―温―
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#556 [向日葵]
足取りがフラフラしている。
大丈夫だろうか……。
ゴメン双葉。
双葉はすっげぇいい奴だし、傷つけたくなんてなかった……。
それでも、自分の気持ちに嘘はつけなくて……。限界なんだ。
俺も教室へ帰った。
すると香月が入口付近に腕を組んで立っていた。
「へぇ……。やっと本気出すんだ。」
大して面白いことなんて無いのに香月は笑っている。
「香月……俺、紅葉に言ったから。好きだって……。」
:07/09/28 00:49 :SO903i :IaBHbH2A
#557 [向日葵]
「へー。」
香月との今日の会話はこれで終わりだった。
香月との仲が、日に日に悪くなっていってる事が痛いほど分かる。
それも全部、俺のせいだって……分かってるけど……。
家に帰ると紅葉の姿がなかった。
ベランダに出る戸にカーテンがかかってる。
多分外にいるんだろう。
テーブルを見ると小さな字で書かれたメモがあった。
<一人でご飯食べて。私はいらない。>
:07/09/28 15:01 :SO903i :IaBHbH2A
#558 [向日葵]
一度、ベランダの方を見た。
そして料理を作って、シンとする中で食べる。
結構辛いものだ……。
どうしてこうなったんだろう……。
*********************
そんな風にしながら日は過ぎていった。
足りない頭で私は考えた事がある。
静流が学校へ行ってる間、私は働いてる源さんへ電話をした。
プルルルルル
{もしもし。}
「源さん。紅葉です。」
:07/09/28 15:06 :SO903i :IaBHbH2A
#559 [向日葵]
「……お願いがあります。」
―――――……
ガチャン
静流が帰ってきた音が聞こえた。
大丈夫。落ち着け。
いつも通りだ。
リビングに来るかと思いきや、静流は部屋へ行ってしまった。
「フ……フゥ―……。」
緊張しすぎだ。
ソファーに座っていた私はずるずると寝転んだ。
:07/09/28 15:09 :SO903i :IaBHbH2A
#560 [向日葵]
今日は……絶対顔見せよう。
大丈夫。静流ならきっとまたいつも通りでいてくれる。
頭の中でずっと「大丈夫」と唱え続けた。
「あ、いたんだ。」
思わず飛び起きた。
着替えていたらしい静流は、いつの間にか部屋から出ていて上から覗いていた。
「ご飯……食べるか!」
気まずそうに笑い、静流はキッチンへと行った。
私は少しホッとする。
良かった。笑いかけてもらって。
冷たくされるんじゃないかと心配した。
:07/09/28 15:14 :SO903i :IaBHbH2A
#561 [向日葵]
久々に二人で食べるご飯はとても美味しく感じた。
静流は私に「食べれるか?」とか「大分平気になって良かったな。」と温かい眼差しで言った。
私はウンと答えるしか出来なかったけど、静流には多分伝わっているだろう。
そんな時だった……。
ピンポーン
二人で顔を見合わせた。
「誰だろう。」
私は使ってたフォークを置いて階段を降り、玄関を開けた。
:07/09/28 15:18 :SO903i :IaBHbH2A
#562 [向日葵]
「双葉さん……。」
「こんばんわ。」
いつもの明るく愛想のいい挨拶をしてくれた。
でもなんだか様子が変だ。
「えと、静流呼んで」
「貴方に話があるの。」
静流がいるだろうと思う所らへんの天井を見た顔を下に下げ、双葉さんを見た。
見て驚いた。
少しの間で、双葉の顔は洗った後みたいに濡れていた。それは涙のせいだ。
「紅葉ちゃんは……ズルイ……。」
:07/09/28 15:22 :SO903i :IaBHbH2A
#563 [向日葵]
涙でしゃがれた声でそう言われた。
そして瞬時に分かった。
双葉さんは、静流に別れを告げられたんだと。
「こんな近くにいちゃったら……っ誰だってその子を見ちゃうよ!貴方が捨てられてるのを発見してから静流の言葉に貴方の名前が無い日はなかった!!」
―――ズキン
私……ズルイんだ……。
「ひどいよ…っ!!静流が大好きなのに……紅葉ちゃんが横取りするなんて……そんなのひどいよ!!」
「やめろ!!」
:07/09/28 15:26 :SO903i :IaBHbH2A
#564 [向日葵]
騒ぎで降りてきた静流が後ろで怒鳴った。
私はずっと双葉さんを見たまま体を動かす事も出来ず、固まっていた。
「紅葉のせいじゃない。俺が悪いんだ。双葉を好きでいてやらなかった俺が……。だから、紅葉を責めるのはよせ。」
双葉さんの見開かれた目からは涙が次から次へと流れていった。
そして急にきびすを返して走り去って行ってしまった。
「静流……追ってあげて……。」
「なんで。」
:07/09/28 15:31 :SO903i :IaBHbH2A
#565 [向日葵]
背中を向いたまま、開かれたドアの向こうを見ながら静流に言った。
「どうして別れたの。」
「……言っただろ。……前に」
「よく考えてみてよっ!!私がここにいなかったら、静流はいつまでも双葉さんと仲良くいたのよ?!私の……私のせいで、別れたりしないでよ!」
「だから違うって言ってんだろっ!!」
大声を出した静流に私はビクッとした。
静流は戸を閉めて私を階段近くまで引っ張った。
:07/09/28 15:36 :SO903i :IaBHbH2A
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