黒蝶・蜜乙女―第2幕―
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#1 [向日葵]
という事で黒蝶・蜜乙女です。
完結へ向けますんで、お話的には少ないですが、良ければ読んでください(*´∀`)ノシ

尚、感想などはこちらまで
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2481/

オーダーをしてますんでここには私だけしか書けません。ご了承ください(◎・ω・◎)

⏰:07/08/12 12:57 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#2 [向日葵]
チャプター15:それぞれの想い 〜小川編〜








ずっと好きだった。
いつからなんて忘れたけど、そのサバサバしてあっさりした性格とか、たまに見せる笑顔とか……。

⏰:07/08/12 13:01 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#3 [向日葵]
蜜「おはよう。」

小川「あ、おはよう。」

本山蜜。

この子こそが僕の好きな人。
最近は髪が伸びたりして、黒い綺麗な髪がより強調され、僕はドキドキしっぱなしだった。

蜜「明日は三年生もう卒業だねー。」

そうなのだ。
一学年上の先輩方が明日卒業する。

小川「その内俺らなんだね。なんだか早いな〜。」

⏰:07/08/12 13:08 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#4 [向日葵]
本山はクスクスと笑う。

最近の彼女は元気だ。

この間まで、悲しそうな顔をして無理して笑っている様な、そんな様子だった。

それはきっと、彼女の環境が少し変わったからだ。

原因は彼氏にあるだろう。

とても格好良くて、僕なんかじゃ到底敵わない様な相手。

名はセツナ。
最近忽然と姿を見せなくなった。
噂によれば海外に留学したとか言う。

⏰:07/08/12 13:11 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#5 [向日葵]
でも彼女から出る悲しみは、寂しさとは別の様な感じがした。

勿論、別れた訳でも。

僕だったら、そんな顔をさせない。
僕だったら、本山を一人ぼっちにはさせない。

僕だったら……僕だったら……。
そんな想いが、毎日頭をよぎった。

本山。
僕が想いを告げたら、君はどうしますか……?

⏰:07/08/12 13:15 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#6 [向日葵]
『なぁんて。』

そんな事を考えても答えはNOに決まってるんだけどね。

廊下の窓で黄昏ながら自分にツッコミを入れる。

また、桜の季節がやって来る。
丁度こんな時期だった。

彼女に彼が現れたのは。

⏰:07/08/12 13:17 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#7 [向日葵]
最初は手に取れるほど、本山の彼に対する反応は最悪だった。
毎日顔を見せる彼に本山はうんざりしていた。

それを見た僕は、ホッとして、油断していた。

いつの間にか、彼女の反応が一変。
彼が姿を見せれば、白い肌の顔を紅潮させ、少し困った顔をして彼の側へ心なしか足早に近寄って行った。

それを見た僕は、雷に打たれた感覚を覚えた。
でも、どうする事も出来ず、ただ彼女が恋している姿を見ているだけだった。

⏰:07/08/12 13:22 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#8 [向日葵]
それでも、僕の中の恋心は捨てきれず、図太いながらもまだチャンスを伺っていた。

もしかして、今がチャンスなのか……?

「あれっ?小川君じゃん!」

声のする方に目を向けた。そこにいたのは、ただ唯一僕の気持ちを知っている人物。

小川「あぁ西堂。」

西堂清。
元クラスメートで、本山の友達だった人物。

清「ひっさびさぁ!元気?」

⏰:07/08/12 13:27 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#9 [向日葵]
小川「元気。クラス離れてちゃうとあんまり会わないものなんだな。」

清「ホントそれよね!最初は寂しくて仕方なかったわよ!」

ホントに寂しかった様には思えない感じの西堂に、僕は笑った。

……!
もしかしたら、西堂は何か知ってるかもしれない。

小川「なぁ西堂。この頃ね本山について何か知ってるか?」

清「蜜?さぁ……この頃あんまり連絡取ってないし、クラス離れてるしだからねー。」

⏰:07/08/12 13:31 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#10 [向日葵]
――――――――

一旦キリます

⏰:07/08/12 13:43 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#11 [向日葵]
そりゃそうか。
近頃は転校生のラフィーユさんとオウマって人達とべったりだし。

その人達に聞いた方が無難かもしれない。

清「ただね。」

西堂がまた話始めたので耳を傾ける。

清「あの子、何かあっても我慢って言うか……無理しちゃう子だからさ……。一回前にあったのよ。」

――それは小川が知らない、セツナとケンカして蜜が泣いた時の話だ。

⏰:07/08/13 01:59 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#12 [向日葵]
清「どうしたか問いかけても「何にも無い」の一点ばり…。強制しても聞かないんだから。」

それはこの頃の本山と類似していた。

何を聞いても「なんでも無い」と強がる彼女。
僕はそんな彼女を見るのが辛くて仕方なかった。

清「本人が話すまで待つしか手は無いわね。まぁ……話すか分からないけど。」

確かに……。
本山の弱音なんか、僕が聞ける訳がない。
友達の彼女ですら聞いてないのだから。

⏰:07/08/13 12:02 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#13 [向日葵]
蜜「あれ?清?」

本山が教室から出てくる所だった。

清「みーっつー!久しぶりぃ!ってか大人っぽくなってぇ!」

蜜「久しぶりって……昨日メールしたじゃない…。」

清「……そうだっけ?」

こんなやりとりを見るのは久しぶりだ。
まるで一年に戻った気分。
この二人の漫才みたいな話の展開を側で見ているのが、僕は何より好きだった。

⏰:07/08/13 12:06 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#14 [向日葵]
蜜「あ、あのね小川君。今日委員会あるらしくって、放課後残らなきゃいけないって。」

小川「うん。わかったよ。」

僕は一年に引き続き、本山と委員会をやっている。
これだけが唯一の楽しみ。

大変だけど、本山と二人の時間を作れるから何より幸せだった。

そういえば一年前、僕は衝撃な瞬間を目にした事がある。

それは……職員室に用事があって帰って来た時だ。

⏰:07/08/13 12:10 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#15 [向日葵]
―――一年前

本山もう帰っちゃったかなぁ……。

でも今日は焦った。
俺ら悲しいかな付き合ってないし……。

でもそう見えるって事は結構いい感じに見えてるってことだよな?!
あーそれってメチャクチャ嬉しいかも。

あのセツナって人も微妙って言ってたし!

