〜運命のヒト(2)〜
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#1 [りく☆]
:07/09/02 12:19 :SH903i :F4nmsPR.
#2 [あや]
楽しみにしてます
:07/09/02 20:20 :P703i :YK.QFzWY
#3 [我輩は匿名である]
楽しみにしてますx
:07/09/02 22:53 :W51K :vQ8nurIw
#4 [りく☆]
:07/09/03 00:30 :SH903i :YYImrN4Q
#5 [りく☆]
…何故、みっちゃんが!?
小学生の頃、仲良かった"三浦 翔太(ミウラ ショウタ)"ことみっちゃん。仲良かったことは確かだが、それは小学時代までだった……オレが引越してからは、全く連絡をとっていなかった。そんな彼が、突然訪れた理由がわからなかった
:07/09/03 01:10 :SH903i :YYImrN4Q
#6 [りく☆]
『そんな驚いてんじゃねぇよ……旧友が尋ねて来てなんか文句あるか!?』
笑いながら強い口調でみっちゃんが言う。
『も…文句なんかないけど。あまりにもいきなりやったけん…』
おどおどしいオレの返事に、思わずみっちゃんから笑いが出た。
『なにビビってんだよ♪』
:07/09/03 01:16 :SH903i :YYImrN4Q
#7 [りく☆]
ビビってないと言えば嘘になる。みっちゃんは、昔の面影はなく、とび職で鍛えられた体と、厳つくも整ったカッコイイ顔にビビっていた。もはや"みっちゃん"なんていうかわいらしいあだ名が似合わなくなっている。
驚くオレをよそに、ゆっくりみっちゃんが話始めた。
『中学卒業してからよ…オレ就職したんだ。いろいろ家庭の事情があってよ』
:07/09/03 01:23 :SH903i :YYImrN4Q
#8 [りく☆]
『まぁ…服装みたら何に就職したかわかるだろ!?
とび職も楽じゃないぜ…笑えんくらい大変だしキツイ…』
愚痴をこぼすようにみっちゃんが語る。そんな彼の話の筋がつかめなかった。
『仕事……大変なんだな』
話を合わすように受け答えしたが、疑問がのこる。
:07/09/03 01:59 :SH903i :YYImrN4Q
#9 [りく☆]
『大変ってもんじゃねぇよ。りくみたいにサボったりできないしな』
笑いながら、オレを見てみっちゃんが言う。どうやらしばらくオレが学校に行っていないのをわかっているかの様な口調であった。
『福岡くる前によ……お前の友人に会ったんだ。
滝沢ってやつだったかな』
ゆっくりソファーにもたれ掛かりながら、みっちゃんが言った
:07/09/03 02:05 :SH903i :YYImrN4Q
#10 [りく☆]
『滝沢に!?』
思わず大声で答えてしまった。
…何で!?
またしても疑問がよぎる。そんなオレの状態を見兼ねたのか、オレが質問をする前に、みっちゃんが先に口を開く。
『1週間以上も前のことだ……オレのところに突然現れたんだ』
:07/09/03 10:13 :SH903i :YYImrN4Q
#11 [あや]
楽しい
:07/09/03 20:44 :P703i :MGN3WuKo
#12 [りく☆]
>>11あや
さん
そぉ言ってもらえると、すごく嬉しいです
今から更新しますので、どうか読んでください
:07/09/03 23:50 :SH903i :YYImrN4Q
#13 [りく☆]
すいません
朝更新します
:07/09/04 00:51 :SH903i :Rb3O8R1.
#14 [か]
あいう
:07/09/04 00:54 :W42S :k1tJ5EOY
#15 [あ]
かいて〜
:07/09/09 22:25 :P902i :14LKGBAU
#16 [柿ピー]
どうしたんですかぁ?
:07/09/13 17:45 :913SH :YE/bFcUg
#17 [我輩は匿名である]
楽しみにしてます
:07/09/15 16:37 :PC :kRhRapWU
#18 [あや]
:07/09/15 19:05 :P703i :lVM4tfFw
#19 [あ]
なんで書かないの
:07/09/19 21:22 :P902i :frKzsjNs
#20 [我輩は匿名である]
かいて(^^)
:07/09/27 21:41 :PC :NDeI3BNU
#21 [我輩は匿名である]
:07/10/02 09:40 :P902iS :dSilNDdc
#22 [りく☆]
一ヶ月も更新おくれてすいません
長い間放置してしまったことを深く反省しています
今まで読んでくださっていた方々に本当に申し訳ないです
これからは、スローペースですが更新していきますので、どうか読んでください
本当にわがままをいってすいません
:07/10/03 01:25 :SH903i :3Rpaji7I
#23 [りく☆]
『いきなりオレの仕事場にきやがってよ……りくの過去について聞いてきたんだ。まぁたいしてお前の過去を知っている訳でもなかったし、それにオレは、人に軽々しく他人の過去を話すほど馬鹿じゃねぇから、始めは話す気なんかなかった。けど…』
みっちゃんは下を向き、深く息をはいた。そして、また整った顔をオレに向ける。
:07/10/03 01:28 :SH903i :3Rpaji7I
#24 [りく☆]
『ヤツの……滝沢の目があまりに真剣だったから。本気でお前の事を心配していたのがわかったから……ある程度事情を聞いて、オレの知る限り話したんだ。』
…滝沢の言っていた、情報をくれた人とは、みっちゃんのことだったのか
よく考えてみたら、あんなに詳しくオレの過去を知る人は、みっちゃんぐらいだろう………あとは美里。
:07/10/03 01:29 :SH903i :3Rpaji7I
#25 [りく☆]
みっちゃんはずっとオレの顔を見つめていた。おそらく、オレの過去を話したことで、オレが気を悪くしたかどうか気になっているのだろう。しかし、この時のオレには、怒りなどそんな感情はうまれてこなかった。自分でも理由はわからない……不思議な気持ちだった。
:07/10/03 01:29 :SH903i :3Rpaji7I
#26 [りく☆]
『悪かったな……仕事で忙しいときに、オレのせいで時間さいたりしてよ。』
未だにオレの顔色を気にかけるみっちゃんに、オレは笑顔で答えた。そんなオレに、少し驚いているようだった。そして、自然と顔にでている微笑みから、安心していたかのように思えた……よほど気にしていたのだろう。
『まったくだ……こんな忙しいオレに♪』
:07/10/03 01:30 :SH903i :3Rpaji7I
#27 [りく☆]
喜びを隠すように、笑いながらみっちゃんが答えた。
『じゃぁ…そのことを言うために、わざわざオレの家まできたのか?』
そんなオレの質問に、みっちゃんの表情から笑顔が消えた。真剣な顔をしながらゆっくり口を開く
:07/10/03 01:30 :SH903i :3Rpaji7I
#28 [りく☆]
『それもあるが……滝沢ってヤツから聞いたんだよ。オレの知らない中学からのお前を。
いろいろ事件があったらしいな……そのせいでお前がふさぎ込んでしまったって聞いて………確かめにきたんだ』
『いろいろって……何を聞いたんだよ!?』
みっちゃんの言葉に思わず声が大きくなった。
:07/10/03 01:31 :SH903i :3Rpaji7I
#29 [りく☆]
みっちゃんがいったいどこまでオレの過去を知ったのか気になったからだ。できればあまり知られたくはなかった。結衣のことや優希のこと……
『まぁ…いろいろだ』
戸惑いながらみっちゃんが答える。そしてまた言葉を続けた。
『滝沢ってやつが言ってたんだ……"りくが悩み込むようになったのは荒井優希に会ってからだ"と…。オレにはそれが理解できなくてな、確認しにきたんだ。』
:07/10/03 01:32 :SH903i :3Rpaji7I
#30 [りく☆]
そう言うと、みっちゃんはソファーから立ち上がり、オレと向かい合うようにオレの前に立った。
『お前と優希に何かあったのか?』
…ありすぎだ
オレは何も言えずに立っている。
『確かにお前の親父さんの事故で、何か変な感じになったように思えたけど……お互いを避けることはないだろ!?』
:07/10/03 01:34 :SH903i :3Rpaji7I
#31 [我輩は匿名である]
りくさんこれからも頑張って下さい
ずっと見続けます
:07/10/03 07:38 :913SH :IDQcUYn2
#32 [りく☆]
>>31匿名さん
ありがとうございます
いたらないですがどうか読んで下さい
:07/10/03 16:38 :SH903i :3Rpaji7I
#33 [りく☆]
『別に避けては……』
かすれるような声でオレは反論した。しかし、それが嘘だということぐらいみっちゃんは見通しだった。
『……美里に聞いたから。
お前らが避け合ってるの……あいつも理由がわからないって』
作り笑顔でみっちゃんが言う。
:07/10/03 16:42 :SH903i :3Rpaji7I
#34 [りく☆]
『美里に!?』
『あぁ……大体は聞いた』
未だにオレを見ながら、みっちゃんは答える。その眼差しは痛いほどにオレを見ていた…
…美里に聞いたのか
:07/10/03 23:36 :SH903i :3Rpaji7I
#35 [りく☆]
そぉ思ったとき、オレの中学からの過去も全てみっちゃん知られた気がした……恐らく知られているだろう。
考え黙り込むオレを見て、みっちゃんは一度下を向き、深いため息をはいて話し始めた。
:07/10/03 23:36 :SH903i :3Rpaji7I
#36 [りく☆]
『別にオレは、お前が誰と付き合おうが……どんな事故を起こそうが気にしやしない。
ただ…滝沢ってやつや美里が言うには、お前が誰もわからない理由で異常なまでに悩んでいるって聞いたから……心配できたんだ。』
みっちゃんの発言に言葉がでなかった。結衣のことを知られたのもあるが、みっちゃんまでもがオレを心配していてくれてたなんて…
:07/10/03 23:37 :SH903i :3Rpaji7I
#37 [りく☆]
『なぁ…りく。
もしかして……お前の親父さんの事故で、優希と何かあったのか?』
『…っえ!?』
驚き、思わず声がでた。
『滝沢ってやつと美里の話聞いていたら……絶対原因は優希と何かあったとしか考えられねぇんだ。オレが知る限りでも、たしかに"あの日"からお前はおかしくなったし…』
:07/10/03 23:38 :SH903i :3Rpaji7I
#38 [りく☆]
みっちゃんの言葉をオレはただ黙って聞いていた。否定することも、認めることも…何もできなかったのだ。
みっちゃんの予想は見事に当たっていた。ただ…"あの日"の出来事を話すことなんてできなかった。全てを話すなんて……
"ワンッ!!"
嫌な沈黙を掻き消すかのように、チロが吠えた。今まで吠えた事なんてなかったのに……
チロの鳴き声にみっちゃんは驚きを隠せていなかった。
:07/10/03 23:39 :SH903i :3Rpaji7I
#39 [りく☆]
『い…犬!?』
チロの方を見ながらみっちゃんが叫んだ。
人に向かって吠えるなんて今までなかったのに……。しかし、チロのお陰で嫌な沈黙は掻き消された。
『犬飼ってるのか!?』
『あぁ……かわぃぃだろ!?』
少し微笑みながら答えた
:07/10/05 00:27 :SH903i :frvIo3Pw
#40 [りく☆]
『教えてくれよ……いきなり吠えられたら驚くだろ!?』
『ぃゃ…チロは全く吠えないからさ………それにすっごい人見知りだし。』
チロはじっとみっちゃんを見つめていた。
…チロはみっちゃんが嫌いなのか?
そぉ思いながらとりあえずチロの元に行った。
:07/10/05 00:30 :SH903i :frvIo3Pw
#41 [りく☆]
オレが近寄ると、チロはいつものようにゆっくりと動き、オレの足元によってきた。
『どぉやらオレは、きらわれたのかなぁ…』
少しへこんだようにみっちゃんが言う。
『だから……チロは人見知り』
『あっ!!!!』
オレの話を遮るように、突然みっちゃんが叫んだ
:07/10/05 00:36 :SH903i :frvIo3Pw
#42 [りく☆]
『遅刻するっ!!』
そう言うと慌てて帰る準備をし始めた。どうやらみっちゃんは今日仕事らしい。
『仕事丈夫かぁ?』
『お前も学校完全遅刻だろ!?まぁ…今はサボり中だからな。』
笑いながらオレを見る。思わずオレは目線をそらしてしまった。
『オレは親方に頼んで、短期間だけこっちに移動させてもらって働いてるからさ……サボれないんだよ。』
:07/10/05 00:43 :SH903i :frvIo3Pw
#43 [りく☆]
そう言うと、みっちゃんは玄関に向かって歩きだした。
『ここに来るまで迷いすぎたな………話す時間全然なかったし』
やや落ち込み気味にみっちゃんが呟いた。
『久しぶり会えてよかったよ』
オレはみっちゃんに笑顔でそぉ答えた。
…過去を知られただけなのに
…本当によかったのか?
解決できない疑問が頭に残る
:07/10/05 00:47 :SH903i :frvIo3Pw
#44 [りく☆]
『オレも♪また時間があったら会いに来るよ。』
そう言うと、みっちゃんは玄関のドアを開けた。外は夏に近づいているため、少し暑くなってきていた。
出ようとした瞬間だった。いきなりみっちゃんがオレの方に振り返った。
『忘れ物か?』
そんなみっちゃんを見てオレが質問する
:07/10/06 20:38 :SH903i :QRSWGQBs
#45 [りく☆]
『りく……一ついいか?』
『なに?』
『お前は…お前を心配してくれているやつを信用してないだろ?』
『えっ!?』
『あんなに心配してくれている友達に、お前は絶対心を開こうとしない。そして何も相談しない。
そんなんでお前は滝沢たちを"友人"なんて呼べないんじゃないか?
