―温―
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#441 [向日葵]
一通り見てから携帯を私に返してくれた。
「で、登録って何を?」
「え?あぁ。香月さんのケー番を。」
と言いながら電話帳を開いたと同時にまた静流に取られた。
止める前に静流が携帯をいじる。
最初の設定のせいでボタン音がピピピピピピと鳴る。
待っているとようやく携帯が戻ってきた。
何をしたのかと電話帳を開いた。
そこには静流のメアドと番号が入ってた。
:07/09/18 14:38 :SO903i :EPqLf0/I
#442 [向日葵]
「よっしゃー第1号とったー。」
と言って部屋に入って行った。
私は一連の行動に半ば唖然としていて、「あ、メアド決めなきゃ」とか考えてた。
とりあえず香月さんの番号を入れてからメアドを決めて、香月さんに電話することにした。
ボタンを押して、携帯を耳にあてた。
数回呼び出し音が鳴った後
「ハイ?」
といつもの香月さんらしくない声が聞こえてきた。
何か警戒してる様な……。
:07/09/18 14:48 :SO903i :EPqLf0/I
#443 [向日葵]
「紅葉……です。」
しばらく間が開いて、「あぁ!」と聞こえた。
{知らない番号からだったから誰かなと思ったんだよ。}
あ、そっか。
だからいつもと違ったんだ。
「今携帯を買ったの。だから一応と思って。」
{そっか……。}
受話器越しに「ハハハ」と香月さんの笑い声が聞こえた。
何か面白いことでもあったんだろうか?
{ごめん。ちょっとね……嬉しくて。}
:07/09/18 14:53 :SO903i :EPqLf0/I
#444 [向日葵]
そう言われると、少し胸が温かくなって、キュゥっとした。
「はぁ……。そ、ですか……。」
{今度メアド教えてよ。映画の事とかでメールしたいし。}
「わかった。じゃあまた……。」
と言って電話を切った。
まだ胸が熱い……。
自分の胸に手を当てながら、実感する。
:07/09/18 15:00 :SO903i :EPqLf0/I
#445 [向日葵]
[嬉しくて。]
本当に嬉しそうに呟く香月さんの声が、耳に溶けてまだ余韻が残ってる。
……でも、私は……。
「紅葉。父さんは?」
ひょいと顔を覗かせる静流。
私は……静流が好き……。
香月さんは、何故そんな私を?
こんな私でもいいのだろうか。
そんな私を想ってくれる香月さんだからこそ、私は香月さんを選ぶべきではないんだろうか……。
:07/09/18 15:08 :SO903i :EPqLf0/I
#446 [向日葵]
*******************
―――――……
「ねぇ静流!今度紅葉ちゃんと香月くんでダブルデートしてみない?」
学校帰りに双葉が提案した。
突然の申し出に俺はカパッと口を開けてしまった。
「デートって……。ってかそれ以前にアイツら付き合ってないんだぞ?」
「だから!よ。どう見たって、香月くんは紅葉ちゃんが好きみたいだし。協力しましょうよ。」
……協力ねぇ。
[お前のは恋情だ。]
首をブンブン横に振った。
まさか。確かに俺は紅葉が大事だ。
でも恋愛感情とか……そんなのは……。
:07/09/19 02:24 :SO903i :1oBm0ns6
#447 [向日葵]
[分かった?]
この前の、紅葉の痛々しい笑顔を思い出した途端、胸がギュウッとなった。
「……。ねぇ静流。」
双葉に呼ばれて現実へ戻ってきた。
双葉を見ると、何か不安そうな顔をしていた。
「……私の事、好き?」
ベストの裾を掴みながら聞いてくる双葉に、フッと笑って俺はその手を包んだ。
それだけで気持ちが通じあう。
絶対……恋情なんかじゃない。
:07/09/19 02:37 :SO903i :1oBm0ns6
#448 [向日葵]
*********************
「紅葉まだぁ〜?」
「……。」
ほとんど毎日通いづめだと言っても過言ではない。と香月さんに対して思う今日この頃。
花壇の水やり最中に「おっす!」と言われて家に侵入。
映画の話をしたいから早く水やり終われとさっきからダダをこねる。
男性の精神年齢が低いと言われているがあながち間違ってないと思う。
呆れながら水やりをしていると
ズルッ!
「あ。」
:07/09/19 02:45 :SO903i :1oBm0ns6
#449 [向日葵]
水に濡れた芝生のせいで足が滑った。
視界が反転する。
「……っ!」
ガシッ!
「……っとぉ…。大丈夫?」
香月さんが私を抱き止めてくれた。
おかげで水に濡れた芝生に倒れなくてすんだ……けど……。
[嬉しくて。]
あの香月さんを思い出す度、胸の奥が熱くなる。
そして今その本人に抱き止められてる自分。
:07/09/19 02:49 :SO903i :1oBm0ns6
#450 [向日葵]
香月さんは私を立たせてくれた。
「あ……ありがとう。」
うつ向き加減に言うと、私の様子に気づいた香月さんはからかってくる。
「あっれぇ〜?何赤くなってんの〜?」
「バッ!こ、これは、今日っ暑いから!!」
苦しい言い訳。
何故なら今日はわりかし涼しい方で、爽やかな風が吹いちゃったりなんかしてるからだ。
でも香月さんは、そんな事は追及せず、ただにこにこ笑って私の頭をくしゃくしゃと撫でるだけだった。
:07/09/19 02:52 :SO903i :1oBm0ns6
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