階段を上がりながら動き付きで(幸い校舎には誰もいなかった)考え込んでいた。
そして教室前で止まる。

⏰:07/08/13 12:15 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#16 [向日葵]
そこでうろうろと歩き回る。

あぁ…。先に帰ってもらうんじゃなかった。

僕は密かに決心していた。
今日、告白しようと……。

放課後夕日が射す教室で告白だなんて少女漫画のベタな事だとは思うけど、実際には告白の場なんてこれくらいしかなかった。

あくまで僕が考えるにはだけど……。

でもまず、その相手が教室に入るか否かだよな……。

⏰:07/08/13 12:20 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#17 [向日葵]
――――――――
キリます

⏰:07/08/13 12:21 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#18 [向日葵]
その時だった。



――バンッ!!

『?!』

今の……何?
どこからの音?

そう思った時、教室内から声が聞こえた。

あれ?本山まだいる?!

内心ガッツポーズを取るが、一人で喋ってる訳が無い。

⏰:07/08/13 19:50 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#19 [向日葵]
しかももう一人の声だってちゃんと聞こえている。

もしかしたら西堂かな。

そう解釈して中に入る事にした。

ガラガラ

小川「本山?いる……!」

そこで見たのは、セツナって人と、本山のキスシーンだった。

俺はショックと言うよりただただ驚いてその場で立ち尽くしていた。

⏰:07/08/13 19:57 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#20 [向日葵]
その相手は、男の僕でも見とれてしまいそうな綺麗な顔でこちらを見る。

そして可笑しそうに顔を歪ませて僕に一言言った。

セツナ「ジロジロ見てんなよ。」

その言葉に我に返った僕は、顔が赤くなるのを感じながら鞄を持っておぼつかない足で走って帰った。

走りながら色々考えた。

⏰:07/08/13 20:03 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#21 [向日葵]
本山は無理矢理されたんだとか、あの人が悪いんだとか……。

僕にはどうにも出来ない悩みの様なムシャクシャした気持ちのまま家に帰って、ベッドに沈み込んだ。

僕はまだこの頃僅かな期待を胸にしていた。

本山の微妙と言う言葉を信じて、いつか僕に振り向いてくれるだろうと気を緩めていた。

……その可能性は無く、二人が結ばれたと気付いたのは、バレンタインの時だった。

本山からチョコをあげると言われた時、正直「マジで?!」の言葉で脳内が一杯だった。

⏰:07/08/13 20:09 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#22 [向日葵]
そのすぐ後に「友チョコだ」と聞いた時は、ピンク色の脳が崩れ去って一気にブルーになった。

相変わらず思い上がりが激しいなと反省した。

でもこの時に確定の判子を押した訳じゃ無い。

本山が帰ると言って教室を出た後、密かに後をつけて行った。

辿り着いた先は屋上だった。
息を切らして、心なしか浮足だっている本山を見ながら、屋上に何が待っているのか分からなかった。

そしてドアの隙間から見たその光景……。
僕は一生忘れる事が出来ない気がする。

⏰:07/08/13 20:14 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#23 [向日葵]
夕暮れがかった空の下の冷たい風が吹く中で、セツナと本山がいた。

本山は自覚がないだろうけど、彼を見る目は愛しさで満ちていた。
そして彼の顔に手を触れていたその姿は、なんだか泣きたくなった。

それは失恋したからとかじゃなくて、とても温かく感じたから。

心が、とても満たされた気がしたから。

だから余計に痛いほど分かってしまった。
―――僕には遅かったんだと……。

⏰:07/08/13 20:21 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#24 [向日葵]
―――――……



「……君。小川君!」

小川「あ、……何?」

現実だ。
いつになく物思いにふけってしまった…。

蜜「委員会、始まるから行こう。」

気付けば時間は3時半。確か委員会は4時から。
まだ30分もあるのに真面目だなー。

そんなトコもたまらなく好きだ……。

ぼんやりしている僕に、彼女は首を傾げた。
そんな彼女に僕は微笑む。

⏰:07/08/13 20:28 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#25 [向日葵]
小川「本山、後で時間ある?」

・・・・・・・・・・・・

「では委員会を始めます。」


長机に二人で座る。
配られたプリントに目を通す。

蜜「ねぇ、後で何かあるの?」

僕は思わず笑ってしまった。
本山が素で聞くからだ。
僕がすることなんて読者でも分かるハズだ。

そう、告白だ。

⏰:07/08/13 20:42 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#26 [向日葵]
普通ならそんな事容易に考えられるのに、本山は違うみたいだ。

蜜「な、何?」

小川「クスクス。ゴメン。でも内緒なんだ。あと、約束してくれない?後で何があっても普段と変わらないでいてくれるって。」

大きなヒントをあげたにも関わらず、本山は全く訳が分かっていないようだった。

蜜「?うん……。わかった。」

それからは委員会に集中した。
僕は不思議と緊張はしていなかった。

フラレると分かっている開き直りかな?

⏰:07/08/14 02:23 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#27 [向日葵]
でも言う言葉はあれこれ考えていたりした。
レパートリーが少ない僕は、率直に好きだと伝える事にした。

・・・・・・・・・・・・・・・

ガラガラ

委員会が終わって、僕達はもう誰もいない教室へと帰ってきた。

蜜「で、どうかした?」

僕がこれから何を言うか分かってない本山は無邪気に聞いてくる。

僕は胸に手を当ててみた。変なの。別に緊張してるつもりないのに、バクバクいってる。

⏰:07/08/14 02:26 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#28 [向日葵]
蜜「小川君?」

瞬きを何度かしながら、本山が見つめてくる。

そんな本山に、僕は微笑み返す。

小川「約束、ちゃんと守ってね。」

蜜「勿論!任せて。」

にっこり笑う本山に笑顔を向けたまま、僕はいよいよ想いを告げる……。

小川「好きだよ……。」

蜜「…………え?」

小川「俺ずっと、本山が好きだった……。」

⏰:07/08/14 02:30 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#29 [向日葵]
本山は固まった。
笑みを残したままの口元は段々と力を無くして元の状態に戻る。