ってかやつらに失礼だろ…』
:07/10/06 20:49 :SH903i :QRSWGQBs
#46 [りく☆]
『お前がいつまでもそんな態度だったら、誰でもそぉ思ってしまうぜ。
まぁ〜でも滝沢は特例かもな♪
じゃぁ…またな』
"バタンッ"
玄関のドアが閉まり、オレは一人になった。
みっちゃんの言葉がまだ頭の中に焼き付いている
:07/10/06 20:53 :SH903i :QRSWGQBs
#47 [我輩は匿名である]
続き楽しみにしてます//♪
:07/10/08 00:16 :PC :G2ZxKfuw
#48 [りく☆]
:07/10/09 00:08 :SH903i :stC9XALo
#49 [りく☆]
…信用していない?
…オレが滝沢たちを?
受け入れたくない言葉だった。今までも、これからも、オレは滝沢や卓也たちを信用してきたからだ。
だが、確かに今のオレはそう思われてもしかたない……オレはそれだけの態度をとっているのだから
:07/10/09 00:14 :SH903i :stC9XALo
#50 [りく☆]
しばらくオレは、みっちゃんが去って行った玄関に立ち尽くしていた。
自分がどう考え、何を思い行動したらいいのか……わからない。
オレができることは、答えの見つからない悩みを悩むだけだった
:07/10/09 00:21 :SH903i :stC9XALo
#51 [りく☆]
"ワンッ"
また
チロが吠えた………呆然と立ち尽くしているオレに
『チロ…今日はどうしたんだ!?』
あきらかにいつもと違っておかしいチロを心配しながら語りかけた。
:07/10/09 00:24 :SH903i :stC9XALo
#52 [りく☆]
犬が吠えることなんて当たり前だが……チロは例外で、全く吠えないはずなのに
『チロもオレに失望したのか?』
チロを抱き抱えながら、言葉のわかるはずもないチロに語りかける。
:07/10/09 00:29 :SH903i :stC9XALo
#53 [りく☆]
『なぁ〜チロ』
"ワンッ!!"
また語りかけようとしたオレに、一喝いれるかのように吠えた。今度は今までで1番大きな鳴き声だった。そんなチロを、オレは思わず離してしまった。
ぃゃ…むしろチロから離れていった
:07/10/09 00:34 :SH903i :stC9XALo
#54 [りく☆]
そんな突然のチロの行動に驚いたオレは、よろけドアに寄り掛かった。
『あっ!!!!』
その時だった。
オレが玄関のドアに寄り掛かかったとき、わずかにドアが開いたのだ。
その隙間をチロをすりぬけていった…
『こらっ……チロ!!!!』
逃げ出すチロにオレは叫ぶ……
:07/10/09 00:40 :SH903i :stC9XALo
#55 [りく☆]
今まで逃げ出すことなんてなかったのに…
今日のチロは明らかにおかしい。吠えたり、逃げ出したり……
少し呆然としながらも、オレはチロを見失う前に慌てて追いかけた。
:07/10/09 00:42 :SH903i :stC9XALo
#56 [りく☆]
オレがどれだけ追いかけても、チロは今までに見たことないようなスピードで走り、逃げていく。
『チロ……待てよ!!』
オレの呼びかけなど余所に、まるで何かに導かれているかのようにチロは見慣れない道を走って行く。
そんなチロをオレは必死に追いかけた。
:07/10/09 00:46 :SH903i :stC9XALo
#57 [りく☆]
住み慣れた街だが……オレの知らないような裏道をオレは走っていた。
全く知らない訳ではないが……懐かしいような、知らないような……よくわからない道だった。
そんな裏道をチロは躊躇(ちゅうちょ)なく走っていく
やがて……静かな草原にたどり着いた
:07/10/09 00:49 :SH903i :stC9XALo
#58 [りく☆]
今までの景色に明らかに溶け込んでいない風景だった……明らかに浮いている。そんな場所だった。
やがて辺りは霧に包まれ、周りが見えなくなっていった。
『霧かよ……』
嫌な思い出が湧き出てくる……しかし今はそんなことを気にしている場合ではない。
オレはチロの名前を叫び続けた
:07/10/09 00:52 :SH903i :stC9XALo
#59 [りく☆]
いくら呼んでもチロはみつからない…。
オレはただ草原を歩きつづけた。
『どこいったんだ!?』
"ドンッ"
『痛って!!』
チロを探しながら歩いていたら、何か硬いものにぶつかった
:07/10/09 00:55 :SH903i :stC9XALo
#60 [りく☆]
あまりの痛さに思わず一回頭を抱え座り込んでしまった。そして、痛みが引いた後、原因を確かめるため硬いものに目をやった。
『嘘だろ…』
自分の目が信じられなかった。
無理もない
ありえないものが目の前にたちはだかっている。
:07/10/09 01:00 :SH903i :stC9XALo
#61 [りく☆]
その肌に何百年の歴史を刻んだに違いない。
大きくたくましく育っていた……
オレの前には
大きな樹木が堂々と草原の中に立っていた。
長々と伸びた太い枝に
今の季節には考えられない
美しい桜の花びらを咲かしながら。
:07/10/09 01:06 :SH903i :stC9XALo
#62 [りく☆]
オレは思わず言葉を失った。
樹木の迫力と…あまりの美しさに。
…こんな立派な桜が……なんでこんな所に!?
まだオレは立ち尽くしている。状況を把握しきれていなかった…
「り……く」
…えっ!?!?!?
今…明らかにオレを呼ぶ声がした
:07/10/09 01:10 :SH903i :stC9XALo
#63 [りく☆]
…今の声は…
…まさか
…そんなはずはない。
オレは自分に言い聞かせた。あわてふためくオレに優しい風が吹いた。
『えっ!?』
優しく…温かく…懐かしいような人の温もりを感じさせる風に包まれた。
:07/10/09 01:13 :SH903i :stC9XALo
#64 [りく☆]
思わず瞳から涙が流れた
ありえない事ぐらいわかっていた。
しかしオレは何の迷いもなく呼んだ……
あの声
あの温もり
間違いないと体で感じたから…
失ったあの名前を呼んだ
『結衣……』
涙が溢れてくる……そんなオレを優しい風がまた包む。
まるで結衣がオレを抱きしめるかのように…
:07/10/09 01:18 :SH903i :stC9XALo
#65 [りく☆]
:07/10/09 01:22 :SH903i :stC9XALo
#66 [//(^o^)//]
あげ♪
:07/10/09 23:20 :PC :zBLcnF/E
#67 [りく☆]
悲しいのか…
嬉しいのか…
わからないが、ただ涙が止まらず流れてくる。
オレは状況を理解できないまましばらくその場にうずくまった。
誰もいない草原に…
結衣がいるなんて、考えられない……しかし、明らかにあの声、温もりは結衣だった
:07/10/10 00:22 :SH903i :erFTPL5c
#68 [りく☆]
「りく…」
また…かすれるような声が聞こえた。
オレはたまらず、立ち上がり辺りを見渡す。
『結衣なのか!?』
どんなに目をこらしても、辺りは霧に包まれており、草原が少し見えるくらいだった。あとは目の前にある樹木…
:07/10/10 00:29 :SH903i :erFTPL5c
#69 [りく☆]
もし…ありえないかもしれないが…この場に結衣がいる気がした。
だが、彼女はあの日あの事故でこの世からいなくなったのだ…
『結…衣』
片手で顔の涙を拭いながら、もう片方の手で樹木によらかかった。
…いるなら、少しでいい
…会いたい
そう願いながら…
:07/10/10 00:36 :SH903i :erFTPL5c
#70 [りく☆]
突然だった。
辺りの霧がさらに深くなり、もはや周りがほとんど見えなくなった。今触れている樹木くらいしか見えない。
そんな樹木を……桜を見上げたときだった。
桜の花びらが、優しく桜色に輝いたのだ。そんな光りにオレは優しく包まれていた。
:07/10/10 00:39 :SH903i :erFTPL5c
#71 [りく☆]
やがて光りの優しさは…懐かしい温もりへと変わり始めた。
そう……結衣の温もりに
オレは目を閉じて、ただその優しさに包まれているだけだった。
まるで後ろから抱き着かれているかのような感じだった…
見えてるわけでもなく、はっきり抱き着かれているわけでもない。
ただ感覚でそう思えた。
:07/10/10 00:43 :SH903i :erFTPL5c
#72 [りく☆]
樹木から手を離したら…目を開いたら…この感覚から放たれそうな気がして、オレはそのまま静止している。
『結衣……ゴメン。
オレのせいで結衣は……』
死んでしまった。
謝れるなら謝りたかった。謝ってすむわけではないが、せめて本人に言いたかった一言だった
:07/10/10 00:49 :SH903i :erFTPL5c
#73 [りく☆]
『いろいろ悩ませちゃってゴメンな…』
『振り回してゴメンな…』
『結衣の気持ちに…すぐ応えてやれなくてゴメンな』
『優希のこと…黙っててゴメンな』
『幸せにしてやれなくて……本当にゴメン』
…ゴメン結衣
…今のオレは、泣くことしかできないんだ
瞳から流れた涙が樹木に落ちていった
:07/10/10 00:53 :SH903i :erFTPL5c
#74 [りく☆]
『結衣……』
泣きながら名前を呼んだ……しかし何も返事はこない。
『何か言ってくれよ!!
恨んでるなら……憎んでるんなら……こんな男を愛したことを後悔しているならそう言ってくれ!!』
思わず感情をむきだしに叫んでしまった。そして、樹木から手を離し目を開く……辺りを見渡すが何も変わらない
:07/10/10 00:58 :SH903i :erFTPL5c
#75 [りく☆]
感情的になっているオレの肩に、何かがのった。
『花びら!?』
綺麗な樹木の桜の花びらだった。見上げると物凄い勢いで桜が散っている。
『何も言わずに…いなくなるのか?』
桜が全て散ってしまったら…何もかも消えてしまう気がした
:07/10/10 01:02 :SH903i :erFTPL5c
#76 [りく☆]
桜の花びらは勢いよく散っていき…
ついに最後の一枚が散った…
オレはその最後の一枚の花びらをしっかりと手でつかみ取った。
『おまじない…
結衣の言ってたおまじない…
桜の花びらの最後の一枚が散るときに、願いごとをしたら叶うっていったよな…
覚えてるか?』
花びらをにぎりしめながら誰もいない草原で訴えた。
『結衣…会いたい』
オレが桜の花びらにこめた願いだった
:07/10/10 01:08 :SH903i :erFTPL5c
#77 [りく☆]
「りく…」
突然結衣の声がした。何故かオレの花びらを握る手がうっすら光っていた。
『結衣!?』
「恨んだことも、憎んだことも、後悔したこともない…」
後ろから抱き着かれた感覚が、だんだん温かくになってきた。その優しさに結衣を感じた
:07/10/10 01:14 :SH903i :erFTPL5c
#78 [りく☆]
『後悔…してないのか?』
「うん」
『恨んでないのか?』
「うん」
『結衣…お前はオレのせいで……』
「幸せだったよ」
「りくと過ごした日々は…本当に幸せだった」
「だから…私は後悔なんかしていないよ」
「恨んでなんかいない」
:07/10/10 01:18 :SH903i :erFTPL5c
#79 [りく☆]
「りくが愛してくれたから幸せだった」
「事故は……仕方がないよ」
「りくは悪くないよ」
「だから自分を責めないで」
「自分から不幸にならないでよ」
「りくの幸せが私の幸せなんだよ」
「私の分までしっかり生きてよね♪」
「今度は……ちゃんと彼女を…優希さんを愛してあげて」
:07/10/10 01:23 :SH903i :erFTPL5c
#80 [りく☆]
その言葉に思わず振り向いた……そこには懐かしい結衣の姿がうっすらとあった。
『結衣……オレは』
その結衣の姿は抱き着きたいほど愛おしかった
「抱き着く相手違うよ♪
もぉ…全部知ってるんだから」
全部って……オレの過去を!?
「こらっ新垣!!」
久しぶりに聞いた……懐かしい台詞。
結衣の目には涙が溢れているように見える
「しっかり…しなさい!!」
「ちゃんと向き合うんだよ……彼女と…」
:07/10/10 01:29 :SH903i :erFTPL5c
#81 [りく☆]
その言葉を最後に、結衣の姿が薄れていく。
『結衣!!』
結衣はただニッコリと笑っていた
やがて霧が全てを包みこみ、何も見えなくなった。
「もぉ会えないけど…しっかり生きてね」
「りく」
「大好きだよ」
「ありがとう」
:07/10/10 01:34 :SH903i :erFTPL5c
#82 [りく☆]
:07/10/10 01:37 :SH903i :erFTPL5c
#83 [りく☆]
………………
…………
……
『りくっ!!お…お前何やってんだ!?』
『…えっ?』
…ここは?
…オレは何をしていたんだ?
:07/10/11 00:37 :SH903i :fjvH22RQ
#84 [りく☆]
気がつけばオレは、とあるマンションの外に座っていた。
新築ぐらい綺麗なマンションであったが、マンションの周りには塗装工事の足場が組み立てられていた。
『おいっ…りく…大丈夫かぁ!?』
オレの前には作業服をきた人が立っていた…
:07/10/11 00:38 :SH903i :fjvH22RQ
#85 [りく☆]
『みっちゃん…』
『そのあだ名はそろそろ止めろよ…
ってかお前オレの仕事場で何してんだよ!?』
みっちゃんはずっと驚いた表情を保ったまま、オレを心配していた。しかしそんなみっちゃんをよそに、オレは考えこんでいた。
:07/10/11 00:39 :SH903i :fjvH22RQ
#86 [りく☆]
だんだんと記憶がよみがえってきた。
オレは…チロを追いかけていたら草原にいってしまい、そしてそこにあった樹木の下で結衣に会った…
信じられないような記憶だった。
結衣に会えたなんて……実際ありえない。
…夢だったのか?
