―温―
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#561 [向日葵]
久々に二人で食べるご飯はとても美味しく感じた。

静流は私に「食べれるか?」とか「大分平気になって良かったな。」と温かい眼差しで言った。

私はウンと答えるしか出来なかったけど、静流には多分伝わっているだろう。

そんな時だった……。

ピンポーン

二人で顔を見合わせた。

「誰だろう。」

私は使ってたフォークを置いて階段を降り、玄関を開けた。

⏰:07/09/28 15:18 📱:SO903i 🆔:IaBHbH2A


#562 [向日葵]
「双葉さん……。」

「こんばんわ。」

いつもの明るく愛想のいい挨拶をしてくれた。
でもなんだか様子が変だ。

「えと、静流呼んで」

「貴方に話があるの。」

静流がいるだろうと思う所らへんの天井を見た顔を下に下げ、双葉さんを見た。
見て驚いた。
少しの間で、双葉の顔は洗った後みたいに濡れていた。それは涙のせいだ。

「紅葉ちゃんは……ズルイ……。」

⏰:07/09/28 15:22 📱:SO903i 🆔:IaBHbH2A


#563 [向日葵]
涙でしゃがれた声でそう言われた。
そして瞬時に分かった。
双葉さんは、静流に別れを告げられたんだと。

「こんな近くにいちゃったら……っ誰だってその子を見ちゃうよ!貴方が捨てられてるのを発見してから静流の言葉に貴方の名前が無い日はなかった!!」

―――ズキン

私……ズルイんだ……。

「ひどいよ…っ!!静流が大好きなのに……紅葉ちゃんが横取りするなんて……そんなのひどいよ!!」

「やめろ!!」

⏰:07/09/28 15:26 📱:SO903i 🆔:IaBHbH2A


#564 [向日葵]
騒ぎで降りてきた静流が後ろで怒鳴った。

私はずっと双葉さんを見たまま体を動かす事も出来ず、固まっていた。

「紅葉のせいじゃない。俺が悪いんだ。双葉を好きでいてやらなかった俺が……。だから、紅葉を責めるのはよせ。」

双葉さんの見開かれた目からは涙が次から次へと流れていった。
そして急にきびすを返して走り去って行ってしまった。

「静流……追ってあげて……。」

「なんで。」

⏰:07/09/28 15:31 📱:SO903i 🆔:IaBHbH2A


#565 [向日葵]
背中を向いたまま、開かれたドアの向こうを見ながら静流に言った。

「どうして別れたの。」

「……言っただろ。……前に」

「よく考えてみてよっ!!私がここにいなかったら、静流はいつまでも双葉さんと仲良くいたのよ?!私の……私のせいで、別れたりしないでよ!」

「だから違うって言ってんだろっ!!」

大声を出した静流に私はビクッとした。
静流は戸を閉めて私を階段近くまで引っ張った。

⏰:07/09/28 15:36 📱:SO903i 🆔:IaBHbH2A


#566 [向日葵]
大きな両手で私の顔を包むと、静流は上を向かせた。

「どうして、お前は自分ばかり責めるんだよ。そこまで…自分を傷つけなくていいんだ。」

静流の切ない目が潤んで、とても綺麗に感じた。
私はそれに目が離せなくなる。

「人を好きになるのは誰のせいでもない。だから、頼むから……。俺の気持ち分かってくれよ。」

そう言いながら辛そうに目を瞑り、私のおでこと静流のおでことをコツンと当てた。

⏰:07/09/28 15:42 📱:SO903i 🆔:IaBHbH2A


#567 [向日葵]
分かる。
好きって気持ちは、ホントどうしようもなくて、押し止めてしまうのが苦しい。

だから言葉が溢れていくんだと思う。

「好き。」

…………と。

静流が目を開けた。

「今……なんて?」

「好き。私は静流が好き。でもね……また違うの。貴方の好きと、私の好きは……。」

静流は一瞬輝かせた目を戻して私の続きを待った。

⏰:07/09/28 15:46 📱:SO903i 🆔:IaBHbH2A


#568 [向日葵]
「ありがとう。こんな私を好きになってくれて。おやすみなさい。」

私は静流の手を顔から離して横を通り過ぎ、階段を上がって行った。

「紅葉。」

進める足をピタッと止める。下を向くと、さっきのまま静流が私に話しかけている。

「これからも……お前が俺を好きになることは……俺を恋愛対象として見ることは……ないのか?」

あるよ。あるじゃない。
現在進行系で貴方が大好きなの。

――横取りするなんて……っ!

私が双葉さんの立場でも多分そう思う。
私はズルイ。

⏰:07/09/28 15:52 📱:SO903i 🆔:IaBHbH2A


#569 [向日葵]
静流に大事にされて、優しくされて……。
彼女立場とすれば目の上のタンコブに違いない。

大好きな人の心が、自分に向いてないことは、なんて悲しいんだろう。

「……。ない。」

それだけ言って、私は階段を登って行った。

―――――……

やっと源さんが帰ってくる日。
あれからも態度は変わらない私達。
しかしうっすらと作られてしまった壁。
きっと元に戻る事はない。でもそれでいい。

⏰:07/09/28 15:57 📱:SO903i 🆔:IaBHbH2A


#570 [向日葵]
源さんは夕方頃にボサボサな頭を更にボサボサにさせて帰ってきた。

「ただいま!仲良く留守番してた?」

「そんな年じゃないっつーの。」

そんな温かい親子を少し微笑みながら見ていた私は、心の中で思った。

――いよいよだ……。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜。
良かった事に今日は満月が綺麗に出るほど天気のいい空だ。

ベランダで体育座りをしながら眩しい月を見上げる。

⏰:07/09/28 16:01 📱:SO903i 🆔:IaBHbH2A


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