そしてまた、薄く微笑んだ。

蜜「ありがと…。」

小川「……うん。」

本山の笑みが徐々に崩れて、悲しみに顔がいがむ。

蜜「……っありがとう……。」

うん。分かった。
そのありがとうは、ごめんなさいも含まれているよね。

蜜「待ってる…、人がいるから……。でも、ありがとう……。」

涙を拭きながら途切れ途切れに言葉を紡ぐ本山。

⏰:07/08/14 02:34 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#30 [向日葵]
その姿がとても愛しくて、抱き締めたくて、手が伸びた……けど戻した。

抱き締めるのは僕の役目じゃない。
目を瞑って、屋上の光景を思い出す。

あの愛しさで満ちていた目から、涙が流れている。

それは他でもない僕の為に。
それだけで充分じゃないか……。
断るんじゃなくて、「ありがとう」と言ってくれた。
それだけで幸せじゃないか……。

小川「本山。約束、破っちゃダメだよ?」

⏰:07/08/14 02:38 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#31 [向日葵]
その言葉に、本山は涙をゴシゴシ拭いて必死に堪えると、ぽそっと呟いた。

蜜「もう……破っちゃったよ。」

頭に?を浮かべて本山を見つめると、照れた様に笑った。

蜜「自分自身で……約束してた事があるの。…それ、破っちゃった!」

ヘヘッ!と笑う本山。
大丈夫。いつも通りだ。

小川「そっか…。……じゃ、そろそろ帰ろっか!俺戸締まりすかるから本山先に帰んな!」

蜜「あ……。…そう?!じゃあ、お言葉に甘えて!」

⏰:07/08/14 02:43 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#32 [向日葵]
小川「また明日!」

蜜「また明日。」

ガラガラ……

……。
終わった。
僕の恋に、終止符が打たれた。

ベタなシュチュエーションでの告白は、予想通りのフラレるので幕を閉じた。

でも僕は嬉しかった。

本山がちゃんと返事を返してくれた事。
前の本山ならば、絶対……。

⏰:07/08/14 02:47 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#33 [向日葵]
蜜『ウン!私も小川君好きだよ!』

って意味分からず返してただろうな。

それだけ彼女が変わったって事だ。
そして、彼女を変えたのは……紛れもなく彼だ。

ボタタタ

机に滴が落ちる。

ダサイ……。
失恋して泣くだなんて……。
でも僕はホントに好きで、大好きで、ダメだと分かっていても自分の知らない所で最後の1%に賭けていたんだ。

⏰:07/08/14 02:51 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#34 [向日葵]
ダメなら「ハイそうですか。諦めます。」と言う様な簡単な事は出来ないほど、僕は彼女が好きだった。

理由を聞かれても答えれない。
皆そうじゃないか?

何故好きになったと聞かれても、きっと何故か好きになっていたに違いない。

色んな本山を近くで、だけど遠くで見ていた僕は、彼女の何かに惹かれていたんだ。

セーターに、シミが広がる。

止まれ……止まれ……。
明日はきっと笑える。

⏰:07/08/14 02:54 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#35 [向日葵]
また「おはよう」と言って、友達に戻れる。

それでいいじゃないか。

小川「グスッ……あ゛ーくそっ!羨ましい!」

羨ましい……。
両想いになれる人達が、こんなにも羨ましい。

でも一番羨ましいのは、側にいなくても想ってもらってる彼だ……。

・・・・・・・・・・・・・・

一泣き終えて戸締まりをした僕は下駄箱へと向かった。

小川「……。アレ?」

⏰:07/08/14 02:58 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#36 [向日葵]
清「ぃよ!」

下駄箱にもたれながら、そこには西堂がいた。

小川「どうかしたの?」

清「私も委員会の帰りでさっ!さっき蜜と会ったら……大体予想ついて。」

苦笑いを浮かべる西堂の心遣いに、僕は嬉しくなって声をあげて笑った。

小川「なんか西堂には読まれっぱなしだな!」

清「そりゃラブビーム放ってるんだもん。分からない訳ないじゃない。」

僕が元気なのが分かったのか、西堂はニカッと笑ってみせた。

⏰:07/08/14 03:03 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#37 [向日葵]
小川「一緒に帰らない?途中まで一緒でしょ?送るよ。」

清「おージェントルマンだね〜ぃ。じゃあお姉さんが話を聞いてやろうじゃないかぁ!」

小川「フハッ!丸っきり同学年じゃん!」

他愛のない話で笑えた。
さっきの涙で、痛みは全部流せたらしい。

それでもまだ、好きの想いはくすぶってる。
しばらくはまだ無理そうだ。

でも僕には新しい目標が出来た。

⏰:07/08/14 03:07 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#38 [向日葵]
大好きな子が出来たら絶対に悲しませない。

嬉し涙で一杯にして、飽きる程の大好きを言うんだ。

大事に大事にして、ギュッて力強く抱き締めて……。どれだけ好きかを教えてあげるんだ。


いつかそんな子が出来ますように。
出会えますように。

その子も僕との出会いを、待っていますように……。

⏰:07/08/14 03:10 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#39 [向日葵]
――――――――

キリます

これで小川編は終わりです。次はラフィーユとオウマ編に入ります。

その話はまた明日に書きます

⏰:07/08/14 03:11 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#40 [向日葵]
チャプター16:それぞれの想い 〜ラフィーユ・オウマ編〜









二人の大切の意味って違うとこの頃知った。
今回のナビゲーターは私、蜜です。

ついこの間、オウマ君のラフィーユに対する気持ち、ラフィーユがオウマ君に対する気持ちを聞いた私は、オウマ君がどうでるかを見ているんですが……。

⏰:07/08/14 14:27 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#41 [向日葵]
オウマ「ラフィー!」

ラフィーユ「やかましい。」

ご覧の通り。
変わりないんです。

まぁ、すぐ変わる訳でもないと思うんだけど……。

とりあえずはお互いに大切な存在だと言うのは分かってるらしい。
でも微妙な違いが……。

オウマ君は分かってるのかな?