そんな考えが強まる
:07/10/11 00:42 :SH903i :fjvH22RQ
#87 [りく☆]
:07/10/13 00:51 :SH903i :2a0iIGw.
#88 [りく☆]
『おぃっ!?』
みっちゃんの叫び声にオレは我にかえった。
『何をぼーっとしてんだよ』
ややキレ気味にみっちゃんが言う。確かに今のオレの状況は有り得ない……人の仕事場で寝ていたのだから
『悪い悪い……何かよくわかんないけど…気がついたらここに…』
:07/10/14 00:16 :SH903i :p9zCMFuQ
#89 [りく☆]
誰も理解できないような言い訳を言ってしまった。もちろんみっちゃんはオレの言葉に呆気にとられていた。
『だ……大丈夫か!?』
『あぁ……別におかしくなんかなってないべ』
笑いながらオレは答えた。そんなオレを未だに不思議そうにみっちゃんは見つめている。
:07/10/14 00:56 :SH903i :p9zCMFuQ
#90 [りく☆]
…夢だったのか
ふと、そう思った。しかし、結衣の一言一言がはっきりと頭のなかに残っている。夢なんて考えられないが……現実は甘くない。
『はぁ…』
いろんな思いがため息となってでていった。
:07/10/14 01:00 :SH903i :p9zCMFuQ
#91 [りく☆]
『まぁ……とりあえず今仕事中だからさ、仕事場からでろ♪』
床に座りこんでいるオレを引っ張り立たせ、みっちゃんが言った。
『何の工事なんだ!?』
オレは、ゆっくり立ち上がりながらみっちゃんに聞いた。
『新しいマンションにいろいろ問題があったらしくて……んでオレ達が修正してるわけ。たしか〜1年前くらいに建てられたのかな。』
:07/10/14 01:05 :SH903i :p9zCMFuQ
#92 [りく☆]
『ふーん』
愛想のない返事で答え、みっちゃんの話を聞きながら辺りを見渡した。
辺りの景色は、懐かしいような感じだった。
…以前きたことあったのかな?
…きたことがある気がする
…どこだ!?
:07/10/14 01:09 :SH903i :p9zCMFuQ
#93 [りく☆]
『………』
しばらく黙り、考え込んでしまったオレをまたみっちゃんは心配そうに見ている。もはやそんなオレに呆れているように思えた。
…あっ!!
…もしかして!!
『なぁみっちゃん…帰る前に1つ聞いていいか!?』
:07/10/14 01:12 :SH903i :p9zCMFuQ
#94 [りく☆]
突然、何か閃いたかのようにしゃべりだしたオレにまたもやみっちゃんは驚いていた。
『なんだよ…』
『ここって…マンション建てる前……なんだった!?』
オレの質問にしばらくみっちゃんは考え込んでしまった
『確か前に親方から教えてもらったんだけど…』
:07/10/14 01:15 :SH903i :p9zCMFuQ
#95 [りく☆]
『公園……だろ!?』
『そうだ!!公園だよ…………って何で知ってんだ!?』
…やっぱり
何で見覚えのある場所かがやっとわかった。オレは今、大切な思い出の場所にいる。
:07/10/14 01:17 :SH903i :p9zCMFuQ
#96 [りく☆]
オレにとって
そして結衣にとっても思い出の場所に違いない。
…そうだろ結衣?
オレは黙って空を見上げた。
…こんなに変わったのか
…昔のままがよかった
…オレと結衣が出会った公園
…"ぞうさん公園"のままが
:07/10/14 01:20 :SH903i :p9zCMFuQ
#97 [りく☆]
昔あの公園があった場所にオレはいたのだ。
…偶然なのか?
一緒そう考えたが、"あるもの"を見つけすぐにその考えは消えた。
『じゃぁ邪魔したな』
笑いながらオレはみっちゃんの仕事場からさった。そんなオレに戸惑いながらみっちゃんは手を振っていた。
:07/10/14 01:30 :SH903i :p9zCMFuQ
#98 [りく☆]
しばらく歩いて、オレは立ち止まった
ゆっくりと握りこぶしを開く
そのなかには"あるもの"が入っていた
『おまじない……成功したのかな』
オレの掌には綺麗な桜の花びらがのっていた
…夢じゃない
…オレは結衣に会ったんだ
…思い出の公園で
:07/10/14 01:30 :SH903i :p9zCMFuQ
#99 [りく☆]
:07/10/14 01:32 :SH903i :p9zCMFuQ
#100 [拓モ]
:07/10/14 01:39 :SH703i :US5rRj/g
#101 [りく☆]
:07/10/16 00:30 :SH903i :Q7LtGnUQ
#102 [りく☆]
『やっぱりないなぁ……』
みっちゃんの職場を離れた後、オレはあの樹木を探し歩いていた。しかしどこを探しても、住み慣れた町の見慣れた道しかない。チロを追いかけた道はなかった。そしてチロもいなくなってしまったのだ……
:07/10/16 00:31 :SH903i :Q7LtGnUQ
#103 [りく☆]
太陽も沈み、空にはすでに月が顔をだしていた。辺りは暗闇に包まれ、もはやチロを捜すことは困難だった。
オレは暗い道のりを独りで歩き、家に帰った。
:07/10/16 00:32 :SH903i :Q7LtGnUQ
#104 [りく☆]
『はぁ……』
帰宅したオレは、ため息をつきながらソファーに腰をおろした。そして目を閉じ、今日あった出来事を頭の中で整理する。
結衣に会った……有り得ないことをオレは素直に信じた。
そして彼女の言葉一言一言を思いだしていた
:07/10/16 00:34 :SH903i :Q7LtGnUQ
#105 [りく☆]
結衣は…優希のことすべてを知っていた。
そしてオレに優希と幸せになれと………
この言葉は正直驚いた。結衣は絶対ショックを受けると思ったのに…
何より…ゆりは"幸せだった"と言ってくれたことがなにより嬉しかった
:07/10/16 00:39 :SH903i :Q7LtGnUQ
#106 [りく☆]
後悔も…恨んでもないと言った。
そして、今をしっかり生きてくれと……結衣の分まで……
この再会により、オレの心を縛る鎖が……ほどけた気がした。結衣の言葉がオレを救ってくれた。
そんな結衣のためにも………オレは下ばかり向いてられない
:07/10/16 00:45 :SH903i :Q7LtGnUQ
#107 [りく☆]
………
……
…
"ジリリリリリリリリリッ"
『う……うるせぇ』
久しぶりに目覚ましの音で目を覚ましたオレは、寝ぼけながらアラームを消した。
窓からは顔を出して間もない太陽が、優しい光を部屋にそそいでいた。
そんな光を浴びながら、オレはベットからでて、準備をはじめる
:07/10/16 00:51 :SH903i :Q7LtGnUQ
#108 [りく☆]
学校に行く
そう昨日オレは決めたのだ。オレは結衣との約束を守るために……真っ直ぐ生きるために……今できることを全力でやると決心した
そう心に誓い、オレは準備をする
:07/10/16 00:56 :SH903i :Q7LtGnUQ
#109 [りく☆]
…それにしても久しぶりに制服きるな
そんなことを思いながら、準備をすませたオレは制服を着て、家をでた。
昔みたいに玄関で立ち止まることなど……なかった
:07/10/16 00:58 :SH903i :Q7LtGnUQ
#110 [りく☆]
しかし、不安がまったくないわけでわない。滝沢達に会ったとき……オレはどうしたらいいかわからない。どんな態度で接したらいいかわからない
約束の期間は過ぎてしまっている。
滝沢達を裏切ってしまったことにかわりはないのだ。
それがオレの中の大きな不安だった
:07/10/16 01:02 :SH903i :Q7LtGnUQ
#111 [りく☆]
…考えてもしかたない!!
『行こう!!』
オレは朝日が眩しい道のりを、一人で歩き始めた。雲ひとつない青空が、まるでオレを見守ってくれてるかのようだった
…結衣見てるか?
…約束……ちゃんと守るから
…温かく見守ってくれや
:07/10/16 01:06 :SH903i :Q7LtGnUQ
#112 [りく☆]
:07/10/26 01:01 :SH903i :/hAWaFYo
#113 [ゆッき+゚]
楽しみで02毎日気になって見てます
応援してます
!!
:07/10/30 07:05 :D903i :J8JHOYek
#114 [りく☆]
>>113 ゆッき
+さん
嬉しいカキコミありがとうございます
ホント遅いペースですが読んでください
:07/10/31 01:18 :SH903i :0IgCVJzc
#115 [りく☆]
太陽に優しく照らされた道をオレは一人でゆっくり歩いていた。季節は夏に近づき始めたため、暖かい風がオレにあたる。
そんな中を、まるで入学したての新入生が学校に行くかのような緊張感で歩いていた。
長期休んでしまったためだろう。
:07/10/31 01:19 :SH903i :0IgCVJzc
#116 [りく☆]
なによりも滝沢たちに会うことに1番緊張していた。
どんな顔でオレをみるのか
どんな言葉をかけてくる
むしろ話しかけてくれるのか
今まで彼等を振り回した代償が大きかったため、そんなことばかり考えていた。
:07/10/31 01:19 :SH903i :0IgCVJzc
#117 [りく☆]
"ドンッ"
『いって…』
突然誰かに後ろからおされた。
『珍しいやつが歩いてんな♪』
『た…滝沢!?』
後ろには滝沢が笑いながら立っていた。あまりに突然だったため言葉がみつからない。
:07/10/31 01:20 :SH903i :0IgCVJzc
#118 [りく☆]
『なにぼーっとしてるの?』
笑いながら祥子が話しかけてくれた。
『ほらっ!!さっさと歩けサボり♪急がんと遅刻するぜ』
オレを引っ張るようにつかみ滝沢があるきだした。
:07/10/31 01:21 :SH903i :0IgCVJzc
#119 [りく☆]
滝沢と祥子は、まるで今まで何もなかったのかのようにオレに話しかけてくれた。最近の学校の事や…卓也のバカな話など。
そんな彼らの優しさが嬉しかったが…いたかった。
あんなに振り回したオレに優しくするなんて…
また優希の話もきりだすことができなかった。滝沢も祥子もそのことには触れてこなかった。
恐らくオレが長期休んだため、過去には触れて欲しくないと思っている
:07/10/31 01:22 :SH903i :0IgCVJzc
#120 [りく☆]
滝沢の約束した期間にオレは学校行かなかった……滝沢たちが優希の話をしないのもむりもない。
けどオレは話さなければならない。向き合うと決めたから……過去を避けないと決めたから……あの樹木の前で誓ったから…。
:07/11/01 00:06 :SH903i :wrZL6n9k
#121 [りく☆]
『りく?』
黙り込んだオレをのぞきこむように祥子がオレに話しかけてきた。
『何黙ってるの!?』
『いゃ……別に』
たじたじになりながらオレは答えた。そんなオレをみた滝沢は、呆れたかのようにため息をついた。そしてゆっくり鞄を肩にかけ口を開いた。
:07/11/01 00:07 :SH903i :wrZL6n9k
#122 [りく☆]
『別にオレ達は気にしたりしてねぇよ。お前が喋りたくないならしかたないやんか♪』
『ぃゃ……』
滝沢の言葉に黙り込んだオレに、滝沢は笑いながら頭に手を置いてきた。
『早くしねぇと遅刻するぞ♪』
『りくと一緒だったらいっつも時間ギリギリだよぉ』
:07/11/01 00:08 :SH903i :wrZL6n9k
#123 [りく☆]
まるで今までオレと2人の間には何の壁もなかったのかのように、つくられたような笑顔じゃなく、自然でな何の疑いのない笑顔でオレを導いてくれる。
…そんな優しさにオレはつかっていいのか?
…ぃゃいいわけがない!!
オレは2人の優しさを振り払うかのように立ち止まった。
:07/11/01 00:08 :SH903i :wrZL6n9k
#124 [我輩は匿名である]
がんばれ
:07/11/11 14:51 :W51K :WoJb4ETk
#125 [あや]
がんばって
:07/11/11 15:17 :P703i :2Zv3WPIs
#126 [我輩は匿名である]
:07/11/14 10:51 :SH903iTV :/ENOU98.
