―温―
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#631 [向日葵]
{おぅ。じゃあまたな。}

短い時間の深いやりとりはあっけなく終わった。

香月さんの声がまだ耳に残ってる。

周りの幸せ……。
香月さんは、幸せでしたか?私といて、楽しかったのかなぁ……。

まだ……迷路の途中……。

********************

寝静まった時に、事は動いた。

携帯の着信音で夢の中から現実に引き戻された。

⏰:07/10/10 01:17 📱:SO903i 🆔:220qOU2E


#632 [向日葵]
「ンン……?――もしもし?香月?」

{この野郎。呑気に寝てやがったな。}

「そりゃ夜は睡眠が為に暗くなるんだもん。」と答えると、香月は「馬鹿。」と短く返した。

代々今は夜中2時。テストで一夜漬けする訳でも無し、不眠症になってる訳でも無し。かと言って夜行性な訳でも無い。

「なんかあったの?」

{あぁ。そりゃもう大収穫だ。}

「畑仕事の話なら明日聞いてやるよ。」

⏰:07/10/11 11:57 📱:SO903i 🆔:fYkeSG8s


#633 [向日葵]
冗談混じりに言った俺は、次の香月の言葉にベッドから飛び起きた。

{分かったぞ。紅葉の場所。}

「―――っ!!ど、どこにっ!!!」

香月は紅葉の居場所、それに泊まっている所まで教えてくれた。
俺は香月に一旦待ったをかけて、教えてくれた場所をメモにとった。

しかし……

「……お前、行かないのか?」

{……今日、別れたから。それに、アイツが待ってんの俺じゃねーし…。}

⏰:07/10/11 12:01 📱:SO903i 🆔:fYkeSG8s


#634 [向日葵]
「……ありがとう。」

それだけ言って、俺は電話を切った。

香月に悪いと分かっていても、居場所を知った俺の胸は希望で高まっていた。

今週の土曜……。父さんには内緒で……



紅葉を、迎えに行く。


――――――――……

準備をしている間、幸いにも父さんは仕事で家にはいなかった。

急に喜びで顔色が変わった俺としては願ってもない事だ。

⏰:07/10/11 12:05 📱:SO903i 🆔:fYkeSG8s


#635 [向日葵]
カバンにある程度の荷物を詰め込みながら、俺は物思いにふけっていた。

紅葉に会ったら、アイツはどんな風に思うだろう。

自分の予想としては、きっと怒鳴り散らされるだろう。

どうして放っておいてくれないのかとか、何でここまで来ているのかとか。

それでも……いい。

帰っておいで?紅葉。
だって言ったじゃん俺。

お前を必要とするってさ……。

********************

あまりにグータラするのは如何なもんかと思い、自分の部屋だけでも掃除しようと畳の上を掃いていた。

⏰:07/10/11 12:09 📱:SO903i 🆔:fYkeSG8s


#636 [向日葵]
ホントは旅館の何かを手伝った方がいいんだろうけど、今日は土曜日。宿泊客が多い為、旅館はフル回転で動き回っていた。

「紅葉!」

襖を開けて、旅館の手伝いで忙しそうな渚さんが顔を出した。

「悪いんだけどさ、砂浜のゴミ拾いして来てくんない?私の日課なんだけど手が回んなくてさ!」

「ウン。分かった。」

そして渚さんはまた手伝いに行ってしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゴミ袋と、なんか挟むやつを持って砂浜へ。

⏰:07/10/11 12:14 📱:SO903i 🆔:fYkeSG8s


#637 [向日葵]
夏の風物詩、花火の欠片がちらほら落ちている。

そうか……もう七月だもんなぁ。

花火なんて、いつからやってないだろう。

そう思いながら、ペイッとゴミ袋へゴミを入れていく。
時々砂浜を見るのに飽きて、海を眺める。それを繰り返しながら、少しずつだがゴミを拾って行った。

その途中、立派な貝殻を発見。波の音が聞こえるか手を伸ばすと、違う手が先に掴んでしまった。

顔を上げてその手の人物に、私は目を疑った。

⏰:07/10/11 12:18 📱:SO903i 🆔:fYkeSG8s


#638 [向日葵]
「欲しいの?これ。」

久しぶりの低い声。

「……っ、し、ずる……。」

そこにはあの静流の姿があった。
変わらない柔らかい微笑みを浮かべて、さっき拾おうとしていた貝殻を骨張った大きな手で持っている。

「すっげー疲れたぁー!」

そう言いながら動揺を隠せない私をよそに体一杯背伸びをする。

「……っ。な、どーして……。」

「香月が教えてくれた。」

⏰:07/10/11 12:23 📱:SO903i 🆔:fYkeSG8s


#639 [向日葵]
教えないって言ってたくせに……っ。
でも私が聞きたいのはそういうんじゃない。

「ゴミ拾い?なら俺も」と言って袋を掴もうとした静流の手を私は振り払った。

「どーしてここに来てるの?!何で放っておいてくれないのっ?!」

「……言うと思った。」

静かに微笑む静流の顔は、口元に笑みを残したまま真剣な顔になった。

「好きだからだよ。」

「……っ。」

「紅葉が好きだ。だから、帰ろう?」

⏰:07/10/11 12:28 📱:SO903i 🆔:fYkeSG8s


#640 [向日葵]
私は居ても立ってもいられなくなって、ゴミ袋と挟むやつを放り投げて静流から逃れる様に走った。

「えっ?ちょ、紅葉っ?!」

靴が砂浜に埋もれそうで走りにくい。
私は走りながら靴を脱いで、暑くなった砂浜を走って行く。

「おい紅葉!待てってっ!!」

待つ訳がない。

会いたかった。
会いたくなかった。
来てくれた。
来て欲しくなかった。

⏰:07/10/11 12:31 📱:SO903i 🆔:fYkeSG8s


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