―――――……

オウマ「蜜。告白のタイミングってどんなもん?」

蜜「へ?」

ある日オウマ君が尋ねた。私は丁度洗濯物を干していて、その様子を見学しながらの質問だった。

⏰:07/08/14 14:32 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#42 [向日葵]
蜜「さ、さぁ…。私は、なんだかせっぱ詰まった感じでしたんで……。」

オウマ「ってか蜜の場合はあと返事するだけだったもんなぁ。」

そーゆー訳でもないんだけど……。

よくは分からないけどそーゆーのってムードとタイミングが必要だから、どの?って言われても困る……。

蜜「!」

そうだ……っ!

蜜「いっそのこと二人で出かけたらどうですか?」

⏰:07/08/14 14:36 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#43 [向日葵]
オウマ「出かける?」

そうしたらムード、タイミング、二つが揃う時がきっと来る……ハズ!!

蜜「なら、言いやすい時が来ると思うの。」

オウマ君はむーっと考えた。その間に洗濯物をパンパンと伸ばして太陽にかざす。

オウマ「いいかもしれないな。おーいラフィー!」

え?!今誘うの?

ラフィーユはお風呂掃除を手伝ってくれてて、しばらくすると顔を見せた。

ラフィーユ「何だ。」

⏰:07/08/14 14:40 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#44 [向日葵]
オウマ君は勢いよく立ち上がると、ラフィーユの側に行って、目を輝かせながらラフィーユに言った。

オウマ「明日日曜だし、どっか行かないか?!二人で!」

ラフィーユは瞬きをパチパチ繰り返す。
何を言ってるかサッパリっと言った感じだ。

ラフィーユ「何を言ってる。」

オウマ「たまには出かけてもいいじゃん!な!蜜!」

いやコッチにふらないで!

⏰:07/08/14 14:44 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#45 [向日葵]
蜜「え?あぁ、まぁ、ウン。」

ラフィーユは眉を寄せてため息をつくと、オウマ君を一睨みした。

ラフィーユ「行かない。」

私とオウマ君は二人揃って「えっ?!」と言った。

オウマ「な、何で…?」

ラフィーユ「当たり前。私、オウマ、蜜の護衛。二人出かける、護衛の意味無い。」

その言葉にオウマ君はシュンとして「分かった…。」と呟く。

⏰:07/08/14 14:47 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#46 [向日葵]
それを見た私はおろおろして二人を交互に見る。

何か手だてを……。えっとー、えっとー…。

ラフィーユは私が考えている間にお風呂掃除に戻ろうてする。

あぁ行っちゃう!
えっと、えっと、えっとー!

蜜「じ、じゃあ、私も行く!!」

ラフィーユ「え?」

オウマ「えぇっ?!」

固まる。三人の間に、何とも言えない空気が漂ってきた……。

⏰:07/08/14 14:51 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#47 [向日葵]
 



オウマ「どーゆー事だよ蜜!」

ラフィーユがお風呂に入ってる間作戦タイム。
あと10分は大丈夫だろう。

蜜「どうもこうも、私が行った方がラフィーユが行く確率は高くなるじゃない!」

未だ出かけるか否かで討論中。
あの後は微妙な空気のまま会話は終了してしまったので、まだ行き先を考えることすら辿りついてない。

⏰:07/08/15 02:54 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#48 [向日葵]
蜜「私は気をきかして途中でなんとなく離れたりします。その時を狙ってオウマ君が告白するんですよ。」

オウマ「あぁなるほどね。それなら想いを伝えやすいって事か……。」

とりあえず……ラフィーユを説得させる事が大切だ。お風呂からあがってきたら即効でラフィーユを説得しよう……。

蜜「私がラフィーユを説得する間、オウマ君は口出しちゃダメですよ。」

オウマ「なんで?」

蜜「私が言った方が、私が!出かけたいんだって思うでしょ?」

⏰:07/08/15 02:59 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#49 [向日葵]
オウマ君はひらめいたようにポンッと手を叩くと「分かった」と言った。

さて……それじゃあ次は出かけると決まった場合の行き先。

蜜「どうしよう。」

ラフィーユ「何が?」

蜜・オウマ「うわぁっ!!」

いつの間にかお風呂から帰っていたラフィーユが、私達が座っているソファーの真後ろに立っていた。

驚いた私達はソファーから落ちてしまった。
ラフィーユはいぶかし気に私達を見ている。

⏰:07/08/15 03:04 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#50 [向日葵]
ラフィーユ「一体、何。」

蜜「あ、あぁのね、ラフィーユ。明日、やっぱり出かけようよ!」

ラフィーユ「どこへ?」

お?いい感じ!
よしよし!

心の中でピースを作って、私はさも私が行きたいかのように話す。

蜜「この前、カワイイ雑貨屋さん見つけたの!それで、ラフィーユと一回行ってみたいなって!」

オウマ君は約束通り口にチャック。
私は演技がバレてしまわないかドキドキしていた。

⏰:07/08/15 03:08 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#51 [向日葵]
ラフィーユはじっと私を見る。
それは私が怪しいのか、はたまた私の護衛について考えてるのか。

どっちにしても心臓に悪い。
自慢じゃないけど私は演技が上手い方ではないし、嘘をつくのも下手くそ。

良く言えば正直者。
悪く言えばバカ正直。

なんか変な汗が一筋顔をツー…と流れた所で、やってラフィーユが口を開いた。

ラフィーユ「蜜がそう言うのなら、仕方ない。オウマ、分かったな。」

⏰:07/08/15 03:13 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#52 [向日葵]
なんと願ってもない!
ラフィーユからオウマ君を誘ってくれた!

