―温―
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#246 [向日葵]
あぁ……。
私また殴られてるんだ。
でも知ってる。
これは夢。
痛いけど、痛くない。
だから好きなだけ殴りなさいよ。
すると母さんは殴るのを止めた。
そのかわりまだ冷酷な顔で私を嘲笑ってる。
「アンタは本当に邪魔ね。」
知ってる。何回も言われたもの。
:07/09/04 02:10 :SO903i :GkaoQpe.
#247 [向日葵]
「人の幸せを安々と奪うのが好きね。」
母さんの後ろに、一つの影が現れる。
あの人……彼女さんだ……。
虚ろな目をした彼女さんは、口だけしか笑ってない奇妙な笑い方をした。
双葉「静流は私のなのよ……。貴方、横取りする気……?」
―――ドクン
:07/09/04 02:14 :SO903i :GkaoQpe.
#248 [向日葵]
違うと言いたいのに声が出ない。
そんなつもりはない。
ごめんなさい。
静流を好きになったのは確か。
でも決して引き裂こうだなんて事は……!
「嘘ばっかり。本当は思ってるんでしょ?」
母さんの声じゃないみたいに勘高い声で笑う。
違う。思ってない。
絶対!絶対に……っ!
もしそうなら、私はこの家を出る!
全ての原因が私ならば……っ!
:07/09/04 02:18 :SO903i :GkaoQpe.
#249 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
:07/09/04 02:19 :SO903i :GkaoQpe.
#250 [向日葵]
「約束だからね……。」
――――――――……
「!」
眠りから覚めた私はあり得ない程の汗をかいていた。
気持ち悪いけど体がダルいから服を着替えたくても起きる元気が全くない。
『約束だからね……。』
まだ耳にこびりついている彼女さんの言葉……。
私は夢の中で約束を交した。
所詮夢の中だと、切り捨てる事が何故か出来なかった。
:07/09/05 22:41 :SO903i :uTSNz6sY
#251 [向日葵]
部屋の時計を見ると、時計の針は十二時を差していた。
あれから結構な時間眠ったらしい。
家は相変わらずシーンとしている。
「ケホッ……。」
喉がイガイガして変な感じ。水でも飲みたい。
着替えもしたいし、気合いを入れて体を動かす事にした。
鉛みたいに思い上、体の節々がなんだか痛い。
多分熱のせいだ。
なんとか体を起こして、引きずる様に体を動かす。
キィ……。
:07/09/05 22:46 :SO903i :uTSNz6sY
#252 [向日葵]
壁に体を預けてフワフワした足取りで進む。
キッチンまで来てコップを持つものの、どこかにつかまってないと平行感覚を見失いそうだった。
とりあえずなんとか水をくんでから一気に飲み干す。
少しだけ意識がはっきりした気がした。
でも体力を全部使ったせいで着替える元気がなかった。
……せめて涼しい場所…。
フラフラしながらベランダの戸を開ける。
涼しげな風が入って来たところで、世界が真っ暗になった……。
:07/09/05 22:50 :SO903i :uTSNz6sY
#253 [向日葵]
―――――――
――――――――……
「――……。」
何?
「…………っ!」
誰か叫んでる。
「紅葉!」
静流?
うっすら目を開けると、文字通り目の前に静流の顔があって、一瞬息が止まった。
「お前こんな所で何寝てんだよ!」
「叫ばないで……頭に響く……。」
:07/09/05 22:54 :SO903i :uTSNz6sY
#254 [向日葵]
頭を抑えながら起き上がると、綺麗な声が聞こえた。
「こんにちは。」
紛れもなく彼女さんだった。綺麗な声に綺麗な顔。
非の打ち所が無いとはこの人みたいな人の事なんだろうな。
「紅葉ちゃん熱引いたの?」
自分の手でおでこに手をやり調べてみるけど全然分からなかった。
「多分……まだ。」
短く返すと、彼女さんはにーっこり笑った。
どうやら私が返事をしてくれた事が嬉しかったらしい。
:07/09/05 22:58 :SO903i :uTSNz6sY
#255 [向日葵]
その笑顔と、夢の中のでの無表情な顔が重なる。
あれは夢……。
現実じゃない。
頭では分かっていても少し身震いした。
「なんか食べたい物ある?私用意するから!」
「いいって!双葉は何もしなくて。」
二人はキッチンへと行った。
仲良さそうに言い合いをしながらキッチンで何かを用意している。
「……。」
服の裾を掴む手に力が入った。
慣れろ。
:07/09/05 23:02 :SO903i :uTSNz6sY
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