―温―
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#546 [向日葵]
私は小さく深呼吸した。
言葉が見つからない。
私の事好きなのかなんて聞けない。
もしかしたら香月さんの勘違いかもしれない。
「好き」の意味を間違えてるのかもしれない。
「好き」は「好き」でも、よく言うように、LoveじゃなくLikeの方なんじゃ……。
そうだ。
きっとそうだよ!
希望を取り戻した私は静流に向き直った。
「ちょっと、気分が優れないだけよ。気にしないで。」
:07/09/27 13:20 :SO903i :mIbFwEuo
#547 [向日葵]
そう言うと、静流の顔が、緊張した顔からスッと力が抜けた表情になった。
それを見て、私もホッとした。
でも、安心したのも束の間だった。
急に静流が唇をキュッと閉めて、真剣な目をした。
それを不思議に見ていた私は、ぼんやりしていたせいで逃げる事を忘れた。
静流は私を抱き締めた。
それも、息が出来ないほど、強く……強く……。
抱き締められた瞬間、目を見開いて私は固まった。
静流の体温を、鼓動を感じる……。
:07/09/27 13:35 :SO903i :mIbFwEuo
#548 [向日葵]
「静流……?」
「紅葉。俺さ。…………。お前が好きだ……。」
目が落ちてしまいそうなくらい、私は目を開いた。
聞いてはいけなかった。
どうして私さっき逃げなかったの……?
静流はゆっくりと私を離した。
「あの……返事は、ゆっくり考えてくれたらいいから。」
返事?
そんなの、考えるほどでもないわよ。
「いい。今言う。」
:07/09/27 13:39 :SO903i :mIbFwEuo
#549 [向日葵]
静流を見ないで上手く吸えない息を無理矢理肺に入れる。
「答えは……NOよ。分かってんでしょ?私には、香月さんがいる。」
涙……お願いだから出ないでね。
否定の言葉を言う事に集中しなさい私。
じゃないと、溢れて出てしまいそうになる。
私も貴方が大好きだって……。
「静流は、きっと気持ちが麻痺してるの。私が、近くにいたせいね。もう一度、よく考え」
「考えたよっ!」
:07/09/27 13:43 :SO903i :mIbFwEuo
#550 [向日葵]
次の瞬間、静流は私の肩を掴んでガクガク揺らした。
「なんでそんな冷たい事言うんだよ!人が精一杯の気持ちを……言ってんのに……っ。いいよ。断られるのは…分かってた……。でも、何でそんな、麻痺してるとか言うんだよっ!!」
静流は壁をものすごい音を立てて叩くと、自分の部屋へ戻ってしまった。
結局私は最後まで静流の目を見れずにいた。
「ゴメン……。静流……。」
パタタタタ
床に小さな水溜まりが出来た。
:07/09/27 13:48 :SO903i :mIbFwEuo
#551 [向日葵]
足が、震える。
初めてだ。あんな悲しそうで、辛そうで、泣きそうな静流の声を聞いたのは……。
これでいい…。
これで…………。
「―――っゴ、ゴメン……っ!!ゴメンネ……っ静流……っ!!」
謝るしか出来ない。
ありがとう。
私なんかを好きになってくれて。
とても嬉しかった。
私も貴方が大好き。
でもね……どうしても自分が幸せになるのが許されない。
:07/09/27 13:51 :SO903i :mIbFwEuo
#552 [向日葵]
静流はあんなにも温かい心をくれたのに……私は何も返せなくて。
ゴメンネ……ゴメンネ……。
ごめんなさい…………。
外では、雨が降り始めていた。
―――――……
朝起きると、薄手の布団がかけられてた。
当然、あの後だったから、静流の部屋にある自分の布団には行けず、ソファーで寝た。
目が重い……。いっぱい泣いたからかな。
:07/09/27 13:55 :SO903i :mIbFwEuo
#553 [向日葵]
「あ゛ー……あ゛ー……。」
喉がかすれてる。
声が出しづらい。
体も……重い……。
喉を擦りながら、ゆっくりと体を起こした。
……これからどうしたらいいのかな……。
静流はまた微笑みかけてくれる?
また優しく頭を撫でてくれる?
また……名前を読んでくれる……?
膝を抱えて、その膝に、顔を押しつける。
どうして私は……あんな形で静流に出会ってしまったんだろう。
:07/09/27 17:31 :SO903i :mIbFwEuo
#554 [向日葵]
普通に出会っていれば、静流の胸に迷わず飛び込んでいけるのに……。
【あんたなんか生まれてこなければ良かった。】
【約束だからね……。】
「……フフ…。ハハハハ……。」
どうやら、私は邪魔者になるのが運命らしい。
*******************
「どういう……こと?」
双葉は顔が真っ白になってた。
それもその筈だった。
:07/09/27 17:34 :SO903i :mIbFwEuo
#555 [向日葵]
「言った通りだ。……ゴメン双葉。別れよう。」
しばらくしてから双葉の目からは大粒の涙がこぼれ始めた。
「やだ……やだやだやだ!どうして?!私…っ何かしたの……っ?」
「してないよ。全部俺が悪い……。俺、紅葉が好きなんだ。」
双葉は涙を流しながら固まった。
白い肌が余計に白くなって行く……。
「……分かった。」
そう言うと双葉は自分の教室へ帰ってしまった。
:07/09/28 00:45 :SO903i :IaBHbH2A
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