―温―
最新 最初 🆕
#436 [向日葵]
香月の顔が、何だか怒っている気がした。

「俺が紅葉に近づく度に、お前はいっつも言葉濁してるじゃんか。」

「それは!紅葉は妹みたいだし、今朝も聞いただろ。アイツはゴミ捨て場に……。」

「だから大切にしたいとでも言うのか?それなら話は早いよな。」

香月は俺の胸ぐらを掴んでぐいっと顔を近づけた。

「お前のそれは同情でも、兄弟愛でもない。恋情だよ。」

と言って胸ぐらを離した。

⏰:07/09/18 14:10 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


#437 [向日葵]
恋情……?

俺が紅葉に?

だって俺には……双葉が……。

「そんな筈……ない。」

香月は俺を少し睨んで横を通ると、ソファにドカッと座った。

「どう解釈するかはお前の勝手だ。だけどな、中途半端がどちらの事も傷つける事を知っておけよ。」

*********************

そしてここからがあれから数日後の話。

「ジャーン!」

⏰:07/09/18 14:14 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


#438 [向日葵]
と言って源さんが出してきた中くらいの箱。

箱には見た事のあるロゴ。

「これって。」

「そう!携帯だよ!」

開けてみると白い色をした携帯が入っていた。
人生初携帯。
分厚い説明書と共に登場。
「やっぱり今の時代なかったら不便でしょ?」

「はぁ……まぁ。」

「お金なら気にしないで!じゃんじゃん活用したらいいよ!」

⏰:07/09/18 14:20 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


#439 [向日葵]
そう言われると逆に使いずらい……。

幸いにも私は機械に強い方だったので説明書を少しパラパラと読めば使えそうだ。

「ありがとう……ございます。」

「どーいたしまして!じゃあ僕下でちょっと仕事してくるね。」

と源さんはカミングアウトした。

私は携帯を取り出して電源を入れる。
「Hello」と画面上に出た。

貰ったからには何かいじりたい。

⏰:07/09/18 14:25 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


#440 [向日葵]
「あ、そうだ。」

と電話が近くにある本を開ける。

そこには香月さんのケー番がかかれた紙切れ。

「登録しとこ。」

「何を?」

文字通り飛び上がった。
静流が帰って来て横から顔を出した。

「あ!携帯!しかも最新じゃん。いいなぁ〜。」

「源さんがくれたの。」

携帯を見せながら静流に言った。
静流は携帯をパカパカしたりして隅々まで見る。

⏰:07/09/18 14:33 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


#441 [向日葵]
一通り見てから携帯を私に返してくれた。

「で、登録って何を?」

「え?あぁ。香月さんのケー番を。」

と言いながら電話帳を開いたと同時にまた静流に取られた。

止める前に静流が携帯をいじる。
最初の設定のせいでボタン音がピピピピピピと鳴る。

待っているとようやく携帯が戻ってきた。
何をしたのかと電話帳を開いた。

そこには静流のメアドと番号が入ってた。

⏰:07/09/18 14:38 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


#442 [向日葵]
「よっしゃー第1号とったー。」

と言って部屋に入って行った。

私は一連の行動に半ば唖然としていて、「あ、メアド決めなきゃ」とか考えてた。

とりあえず香月さんの番号を入れてからメアドを決めて、香月さんに電話することにした。

ボタンを押して、携帯を耳にあてた。
数回呼び出し音が鳴った後

「ハイ?」

といつもの香月さんらしくない声が聞こえてきた。
何か警戒してる様な……。

⏰:07/09/18 14:48 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


#443 [向日葵]
「紅葉……です。」

しばらく間が開いて、「あぁ!」と聞こえた。

{知らない番号からだったから誰かなと思ったんだよ。}

あ、そっか。
だからいつもと違ったんだ。

「今携帯を買ったの。だから一応と思って。」

{そっか……。}

受話器越しに「ハハハ」と香月さんの笑い声が聞こえた。
何か面白いことでもあったんだろうか?

{ごめん。ちょっとね……嬉しくて。}

⏰:07/09/18 14:53 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


#444 [向日葵]
そう言われると、少し胸が温かくなって、キュゥっとした。

「はぁ……。そ、ですか……。」

{今度メアド教えてよ。映画の事とかでメールしたいし。}

「わかった。じゃあまた……。」

と言って電話を切った。

まだ胸が熱い……。

自分の胸に手を当てながら、実感する。

⏰:07/09/18 15:00 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


#445 [向日葵]
[嬉しくて。]

本当に嬉しそうに呟く香月さんの声が、耳に溶けてまだ余韻が残ってる。

……でも、私は……。

「紅葉。父さんは?」

ひょいと顔を覗かせる静流。

私は……静流が好き……。
香月さんは、何故そんな私を?
こんな私でもいいのだろうか。

そんな私を想ってくれる香月さんだからこそ、私は香月さんを選ぶべきではないんだろうか……。

⏰:07/09/18 15:08 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194