―温―
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#236 [向日葵]
紅葉「別に。……何も。」
体育座りをして顎を膝に乗っける。
なんだか少し寒い。
紅葉「静流。明日早いんでしょ?早く寝なさいよ。」
静流は「んー。」と唸って私を見た。
それにつられて私も静流を見てしまった。
静流「紅葉が寝るなら寝るよ。」
……意味が分からない。
さっさと寝ればいいのに。
静流「……?くれ……は?」
:07/09/04 01:18 :SO903i :GkaoQpe.
#237 [向日葵]
いつの間にか、私の頭は静流の腕に寄りかかっていた。
お風呂あがりの腕は温かくて、とても心地いい。
心地……い……。
ズルッ!
静流「紅葉?!おいっ!」
静流が呼んでる。
うるさいから早く返事しないと。ずっと呼び続けちゃう。
静流「紅葉!」
目、開けられない。
ごめん静流。今は返事出来ない。
:07/09/04 01:25 :SO903i :GkaoQpe.
#238 [向日葵]
なんか頭の芯がフラフラするの。
世界が揺れて、私が座ってるのかすら分からない。
しっかりしなきゃ。
静流がまた私につきっきりになってしまう。
また彼女より私になってしまう。
私は二人の仲を引き裂こうなんて考えてないの。
理不尽に嫉妬をしてしまうかもしれないけど、それでも考えてない。
私には、幸せを壊す権利なんてないんだから……。
:07/09/04 01:32 :SO903i :GkaoQpe.
#239 [向日葵]
―堪―
静流「紅葉!」
後ろで怒鳴り声が聞こえる。頭に響くんだからもっと小さい声で呼びなさいよ。
足元がフワフワする。
世界が斜めに見える。
現在の私の体温。38.6℃。
:07/09/04 01:37 :SO903i :GkaoQpe.
#240 [向日葵]
しっかりしろ。私の体。
壁に手をつきながらソファーまでたどり着く。
そしてそこで座って息を肺が空になるまで吐いた。
紅葉「静流…学校、あるんでしょ?早く行きなさいよ。」
静流は私の前まで来ると膝立ちをして私と目線を合わせる。
あぁ……。静流が二人いる……。
二人の静流は手を上げると私のおでこにその大きな掌を当てた。
:07/09/04 01:42 :SO903i :GkaoQpe.
#241 [向日葵]
静流「今日は父さんも朝から仕事だし、俺今日休んでお前のか」
紅葉「馬鹿言わないで……っ。」
言葉を遮った。
言うと思った。
そんな事絶対いけない。
私の為に時間を使っては……彼女を傷つけてはいけない。
紅葉「寝てろって言うなら寝てるから。……早く、学校に行って。」
:07/09/04 01:46 :SO903i :GkaoQpe.
#242 [向日葵]
静流は何か言いたそうにしてる。
でも私は出来るだけ目を開いて、静流を真っ直ぐ見た。
紅葉「私は寝る。静流は学校へ行く。両方の要望を聞いた条件よ。ね。」
静流はハァ……と息を吐くと、私を抱き上げた。
部屋へ連れて行くらしい。
勝手に寝るからほっといてくれればいいのに。
でも、結構体がヤバめなので実の所はとても楽だった。
:07/09/04 01:51 :SO903i :GkaoQpe.
#243 [向日葵]
ゆっくり私を寝かすと、厚目の布団を私にかけてくれた。
そして微笑みながら私の頭を優しく撫でてくれる。
静流「じゃ、行って来るな。」
私は黙って静流を見る。
静流が三人に増えた……。三人の静流は部屋を出ていく。
階段を降りて、家のドアがパタンと静かに閉まった。
シーンと家が静まりかえる。
:07/09/04 02:00 :SO903i :GkaoQpe.
#244 [向日葵]
ようやく息を我慢することなく出来る。
静流に心配かけまいと、本当は走った後みたいに息があがっていたけれど通常の呼吸をしようとなんとかやってのけた。
部屋に自分の息しか聞こえない。
最悪だ。ここ何年かのせいで虚弱体質になってる。
せめてもっと食事出来れば……。
相変わらず少量だけど食べれるレパートリーは増えつつあった。
:07/09/04 02:04 :SO903i :GkaoQpe.
#245 [向日葵]
これも辛抱強く静流が付き合ってくれてるおかげだ。
そんな事をつらつら考えてると、私は眠りに落ちた。
―――――――……
痛い……。
知ってるこの夢。
母さんが見える。
笑ってる。冷酷な顔で。
何か言ってる。
「邪魔。アンタ邪魔。何で生まれたのよ。」
:07/09/04 02:08 :SO903i :GkaoQpe.
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