蜜「オ、オウマ君も行くよね?……オウマ君?」

オウマ君は忠実に約束を守って未だお口にチャック状態。

蜜「オウマ君!もう喋っていいから!」

ラフィーユに聞こえるか聞こえないか程度の小声とチャックを開けろという仕草で、オウマ君に喋る事を促す。

オウマ君はもう喋っていいの?と言うように口を開く。

⏰:07/08/15 03:16 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#53 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/15 03:17 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#54 [向日葵]
オウマ「行こうぜラフィー!」

ラフィーユ「言っておく、遊び回る、それだけじゃない。じゃあ、私、寝る。」

そう言ってスタスタ寝所の客間へ行ってスターンと襖を閉めてしまった。

蜜「も、もしかして、怒ってる……?」

オウマ「あー違う違う。明日に備えて対策を頭の中で練ってるんだわアレ。」

ふーん……。
にこにこしながらオウマ君を見ると、オウマ君は少し照れているのか視線をずらした。

⏰:07/08/15 13:30 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#55 [向日葵]
よく見てるんだなぁ……。
いいな…それだけ敏感に分かって……。

四六時中一緒にいたのに、私は分かってあげれる事は出来なかった……。

庭から見える夜空を見上げて、その空と同じような色の羽の生えた姿を思い出す……。

もうすぐ春がやってくる……。
未だ待ち続ける姿が見える気配は………………無い。

―――――……

オウマ「快晴――――――っ!!!!」

⏰:07/08/15 13:39 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#56 [向日葵]
ビクッ!

まだ眠りについていた私はオウマ君の叫びに夢の世界から現実に一気に引き戻された。

ラフィーユ「オウマうるさい。」

ガチャ

ラフィーユ「蜜、朝だ。起きれるか?」

ラフィーユはソロッと私の部屋に入ってきて様子を伺う。
もう準備が出来てるみたい。
随分前に起きたみたいだ。

蜜「あ、ゴメンネ。私が言い出した事なのに。」

⏰:07/08/15 13:50 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#57 [向日葵]
ラフィーユ「いいや。すまんな、オウマ、うるさい。」

私は苦笑いした。

蜜「すぐ着替えるから待っててくれる?」

・・・・・・・・・・・・

着替えを終えて下に行くと何だかいい匂いが……。

不思議に思ってリビングに行くと、テーブルの上に洋風朝ごはんが並べてあった。

蜜「これ……どうしたの?!」

ラフィーユ「私、作った。」

⏰:07/08/15 13:58 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#58 [向日葵]
私は驚いてそのまま固まった。

家事をする私をラフィーユはよく手伝ってくれた。

物覚えのいいラフィーユはすぐにやり方をマスターしてくれたけど、今日みたいに朝ごはんを作ってくれるだなんて事は初めてだった。

ラフィーユ「口、合わない、ならスマン。」

蜜「そんな事ない。とっても美味しそう……。」

ラフィーユが紳士みたいに引いてくれたイスに座って、目の前にあるフレンチトーストを一かじりした。

⏰:07/08/15 14:09 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#59 [向日葵]
!!!!!!

うっそ……。

蜜「めちゃめちゃ美味しい……。」

口を押さえて口の中に広がる味に感動した。

ラフィーユ「良かった。」

そう言いながらラフィーユはキッチンに立って片付けをしている。

そこで庭で太陽の光を一杯に浴びていたオウマ君が部屋に入ってきた。

オウマ「良かったなラフィー!」

⏰:07/08/15 14:17 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#60 [向日葵]
蜜「すっごい美味しいよー!」

オウマ「へー。ラフィーはいいお嫁さんになるんじゃない?!」

おおっと大胆発言!

ラフィーユ「蜜、何時に出る。」

おおっとスルー!

それでもオウマ君は気にしていないのかはしゃぎまくっていて落ち着かないのか部屋中をウロウロしている。

蜜「ラフィーユ達は朝ごはん終わった?」

オウマ「おう!朝一で!」

⏰:07/08/15 14:23 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#61 [向日葵]
片付けを一段落終えたラフィーユは私の目の前のイスに座った。

ラフィーユ「今丁度、桜咲きそう。桜は蜜、上手い。」

へぇ……。
やっぱり花によって美味しいとか不味いとかあるんだなぁ。

蜜「ちなみに一番不味いのは?」

ラフィーユ「私、タンポポ。」

オウマ「俺はタンポポ好きだよ。んー…俺は薔薇かな。トゲ痛いし。」

なんか分かる様で分からないその感覚……。
大体薔薇ってそんな簡単に生えてる?

⏰:07/08/15 14:34 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#62 [向日葵]
最後の紅茶一口を飲み終えた私はティッシュで口を拭いて立ち上がった。

蜜「ぃよし!お待たせしました!行きましょっか。」

・・・・・・・・・・・・・・・

流石日曜日。

街中は人が沢山いた。
まだ春前だけど、わりかし外は温かかった。

もちろん私の隣を歩く二人はそこら辺にいる人とは違う雰囲気と容姿を持っているので、振り返らない人はいなかった。

しかも私は地味な普通の女の子。
余計に引き立って見える。

蜜「あ、ここだよ!」

指差したのは雑貨屋さん。雑貨屋さんの話は実はホントで、清と何回か来た事があった。

⏰:07/08/15 14:44 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#63 [向日葵]
――――――――

キリます

⏰:07/08/15 14:45 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#64 [向日葵]
ラフィーユ「蜜、ここで何する。」

蜜「ん?勿論買い物だよ!二人も自由に回ってて!」

っと言いながらそそくさと二人から離れる事にした。しかし、ラフィーユは普通に私についてきた。

蜜「あ、あの…、ラフィーユ?いいんだよ?自由に見ても。」

ラフィーユ「いい。一緒に見る。」

だからねラフィーユゥゥゥ……。
それじゃあ作戦が……。

オウマ「すっげぇ!見たこと無い奴ばっかぁぁ!」

⏰:07/08/15 17:12 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#65 [向日葵]
貴方も作戦を忘れてはしゃがない!!!