#127 [タク]
:07/11/19 01:41 :SH903i :NKRkVenE
#128 [我輩は匿名である]
続き書いて(><)
:07/11/23 12:42 :913SH :YhVLU0sk
#129 [我輩は匿名である]
応援しています(^^)
頑張ってください
:07/11/25 22:32 :PC :Iz5ORqyQ
#130 []
がむば
:07/11/29 00:03 :D903i :Tn6DOixs
#131 [タク]
書かないの
:07/12/01 01:38 :SH903i :9lZ/rIcY
#132 [我輩は匿名である]
あげ
書いて〜
:08/01/02 12:16 :N904i :yfekCblQ
#133 [あや]
書いてください
:08/01/03 21:21 :P703i :U/OD3o06
#134 [タク]
:08/01/12 01:01 :SH903i :aDCmu.Ak
#135 [我輩は匿名である]
楽しみに待ってます//
書いてください
:08/01/27 01:04 :PC :RDPrMO.M
#136 [みなみ]
:08/01/31 19:56 :SH904i :gi0mRlpc
#137 [りく☆]
:08/02/05 00:59 :SH903i :avUjm8Aw
#138 [りく☆]
"キキッー"
オレが立ち止まった瞬間だった。見慣れた車が少し先の方に停車した。車とオレを遮るように滝沢たちがたっている。
見慣れた車……
:08/02/05 01:00 :SH903i :avUjm8Aw
#139 [りく☆]
それはカイさんの車だった。
嫌な予感が体中を駆け巡る。そんか予感を的中させるように、車の中から見たくもない光景が映し出されていく。
『りく…どうしたの?』
突然立ち止まって、何も言わずに立ち尽くしているオレに、祥子が戸惑いながら話しかけてきた。
:08/02/05 01:01 :SH903i :avUjm8Aw
#140 [りく☆]
しかし、オレはそんな彼女の優しさには反応できなかった。
オレの頭の中は、カイさんの車から優希がでてきたことでいっぱいだった。
…ついにあの2人が再会してしまった
オレがわずかに持った希望がまた崩れていったのだ。
:08/02/05 09:46 :SH903i :avUjm8Aw
#141 [りく☆]
『荒井優希か…』
オレの目線を滝沢が追うようにして言った。その口調は少しため息混じりであった。
そんかオレを見て祥子が口を開く。
『やっぱり……』
:08/02/05 09:47 :SH903i :avUjm8Aw
#142 [りく☆]
『やめろ!!』
"原因は荒井優希"という言葉を祥子は言おうとしたのだろうが、滝沢は直ぐさま止めにはいった。
『こいつが言いたくないって言ったんだから…』
そう言うと滝沢は歩き始めた。優希が歩いた道と同じ道を…
:08/02/05 09:47 :SH903i :avUjm8Aw
#143 [りく☆]
そんな滝沢をオレは相変わらずボォーと立ち尽くし見ていた。
…もう逃げないと決意したのに
結衣との約束を体が守ってくれなかった。どんなに頑張っても体が勝手に反応し、拒否してしまう。そんなもどかしさを抱えながら、オレは滝沢の後ろをついていくように学校へと向かった。
:08/02/05 09:48 :SH903i :avUjm8Aw
#144 [りく☆]
『おはよぉ……あっ、りく!』
教室に入ると、元気な挨拶と共に美里が話しかけてきた。オレが久しぶりに学校へきたことに驚いているようだ。
そんな美里を無視するように、オレは自分の席へと向かった。
:08/02/05 14:46 :SH903i :avUjm8Aw
#145 [りく☆]
美里を見ると朝のあの光景が頭をよぎるからだ。未だにあの美里の嘘を許せずにいた。
『おぃっ……りく。シカトはないだろ』
そっけない態度をとるオレを滝沢がなだめにきた。美里はこうなることをわかっていたかのように、諦めきった顔をしていた。
:08/02/05 14:46 :SH903i :avUjm8Aw
#146 [りく☆]
『りくと何かあったの?』
祥子が美里に尋ねていた。そんな祥子の疑問に美里はただ首を傾げて、知らないと答えている。
…お前の嘘のせいで…
美里の態度にまたオレの苛立ちがました。
:08/02/05 14:48 :SH903i :avUjm8Aw
#147 [りく☆]
そんなオレに気がついたのか、オレを宥めるように滝沢がオレの前の席に座った。
『久しぶりだなぁ…お前と学校で会うの』
『確かに…』
何も悪くない滝沢に少し無愛想に答えてしまった。オレはとりあえず違う話題を切り出した。
:08/02/05 20:15 :SH903i :avUjm8Aw
#148 [りく☆]
『卓也はどぉした?』
そんな何気ないオレの問いかけに、滝沢は一瞬固まった。
そんな滝沢の変化を見逃すほどオレは馬鹿ではない。すかさず滝沢に問いかけた。
『卓也になにかあったのか?』
:08/02/05 20:16 :SH903i :avUjm8Aw
#149 [りく☆]
しばらく黙った滝沢がゆっくり口を開いた。
『あいつもしばらく学校来てないんだよ…』
『何で?』
すかさず滝沢に問いかける。
滝沢はオレから目線をそらし、深いため息をついた。そしてまたゆっくりと語り始めた。
:08/02/05 20:16 :SH903i :avUjm8Aw
#150 [りく☆]
『理由がわかったら苦労しねぇよ。あの日お前と別れてから一切連絡がとれなくなった……オレたちも卓也が何してるかわからないんだよ。』
『卓也の話?』
美里との会話を終えた祥子が、会話に入ってきた。
:08/02/05 20:17 :SH903i :avUjm8Aw
#151 [りく☆]
今回の卓也の件には彼女も何もわからない様子だった。
『基本的に性格マイペースだからね…あの自由人は』
苦笑いしながら祥子がいう。そんな彼女の言葉にオレたちはただ笑うしかなかった。
:08/02/05 20:21 :SH903i :avUjm8Aw
#152 [りく☆]
"ドクンッ"
変な胸騒ぎがした…
何かをオレに知らせるような胸騒ぎ…
思わずオレは固まった。
…何だ……あの胸騒ぎ
:08/02/05 20:21 :SH903i :avUjm8Aw
#153 [りく☆]
『りく!』
滝沢の叫び声に我にかえった。
『大丈夫…?』
心配そうに祥子がオレの顔をのぞく。オレは額に変な汗をかいていた。
…一体何だったんだ?
:08/02/05 23:28 :SH903i :avUjm8Aw
#154 [りく☆]
『体調でも悪いのか?』
滝沢までもがオレを心配そうに見ていた。そんな2人を見てやっと我に戻った。
『大丈夫だよ…ちょぃ考えこと』
笑いながら2人に答えた。
:08/02/05 23:28 :SH903i :avUjm8Aw
#155 [りく☆]
2人がため息をついたのと同時にチャイムが鳴った。その合図を聞いてみんな慌てて自分の席へと戻っていった。
あの胸騒ぎ…
今思えば…
オレは重大なサインを…
無視してしまったのかもしれない……
そんなことに、その時のオレは気がつくことすらできなかった。
:08/02/05 23:29 :SH903i :avUjm8Aw
#156 [我輩は匿名である]
更新されていて嬉しいです//
これからもがんばってください(#^o^#)
:08/02/07 02:02 :PC :w27hzcV6
#157 [りく☆]
>>156匿名さん
ありがとうございます
長々と放置してすいません
スローペースですが、読んでもらえるとうれしいです
:08/02/08 01:26 :SH903i :cgoNqSYc
#158 [りく☆]
≪第6節、2000年夏…真実≫
…
……
………
…………
暗い…
視界には何も写らない。
ただ暗闇だけが広がる。
:08/02/08 01:27 :SH903i :cgoNqSYc
#159 [りく☆]
手を伸ばすと何か固い壁に当たる感触がする。
少しホコリッぽく、かびくさい臭いが漂う。
回りに人がいないが誰かが話している。
人がいるスペースから仕切られた所にいるオレは、その声を微かにしか聞けない……
:08/02/08 01:28 :SH903i :cgoNqSYc
#160 [りく☆]
いや聞こうとしてない。
両手で力いっぱい耳をふさいでいる。
何も聞きたくないのだ。
ただこの恐怖から逃れるためにこの小さな暗闇のスペースに縮こまっている。
:08/02/08 01:29 :SH903i :cgoNqSYc
#161 [りく☆]
座っている尻の方から木の床が軋む感触が伝わってくる。
いつ床が抜けてもおかしくない。そんな場所よりも、外に出る方が恐かった。
…助けて
…もうイヤだ
そんな思いが込み上げてくるのがわかる。
:08/02/08 01:30 :SH903i :cgoNqSYc
#162 [りく☆]
突然だった。
オレの回りに広がる暗闇が消え去っていく。
光が差し込んできた。
そんな状況に安心感はない…
:08/02/08 01:31 :SH903i :cgoNqSYc
#163 [りく☆]
むしろ恐ろしいほどの恐怖が体中を駆け巡る。
オレは力いっぱい耳をふさいで目を閉じた。
…くるな
…もぉ殴られたくない
体を震わせながらただ願うだけ
無駄な願いを…
:08/02/08 01:32 :SH903i :cgoNqSYc
#164 [りく☆]
"ポンッ"
優しく頭に手を置かれた。
その状況が信じられず、思わず目を開けた。
『ごめんね』
目の前に微かに見える人が言う。
眩しくてあまり直視できない。
:08/02/08 01:32 :SH903i :cgoNqSYc
#165 [りく☆]
『本当にごめんね』
また謝った。
優しい声を震わせながら…
そして、その手はオレから離れていき、姿を消していく。
何となく嫌な予感がした。
:08/02/08 01:33 :SH903i :cgoNqSYc
#166 [りく☆]
『待って!!』
オレの呼び掛けにも振り向かない。どんどん歩き進んでいく。
『行かないで!!』
どんどん遠ざかっていく。
オレは狭い空間から身を乗り出した。
何処に向かって歩いているかわかったから…
:08/02/08 01:34 :SH903i :cgoNqSYc
#167 [りく☆]
『独りにしないで!!』
とうとう玄関にいってしまった。オレの呼び掛けに耳をかたむけることもなく
"ガチャ……"
『お母さん!!!!!』
"パタンッ"
扉が
閉まった…
:08/02/08 01:35 :SH903i :cgoNqSYc
#168 [りく☆]
『おか…あ……さん
…独りに…しないで…』
『諦めろ…』
冷静な低い声がオレに言う。
オレに恐怖を与える声…
:08/02/08 01:36 :SH903i :cgoNqSYc
#169 [りく☆]
オレは独りになった
…見捨てられたの?
受け入れたくない現実。
:08/02/08 01:37 :SH903i :cgoNqSYc
#170 [りく☆]
『うぁぁぁぁぁ……』
叫びにもならない泣き声で
オレは泣いた。
…置いてかないで
独りにしないで
『お母さん!!!!』
………………
……………
………
……
…
:08/02/08 01:38 :SH903i :cgoNqSYc
#171 [りく☆]
『夢……か…』
いや、はっきり言うなら過去の記憶だ。
オレが幼い頃、母親がでていった記憶……
消してしまいたい嫌な記憶だ。
あの頃はよく父親に怯えて、押し入れの中に隠れていた。両手てで耳をふさいで……父親と母親の喧嘩の声が聞こえないように…
:08/02/08 01:43 :SH903i :cgoNqSYc
#172 [りく☆]
久しぶりの学校で疲れていたので、昼休みに屋上で仮眠をとっていたのだ。
おかげさまで嫌な夢を…嫌な記憶をみてしまった。
頬には涙が流れた感覚が残っていた。そんな頬をオレは制服で拭う。
:08/02/08 01:46 :SH903i :cgoNqSYc
#173 [りく☆]
:08/02/08 01:59 :SH903i :cgoNqSYc
#174 [りく☆]
『仮眠なんかとらなきゃよかった…』
つい愚痴がでてしまった。
あの記憶は、初めて母親の温もりを少し感じれた日でもあり、母親との悲しい別れの日でもある。
:08/02/08 22:22 :SH903i :cgoNqSYc
#175 [りく☆]
母親は決して優しい人ではなかった。幼い頃の記憶だがはっきりしている。オレが親父から暴力を受けている時も、『もぉ止めたら』と冷静に言うだけだった。
そのあとに何か優しい言葉をオレにかけてくれるわけでもない。
ただいつも冷静な目で見ていた。
オレの記憶の母親はそんな人だった。
:08/02/08 22:23 :SH903i :cgoNqSYc
#176 [りく☆]
…過去なんて
忘れたい……と言いたいが忘れられない。実際にこうやって夢にまででてくるわけだから。
そんな思いを胸に押し込め、オレは再び寝転がった。
屋上は立入禁止区域なため誰もいない。学校で唯一静かな空間だ。
:08/02/08 22:23 :SH903i :cgoNqSYc
#177 [りく☆]
そんな安らぎある空間でオレは空を眺めていた。白い雲が青い空を早々と流れていく。そんな光景をただ眺めていた。
『ハァ…』
もはやため息しかでなかった。あんな夢を見るなら学校何てくるのではなかったと後悔しながら…。
:08/02/10 01:29 :SH903i :Xl9AlgpY
#178 [りく☆]
…何で学校来たんだっけ?
ふと今、現実にもどった。
…オレは、結衣との約束を果たすために学校にきたんだ
思わず起き上がった。このまま逃げててはいけないと言い聞かせながら。
:08/02/10 01:30 :SH903i :Xl9AlgpY
#179 [りく☆]
『ここにいたのか…』
少し疲れた声で滝沢が言ってきた。オレを探していたのだろうか、少し息が荒れている。
『悪い悪い……少し仮眠とってただけだよ。』
心配かけまいと明るく答えた。
『帰ったかと思ったし…』
そう言いながら滝沢は、オレの横にゆっくり座った。
:08/02/10 01:32 :SH903i :Xl9AlgpY
#180 [りく☆]
『せっかく学校来たと思ったら、いなくなるし…
まぁ気にするなってほうが無理な話か。』
滝沢も明るい口調でオレに話しかけてきた。オレの過去について気を使ってくれているのだろう。何せかなり学校を休んでいたから……
よほどオレが過去についてふれてほしくないと思っていると、滝沢は感じているのだろう。
…本当はすべてを打ち明けたいのに…
:08/02/10 01:32 :SH903i :Xl9AlgpY
#181 [りく☆]
…いや、打ち明けなければならない。
そぉ思ったときだった。滝沢がゆっくりオレに話しかけて来た。
『俺がお前の過去を調べたりしたこと、怒っているか?』
オレの顔を見ず、正面を見たまま真剣な顔で語りかけてくる。
:08/02/10 01:38 :SH903i :Xl9AlgpY
#182 [りく☆]
『怒ってないし』
素直なオレの気持ちだった。始めに滝沢の口から聞いたときは、いろいろな感情がでてきたが、今ではオレの事を本気で心配してくれた事を感謝しているくらいだ。
『いろいろ…ありがとうな』
オレも正面を向いたまま滝沢に言った。その時彼がどんな表情をしていたかはわからない。
:08/02/10 01:41 :SH903i :Xl9AlgpY
#183 [りく☆]
『どぉも。まぁ感謝されるようなことはしてないけどな』
しばらく沈黙が続いた。
滝沢はオレが話始めるのを待っているのだろうか。それなら有り難いチャンスなのだが…なかなか行動に移せずにいた。
:08/02/10 01:46 :SH903i :Xl9AlgpY
#184 [りく☆]
『お前の制服姿とか久しぶりだし。』
立ち上がり、オレに笑いかけながら滝沢が言った。沈黙した重い空気を断ち切りたかったのだろう。
そのまま滝沢は日なたを避けるように、日影のある壁へ寄り掛かった。
少し陽射しが暑かったのだろう
:08/02/10 01:59 :SH903i :Xl9AlgpY
#185 [りく☆]
『久しぶりに学校きたからな。オレも何か違和感があるよ。』
そんな言葉を返し、陽射しの当たる場所にそのまま居座っていた。
…話さなきゃ
そんな気持ちがピークに達してきた。
結衣との約束のため、また、あんなに調べてくれた滝沢のためにも。
:08/02/10 02:03 :SH903i :Xl9AlgpY
#186 [りく☆]
…調べてくれた?
