―温―
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#446 [向日葵]
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―――――……

「ねぇ静流!今度紅葉ちゃんと香月くんでダブルデートしてみない?」

学校帰りに双葉が提案した。
突然の申し出に俺はカパッと口を開けてしまった。

「デートって……。ってかそれ以前にアイツら付き合ってないんだぞ?」

「だから!よ。どう見たって、香月くんは紅葉ちゃんが好きみたいだし。協力しましょうよ。」

……協力ねぇ。

[お前のは恋情だ。]

首をブンブン横に振った。
まさか。確かに俺は紅葉が大事だ。
でも恋愛感情とか……そんなのは……。

⏰:07/09/19 02:24 📱:SO903i 🆔:1oBm0ns6


#447 [向日葵]
[分かった?]

この前の、紅葉の痛々しい笑顔を思い出した途端、胸がギュウッとなった。

「……。ねぇ静流。」

双葉に呼ばれて現実へ戻ってきた。
双葉を見ると、何か不安そうな顔をしていた。

「……私の事、好き?」

ベストの裾を掴みながら聞いてくる双葉に、フッと笑って俺はその手を包んだ。

それだけで気持ちが通じあう。

絶対……恋情なんかじゃない。

⏰:07/09/19 02:37 📱:SO903i 🆔:1oBm0ns6


#448 [向日葵]
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「紅葉まだぁ〜?」

「……。」

ほとんど毎日通いづめだと言っても過言ではない。と香月さんに対して思う今日この頃。

花壇の水やり最中に「おっす!」と言われて家に侵入。

映画の話をしたいから早く水やり終われとさっきからダダをこねる。

男性の精神年齢が低いと言われているがあながち間違ってないと思う。

呆れながら水やりをしていると

ズルッ!

「あ。」

⏰:07/09/19 02:45 📱:SO903i 🆔:1oBm0ns6


#449 [向日葵]
水に濡れた芝生のせいで足が滑った。
視界が反転する。

「……っ!」

ガシッ!

「……っとぉ…。大丈夫?」

香月さんが私を抱き止めてくれた。
おかげで水に濡れた芝生に倒れなくてすんだ……けど……。

[嬉しくて。]

あの香月さんを思い出す度、胸の奥が熱くなる。
そして今その本人に抱き止められてる自分。

⏰:07/09/19 02:49 📱:SO903i 🆔:1oBm0ns6


#450 [向日葵]
香月さんは私を立たせてくれた。

「あ……ありがとう。」

うつ向き加減に言うと、私の様子に気づいた香月さんはからかってくる。

「あっれぇ〜?何赤くなってんの〜?」

「バッ!こ、これは、今日っ暑いから!!」

苦しい言い訳。
何故なら今日はわりかし涼しい方で、爽やかな風が吹いちゃったりなんかしてるからだ。

でも香月さんは、そんな事は追及せず、ただにこにこ笑って私の頭をくしゃくしゃと撫でるだけだった。

⏰:07/09/19 02:52 📱:SO903i 🆔:1oBm0ns6


#451 [向日葵]
「気をつけなよ。」

時が穏やかに流れる。

やっぱり私は……香月さんを選ぶべきなのかな……。

カシャン

「ただいま。」

門を開いて、静流が帰ってきた。
世界がまた一変。
何故かピリピリしてる感じがした。

「来てたのか。香月…。」

「あぁ。紅葉に会いになっ。」

⏰:07/09/19 02:55 📱:SO903i 🆔:1oBm0ns6


#452 [向日葵]
更にピリピリ度が増した。

え?何?
この二人ケンカでもしてる訳?

「ちょっと来いよ香月。」

「お?告白かぁ?」

と、ふざけ合ってるようでどこか間合いを取ってる二人は家へと入って行った。
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パタン。

香月を連れ、玄関に入る。階段を上がって、俺らは部屋に入った。

⏰:07/09/19 02:58 📱:SO903i 🆔:1oBm0ns6


#453 [向日葵]
「なんだよ。俺犯されるとか?」

「なぁ香月。」

俺は香月に向き直る。

「俺はやっぱり、双葉が大事だ。紅葉は……違う。」

香月のふざけムードが一気に消える。
「ふぅーん」と言いながら、俺に歩み寄ってきた。
そして目の前でピタッと止まる。

「だったら闘争心むき出しにしてんじゃねぇよ。」

俺は眉を寄せて香月を見つめる。

「その言葉……忘れんなよ。」

⏰:07/09/19 03:10 📱:SO903i 🆔:1oBm0ns6


#454 [向日葵]
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今日はここまでにします

⏰:07/09/19 03:10 📱:SO903i 🆔:1oBm0ns6


#455 [向日葵]
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花壇の水やりを終えた私はリビングに戻っていた。
さっきは花を潤したけど、今度は私の喉を潤したくて水を一杯ゴクゴクと飲んだ。

それにしても、あの二人の険悪なムードは何なんだろうか。

ケンカであるなら早く仲直りするといいんだけど。

といらん心配をしていると、静流の部屋のドアがガチャリと開いた。

あ、部屋にいたのかとイスに座りながら思った。

リビングに顔を出した静流は何だか落ち込んでいた。だから思わず声をかけてしまった。

「そんなにヒドイケンカなの?」

⏰:07/09/21 01:56 📱:SO903i 🆔:FFR2DAXk


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