ったく……。
仕方ない。しばらくは雑貨屋さんを楽しもう。

蜜「ラフィーユ!見て。カワイイ!」

ラフィーユ「へぇ……。」
ブタのぬいぐるみを物珍しく角度を変えて観察するラフィーユがとても可愛い。

ラフィーユ「何、企んでる…?」

―――ドクン…

蜜「何……が?」

ブタのぬいぐるみを元の場所に戻して、ラフィーユが私に顔を向ける。

⏰:07/08/15 17:18 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#66 [向日葵]
ラフィーユ「様子、変。」

ラフィーユの見透かす様な目が私を貫く。
平静を装う為、目線はそらさなかった。

蜜「何も?ラフィーユは……私と出かけるの……嫌だった?」

ラフィーユ「いや。違うが……。まぁ、いい。」

と言ってまた雑貨に目を向ける。

それなりにラフィーユも初めて見る物が新鮮で楽しんでいるみたい。

なら良かった……。
実はラフィーユと買い物するってちょっと憧れだったりしてたから。

⏰:07/08/15 17:25 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#67 [向日葵]
そこへ何かの置物を持ったオウマ君が大はしゃぎでラフィーユと私の間に入って来た。

オウマ「ラフィーラフィー!なんかコレ面白ぇの!」

ラフィーユはオウマ君が持って来た置物の仕掛けに興味深々で、遊んでいた。

よし……今だっ!

蜜「私、ちょっとトイレ行ってくるからここで待っててね。」

そう言ってラフィーユが追いかけてこない内に私はトイレに行くフリをしながら陰でこっそり覗いた。

⏰:07/08/15 17:37 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#68 [向日葵]
ラフィーユ「オウマ、あまりはしゃぐな、忠告したハズ。」

オウマ「まったく……。あのなラフィー、あんまりそーゆー意識に気向けてっと蜜ががっかりするだろ?」
あぁ……大丈夫かなぁ。
なんかちょっと険悪ムード……。

ラフィーユ「スマン…。」

反省した様にラフィーユは少しうつ向くと、オウマ君は優しく笑ってラフィーユの頭を撫でた。

オウマ「今から楽しんだらいいじゃねぇか!」

⏰:07/08/15 17:42 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#69 [向日葵]
撫でられ終わってから、ラフィーユはオウマ君に微笑む。

あ!今!今いい雰囲気!
オウマ君言うんだ!

オウマ「そっれにしても蜜まだかな?もしかして……大かぁ?!」

んなっ!!!!

蜜「そんな訳ないでしょぉっ!!」

一斉に雑貨屋さんにいたお客さんの目が私に向けられる。

⏰:07/08/15 17:47 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#70 [向日葵]
恥ずかしいついでに抗議の叫び。

蜜「オウマ君のバカ!!」

そう言って私は雑貨屋さんを大きな音を鳴らして出ていった。

ラフィーユ「ハァァ…。だから、言っただろ。」

そう言ってラフィーユは密を追いかけて行った。

・・・・・・・・・・・

あぁ!っもう私のバカ!
せっかくのいい雰囲気を自分で潰してどうすんのよぉっ!

でもだって!あれはオウマ君が悪いんであってー……。

⏰:07/08/15 17:55 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#71 [向日葵]
雑貨屋さんから少し離れた所の花壇で座り、自己嫌悪に襲われて大きくため息をついた。

周りを見渡せば、友達や、家族連れ。……そして恋人同士。

私がいる所がどうやら待ち合わせ場所なのか、少し離れた隣には、さっきから鏡を何度も見直す女の子。

今からデートかぁ。

羨ましいなぁ……。

空を見上げる。
オウマ君が言った通り今日は雲一つ無い青空。

そりゃ、お出かけ日和な訳だよね……。

⏰:07/08/15 18:04 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#72 [向日葵]
下を向くと、遥かに前より長くなった髪の毛が垂れてきた。

もうすぐ……3年生。
そして卒業。

蜜「あぁ…。やだなぁ。」

進路決めなくちゃいけない。
まだ自分のなりたい物なんか決めてないし……。

そしてやっぱり考えてしまう…。あの人が、帰ってくるかどうか……。

蜜「帰ってきたら……したたか殴ってやる!」

あのきっれぇぇぇな顔が腫れあがるまでしたたか殴って、一生分の馬鹿って言葉をお見舞いしてやる!

⏰:07/08/15 18:11 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#73 [向日葵]
でも叩いてる途中できっと手を止められて言うんだろうな。

『俺の顔に傷をつけてどうする気だお前!』

あり得なくない言葉と、その言葉を安々と思い出せる自分が、なんだか笑えた……。

手に滴が落ちる。
あーぁ……また約束破っちゃったよ。

思い出さなきゃいいのに……。
ホント私は……

『馬鹿だ。』

懐かしさすら覚えるその声が、とても恋しかった。

⏰:07/08/15 18:17 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#74 [向日葵]
名前をギリギリで出さないのは、なんとかこの約束だけでも守ろうと言う意地だ。

涙を拭いてると

ポン。

肩に手を置かれた。

蜜「あ、ラフィー」

「ねぇ君、さっきからここにいるよね?」

人生初のナンパ。
直ぐに分かった。

蜜「……失礼します。」

そこから去ろうとしたら、腕を掴まれた。

⏰:07/08/15 18:21 📱:SO903i 🆔:/J6qFa6E


#75 [向日葵]
「待ってよ。もしかして誰か待ってるとか?」

―――ドクン

うるさい…。

「その割に全然来ないよねー。もしかしてすっぽかし?」

うるさい……。なんでナンパしてるアンタなんかに、そんな事言われなきゃなんないのよ。

「だとしたら悲しー(笑)君、忘れられてるじゃん。」

――――っ!