そんな思いに少し疑問をいだいた。
…どうやって滝沢はみっちゃんに会うことができたんだ!?
遅いかもしれないが、ようやくそんな疑問にたどり着いた。
また、猛志先輩に会っていた真相も聞いていない。
:08/02/10 02:10 :SH903i :Xl9AlgpY
#187 [りく☆]
『なぁ、滝沢。』
後ろにいる滝沢の方を振り返り、彼に呼びかける。
『何だ?』
少し驚いたような顔で答えた。いきなりオレが振り返ったからだろう。
『オレの過去を、どうやって知ったんだ?』
滝沢の表情が固まった。
かまわずオレは言葉をつづける
『どうやってみっちゃんに会ったんだ?』
:08/02/10 02:14 :SH903i :Xl9AlgpY
#188 [りく☆]
『みっちゃん?』
ゆっくり滝沢が聞き返してきた。
『お前がオレの過去の話を聞いた人だよ。』
あの人か、っと言わんばかりの表情をし、笑って滝沢は答えた。
『そぉいえば言ってなかったな。』
とだけ…
『どうやって?』
再び滝沢に尋ねた
:08/02/10 02:18 :SH903i :Xl9AlgpY
#189 [りく☆]
『まぁ別に話してもぃぃが、お前は何も話さないつもりだろう?
こんなに学校休んだわけだし。』
腕を組み、壁に寄り掛かりながら、オレの疑問に滝沢は冷静に答えた。
『確かに、与えられた期間以上休んだけど…』
『けどなんだ?』
まだ滝沢は真剣な顔でオレを見ている
:08/02/10 02:22 :SH903i :Xl9AlgpY
#190 [りく☆]
すいません
今日は一旦中止します
読んで下さっている人がいたら、感想をくれたら嬉しいです
:08/02/10 02:23 :SH903i :Xl9AlgpY
#191 [りく☆]
『休んだかもしれないけど、それがオレの答えじゃないんだ。』
思わず立ち上がり、滝沢に訴えた。ストレートにはっきり自分の気持ちが言えず、どこかもどかしさを感じていた。
そんなオレを、滝沢はまだ冷静な目で見ている。
『答えじゃないって、お前、話すつもりか?』
少し沈黙の間をつくって滝沢がオレに問い掛ける
:08/02/11 01:16 :SH903i :Srp2j4ig
#192 [りく☆]
その問い掛けに、オレはまた固まった。
素直にそうと言えばいいのだが、現実はそんなにうまくいかない。
けど、結衣との約束がそんなオレを批判する。
『まぁ、もとから話すつもりだったからな。話してやるよ。』
手汗を握るオレに、優しく言った。さっきとは変わって優しい表情で、
:08/02/11 01:21 :SH903i :Srp2j4ig
#193 [りく☆]
『屋上で、初めて荒井優希に会ったときから、彼女とお前の繋がりは感じていた。なにせお前は飛び降りようとしたんだからな。
だから、荒井優希について調べたら何かわかるような気がして、彼女について調べてみた。』
落ち着いた口調ど淡々と滝沢は語る。そんな滝沢に、何か反論するわけでもなく、これから彼の口から明かされる真実を受けとめるのに必死だった。
:08/02/11 22:14 :SH903i :Srp2j4ig
#194 [りく☆]
『猛志先輩が帰ってきたのしってるよな?』
『あぁ、一応会ったし。』
唐突的な滝沢の質問に、オレはたどたどしいく答えた。
『あの人が東京から帰ってきたとき、たまたま会ったんだ。
最初はマジびっくりしたよ。何で猛志先輩がってね。まぁ顔見知りだから当然話しかけられるわけだ。』
:08/02/11 22:15 :SH903i :Srp2j4ig
#195 [りく☆]
まるで笑い話のように、滝沢は話す。あれだけ心配したオレ達にとっては、笑えない話だ。
『それでバイクに乗ったのか!?』
少し強気な口調で訴えるオレをなだめるように滝沢は言葉を続ける。
:08/02/11 22:15 :SH903i :Srp2j4ig
#196 [りく☆]
『おいっ、、落ち着け、あれには理由がある。』
『理由?』
『あれは…』
滝沢が姿をくらます、祥子と公園であの出来事が起こる4日前、相葉猛志に彼は会った。 相変わらずの迫力に、しばらく立ち尽くしていたら、猛志先輩の方から話しかけてきたという。
:08/02/11 22:16 :SH903i :Srp2j4ig
#197 [りく☆]
「久しぶりだな、滝沢勇貴」
はいっと畏まって滝沢は答えた。しかし、フルネームで呼ばれた事に違和感を覚えた彼は聞き返した。
「フルネームで覚えてくれてたんですね」
「まぁ、お前の場合は特別だ。あいつと同じ名前だからな。」
:08/02/11 22:17 :SH903i :Srp2j4ig
#198 [りく☆]
「あいつ?」
「お前には関係ないやつだ。荒井優希ってやつだ。女だけどな。
それと名前が同じだから覚えてるだけだ。たいした理由じゃねぇよ」
それが、久しぶり会った滝沢と猛志先輩の会話だった。滝沢は迷わず猛志先輩に優希について聞いたという。なぜ彼女を知っているのか、彼女とどういう関係なのか。
:08/02/11 22:17 :SH903i :Srp2j4ig
#199 [りく☆]
しかし、その時猛志先輩には時間がなく、暇があったら教えてやると言われた。そして、猛志先輩に番号を教え、4日後に彼から電話があったのだ。
祥子と話しているときに。
今しか時間がないと言われ、話の途中だったが仕方なく猛志先輩に会いに行ったそうだ。
そして、バイクに乗っているところを卓也が発見したのだ。
:08/02/11 22:18 :SH903i :Srp2j4ig
#200 [我輩は匿名である]
あげ
書いてくださいー
:08/03/19 15:37 :N904i :ExssWpiM
#201 [あや]
頑張って書いてください
まってます。+゚'*+。☆+゚':*
:08/04/02 23:40 :P703i :qyqkgmrw
#202 [我輩は匿名である]
あげる
:08/04/12 21:13 :PC :☆☆☆
#203 [我輩は匿名である]
あげる(*ノ∀`)ノ
:08/05/08 00:45 :W61CA :☆☆☆
#204 [タク]
:08/05/17 15:28 :SH903i :z7TUM/oo
#205 [我輩は匿名である]
更新待ってます!
:08/05/30 11:39 :PC :avZr0JWQ
#206 [我輩は匿名である]
更新希望
:08/07/01 21:58 :N904i :zxq2ggmw
#207 [りー]
:08/07/02 14:21 :N905i :GI.FC1eQ
#208 [タク]
:08/07/06 01:13 :SH903i :5ZxjYlp2
#209 [我輩は匿名である]
更新希望です
:08/07/28 00:34 :PC :1rqAfToo
#210 [りく☆]
長く放置してしまい、本当に申し訳ありません
応援してくれた方々本当にありがとうごさいます
これからまた更新していきたいと思うので、よかったらよんで下さい
放置してすいませんでした
:08/08/21 00:50 :SH903i :Gn6lI.io
#211 [りく☆]
『猛志先輩に会って何を話したんだ?』
話し終え、一息ついている滝沢にオレはすかさず聞いた。何故猛志先輩が優希のことを知っているのか気になって仕方がなかったからだ。
:08/08/21 00:51 :SH903i :Gn6lI.io
#212 [りく☆]
そんな慌てているオレをよそに滝沢は、ゆっくり息を吐きオレを見た。いつになく鋭い目つきだった。まるで、今からオレの想像を越える程の話をすることを忠告するかのように。
そんな彼の目つきに一緒オレは固まってしまった。静かな屋上に張り詰めた緊張感が広がるのがわかった。
:08/08/21 00:52 :SH903i :Gn6lI.io
#213 [りく☆]
『何も教えてくれなかった…』
目線をそらし滝沢か言った。その目からは少し悔しさが伝わるのがわかる。
『何も?』
意外な解答に思わず聞き返した。呆気にとられたオレを見ながら、滝沢はまた話を続けた。
:08/08/21 00:52 :SH903i :Gn6lI.io
#214 [りく☆]
やっとの思いでたどり着いた滝沢に待っていた現実はあまりに厳しいものだった。祥子との話を中断してまで来た彼にたたき付けられた猛志先輩の答えは、教えられないの一言だったという。
:08/08/21 00:53 :SH903i :Gn6lI.io
#215 [りく☆]
滝沢がオレのために優希について知りたがっていることを話すと、他人事に一生懸命になっている滝沢を面白がる様に、彼は笑いながら滝沢に語りかけた。
「確かに荒井優希については知ってるよ。あいつとは昔からの腐れ縁たからな。だが……ここで教えたら面白くねぇんだよなぁ。マジ言いたいけどさ♪」
:08/08/21 00:54 :SH903i :Gn6lI.io
#216 [りく☆]
滝沢はただ握りこぶしを作る事しかできなかった。今までの自分の苦労を嘲笑われ、親友に必死になる姿を馬鹿にされた。あの猛志先輩に。その悔しさはあまりに大きなものだったが、彼にこの怒りをぶつける事はできない。しかしこのまま引き下がれない滝沢は、再び猛志先輩に尋ねた。
:08/08/21 00:55 :SH903i :Gn6lI.io
#217 [りく☆]
「彼女の名前を知っているということは、何知ってるんですよね?」
「あぁ…よく知ってるよ。昔のあいつならな。今は知らねぇな。そんなに新垣が心配か?」
また笑いながら猛志先輩は滝沢にった。
「あいつを…りくを救うには、過去を探るしかないんですよ。猛志先輩お願いします。知っていることがあるなら話して下さい。」
:08/08/21 00:55 :SH903i :Gn6lI.io
#218 [りく☆]
滝沢は土下座して頼み込んだそうだ。あんなに自分を馬鹿にした相手に。そんな滝沢を見て猛志先輩の表情から少し笑顔が消えた。
「過去を知りたいのか?」
そぉゆっくり語りかけてきたという。その言葉にゆっくり滝沢が顔を上げると、猛志先輩は滝沢にみっちゃんの場所を教えたそうだ。
:08/08/21 00:56 :SH903i :Gn6lI.io
#219 [りく☆]
猛志先輩とみっちゃんは東京での仕事仲間だったらしい。こいつならあいつの過去をよく知っている、と言われ滝沢はみっちゃんの居場所へと行ったのだった。そしてみっちゃんから過去を聞いた。それが滝沢の口から語られた真実だった。
:08/08/21 00:57 :SH903i :Gn6lI.io
#220 [りく☆]
『オレが過去を知った理由、納得したか?』
全てを話してすっきりしたのか、滝沢は壁に寄り掛かり微笑みながらオレを見ていた。
『それでみっちゃんに会えたのか…』
滝沢が自分の為にそこまでしてくれたことに驚きながら、とりあえず真実を知り納得していた。
:08/08/21 01:04 :SH903i :Gn6lI.io
#221 [りく☆]
『みっちゃんって…三浦のことか?』
滝沢の質問に頷くと、彼はあの顔でみっちゃんと呼ばれているのが可笑しいのか、少し笑っていた。
『昔のあだ名だから仕方ないだろ』
そんな滝沢に少し投げやりに言った。確かに笑われても仕方がないからだ。
:08/08/21 01:08 :SH903i :Gn6lI.io
#222 [りく☆]
しばらくお互い顔を見合わせながら笑った。
誰かと笑いを共有しあうなど、オレにとっては久しぶりの事だった。
笑いを押さえるように一息ついた滝沢は、また真面目な表情へと戻した。
:08/08/21 01:11 :SH903i :Gn6lI.io
#223 [りく☆]
『オレの話は以上だ。』
そぉ滝沢は言い切った。次はお前の番だと言わんばかりの目つきで。
…ついに話す時がきたか
意外にもオレの心は落ち着いていた。
:08/08/21 01:14 :SH903i :Gn6lI.io
#224 [りく☆]
ここまでしてくれた滝沢になら、そして心配してくれた友人になら話してもいいと思えたのだ。
前にみっちゃんに言われた「お前は友人を信用してない」っという言葉を今ならすぐに否定できる自信があった。
黙ってそんな事を考えているオレを滝沢が心配そぉに見ているのに気がついた。
:08/08/21 01:18 :SH903i :Gn6lI.io
#225 [りく☆]
『りく……気を悪くしたか?』
『イヤ…ちょぃ考えこんでただけ。』
滝沢の心配を早く消したくて、すぐに言葉を返した。
『ならぃぃけど。
なぁりく、一つ聞いていいか?』
ゆっくりとした口調で滝沢がオレに問いかけた。
:08/08/21 01:21 :SH903i :Gn6lI.io
#226 [りく☆]
『三浦も言ってたんだが……』
滝沢が話の途中で言葉を止めた。
『どぉしたんだ?』
すかさず問いただす。もしかしたら滝沢はオレに気を遣っているのかもしれない。そぉ思えた。
『気にしないで言っていいよ。聞きたいことってなんだ?』
:08/08/21 01:24 :SH903i :Gn6lI.io
#227 [りく☆]
そんなオレの言葉に安心したのか、滝沢は話を続けた。
『三浦が言ってたんだが、
お前が変わってしまったのは、山へ旅行に行った後らしいな。荒井優希と両親の4人でいった旅行…
そこで起きた事故が関係あるのか?』
『あぁ…そぉだ』
滝沢の質問に慎重に答えた。夏の暑さに照らされてでてきた汗が、額をつたっていくのがわかった。
:08/08/21 01:30 :SH903i :Gn6lI.io
#228 [りく☆]
