―温―
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#486 [向日葵]
「大……丈夫。」
「ハイ嘘ぉー。ハイおいでー。」
と止める間もなく香月さんは私を引っ張ってどこかに歩いて行く。
着いたのは路地裏。
人通りは無いに等しい。
「歩く……の、早い……。」
少々息切れした。
「アハハ!ゴッメン!」
しばしの沈黙が訪れた。
私は息を整えながらさっきまでの事を思い返していた。
双葉さん企画「ダブルデート」は見事におじゃん。
…いや、香月さんが来たからこれで良かった?
:07/09/22 03:25 :SO903i :1kREaRMM
#487 [向日葵]
そして私の性格。
卑屈。短気。生意気。
そして邪魔者……。
「香月さん……。」
「ん……?」
「私……。何しに生まれてきたんだろ……。」
邪魔だから捨てられて、拾われて好きな人が出来て、その人の重荷になって……。
もう……疲れた……。
すると香月さんがゆっくり私に近づいて、優しく私を抱き締めた。
「紅葉。そんなお前見てたら俺……、待てないよ。」
:07/09/22 03:31 :SO903i :1kREaRMM
#488 [向日葵]
それから力を入れて、ギュッと私の体を腕で縛る。
「俺と付き合おうよ……。紅葉。」
付き合おう……?
香月さんと……?
付き合ったら……もう邪魔にならないかな。
足引っ張らずにすむかな。
静流の事で、泣かないですむのかな……。
私は香月さんの腕の中でゆっくり頷いた。
香月さんの腕に更に力が加わる。
しばらく抱き締めていた香月さんは、私の体を離した。
:07/09/22 03:34 :SO903i :1kREaRMM
#489 [向日葵]
知ってる。
今から何をするか。
何が起こるか。
・・・
あの時は、まだ分からなかったけど……。
香月さんの顔が近づいてくる。
それをぼーって見ていると、香月さんが囁いた。
「目……閉じろよ。」
言われるがままに閉じた瞬間、香月さんの唇が触れた。
でも、驚くことも、鼓動が高鳴ることもない。
それはやっぱり、どんなに辛い目にあったとしても、私の心が静流に向いている証拠なのだった……。
:07/09/22 03:39 :SO903i :1kREaRMM
#490 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
:07/09/22 03:39 :SO903i :1kREaRMM
#491 [向日葵]
―醒―
自分の気持ち押し殺すって、以外と難しいことで、息が出来ないくらいに苦しい。
でもそれをも超える想いがもしかしたら存在するのかもしれない。
その僅かな可能性に、私は賭ける事にした。
:07/09/23 00:40 :SO903i :NafT.peo
#492 [向日葵]
今日は中途半端な曇り。
だけど私は外に出かける。
約束があるからだ。
[午後四時半。門前にいてな。]
香月さんからそんな感じのメールが届いた。
私はその通りに動く。
何故なら私は香月さんの彼女だからだ。
カレカノなら、毎日でも会いたくなるのが普通でしょ?
だから私は会いにいく。
例えそれが偽りの気持ちだとしても。
:07/09/23 00:45 :SO903i :NafT.peo
#493 [向日葵]
門前に来て、塀にもたれながら空を見上げた。
きっと私にいつかとてつもない罰が下る。
あんなに優しい香月さんの気持ちを踏みにじって、私は香月さんと付き合う事にした。
香月さんは嫌で仕方ないと思う。
だから私は努力する。
香月さんが好きになれるように。
カシャン
「ただいま。」
ハッとして横を見ると、静流が帰ってきた。
「お……おかえり……。」
「……ん。」
それだけ言って、静流は家に入ってしまった。
静流は何も聞いてこない。
:07/09/23 00:52 :SO903i :NafT.peo
#494 [向日葵]
ダブルデートの日、香月さんと何かあったのかとか。
香月さんと付き合うのかとか……。
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本当は問い正したい気持ちでいっぱいだった。
香月から聞いた時は耳を疑った。
まさか紅葉が香月と付き合うだなんて……。
でも……俺には、関係無いことだから。
俺は……双葉がいるから……。
それでも不思議だった。
もともと紅葉はあまり顔に出ないタイプだけど、好きな人と付き合うって言うのに全然嬉しそうに見えない。
:07/09/23 00:55 :SO903i :NafT.peo
#495 [向日葵]
紅葉は香月が好きなんだろうか……。
ピルルルル!
ビクッ!
携帯だ。
発信者は……
「?もしもし。何で俺に?」
{なんか用事ないとしちゃいけねぇのかよ。}
香月だった。
「そういう訳じゃない。……ただ、紅葉にしないのかと思っただけだ。」
{それについて聞きたいんだ。}
:07/09/23 00:59 :SO903i :NafT.peo
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