―温―
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#426 [向日葵]
階段を上がる時、嫌な音が聞こえた気がした。
ゴロゴロと、まるで何かが起こりそうな音。
上がってきてみて気づく。雨がまた降り始めていた事に。
今帰った二人、それに静流は雨に会ってることだれうなぁ……。
多分帰ってきたらずぶ濡れだ。
ピシャーン!!
「キ、キァァァ!!」
最悪だ!雷雨だと?!
ふざけんなっ!
私の思いに反抗するみたいに、雷はさっきよりも大きな音、眩しい光を放ってまた落ちてきた。
:07/09/18 03:45 :SO903i :EPqLf0/I
#427 [向日葵]
「イヤァ!!もう何よ!!」
テーブルの下に隠れて耳と目を塞ぐ。
チカチカ……フッ
雷のせいで停電になってしまった。
これじゃあ余計に雷の光が増して見える。
もうやだ……。
今日は散々だ。
静流ぶたれるし。
キスされるし。
忘れろって言われるし。
双葉さんと目の前でイチャつくし。
雷ヤバいし……。
なんで私ばっかりこんな目に会わなくちゃなんないの?!いくら罰でも酷すぎる……っ!!
:07/09/18 03:50 :SO903i :EPqLf0/I
#428 [向日葵]
「……っ誰か……。」
せめて雷さえおさまればいいのに……っ。
それどころかどんどん酷くなる。
その時だった。
何かが私を包んだ。
どうやら大きなタオルみたい。
そしてテーブルから出されて宙に浮く。
違う。
抱きかかえられてるんだ。
「大丈夫か?」
静流だった。
雨のせいで髪から滴が垂れている。
「帰って……来たの?」
:07/09/18 03:55 :SO903i :EPqLf0/I
#429 [向日葵]
「さっきね。」と答える静流と重なって、また雷が落ちる。
思わずひしっと静流にしがみついてしまった。
それにすぐに気づき、離れる。
「下ろして。約束忘れた訳じゃないでしょ?」
「今は休戦しようぜ。こんな震えてるくせに。」
知らなかった。
自分の体が震えてるなんて。言われてみればそうだ。
「怖いんだろ?雷。」
「?!ど……して。」
:07/09/18 03:58 :SO903i :EPqLf0/I
#430 [向日葵]
―――――
――――
今日はここまでにします
:07/09/18 03:59 :SO903i :EPqLf0/I
#431 [向日葵]
「今日DVDで雷の場面嫌がってたじゃん。」
「……!それで……。」
あそこを早送りしてくれたの?
自分自身の許しもなく、鼓動が高鳴る。
些細な事で嬉しくなる自分が逆に惨めに感じた。
静流は私を抱えたままソファーに座った。
そのままタオルを頭から被せて雷の恐怖を少しマシにしてくれた。
それ以前に雷なんて既にふっ飛んでしまった。
「雷止むまでこうしててあげるから。文句はそれから聞くよ。」
:07/09/18 13:39 :SO903i :EPqLf0/I
#432 [向日葵]
背中を大きな手でポンポンと 叩きながら、私の頭を濡れた胸元に押しつける。
今気づいた、
タオルを被したのは雷だけじゃなく自分の濡れた体から避ける為でもあるんだと。
「私なんか、ほっといて……着替えてきなさいよ。」
静流はクスッと笑うと、私を抱き直してまた背中をポンポンと叩く。
「いいからさ。」
「どうせすぐ忘れるでしょ。私の苦手なものなんて。」
:07/09/18 13:46 :SO903i :EPqLf0/I
#433 [向日葵]
すると静流は黙ってしまった。背中を叩く手も止まる。
雨と少し遠くなった雷の音、それと私達の呼吸が暗闇の中に響く。
しばらく経って、ようやく静流が口を開いた。
「忘れないよ。」
目の前には静流の胸。
顔は見えないけど、その声は真剣味を帯びていて、予想外の反応に私は目を見開いた。
また背中を叩くのを再開しながら、静流がまた言った。
「忘れないから……。」
:07/09/18 13:52 :SO903i :EPqLf0/I
#434 [向日葵]
―誘―
「俺紅葉が好きだから。」
これはついこの間の香月との会話。
あのDVD鑑賞会の時だ。
双葉と紅葉とが出かけている時に香月が言い出した。
「別にいいよな?狙っても。」
:07/09/18 13:56 :SO903i :EPqLf0/I
#435 [向日葵]
香月の目がマジだった。
どうやら冗談ではないらしい。
「なんで……。紅葉なんだよ。お前なら、学校にいくらでも告白してくれる奴いるじゃんかよ。」
「いいと思う奴いないし。ってか何?紅葉じゃ駄目な訳?」
「別に……。」
イスに座ってた香月が立ち上がって、俺の目の前まで寄ってきた。
「静流さ。紅葉が好きな訳?」
「え……。」
:07/09/18 14:03 :SO903i :EPqLf0/I
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