滝沢はあっさりオレが認めたことにただ驚いていた。
今まであんなに口を閉ざしていたオレが、今は真っすぐ滝沢の目を見ている。
もはや今のオレには何の迷いもなかった。
今まで硬く閉ざされていた過去が、ゆっくりとその姿を見せようとしている。
:08/08/21 01:34 :SH903i :Gn6lI.io
#229 [りく☆]
親父からの虐待
親の離婚
優希との出会い
そして2人で親父の虐待に耐えた日々
2人で語り明かした夢
深山での出来事……
全てを話すのに、オレは何の戸惑いもなかった。ただ無心で有りのままを滝沢に話したのだ。
:08/08/21 01:38 :SH903i :Gn6lI.io
#230 [りく☆]
『じゃぁ……お前の親父さんは事故死じゃなくて…』
オレの過去を知り動揺を隠せずにいた滝沢が、やっと絞り出した言葉だった。
『オレが彼女に…優希に殺させてしまったんだ』
過去を噛み締めるように答える。他人に話すと改めて自分がした事の重大さがわかってきた。
:08/08/21 16:32 :SH903i :Gn6lI.io
#231 [りく☆]
その深山での事件以来のオレの状況の変化や優希との別れ、そして滝沢たちと出会うまでを続けて滝沢に話した。
何故オレが結衣をすぐに愛さなかったのか、そして彼女が亡くなってからのオレの心境の変化、優希との再開後のオレの行動の真実。それらすべてを滝沢に話した。
:08/08/21 16:32 :SH903i :Gn6lI.io
#232 [りく☆]
過去を全て知った滝沢は、何も反論することなく黙って聞いていた。
オレの口から出る一言一句漏らさず聞くように、目を閉じてオレの話しに耳を傾けていた。
:08/08/21 16:33 :SH903i :Gn6lI.io
#233 [りく☆]
不思議な気持ちだった。
あれだけ過去を知られる事を拒み、全てを独りで抱え込んでいた自分が、何も包み隠さず他人に全てを話すなんて……
しかし、心境は清々しいものだった。それは全てを話せたからなのか。しかしそれだけの理由であれば、話す相手など誰でもいいはずだ。
:08/08/21 16:33 :SH903i :Gn6lI.io
#234 [りく☆]
オレはやっと心から人を信用し、有りのままの自分をさらけ出す事ができた。
そんな当たり前のことにオレは、新鮮味を感じていた。今なら胸を張って言えるだろう。
オレは滝沢たちを心から信用しているかけがえのない親友であると……
:08/08/21 16:34 :SH903i :Gn6lI.io
#235 [りく☆]
『お前はこれからどぉするんだ?』
全てを聞いた滝沢は、意外にも冷静な顔でオレに聞いてきた。
『どぉしようもないよ……』
弱気に答えてしまった。
:08/08/21 16:35 :SH903i :Gn6lI.io
#236 [りく☆]
それは滝沢の言う通り、これから何の解決策がないことに気がついたオレの悲しみであった。
話したところで全てが許される訳ではない。
:08/08/21 16:35 :SH903i :Gn6lI.io
#237 [りく☆]
『けど…お前がやっと話してくれて嬉しかったよ。まぁ内容には正直ビビったけど。
でも約束しただろ……お前が全てを話してくれた時は全力で協力するって。』
オレの両肩を掴み滝沢が言う。
『お前はもぉ…独りじゃないんだ』
:08/08/21 16:36 :SH903i :Gn6lI.io
#238 [りく☆]
深山での出来事からずっと篭っていた暗闇に、やっと光が差し込んできた。
別にそれを望んで話した訳ではない。
しかし、滝沢のそんな優しい一言にオレはただ涙を流していた。
:08/08/21 16:41 :SH903i :Gn6lI.io
#239 [りく☆]
『男が泣くなんてダセェぞ』
笑いながら滝沢がオレに言葉をかける。
『う…うるせぇ』
涙を流しながら必死にだした言葉だった。
オレが落ち着くまで待っていた滝沢がゆっくり口を開いた。
:08/08/22 00:56 :SH903i :XTS191aU
#240 [りく☆]
『彼女は…お前と全く話したくないような感じなのか?』
『直接なにか言われた訳ではないけど…絶対嫌だろ』
二人で屋上の壁にもたれかかりながらオレは滝沢に言葉を返した。
:08/08/22 00:57 :SH903i :XTS191aU
#241 [りく☆]
優希が許してくれている訳がない。必ず守ると約束したのに裏切ったオレなんて……許されるはずがない。そんなオレの気持ちを悟ったのか、滝沢は黙ったまま夏の青空を眺めていた。
:08/08/22 00:58 :SH903i :XTS191aU
#242 [りく☆]
『そぉいえば……美里が彼女と仲良さそぉにしてたぞ。美里に頼んで話す機会を』
『ダメだ!!』
沈黙を破る為に話し始めた滝沢の言葉を途中で止めた。美里に話すなんて…考えられない。そんな想いからでた行動だった。
『美里と何があったんだ?』
不思議そぉにオレの顔を覗き込む滝沢に、オレは美里に言われた嘘を語った。
:08/08/22 00:58 :SH903i :XTS191aU
#243 [りく☆]
美里と2人っきりになった時に言われた言葉。その言葉を嘘と決定づけるカイさんとの出会い。優希とカイさんとの関係……全てを話した。
『まさか猛志先輩に兄がいたとはな……しかもそれが彼女とは。
あっ……だから猛志先輩は彼女のことを知っていたのかな?』
必死に推理をする滝沢の横で、オレはただ首を傾げていた。
:08/08/22 00:59 :SH903i :XTS191aU
#244 [りく☆]
猛志先輩と優希の関係など知らない。オレはまだ美里の嘘が許せないでいた。そんなオレの気持ちを表情から悟ったのか、滝沢はまた話し始めた。
『それにしても美里も変な話をするな…何かお前らに問題でもあったわけじゃないだろ?』
:08/08/22 00:59 :SH903i :XTS191aU
#245 [りく☆]
『あるわけないだろ。』
『だよな…』
またしても沈黙がやってきた。結局は解決の糸口は見つからないのか。
しかし、滝沢に話したことで今までの事を振り返ることができた。
…美里はなぜあんな嘘を
:08/08/22 01:00 :SH903i :XTS191aU
#246 [りく☆]
優希がオレに許しを貰おうとすることなどあるはずがない。彼女が自分を責める理由などどこにもないはずだ。
なら何故美里はあんな手の込んだ事をして嘘を言いたかったのか。誰も特にならない嘘を何でわざわざ言ったのか、美里の行動の真意が全くわからなかった。
:08/08/22 01:00 :SH903i :XTS191aU
#247 [りく☆]
『カイさんって人と彼女の関係は確かなのか?』
『あぁ…本人が言っていた』
滝沢の確認に、記憶を辿りながら答えた。
『ならなんで美里は嘘を……
もしかしてお前の知らない何か別の真実があるんじゃないか?』
頭を抱えていた滝沢が、思いついたように言った。
:08/08/22 01:01 :SH903i :XTS191aU
#248 [りく☆]
『オレより美里を信じるのかよ。オレの話聞いただろ。優希がオレに許しを得ようとするなんてありえない。』
少し感情的になって答えてしまったオレを見て、滝沢は再び視線を前に戻した。
:08/08/22 01:01 :SH903i :XTS191aU
#249 [りく☆]
『オレの知らない真実…』
ふと滝沢から言われた言葉が口からでてきた。今まで考えた事のない思考だ。
『お前が言ってる事を疑ってるわけじゃねぇが……何か気にならないか?もしかしたら何か分かるかもしれないし。少し調べてみないか?』
:08/08/22 01:02 :SH903i :XTS191aU
#250 [りく☆]
『何やってるの?』
屋上に入る入口の扉から声が聞こえた。扉は閉めてあるから顔はわからない。しかし、聞き覚えのある声だった。あの声は間違えない……祥子だ。
オレと滝沢はお互い同時に扉に視線を移した。
『祥子か……。あいつ誰と話してるんだ?』
:08/08/22 01:35 :SH903i :XTS191aU
#251 [りく☆]
扉が閉まっているため、祥子がオレ達を確認できるはずがない。それをわかったうえでの滝沢の発言だった。
つまりオレ達が話している時、誰かが扉のそばにいたのだ。
『話を聞かれた…』
思わず口からでた言葉だった。滝沢達以外には知られたくない過去だったからだ。
:08/08/22 01:44 :SH903i :XTS191aU
#252 [りく☆]
『勇貴とりく知らない?』
祥子は再び扉のそばにいる誰かに語りかけていた。しかし、相変わらずその相手は黙っている。
恐らくオレ達に存在を知られたくないのだろう。
オレは過去を知られたことに、ただショックを受けていた。
:08/08/22 01:52 :SH903i :XTS191aU
#253 [りく☆]
『祥子のやつ、オレ達を探してるみたいだぜ。
…おいっ、りく。大丈夫か?』
呆然と立ち尽くしたオレに慌てて滝沢が話しかけてきた。滝沢も瞬時にオレがショックを受けている原因を察知したのか、それ以上何も言ってこなかった。
滝沢はオレの肩を軽く叩き、扉の方へと歩きだした。
:08/08/22 01:56 :SH903i :XTS191aU
#254 [りく☆]
『祥子!!
オレとりくならここにいるぜ。
ついでに盗み聞きしてる奴も出てこいよ。』
少し怒った口調で滝沢は扉に向かって言った。彼もオレの話を聞かれたことに腹をたてていた。
『そこにいるんだ♪
ってか盗み聞きって……美里あんた何やってんの?』
驚いた口調で話している祥子の声が聞こえた。
:08/08/22 02:02 :SH903i :XTS191aU
#255 [りく☆]
『美里がいるのか?』
驚きを隠せない滝沢が声を上げて言った。
それと同時に扉が開き、慌てて入ってくる祥子と、戸惑いを隠せずにいる美里の姿が見えた。
『別に…盗み聞きしてたわけじゃぁ』
目線にやり場のない美里が、俯きながら言った。
:08/08/22 02:05 :SH903i :XTS191aU
#256 [りく☆]
『別にいいじゃん。
勇貴がりくに愛の告白でもしてたら別だけど♪』
何も知らない祥子は笑いながらオレ達を見ていた。
『何バカ言ってんだよ。ってか愛の告白は違うから』
呆れた様に滝沢が祥子に言い返した。祥子もベロを出して、冗談だよと言わんばかりの表情で滝沢を見ていた。
:08/08/22 02:10 :SH903i :XTS191aU
#257 [りく☆]
『美里……お前聞いていたのか?』
ふざけ合う2人を余所に、オレは真顔で美里に言った。
『だから……盗み聞きは』
『聞いたどうかを聞いてるんだよ!!』
言い訳しようとした美里にオレは怒鳴り返した。
もはや何と言おうとオレは彼女を許す気になれなかった。
:08/08/22 02:13 :SH903i :XTS191aU
#258 [りく☆]
美里は何も答えず、逃げるように屋上から走り去った。
その様子を祥子はただ呆然と見つめていた。
『あの様子じゃ……聞いていたな』
ため息混じりで滝沢がいった。もはや美里を追いかける気力すら湧いてこない様子だ。
:08/08/22 02:16 :SH903i :XTS191aU
#259 [りく☆]
優希と一緒にいる美里なら、いつかは知る事かもしれない。
しかし、優希は彼女に全てを話してはいなかった。だから、もしオレが話した事が優希にバレたら……そう考えただけで背筋に寒気が走った。
あんな過去、優希は誰にも知られたくないはずだから…。
オレは絶望感にどっぷりと浸り、ただ立つことしかできなかった。
:08/08/22 02:21 :SH903i :XTS191aU
#260 [りく☆]
『何があったの?』
ようやくパニックから抜け出した祥子が口を開いた。この屋上での話は、自分からはできないと思ったのか、滝沢は黙ってオレを見た。しかし、そんな彼の視線に気がつくことなく、オレは美里が駆け降りた階段をただ見つめていた。
『また…後で話すよ。
とりあえず人に聞かれたくない話だったんだ。』
滝沢がオレの代わりに遠回しに祥子に説明してくれた。
:08/08/22 02:27 :SH903i :XTS191aU
#261 [りく☆]
『美里ならいいじゃん。仲良しなんだし』
不思議そぉに祥子が答える。
『それがいろいろ訳ありで……
ところでお前、オレ達に用があるんじゃなかったのか?』
話を変えるため、滝沢は祥子に尋ねた。
祥子は自分の用件を思い出したらしく、急に慌てた表情になった。
:08/08/22 02:30 :SH903i :XTS191aU
#262 [りく☆]
『た……卓也の居場所がわかったの!!』
行方不明になっていた卓也の居場所がわかった明るい報告なはずだ。なのに祥子の顔には笑顔は存在しなかった。
『どこにいたんだ?』
それを察したオレ達は、慎重な口調で祥子に聞き返した。
『時間がないの……ついて来て。』
そう言うと、祥子は階段を勢いよく降りていった。
:08/08/22 02:35 :SH903i :XTS191aU
#263 [りく☆]
祥子から逸れないように、オレと滝沢は必死についていった。
ちょうど休み時間だったため、他の生徒にぶつかりなら慌てて階段を降った。
祥子は誰にぶつかろうとも、謝りもせずにただ前だけを見ていた。
そんな祥子の背中から、ただ事ではないということが伝わってきた。
:08/08/22 02:40 :SH903i :XTS191aU
#264 [りく☆]
