―温―
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#196 [向日葵]
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今日はここまでにします

⏰:07/09/01 02:36 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#197 [向日葵]
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紅葉「さ……さむ……。」

ずぶ濡れになった私は近くに公園を発見した。
とりあえず少し休む。

泣いたのと止まない雨とのせいで、私は少々体温を取られていて疲れた。

なんの遊具かはわからないけど、かまくらに穴が空いた様なやつに入って雨が少しでもマシになるまで一休みすることに決めた。

水溜まりがあったけど濡れ続けるよりはまだマシだ。

まぁこれだけ濡れたらいくら濡れても一緒だけど。

⏰:07/09/02 02:23 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


#198 [向日葵]
少し休んだら、またどこかへ行こう。

出来るだけ遠くに。

もう二度と母さんや静流に会わないように。

人目につかない場所ってどこかな。

山?崖?

歩きながら考えよう。

考える時間なら、もう沢山出来たのだから。

*****************

源は静流からの話に絶句した。

だけど怒る事はしなかった。今怒っても仕方ないからだ。

⏰:07/09/02 02:27 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


#199 [向日葵]
源{とりあえず、紅葉ちゃんが帰ってきたらいけないから家にいるね。}

静流「うん。お願い……。」

静流は電話を切る。

そして雨が降る道に目を向けてまた歩き出した。

隙間や陰を隈無く探す。

あの傷で……しかもこんな雨の中で……。

もしかしたらどこかで倒れてるかもしれないと言う心配が頭をよぎる。

いくら何でも「出て行け。」なんて言うべきじゃなかった。

⏰:07/09/02 02:33 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


#200 [向日葵]
雨で少し肩が濡れる。

紅葉はこの雨の中濡れてると言うのに、自分は何傘さしてんだ……。

静流は傘を畳み、走り出す。
走り出すとすぐに雨でびしょびしょになってしまった。

倒れてしまうのも心配だが、誰かに誘拐されてないかも心配だ。
あんな軽いのヒョイと持ち上げたら終りだ。

左右を確認して信号を渡る。
車のヘッドライトがやけに眩しく感じた。

……まさか、事故に遭ったりしてないよな……。

⏰:07/09/02 02:38 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


#201 [向日葵]
そういえば……と静流は思った。

自分はまだ、紅葉の笑顔を見た事がない。

自分を卑下した笑いは見た事あっても、心から笑った顔は見た事はなかった。

そう考えると、余計に胸がきしんで仕方なかった……。

今は本人が見つかるまで、心の中で謝るしか出来なかった……。

******************

今何時だろ。

空を見上げても雲が広がり星が見えない。

⏰:07/09/02 02:42 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


#202 [向日葵]
かと言って先人の様に星で何時だとか分かる事は出来ないのだけどね。

でも大体夜9時くらいかな。

休む事も出来たし、再び歩こう。

そう思った時だった。

足に昼間と同様激痛が走る。
どうやら歩きすぎにより傷が開き、雨が染みてるみたいだ。

一旦立ったものの、また座りこんでしまう。
何故か無駄に息遣いが荒くなってしまう。

紅葉「いっ…………った……。」

⏰:07/09/02 02:46 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


#203 [向日葵]
ハァハァと息を吐いた後、深呼吸をゆっくり何回かした。

大丈夫。
痛くない。痛くない。
気のせい。怪我なんてしてない。

暗示をかけながら立ち上がり、重心を足にかける。

はっきり言って痛くない訳がない。

でも今は出来るだけ遠くに行きたかった。
穴を抜け出して公園の入口へ向かう。

街灯が、虚しく私を照らした。

正に捨て猫ね……と自嘲した。

⏰:07/09/02 02:50 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


#204 [向日葵]
街灯に照らされた足を見れば、うっすら包帯が赤みを帯びていた。

血が出ているらしい。

大丈夫。
まだ歩ける。大丈夫。

そう暗示して、歩くしかなかった。

人通りがなくなりつつあるおかげで人の目を気にせずにみっともなく歩けるのが幸いだ。

こんな醜態……晒したくもない……。

そう願っていたのに……。

「やっと見つけたーー。」

⏰:07/09/02 02:54 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


#205 [向日葵]
ゆっくり振り向く。

数メートル後ろに立っていた人物に私は驚いた。

紅葉「香月……さん。」

香月「何してんの?プチ家出?」

相手を見ながら後退りした。でも相手はにじりにじり距離を縮めてくる。

香月「ねぇ。帰ろうよ。」

紅葉「……なんで、よ。」

香月さんはとうとうすぐそこまで来てしまっていた。
きっと逃げても今の状態じゃ捕まえられるのがオチだろう。

⏰:07/09/02 02:59 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


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