「それなら俺と一緒に…グアッ!!」

⏰:07/08/16 02:09 📱:SO903i 🆔:xef4BwKY


#76 [向日葵]
奇声と共に手が離れたかと思うと、ナンパ男と私の間にラフィーユが立っていた。

男の状態から言ってラフィーユに殴られたらしい。

ラフィーユ「失せろ、馬鹿。」

「なんだとこのアマ…!」

反撃しようとした男の胸ぐらを先に掴み、細い腕からでは考えられない力で男をそのまま持ち上げた。

ラフィーユ「もう一度、言う。失せろ。」

「わ…っわかった……から、離っせ……!」

⏰:07/08/16 02:13 📱:SO903i 🆔:xef4BwKY


#77 [向日葵]
それを聞いたラフィーユは男を雑に降ろす。
そのせいで男は尻餅をついてしまった。
そしてバツが悪そうにその場を去って行った。

ラフィーユ「蜜、平気?」

蜜「あ、ありがとう……。」

ラフィーユはそっと手を繋ぐと、多分オウマ君がいるであろう所に連れて行ってくれる。

さっきの騒ぎがあって、注目の数が倍になってしまった。

ラフィーユ「さっき、オウマ、すまなかった。」

⏰:07/08/16 02:17 📱:SO903i 🆔:xef4BwKY


#78 [向日葵]
蜜「そんな。別にいいよ……。」

するとラフィーユがギュッと手に力をいれた。
女の子同士で手を繋ぐなんて、お母さんおばあちゃん以外で初めてだった。

ラフィーユ「大丈夫。帰ってくる。心配、ない……。」

優しく笑って告げてくれるラフィーユ。
もしかしてさっき殴ったのは私が傷付いたと思ったからかな?

それでも、ラフィーユが来てくれて良かった……。

蜜「ありがとう……。」

⏰:07/08/16 02:20 📱:SO903i 🆔:xef4BwKY


#79 [向日葵]
私も笑って、二人仲良くオウマ君が待ってる場所まで行った。

・・・・・・・・・・・・・・・

オウマ「ホンットごめん!!」

ある公園のベンチで私は腰かけている。
その前でオウマ君は顔の前で両手を合わして謝ってきた。

蜜「もう、いいって!」

オウマ「でも、俺が余計な事言わなきゃ密も嫌な思いしなくてすんだのに……。」

シュンとした姿はまるで怒られた子犬。
ちょっと可愛らしい。

⏰:07/08/16 02:24 📱:SO903i 🆔:xef4BwKY


#80 [向日葵]
>>79訂正

細かい間違いが……

×密
○蜜

――――――――

蜜「もういいから。」

今はラフィーユがいない。
私がいない間に告白はないだろうけど、いささかオウマ君は間が悪いと言うか空気読めないと言うか……。

なのでもしかするかもしれないってことで、聞いてみようとしたら、先にオウマ君が口を開いた。

⏰:07/08/16 02:27 📱:SO903i 🆔:xef4BwKY


#81 [向日葵]
オウマ「俺、ラフィーにいうのまた今度にする!」

蜜「へー…。…………えっぇ?!」

オウマ君はニカッと笑うと上着のポケットに手を入れたまんま私の隣に座った。

オウマ「今、蜜の護衛って言う指名がある限り、きっとラフィーは気持ちには答えてくれない。自分よりも与えられた事こなすのを最優先しちゃう奴だしね!」

私の……せい……。
うつ向いて、申し訳なう気持ちで一杯になっていると、オウマ君は私の頭をクシャクシャ撫でた。

⏰:07/08/16 02:32 📱:SO903i 🆔:xef4BwKY


#82 [向日葵]
オウマ「もちろん蜜のせいじゃないって!ラフィーがそーゆー性分なだけ!だから良いんだ!」

苦笑してオウマ君を見ると、オウマ君はまだにこにこしていた。

すると、口元に笑みを残したまま、目が真剣になった。

オウマ「それに……蜜だって、目と鼻の先に恋人がいちゃあ、辛いだろ……?」

私は目を軽く見開いた。

蜜「……。まったく…あの人にしても、オウマ君やラフィーユにしても、優しすぎますよ貴方達は!」

⏰:07/08/16 02:36 📱:SO903i 🆔:xef4BwKY


#83 [向日葵]
オウマ君はへへっ!と笑って「でも」と続けた。

オウマ「ラフィーが側にいてくれるだけで、ラフィーも側にいたいと感じてくれているなら、それだけで……いいやって。今はそう思う!」

私は眩しい彼の笑顔を受けながら微笑んだ。

蜜「そうですか……。」

オウマ「うんっ!」

すると、ラフィーユが私に買ってきてくれたジュースを持って帰ってきた。

ラフィーユ「蜜、はい。」

蜜「うん。ありがとう。」

⏰:07/08/16 02:40 📱:SO903i 🆔:xef4BwKY


#84 [向日葵]
温かいコーヒーはとっても美味しくて、少し冷えた体の芯を温かくしてくれた。

あっという間に掌サイズのコーヒーを飲み終えた私。

蜜「ちょっと捨ててくるよ。」

ラフィーユ「なら私、行く。」

蜜「これくらい行きます。二人共休んでていいから。」

そして私はその場を少し離れてゴミ箱へと向かった。

・・・・・・・・・・・・・・・

オウマ「ラフィー…。今日、ごめんな。」

⏰:07/08/16 02:43 📱:SO903i 🆔:xef4BwKY


#85 [向日葵]
ラフィーユはオウマの隣に座ると、一息つく。

ラフィーユ「まったくだ。だから言った。はしゃぐなと。」

オウマはまた子犬の様に小さくなる。
ラフィーユはそんなのを容赦せずまた言葉を被せる。

ラフィーユ「大体、お前は落ち着きない。遊び、すぐ熱中。だから悪い。今日も蜜、何も無い、良かった。」

それを聞き、オウマは更に小さくなり落ち込む。

このままじゃ、ラフィーユに嫌われてしまう……。
オウマは思った。

⏰:07/08/16 02:49 📱:SO903i 🆔:xef4BwKY


#86 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/16 02:50 📱:SO903i 🆔:xef4BwKY


#87 [向日葵]
オウマ「ラフィー俺!」

ラフィーユ「でも。」

ラフィーユはオウマの言葉を遮る。

そして目を細めて優しく微笑んだ。

ラフィーユ「私、オウマの側、いたい。駄目か?」

オウマの時間が止まってしまった。
まさかラフィーユが自分にこんな事を言うだなんて思っても見なかった。

ラフィーユ「オウマ…?」

呼びかけられて、オウマの時間が再び動き出した。

⏰:07/08/18 03:04 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#88 [向日葵]
オウマ「ラフィーは……それでいい?」