学校を出ると、門の前には1台の車が止めてあった。それは、卓也がたまに送り迎えしてもらっていた車だった。
何も躊躇いもなく祥子は車に乗り込む。それにつられてオレ達も車に乗った。
『あっ……美里も連れてくるんだったんだ…』
息を切らしながら祥子が言う。
:08/08/22 02:44 :SH903i :XTS191aU
#265 [りく☆]
『美里はいいよ。』
状況をのみこめずにいたオレだったが、美里がくることだけは拒んだ。
そんなオレの心境を悟ったのか、祥子は渋々車のドアを閉めた。
『あんた達と美里に何があったのよ…』
窓越しに学校を見ながら祥子がぼやいている。
:08/08/22 02:48 :SH903i :XTS191aU
#266 [りく☆]
『その話は後でするとして……祥子、卓也はどこで何をしてるんだ?』
車の中で冷静になった滝沢が、祥子に尋ねた。あの祥子の慌て様からただ事ではないことは承知している。だから、オレと滝沢はじっと祥子を見つめ答えを待った。
『卓也坊ちゃんは、只今病院にいらっしゃいます。』
:08/08/22 02:52 :SH903i :XTS191aU
#267 [りく☆]
答えにくそうな祥子の代わりに、運転手が答えた。
彼はよく知っている。昔から卓也の世話をしていた人だ。みんなからはジィと呼ばれていた。
『ジィ……病院ってどういう事だ?』
ハンドルを握るジィに滝沢が尋ねた。ジィは信号で停車し、一息ついて答えた。
:08/08/22 02:56 :SH903i :XTS191aU
#268 [りく☆]
『卓也坊ちゃんが病気をおもちなのは、みなさんご存知ですか?』
ジィの質問にみんな黙って頷くと、彼は再び言葉を続けた。
『ここ数日前から急激に病状が悪くなり、入院しているのです。』
ジィの声が少し震えているのがわかった。その声がオレ達を不安にする。
『卓也は大丈夫なのか?』
恐る恐るオレはジィに尋ねた。
:08/08/22 03:02 :SH903i :XTS191aU
#269 [りく☆]
車を降りたオレ達は慌てて病院へと乗り込んだ。
「私の口からは何とも……ただ坊ちゃんの意識があるのは確かです。ただ、原因のわからない病気ですので、何とも言えないのが現状なのです」
病院の廊下を走りながらジィの言葉を思い出していた。
卓也が何らかの病気を抱えていることは知っていたが、これほど重大とは。オレの心には不安が広がっていた。
:08/08/22 03:08 :SH903i :XTS191aU
#270 [りく☆]
『あった……卓也の部屋だ。』
滝沢の声にオレとしょうこが彼に駆け寄る。走りまわった末にようやく卓也の病室をみつけた。
病室の中からは物音さえ聞こえてこない…。ただ病院の廊下につけられたクーラーの音だけが、微かに聞こえてくる。
:08/08/22 15:56 :SH903i :XTS191aU
#271 [りく☆]
『開けるぞ…』
ドアノブにそっと手を置いたオレが、2人の目を見て言った。滝沢だけが頷き、祥子はただ黙ってドアを見ていた。もしかしたら部屋の中から卓也の声が聞こえるかもしれない……そんな希望を抱きながら。
:08/08/22 15:57 :SH903i :XTS191aU
#272 [りく☆]
ゆっくりとドアを開けた。少しずつ広がるドアと壁の隙間からは、廊下よりもやや暖かい風が通ってきた。どぉやら病室の窓が開いているらしい。
隙間が段々と大きくなり、病室の姿がわかってきた。病室はホテルのシングルルームみたいになっており、ドアの前には部屋まで続く短い廊下があった。
:08/08/22 15:58 :SH903i :XTS191aU
#273 [りく☆]
その廊下の脇には、洗面所へと続く扉があった。
ゆっくりと廊下を歩き進んで行くと、ベットのある部屋が見えてくる。タブルベットとまではいかないが、普通の病室のベットよりかは少し大きめなベットが部屋の奥に置いてあった。
:08/08/22 15:59 :SH903i :XTS191aU
#274 [りく☆]
そしてその脇には、面会者用のソファーが並べてある。後は見やすい位置に置かれたテレビや、衣類をまとめるクローゼット、冷蔵庫などが置いてあった。
『病室にしちゃぁ豪華だな…』
部屋を見渡した滝沢は思わず言葉をもらした。
:08/08/22 15:59 :SH903i :XTS191aU
#275 [りく☆]
『卓也のことだからな……1番いい部屋じゃねぇのか?』
呆気にとられながら滝沢の言葉にオレが答える。
2人して呆気にてられていた。それは病室が豪華だからではない…。
:08/08/22 16:00 :SH903i :XTS191aU
#276 [りく☆]
お互い何を言っていいか分からず、とりあえずくだらない会話をしたのだ。
立ち尽くしたオレ達を見て、ドアの前にいた祥子が慌てて駆け寄ってきた。
『卓也は?』
慌ただしく言う祥子の顔を見ながら、オレ達はベットを指差し言った。
:08/08/22 16:00 :SH903i :XTS191aU
#277 [りく☆]
『もぉ……卓也いないぜ。』
ベットの上の布団は綺麗に畳まれ、誰もそこにはいなかった。
『何で…いないの?』
オレ達3人は、誰もいないベットをただ呆然と見ていた。
:08/08/22 16:02 :SH903i :XTS191aU
#278 [りく☆]
『病室で待ってなきゃダメって言ったでしょ』
廊下から女の人らしき声が聞こえた。どうやら患者さんに何か言っているらしい。
『尚美さん来るの遅いからさ、迎えに行ったんだよ♪』
:08/08/22 16:45 :SH903i :XTS191aU
#279 [りく☆]
この声が聞こえたと同時にオレ達は振り返った。廊下では看護婦と患者のやりとりが見えた。
『病人は動いちゃダメ。』
『だってぇ…尚美さんが来ないと寂しいんだもん』
甘える口調で患者が答えていた。
:08/08/22 16:45 :SH903i :XTS191aU
#280 [りく☆]
もはやかける言葉さえ見つからない。
…あのバカが
『人が心配している間に何やってるんだよ!!』
滝沢が話しかけたのと同時に2人が振り向いた。笑顔でこっちを見つめる看護婦と、驚いた顔をした患者…卓也の顔がはっきりと見える。
:08/08/22 16:46 :SH903i :XTS191aU
#281 [りく☆]
『滝沢!!それに…祥子とりくも!!
お前ら来てたのか♪』
驚きを隠せない卓也がオレ達に話しかけてきた。看護婦は面会客が来たことを察し、部屋から少し離れた。
『お前がナース追っかけてる間に来たんだよ。まぁお邪魔の様なら帰るけど』
:08/08/22 16:46 :SH903i :XTS191aU
#282 [りく☆]
素っ気ない口調で滝沢が言う。祥子はあれだけ心配していたため、拍子抜けしていた。
『そんなこと言うなよ…。今から診察があるだけだって。すぐ終わるからソファーに座って待ってろよ♪』
:08/08/22 16:47 :SH903i :XTS191aU
#283 [りく☆]
そぉ言うと、卓也は看護婦を部屋へと入る様に手招きしていた。
『相変わらず自由人だな』
オレ達はそんなバカみたいな事を言って笑うしかなかった。
:08/08/22 16:47 :SH903i :XTS191aU
#284 [りく☆]
『熱もないようだし……後はゆっくり休んでてね。また動き回っちゃだめよ』
診察が終わったのか、そぉ言うと看護婦は荷物をまとめ始めた。
『えぇ〜尚美さん帰っちゃうの?』
:08/08/22 16:48 :SH903i :XTS191aU
#285 [りく☆]
『友達が来てくれてるじゃない♪もぉ一人じゃないでしょ。』
甘える卓也を軽くかわし、看護婦はオレ達に軽くお辞儀して去っていった。
『邪魔だったか?』
冷静な眼差しで卓也を見ながら滝沢が言った。もはやオレと祥子は呆れて言葉もでない。
:08/08/22 16:49 :SH903i :XTS191aU
#286 [りく☆]
『後10分遅かったら、もっと尚美さんと話せたんだけどな♪』
ベットに座った卓也が笑いながら滝沢に言った。
『まったく……入院してることくらい教えてくれてもいいじゃなぃ!!』
ため息混じりに祥子が言った。そんな彼女の言葉にも、卓也は笑っている。
:08/08/23 01:12 :SH903i :dLuGxfF.
#287 [りく☆]
『お前らに言ったら毎日くるだろ?そしたら尚美さんに会えなくなる』
っと答えるだけだった。
『こんな元気ならわざわざジィに呼ばれて来る必要なかったな』
そう滝沢は言い放ち、ソファーから立ち上がった。
:08/08/23 01:13 :SH903i :dLuGxfF.
#288 [りく☆]
『ジィが呼んだのか…
あ……あいつ年寄りだからな、心配性なんだよ♪』
『あんまりジィを馬鹿にするなよ。りくちょぃ外行くから付き合え。』
卓也の言葉に適当な返事をしながら滝沢がオレに外に出るよう言った。
:08/08/23 01:13 :SH903i :dLuGxfF.
#289 [りく☆]
そんな滝沢にオレは黙って頷き、ソファーから腰を上げる。そんなオレ達をみて、卓也が話しかけてきた。
『そぉ怒るなよ。
ってかどこに行くんだ?』
『ちょぃとジィに文句を言いに……』
そぉ滝沢が言うと、祥子に見えない様に、手で煙草を吸う仕草を卓也に見せた。
:08/08/23 01:14 :SH903i :dLuGxfF.
#290 [りく☆]
『あんまり怒鳴るなよ。
ジィの心臓が止まっちまう♪』
了解と合図するかのように、ウィンクしながら卓也が答えた。
『じゃぁ祥子、女たらしの相手頼むぜ♪』
病室をでる間際にそんな台詞を言って病室を後にした。
:08/08/23 01:14 :SH903i :dLuGxfF.
#291 [りく☆]
後ろで祥子が何か言っているのがわかったが、構わずオレ達は廊下を歩いていく。
『りく……お前も気がついたろ?』
病院の屋上へとたどり着いたオレ達は、煙草をくわえながら話していた。
:08/08/23 01:15 :SH903i :dLuGxfF.
#292 [りく☆]
『あぁ……あいつとは付き合い長いからな。よくわかるよ。』
口から流れでる煙りを見ながら答えた。
『ジィが言っていたことは間違いじゃないな。
そんなに深刻なのかよ……卓也の病気……。』
:08/08/23 01:16 :SH903i :dLuGxfF.
#293 [りく☆]
フィルターを噛みながら滝沢が吐き捨てるように言った。
オレも滝沢も祥子も……卓也が無理に元気に振る舞っていることぐらいわかっていた。普段の卓也なら看護婦にあんな態度はまずとらない。
きっと卓也自身も自分の病気の深刻さに気がついているのだろう。
:08/08/23 01:16 :SH903i :dLuGxfF.
#294 [りく☆]
だからその恐怖感から逃れるためにあんな行動をとっているのだ。
オレ達に入院したことを言わなかったのも、卓也自身の気持ちが落ち着いてなかったからだろう。でないと、オレ達の前で弱い自分を見せてしまうから。卓也は昔から自分の弱みを見せるのを嫌うタイプだ。
:08/08/23 01:17 :SH903i :dLuGxfF.
#295 [りく☆]
『多分…卓也が落ち着いたのが最近なんだろうな。だからジィはオレ達を連れてきても大丈夫と判断したんだろう。
それまで独りあの病室で病気に怯えていたのか……』
独りで悩むことがどれだけ辛いか……オレには嫌なくらいわかった。そぉ思いと思わずぼやいてしまった。
:08/08/23 01:17 :SH903i :dLuGxfF.
#296 [りく☆]
『気がついておられましたか…。』
オレと滝沢以外誰もいなかったはずの屋上に、気がつけばジィが立っていた。
『ジィ……いたのかよ』
灰皿に煙草を押し付けながら滝沢が言った。ジィはただ笑いながらオレ達を見ている。
:08/08/23 23:23 :SH903i :dLuGxfF.
#297 [我輩は匿名である]
更新されてて嬉しいです//
これからもがんばって下さい
:08/08/24 01:08 :PC :2Gb.qc0I
#298 [りく☆]
匿名さん
ありがとうございます
更新遅れてますが、読んでくれたら嬉しいです
:08/08/25 16:26 :SH903i :KFcVEDsQ
#299 [りく☆]
『卓也の病気はそんなに深刻なのか…?』
何も語らないジィにオレが問い掛けた。ジィは少し困った様に下を向き、しばらく沈黙を守った。
:08/08/25 16:27 :SH903i :KFcVEDsQ
#300 [りく☆]
『原因不明なんです。
どんな治療をすればよいのか…どんな薬を処方すればよいのか……まだわかっていません。坊ちゃんのお父様がアメリカに行ったのも、すべては治療方法を見つけるため……』
下を向いたままゆっくりジィが語った。オレ達はただジィを見ながら黙って聞いていた。
:08/08/25 16:27 :SH903i :KFcVEDsQ
#301 [りく☆]
『しかし、結局治療方法は見つかりませんでした。
そして坊ちゃんの「最後はあいつらと一緒がいい」という強い要望により日本に戻ってきたのです。
まさかこの私より先に……坊ちゃんが……』
倒れる様に膝をつき、ジィは肩を震わしていた。そんなジィの様子から、卓也の病気の深刻さなどすぐに読み取れた。
:08/08/25 16:28 :SH903i :KFcVEDsQ
#302 [りく☆]
『まだ……わかんないんだろ?もしかしたら治るかもしれないだろ?
