〜運命のヒト(2)〜
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#303 [りく☆]
『確かに……まだ全てが決まった訳ではありません。勇貴さんの言う通り治るかもしれない。
今はそれを願うことしか考えては駄目ですね。』
ジィはそぉ言うと、オレ達に頭を軽く下げてその場を去って行った。夕日に照らされたジィの後ろ姿は、どことなく寂しい感じがした。
:08/08/25 16:29
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#304 [りく☆]
『卓也の様子がおかしいのはわかってたけど……そんなに深刻なの?』
卓也の病室を後にしたオレ達は、祥子に全てを話した。祥子もショックを隠せないのか、小声でそんなことを言う。
『まだ分からない……
とりあえず今はできるだけ卓也に会おう。』
それ以外に返す言葉がなかった。今のオレ達はただ願うことしか出来ない。
:08/08/25 16:37
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#305 [りく☆]
その言葉を最後に、オレ達は無言のままジィの車にのった。
そんなオレ達の様子を察したジィは、何も言わずに車を走らせた。
誰もが今の現実を受け入れる事ができず、各々が自分の無力さに嫌気がさしていた。
:08/08/25 16:42
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#306 [りく☆]
『あ…あれ美里じゃない?』
そう祥子が言い、病院の入口を指差す。
その指先には、深刻な顔をした美里と、その後ろを歩く優希の姿が見えた。
『何で美里が?』
思わず声がでた。
そして、何故優希もいるのだ……。オレの中で疑問と不安が交差する。
:08/08/25 16:47
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#307 [りく☆]
車内にまたもや沈黙が訪れた。屋上での出来事を知る滝沢と祥子は、オレに気をつかってか2人の存在について触れなかった。
全てを知る滝沢、何も知らない祥子、お互い独特な沈黙をかもしだしている。
『学校まで戻りますか?』
ジィの一言で沈黙を破れた。そんなジィの言葉にみんな我に返った。
:08/08/25 23:30
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#308 [りく☆]
『いや……りくの家で止めてくれないか?』
滝沢の言葉に黙ってジィは頷き、車を走らせた。
『何でオレの家?』
『部活は行かないの…?』
オレと祥子が助手席に座る滝沢に言った。
:08/08/25 23:31
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#309 [りく☆]
滝沢はこっちを振り返る事なく流れる景色をただ見ている。
『今日行っても周りに迷惑かけるだけだし……
それにりく、お前オレにだけしか話さないつもりじゃないだろ?』
滝沢の言葉を聞き、祥子がオレをみた。そんな彼女の視線に気がつきながらも、オレは前を向いたまま頷いた。
:08/08/25 23:31
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#310 [りく☆]
そんなオレの行動をバックミラーで確認した滝沢は、それ以上何も語らなかった。
また車内が沈黙に包まれたまま、車はオレの家へと走りだす。
:08/08/25 23:31
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#311 [りく☆]
『ジィありがとな』
家の前に着くと同時に滝沢が言った。結局あれから何も話さずにオレの家まできたのだ。
『御礼を申し上げるのは私の方です。皆様本当にありがとうございます。』
車をおりたオレ達にジィは丁重にいった。
:08/08/25 23:32
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#312 [りく☆]
そんなジィを見届けたオレ達は、手を振りながら彼に微笑み、オレの家へと足を運んだ。
階段を上ろうとしたときだった。車の扉が閉まる音が聞こえたのだ。その音につられ振り向くと、階段の下にはジィの姿があった。
『どうしたの?』
そんなジィの姿をみて祥子が尋ねる。
:08/08/25 23:32
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