―温―
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#461 [向日葵]
静流は視線をそのままに、テーブルに頬杖をついてまた話だした。
「危なっかしくて……目が離せない子だよ。」
それを聞いて、私は静流の視線を下を向いて遮る。
私じゃないみたい……。
私そんなドジじゃないし。
「好きって自覚はあるの?」
「いや?その子は妹みたいな存在だから……。」
私の頭の引き出しが整理を始める。
まず、静流には彼女である双葉さんがいる。
:07/09/21 02:24 :SO903i :FFR2DAXk
#462 [向日葵]
しかし最近出来た気になる人は妹みたいな存在の危なっかい子だ。
しかしそれは未だ恋かどうかは定かではない。
「じゃあやっぱり恋じゃないんじゃない?」
「……うん。俺もそう思いたい。双葉……傷つけたくないし。」
私はため息をついた。
双葉さんは静流が私を気に入ってるなんてよく言えたもんだよ。
静流の頭の中は、双葉さんでいっぱいだ……。
「あ!紅葉!」
「え?」
:07/09/21 02:27 :SO903i :FFR2DAXk
#463 [向日葵]
「デートしないか?!」
――――……
{ダブルデートォ?!}
受話器から香月さんの声が響く。
只今香月さんと携帯でおしゃべり中なのだ。
「双葉さんが提案者らしいです。」
{めんどくさっ!そんなん言わばアイツらのお守りじゃん。}
そこまで手はかからないと思うけど。
静流は不安且つまだOKもしていない楽しみでありそうな双葉さんを見てどうしても断れなかったらしい。
:07/09/21 02:32 :SO903i :FFR2DAXk
#464 [向日葵]
はっきし言ってやった。
「知るか。」
と。
{ってかさ、紅葉ちゃんは大丈夫なの?今以上のラブラブな二人を見る事になるよ?}
「途中から別行動すりゃあいいんです。」
じゃないとやってられない。
それでなくても家に来る度胸が痛くて息も出来ないくらいなのに……。
それがデートとなれば、定番であるUFOキャッチャー、プリクラはもちろんの事ボーリングに行けばハイタッチ。服を見れば双葉さんが似合いの服を静流に探すだろう。
:07/09/21 02:37 :SO903i :FFR2DAXk
#465 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
:07/09/21 02:37 :SO903i :FFR2DAXk
#466 [向日葵]
{そっか。分かった。じゃあ今度の日曜楽しみにしてる。}
「楽しみ……なの?」
{うん!楽しみ!じゃあまたね。}
何故楽しみなのか聞く前に電話は切られてしまった。
私もそろそろお風呂に入らなければ。
この頃傷が治ってきたのか、傷口が痒い。
だから早くお風呂に入って綺麗にしたい。
「紅葉。風呂入れよ。」
「今から入るとこ。いちいち言わないで。」
:07/09/21 15:21 :SO903i :FFR2DAXk
#467 [向日葵]
横を通りすぎようとすると、静流は私の腕を掴んだ。
止められた私は静流を眉を寄せて「なんだ。」と言う風に見た。
静流は口を開けては閉めを繰り返して、中々言葉を出してこない。
痺をきらした私は腕を掴む手を振り払った。
「もーっ!何っ?!」
「……ごめん。何でもない。」
そう言って部屋に戻ってしまった。
********************
部屋に戻って、風呂上がりでびちゃびちゃの髪の毛をバスタオルで拭いた。
:07/09/21 15:31 :SO903i :FFR2DAXk
#468 [向日葵]
ベッドに座り、今日一日を振り返る。
香月とはこじれるし……。訳の分からない気持ちにはイライラするし。
ってか気になる相手が紅葉だって事を本人が気づいてない。
いや、気づかなくていいけど。
今度の日曜で、俺の今のイライラを打ちきる。
俺は双葉を大切にする……。
双葉を悲しませたりは、決してしない……。
*********************
―――――……
そして日曜がやって来た。
暑い日差しの元で、長い時間歩いてられるかが心配だ。
:07/09/21 15:41 :SO903i :FFR2DAXk
#469 [向日葵]
なんせ久々の遠出。
それに加えあちこち歩き回る。
私の足と体力はもつだろうか。
待ち合わせの場所で、香月さんと双葉さんを待つ。
「なんか心配?」
「体力には自信が無いの。分かってるでしょ?引きこもり生活が長いの。」
「心配しなくて倒れたら家までちゃんと運ぶから。」
「じゃあそうならない様にするわ。」
じゃないとまた双葉さんが悲しむし。
:07/09/21 15:49 :SO903i :FFR2DAXk
#470 [向日葵]
結局私は、幸せになんかなれないのね。
「お待たせー!静流、紅葉ちゃん!」
「ちょっと手間取ったぁ〜!」
双葉さんと香月さんが一緒に来た。
双葉さんは真っ先に静流の元へ。
見せつける(私にはそう見えた。)様に静流の腕に抱きついた。
私は少しずつ後退して行くと、後ろから肩を静かに掴まれた。
振り返れば、そこに香月さんがいた。
そうだ……。
こういう場面。今日は一日ずっと見なくちゃいけないんだった。
そな覚悟を、もう一度しておくの、忘れてた。
:07/09/21 16:04 :SO903i :FFR2DAXk
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