでくださって
ありがとうございます

学校いいですね(・v・*)
参考にさせていただきたいと思います

わがままなんかじゃ
ないですよ
アイディア出してくれて
すごく嬉しいです

⏰:07/09/24 19:29 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


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