―温―
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#226 [向日葵]
「じゃあ。」と、静流は私を抱きかかえた。

静流「家に帰ろっか。」

赤ちゃんの様に抱かれた私は、静流の胸元をギュッと掴んだ。
首に腕を回すことはしてはいけないと思ったから。

静流は歩いてる間私が安心するように背中をポンポンとまるで赤ちゃんを寝かすみたいに叩いた。

それでも私は胸が詰まってただその一定のリズムに耳をすませていた。

しばらく歩いた頃だった。小さな声で静流が「あ。」っと言った。

⏰:07/09/03 02:39 📱:SO903i 🆔:WQXhAmnc


#227 [向日葵]
視線の先にはあの人……彼女さんがいた。
どうやら私が見つかったのをまだ知らないらしい。
そこら辺をうろうろ見ている。

紅葉「静流。下ろして。」

静流「え。でも……。」

紅葉「いいから。」

私を抱いてる姿を見てしまったら、また彼女は嫉妬してしまう。
二人の仲を引き裂くつもりなんてこれっぽっちもない。
だから私は先手を打った。
紅葉「あ、あの……!」

声をかけると、彼女はこちらを向いた。

⏰:07/09/03 02:42 📱:SO903i 🆔:WQXhAmnc


#228 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/09/03 02:43 📱:SO903i 🆔:WQXhAmnc


#229 [向日葵]
双葉「あ……っ!紅葉ちゃ…。良かった、いたんだ。」

心配してくれる彼女を見てなんだか眩しくて、今まで避けて続けた自分がなんか情けなくてまともに顔を見る事が出来なかった。
視線が泳いでしまう。

紅葉「すいませんでした……。」

それだけ言って私は家に入った。

*****************

紅葉が家に入ってしまった後、静流と双葉は門前に立って喋った。

双葉はずぶ濡れの静流に自分がさしていた傘に入れてやる。

⏰:07/09/04 00:37 📱:SO903i 🆔:GkaoQpe.


#230 [向日葵]
静流「いいよ。めう意味ないし。」

双葉「クスッ。そうだけど。今日はあったかくして寝てよ?明日風邪で休んだら承知しないんだから。」

静流「ウン。ありがとう……。」

二人の世界に入りつつある。
もう少しで唇を触れる雰囲気になりそうなのに、何かが静流を止めた。

それになんとなく気づいた双葉は話題を変えた。

双葉「あの子の事、大切にするのもいいけど自分も大切にしなよ?」

⏰:07/09/04 00:42 📱:SO903i 🆔:GkaoQpe.


#231 [向日葵]
静流「双葉も大切にする。」

そう言って双葉のおでこに唇を軽く触れた。

静流はやっぱり唇にするのを何故かためらった。

それでも双葉は満足だった。
最後にもう一度「温かくして寝るように」と双葉から念を押されて二人は別れた。
静流は双葉の姿が見えなくなってから家に入った。

****************

紅葉「ただいまー……。」

小さな声で言いながら二階へ上がると、すぐに私に近づく足音が聞こえた。

源「紅葉ちゃん!」

⏰:07/09/04 00:48 📱:SO903i 🆔:GkaoQpe.


#232 [向日葵]
源さんは私を見つけるなり、抱きついた。

避ける間もなく私はされるがままに抱き締められた。少し天パ気味の髪の毛が顔にかかってこそばい。

気づけば源さんの私を抱き締める手が震えている事が分かった。

源「良かった……。無事で……。」

まるでどこかに誘拐されてたみたいに源さんはそう言った。

優しい人達……。
私なんかの為にそこまで心配することないのに……。

⏰:07/09/04 00:54 📱:SO903i 🆔:GkaoQpe.


#233 [向日葵]
すると後ろからも足音が。もちろん静流だ。

源さんは私の後ろに静流が立つのを確認すると、私を解放して右手を軽く掲げた。

パシッ

小さな乾いた音がした。
源さんは弱く静流の頬を叩いたのだった。
私はそれをただ呆然と見ていた。

この人も殴る事なんてあるんだ……。

静流は黙ってうつ向いてる。

源「君もお母さんがいないなら分かるでしょ。家族に出て行けなんて絶対言っちゃいけないよ。」

⏰:07/09/04 01:00 📱:SO903i 🆔:GkaoQpe.


#234 [向日葵]
静流は下を向いたままコクンと頷いた。
すると静流の濡れた頭を源さんはクシャクシャと撫でた。

お咎めは終わりらしい。

源「さぁ二人共。お風呂に入って温めておいで。」

――――――……

お風呂に入った後、私はリビングのベランダ近くに座っていた。

梅雨真っ只中に入った空は、灰色のままだ。

でもそんなのとは裏腹に、私の心は少しだけ晴れ晴れとしていた。

⏰:07/09/04 01:04 📱:SO903i 🆔:GkaoQpe.


#235 [向日葵]
何故ならモヤモヤした正体が分かったからだ。

私は静流の事が、異性として好きみたい。
イライラした感情は嫉妬。脈打つ心臓は好意の印。

何故か冷静に判断出来る。
その理由はきっと、この想いが通じる事は無いからだ。

静流「紅葉?」

消えていた電気を点けられた。急で少し目がショボショボする。

静流「なぁにしてんの?」

隣にあぐらをかいて座る静流。お風呂あがりだから熱気が少し漂ってくる。

⏰:07/09/04 01:12 📱:SO903i 🆔:GkaoQpe.


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