―温―
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#411 [向日葵]
「ん?何かさ、電話するより話した方が早いと思って。ちゃんと話した事ってあんまりなかったっしょ?だから一回ゆっくり喋りたいと思って。」
ニカッと笑うと、私の頭を撫でてきた。
静流が真っ直ぐだからその友達も真っ直ぐに気持ちをぶつけてくるみたい。
まさしく類友。
だから私はこの人に対する反応に困ってしまうのだ。
「さてと。まずはお互いの事でも知り合おっか!趣味とかは?」
「あのね。お見合いじゃないんだから……。」
:07/09/18 02:26 :SO903i :EPqLf0/I
#412 [向日葵]
そこでなんだか笑えてしまって、ハハと軽く笑った。
すると香月さん口がぽかんと開いた。
私は眉を寄せて「何事?」と思った。
「笑った……。めちゃくちゃ可愛い……。」
「なっ……!!」
驚いた。
可愛いなんて初めて言われた。
更にしどろもどろになる。
「趣味知りたいんでしょ!趣味は映画よっ!映画鑑賞!」
「え?マジ?俺も映画超好き!」
:07/09/18 02:31 :SO903i :EPqLf0/I
#413 [向日葵]
香月さんは最近の最新作とかを沢山教えてくれた。
私は甘ったるいラブストーリーよりもミステリーとかホラーとかが結構好きだった。
「へー。怖そうなのならもうすぐ公開するよ。なんなら見に行く?」
「いいけど……。私、街あんまり好きじゃないし……。」
「穴場知ってるんだ。行こうよ。」
行きたい。
でもそれってデート?
あまり意識したくないけど意識してしまう……。
:07/09/18 02:35 :SO903i :EPqLf0/I
#414 [向日葵]
「あれ?香月くん来てたの!」
二人で横を向くと、リビングの入口に彼女さんと静流が立ってた。
彼女さんの手にはトレーに乗った二つのコップ。
おそらくジュースが無くなったコップを彼女さんがキッチンに運ぶと持って来て、静流の事だから「いいよ」と止めに着いてきたのだろう。
まんざら間違いでもなさそうな自分の分析に呆れた。
「どうしたのどうしたの?紅葉ちゃんと仲良しなんだね。」
:07/09/18 02:41 :SO903i :EPqLf0/I
#415 [向日葵]
「映画が好きなんだって。だからその話してたら盛り上がっちゃって!今度ホラー見に行こうって言ってたとこ!」
静流は香月さんの言葉に無言で私を見つめた。
初めて聞いたみたいな顔をして。
当たり前じゃない。
聞かれもしなけりゃ言ってもないもの。
「そうなの?あ!じゃあ、近くのレンタルビデオで怖そうなの借りてこない?ね!紅葉ちゃん!」
え、私?
「ね、行こ!」
「え、ちょっ……。」
有無を言わさず私は彼女さんに引っ張られて家を出た。
:07/09/18 02:46 :SO903i :EPqLf0/I
#416 [向日葵]
ストレートに気持ちを伝えるだけじゃなくゴーイングマイウェイな人達すぎる……。
振り回される方の身にもなりなさいよ……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「リングとかはやっぱり定番だから見ちゃったかなぁ?」
DVDを両手に持ちながらウキウキ私に喋りかける彼女さん。
静流がいたならそれは「可愛いなぁ」とかって思うんだろう。
「紅葉ちゃん?」
私の目の前で首を傾げる彼女さん。
ハッと自分の世界から帰ってきた。
:07/09/18 02:50 :SO903i :EPqLf0/I
#417 [向日葵]
「どうぞ彼女さんが怖そうだと思うの選んで下さい。」
「アハハ!やだなぁ。彼女さんだなんて。双葉でいいよ。」
彼女さん、もとい、双葉さんはニカッと笑ってDVDを次から次へと見ていく。
「静流がね。貴方の話をよくするの。」
「え……。」
双葉さんはDVDのあらすじを読みながら話す。
私はその横顔を見つめた。
「貴方がよっぽど好きなのね。」
:07/09/18 02:56 :SO903i :EPqLf0/I
#418 [向日葵]
優しく微笑む。
でも少し悲しそうだった。
「静流は貴方以外目に入ってませんよ。貴方の話をする静流は、すごく優しい顔しますから。」
「……本当?」
双葉さんの目がきらきらと輝く。
少し興奮してるのか頬が赤くなってる。
恋する乙女って感じだな……。
「本当ですよ。自惚れてもいいほどに。」
そう言うと嬉しそうににこぉっと笑って、カゴにいくつもホラーのDVDを入れていく。
:07/09/18 03:02 :SO903i :EPqLf0/I
#419 [向日葵]
間違ってない……。
間違ってないでしょ静流。
だから二度と、傷ついたような目で私を見ないでね……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お!おかえりぃ!」
一番に香月さんが言ってくれた。静流と香月さんはは微妙に離れてソファーに座り、見る準備をしていた。
双葉さんは静流の隣に。
私は香月さんの隣に座った。
順番的に静流、双葉さん。少し離れて香月さん私の順で座っている。
:07/09/18 03:07 :SO903i :EPqLf0/I
#420 [向日葵]
雰囲気を出す為にカーテンを閉めて、部屋を暗くする。
タイトルが出て、映画が始まった。
静流達の方を見ると、双葉さんはクッションを抱き締めて静流に寄り添ってる。その肩を、静流は抱き寄せている。
視線を泳がせて、もう二度と見ないように体育座りをして、膝の上に顎を乗せて、映画に集中する。
「怖かったらいいなよ。」
香月さんがこそっと私に言う。
座っている距離を縮めながら。
:07/09/18 03:11 :SO903i :EPqLf0/I
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