ラフィーユ「…………。オウマ、嫌か?」

ずっと……特別な気持ちが欲しくて。

でもそれは容易に手に入るものじゃなくて……。

それでも側にいてくれると言うのならば……。

オウマ「嫌な訳……ないだろ!!めちゃくちゃ嬉しい!!」

ニカッとラフィーユに笑いかけると、ラフィーユもホッとして顔が緩んだ。

ラフィーユ「そうか……。」

⏰:07/08/18 03:08 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#89 [向日葵]
それでも側にいてくれると言うのならば…………

ずっと側にいてくれるだけで、十分だと思った。

・・・・・・・・・・・・・・・

なぁんだ。

蜜「結局、私がいなかった方が良かったみたい。」

ゴミ箱に空き缶を捨てに行って帰ってきた私は、植木に隠れて二人を見ていた。

オウマ君、嬉しそう。
ラフィーユも……。

……。もしかして。

ラフィーユは気づいてないのかもしれない。

⏰:07/08/18 03:11 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#90 [向日葵]
自分の気持ちが、“恋”だとは分かってないのかもしれない……。

蜜「でなきゃあんな表情見せないよね……。」

そういえば、前に言ってた。

ラフィーユ[同じ事、言う。]

私がラフィーユに自分の話し方が変だろう?と問われた時だ。

あの時のラフィーユは、目が優しさで揺らいでいて、声音もなんだか愛しさで満ちていた気がする。

そっかぁ……ラフィーユ、自分には鈍感なんだね……。

⏰:07/08/18 03:15 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#91 [向日葵]
私はそっと苦笑する。

ならもう少し、二人だけの時間を過ごさせてあげようじゃないですか……。

蜜「――っくしゅん!あー…でもちょっと寒いかな……。」

『風をひかれたら困る。』

…………。

今日はやけに思い出してしまう……。

もうすぐ……

三年生……。

⏰:07/08/18 03:19 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#92 [向日葵]
――――――――

さて、皆様お待たせいたしました……。

次で……最終回でございます

蜜はセツナに会えるのか、はたまた会えないのか

どうぞ最後までお付き合いのほど、よろしくお願いしますm(__)m

⏰:07/08/18 03:21 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#93 [向日葵]
貴方は言ったよね。

私達は惹かれ合うって……

なら私は貴方を助けた時に、もう惹かれてたのかもしれないね。

だから、貴方を助けたのかなぁ……。

今貴方は自由に空を、この青く眩しい空を、舞っていますか……?






ラストチャプター:桜風

⏰:07/08/18 03:25 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#94 [向日葵]
三年生になると早送りの様に毎日が過ぎて行った。

進路を考え、夏には特別授業で勉強し、そして受験……。

私は製菓の専門学校に行く事にした。
何だかんだでお菓子作るのは嫌いじゃないし、私の取り柄がこれくらいしか見当たらなかった。

そして……

蜜「あぁー!待って待って待ってぇぇ!!」

オウマ「どっちだよ!蜜が開けるの恐いって言うから開けてるのに。」

家に合格通知が届いた。

⏰:07/08/18 03:31 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#95 [向日葵]
封筒は大きいサイズだった。この場合、大抵は合格の筈なんだけど、私は裏があると思い、開けるのを恐がっていた。

ラフィーユ「蜜。自分、開けろ。」

ラフィーユの後ろに隠れていた私に彼女はそう告げた。

蜜「で、でもぉー……。」

ラフィーユ「大丈夫。心配ない。さぁ…。」

勧められるがまま、私はA4サイズの封筒を手にした。ブルブル手が揺れてまともに開けれない。

⏰:07/08/18 03:37 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#96 [向日葵]
蜜「むむ無理無理無理無理!開けれないってホント。」

オウマ「お前変なトコビビリだよなぁ!さっと見ろよさっとぉ!」

さっとね…。さっと……。

蜜「さっとぉ――!!!」

ガサガサ、ザッ!!

中にある紙を一枚引っ張り出す。それを一斉に三人で覗き込んだ。
そこに書いてあった文字は……

蜜「ぬ…ぅお……。―――合格ぅぅぅぅ!!!!!」

オウマ「うぅっお――!!!やったな蜜ぅ!!」

蜜「うん!!」

⏰:07/08/18 03:42 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#97 [向日葵]
ラフィーユは私達二人みたいに馬鹿騒ぎするんじゃなくて、微笑んで私の頭を撫でてくれた。

ラフィーユ「良かったな。」

蜜「うんっ!ありがとうラフィーユ!!あ、清に言おう!」

清とは結局三年生でも一緒のクラスにはなれなかったけど、隣のクラスの為、よく遊びに来た。

小川君は、いつの間にか生徒会長とかやっちゃってて、二年生からは常に忙しそうだった。
彼はもう自然に話してくれる。

⏰:07/08/18 03:46 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#98 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/18 03:47 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#99 [向日葵]
もう……って訳でもないか。どっちかって言うと私が自然に話せる様になったんだと思う。

約束通り、普段と変わらず喋ってはいたものの、拭いきれない申し訳なさとか、気まずさとかがあって。

無理してるって自覚はあった。

きっと小川君も気づいていたと思う。

それでも絶えず、笑いかけてくれた。

――――――……

季節は、それでも容赦無く過ぎていく。

⏰:07/08/19 00:29 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#100 [向日葵]
秋が過ぎたら、また寒い寒い冬がやって来た。

蜜「うぅっ!寒いし!」

オウマ「ん?なんだコレ。」

ヒラヒラ白い固まりが空から落ちてくる。

蜜「あ……雪……。」

通りで寒い訳だよ。
しかも粉雪。積もっちゃうじゃん。

オウマ「雪ねぇ。初めてみた。」

蜜「去年は降らなかったしね。」

自分で去年と言って、少し凍りついた。

⏰:07/08/19 00:32 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#101 [向日葵]
寂しい気持ちを押し込めて、もうすぐ2年が経とうとしている事実に呆然とした。

最近は不安で仕方ない。

ホントに帰ってくるかとか、何かあったんじゃないかとか。

他に……好きな人が出来たんじゃないのかとか……。
もしそうなら、私は忘れる事出来るかな。
もう一度、普通に戻れるのかな。

ううん違う。

⏰:07/08/19 00:40 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


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