―温―
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#186 [向日葵]
私は当てもなく歩いていた。
急な雨だから傘を持ってない人が沢山いたおかげで私は白い目からは免れた。

静流[出て行って好きなように暮らせよ。]

何よ……。

紅葉「自分から言ったんじゃない。住めって……。なのに出て行けって……。」

自己中にも程がある!
しかも八つ当たりみたいに言い捨てて!

ってか……ここどこ?

意外にも雨は激しくて、一寸先は闇じゃないけど雨でほぼ見えなかった。

⏰:07/09/01 02:08 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#187 [向日葵]
ザー……

ザー……

あぁ……あの日が思い出される。

ザー……
ザー……

今みたいに凄い雨で……。やっと天国に行けると嬉しくなった。

世の中は汚い。

世の中は冷たい。

唯一愛していた肉親にさえ、私は愛されなかった。

痛くて何度も泣いた。
つらくて何度も願った。

⏰:07/09/01 02:11 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#188 [向日葵]
 








温かさを下さいと……

⏰:07/09/01 02:12 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#189 [向日葵]
そんな時、くれたのが静流だった。

優しくて、嬉しくて……私は身を委ねてた。

だから忘れてた。

一線引き忘れていた事。
誓ってた筈なのに、馬鹿だわ私って……。

私はまた、一人ぼっち。

今度こそもう誰も助けてはくれないんだろうな……。

私はどこで命を断つべき?

どうやって命を断つべき?

誰も教えてくれない……。

⏰:07/09/01 02:15 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#190 [向日葵]
静流[生きる努力をしようよ。]

パシャ……

どこまで来ただろう。

私は道端で立ち止まった。
外は灰色の雲に覆われた暗い夜となった。

何も聞こえない。

雨の音と、自分の息遣い以外。

……何も……。

知ってる。分かってる。
自分の息が震えていること。

泣いていること。

⏰:07/09/01 02:19 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#191 [向日葵]
紅葉「……っ。ふぇ……っ。」

もうやだ……。

何で……っ。

ウウン。違う。私は神様に祈った事があった。

誰かの代わりに、私が不幸を背負うと。

なら今誰かが幸せになってるのかな?

でも幸せになってる誰かさん。ごめんなさい。
私やっぱり幸せになりたい。

温かさで包まれたい。
いつしか願ってた。あの家にずっといれたらって。

⏰:07/09/01 02:22 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#192 [向日葵]
紅葉「……ひっ……。う―――っ……。」

それはもう無理だけど。

でも私は、ずっとずっとあの家で温かさを感じて生きていきたい。

そう思った。
思わせてくれた。

それは紛れもなく、静流が……そう思わせてくれたんだ……。

⏰:07/09/01 02:24 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#193 [向日葵]
―解―









静流は探し回っていた。

いなくなった紅葉。
この酷い雨の中、まだ治りきってない傷を負ったまま外へ行ってしまった。

そう仕向けたのは、紛れもなく自分……。

ピリリリリ

ポケットに入れておいた携帯が鳴り響く。

⏰:07/09/01 02:28 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#194 [向日葵]
見つかっったらすぐ知らせれるよう、一緒に探してくれてる香月と双葉に告げた。

発信者は香月からだった。

香月{静流?こっちにはいないみたいだわ。}

静流「そっか。ありがとう……。」

そう言って電話を切る。

静流は頭を抱えた。
何であんな事を……っ。

しかも人間不信が治りきってない紅葉に向かって……。

静流「馬鹿だ……。俺……。」

⏰:07/09/01 02:31 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#195 [向日葵]
その時、また電話が鳴った。

静流「はい……。」

源{静流君?今ドコにいるんだい?帰ってきたら家に誰もいないからびっくりしてさ。}

静流は電話をしながら目を瞑って目元を片手で覆った。
受話器から息子の声が聞こえない源は心配して何度も名前を呼んだ。

源{静流君?どうしたんです?}

静流の重い口がゆっくりと開かれる。

静流「実は……。」

⏰:07/09/01 02:35 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


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