ジィが……そんな弱気になるなよ!!卓也が死ぬなんて、ありえねぇだろ!!』
涙を堪えながら滝沢が言った。ジィの言葉を信じたくない一心での発言だろう。
:08/08/25 16:28 :SH903i :KFcVEDsQ
#303 [りく☆]
『確かに……まだ全てが決まった訳ではありません。勇貴さんの言う通り治るかもしれない。
今はそれを願うことしか考えては駄目ですね。』
ジィはそぉ言うと、オレ達に頭を軽く下げてその場を去って行った。夕日に照らされたジィの後ろ姿は、どことなく寂しい感じがした。
:08/08/25 16:29 :SH903i :KFcVEDsQ
#304 [りく☆]
『卓也の様子がおかしいのはわかってたけど……そんなに深刻なの?』
卓也の病室を後にしたオレ達は、祥子に全てを話した。祥子もショックを隠せないのか、小声でそんなことを言う。
『まだ分からない……
とりあえず今はできるだけ卓也に会おう。』
それ以外に返す言葉がなかった。今のオレ達はただ願うことしか出来ない。
:08/08/25 16:37 :SH903i :KFcVEDsQ
#305 [りく☆]
その言葉を最後に、オレ達は無言のままジィの車にのった。
そんなオレ達の様子を察したジィは、何も言わずに車を走らせた。
誰もが今の現実を受け入れる事ができず、各々が自分の無力さに嫌気がさしていた。
:08/08/25 16:42 :SH903i :KFcVEDsQ
#306 [りく☆]
『あ…あれ美里じゃない?』
そう祥子が言い、病院の入口を指差す。
その指先には、深刻な顔をした美里と、その後ろを歩く優希の姿が見えた。
『何で美里が?』
思わず声がでた。
そして、何故優希もいるのだ……。オレの中で疑問と不安が交差する。
:08/08/25 16:47 :SH903i :KFcVEDsQ
#307 [りく☆]
車内にまたもや沈黙が訪れた。屋上での出来事を知る滝沢と祥子は、オレに気をつかってか2人の存在について触れなかった。
全てを知る滝沢、何も知らない祥子、お互い独特な沈黙をかもしだしている。
『学校まで戻りますか?』
ジィの一言で沈黙を破れた。そんなジィの言葉にみんな我に返った。
:08/08/25 23:30 :SH903i :KFcVEDsQ
#308 [りく☆]
『いや……りくの家で止めてくれないか?』
滝沢の言葉に黙ってジィは頷き、車を走らせた。
『何でオレの家?』
『部活は行かないの…?』
オレと祥子が助手席に座る滝沢に言った。
:08/08/25 23:31 :SH903i :KFcVEDsQ
#309 [りく☆]
滝沢はこっちを振り返る事なく流れる景色をただ見ている。
『今日行っても周りに迷惑かけるだけだし……
それにりく、お前オレにだけしか話さないつもりじゃないだろ?』
滝沢の言葉を聞き、祥子がオレをみた。そんな彼女の視線に気がつきながらも、オレは前を向いたまま頷いた。
:08/08/25 23:31 :SH903i :KFcVEDsQ
#310 [りく☆]
そんなオレの行動をバックミラーで確認した滝沢は、それ以上何も語らなかった。
また車内が沈黙に包まれたまま、車はオレの家へと走りだす。
:08/08/25 23:31 :SH903i :KFcVEDsQ
#311 [りく☆]
『ジィありがとな』
家の前に着くと同時に滝沢が言った。結局あれから何も話さずにオレの家まできたのだ。
『御礼を申し上げるのは私の方です。皆様本当にありがとうございます。』
車をおりたオレ達にジィは丁重にいった。
:08/08/25 23:32 :SH903i :KFcVEDsQ
#312 [りく☆]
そんなジィを見届けたオレ達は、手を振りながら彼に微笑み、オレの家へと足を運んだ。
階段を上ろうとしたときだった。車の扉が閉まる音が聞こえたのだ。その音につられ振り向くと、階段の下にはジィの姿があった。
『どうしたの?』
そんなジィの姿をみて祥子が尋ねる。
:08/08/25 23:32 :SH903i :KFcVEDsQ
#313 [りく☆]
『一つ訂正があります。』
『訂正?』
オレ達は同時に首を傾げ聞き返した。
『りくさん達は、今日私があなた方を呼んだと言っておりましたが……違うのです。
:08/08/25 23:33 :SH903i :KFcVEDsQ
#314 [りく☆]
この件は坊ちゃんからのお願いでした。
みんなに会いたい……というお願いだったのです。
昔から弱みを人に…特に私には見せたがらない坊ちゃんが、初めて見せた姿でした。』
ジィは一気に吐き出すかの様に早口でオレ達に訴えた。そして俯いた顔を上げ、オレ達に目線を向ける。
:08/08/25 23:34 :SH903i :KFcVEDsQ
#315 [りく☆]
『あんな姿を見せられたら……授業の途中と分かっていても、車を学校へと走らせてしまいました。申し訳ありません…。
ですがお願いです。
いろいろと忙しい時期ではありますが』
『いいよ言わなくて♪』
滝沢が笑いながらジィに言う。
:08/08/25 23:35 :SH903i :KFcVEDsQ
#316 [りく☆]
『別にジィが頭下げなくてもオレ達は勝手に卓也に会いに行くよ。』
『私たちが行かないと、あいつ看護婦さんにセクハラで訴えたられちゃうからね』
オレと祥子も滝沢に続くようにジィに言った。
:08/08/25 23:35 :SH903i :KFcVEDsQ
#317 [りく☆]
ジィはオレ達の言葉を聞き、一瞬固まった。そして重い口を開いた。
『坊ちゃんは……本当に良い友達をお持ちになった。』
初めてオレ達はジィの涙を見た。そのジィの姿は、オレ達の目に焼き付きしばらく離れなかった。
:08/08/25 23:37 :SH903i :KFcVEDsQ
#318 [りく☆]
『だから……大丈夫だって。もぉいないから』
今はいないチロの存在にびびっている祥子に、オレは半ば呆れていた。
ジィとあれから別れたオレ達は、無言のまま家に入ったが、祥子の叫び声でその沈黙は破れた。
:08/08/26 16:05 :SH903i :8upHLEKc
#319 [りく☆]
まだチロがいると思っていた祥子は、オレの家に入った途端にチロの存在を思い出したのか、急にビビりだしたのだ。
『りく……お前犬飼っていたのか?』
『あぁ…昔少しだけな。
祥子、もぉ家にはいないからそぉ険しい顔するなよ。』
:08/08/26 16:06 :SH903i :8upHLEKc
#320 [りく☆]
未だにソファーに座れずにいる祥子を見ながら、オレと滝沢は言葉を交わした。
『本当にいない?』
まだ疑う祥子は滝沢に任せ、オレはキッチンに行くことにした。今日はいろいろと大変だったためか、体が異様に疲れている。そんな疲れを癒す為に、オレはひたすら冷えたお茶を飲んでいた。
:08/08/26 16:07 :SH903i :8upHLEKc
#321 [りく☆]
滝沢と屋上で話した事…卓也の病気の事などが、喉を潤すと共に頭に浮かんできた。
『りく!!何やってんだ、早く来いよ。』
滝沢の声に我に返ったオレは、2人のお茶も用意して彼らがまつテーブルへと向かった。
:08/08/26 16:07 :SH903i :8upHLEKc
#322 [りく☆]
お茶を渡し、椅子に座ると早速祥子が口を開いた。
『車の中で勇貴が言ってたことって何?』
オレは滝沢に目線をやった。彼は黙ったままオレを見ている。
お前なら話せる……そぉ滝沢に背中を押された気がした。
:08/08/26 16:08 :SH903i :8upHLEKc
#323 [りく☆]
『今日、学校の屋上で滝沢に話したんだが……単刀直入に言おう。
オレの過去の話しだ。』
何の話しか分かった祥子は、先程までそわそわしていた体をピタッと止めて、緊張した表情でオレを見た。
:08/08/26 16:09 :SH903i :8upHLEKc
#324 [りく☆]
そんな祥子を状態を確認したオレは、全てを彼女に話した。学校の屋上で滝沢に話した様に。
『そんな事が…』
一気に全てを知った祥子は、さすがに直ぐには把握しきれてなかった。
:08/08/26 16:09 :SH903i :8upHLEKc
#325 [りく☆]
しかし、オレにとっても話すことは、精神的にかなりの疲労を伴う。そのため、ゆっくり話すことなどできず一気に話してしまう。
『勇貴は知ってたの?』
『オレも今日聞いた……さっき学校の屋上でりくに聞いたって言っただろう…』
相当パニック状態になっているのか、祥子は滝沢の言葉にもあまり反応できてなかった。
:08/08/26 16:10 :SH903i :8upHLEKc
#326 [りく☆]
しばらく考え込んでいた祥子が、やっと少し落ち着きを取り戻したのか、ゆっくりと口を開いた。
『それが……今までりくを悩ませていた過去だったんだね。』
『あぁ……今までいろいろと心配かけてごめんな。』
祥子の顔を見ながらオレは答えた。
:08/08/26 16:15 :SH903i :8upHLEKc
#327 [りく☆]
『でも……これからりくはどぉするの?何か考えとかあるの?
どぉやったらりくは過去から開放されるの?』
少し身を乗り出しながら、祥子がオレに訴える。
確かに話したからといって全てが解決したわけではないのだ。
:08/08/26 16:18 :SH903i :8upHLEKc
#328 [りく☆]
祥子の一言で、オレは改めて今の状況を確認するはめになった。
実際、オレ自身もこれからの方針がわからないでいる。
『なぁ祥子……お前は美里の行動をどぉ思う?』
今まで固く口を閉ざしていた滝沢が祥子に問いかけた。
:08/08/26 16:21 :SH903i :8upHLEKc
#329 [りく☆]
『どぉ思うって……
りくを信じてない訳じゃないけど、彼女は何か知ってるんじゃないかな?
だってわざわざそんな嘘を言う訳ないでしょ…
もしかしたらりくの知らない真実があるんじゃないかなぁ』
頭を抱えながら彼女は言った。彼女もまた滝沢と同じ意見だ。
:08/08/26 16:25 :SH903i :8upHLEKc
#330 [りく☆]
『でも……仮にそうだとしても、オレは彼女が…優希がオレに許しを求める理由がわからない。』
2人の視線を感じながら、オレは俯き答えた。
確かに美里の嘘は全く意味がない……しかし、あの内容は嘘としか考えられなかった。
:08/08/26 16:29 :SH903i :8upHLEKc
#331 [りく☆]
『とりあえず、美里の件について白黒はっきりつけよう。
いいよな…りく』
俯くオレを見ながら滝沢が言う。そんな彼の訴えにオレは何も答えれずにいた。
『りく……ここで逃げたらまた元に戻っちゃうよ。
辛いだろうけど、前に進まなきゃ』
:08/08/26 16:32 :SH903i :8upHLEKc
#332 [りく☆]
祥子の言葉に胸を突かれたオレは、たまらずベランダへと足を運んだ。
外はすっかり暗くなり、月が顔をだしている。
『オレ……美里と話してみるよ』
ベランダの策に手を置き、外を眺めながら2人に言った。
昼間よりも少し冷たい風が、オレの頬をつたう汗に当たりよりいっそう冷たく感じる。
:08/08/26 16:37 :SH903i :8upHLEKc
#333 [りく☆]
『それが1番の近道かもな……』
オレの言葉に滝沢がゆっくり答えた。それからしばらく誰も口を開かなかった。
ただ各々がそれぞれの思いにふけていた。
『ジィの涙……初めて見たな。ジィも悩んでるだろ……』
:08/08/26 16:40 :SH903i :8upHLEKc
#334 [りく☆]
卓也の事がふと頭に浮かび、思わずそんな言葉がでた。2人とも黙って頷いている。
『卓也…大丈夫だよね』
小声で祥子がぼやいた。そんな祥子に滝沢は、大丈夫に決まってると目で訴えていた。
:08/08/26 16:44 :SH903i :8upHLEKc
#335 [りく☆]
『オレさぁ……部活辞めようと思うんだ。
この時期に辞めるとか迷惑と思うんだけど、こんなに無断で休む方がもっと迷惑かけると思うし。』
考え込んでいた言葉を一気にだすように、滝沢が言った。そんな彼の言葉にオレは頷いた。
:08/08/26 23:36 :SH903i :8upHLEKc
#336 [りく☆]
確かにこんな状態では、他の部員に迷惑だ……
さらに滝沢は言葉を続ける。
『それに、今ある問題に全力を注ぎたいし…。』
オレと祥子は反論することなく滝沢の意見に賛同した。おそらく祥子もオレと同じくジィのあの姿を思いだしたのだろう。
:08/08/26 23:36 :SH903i :8upHLEKc
#337 [りく☆]
ずっと元気ならばそれでぃぃ。しかし、もしもの事があったら後悔したくない。だから卓也の傍にいれるだけいよう。
みんなそう思っているだろう。だから、誰もそれ以上は何も言わなかった。
:08/08/26 23:37 :SH903i :8upHLEKc
#338 [りく☆]
窓の外に目をやった。
綺麗な満月がオレの部屋を照らしているのがわかる。きっと卓也もこの偉大な満月を見ているだろう。卓也はこの満月独りでを見ながら何を思っているのだろうか。彼はまだ、この満月を綺麗と思える心境なのか、それともただの月としてしか見れず違う事を思い悩んでいるのか…気になって仕方がなかった。
:08/08/26 23:37 :SH903i :8upHLEKc
#339 [りく☆]
そんなオレの想いなど知るよしもない満月は、ただ綺麗に光り輝いている。
オレ達はただ……この満月を見ながら卓也の無事を祈ることしかできなかった。
:08/08/26 23:40 :SH903i :8upHLEKc
#340 [りく☆]
次の日、部活の顧問に辞めると話して怒鳴られたのは言うまででもない。顧問はオレ達の担任でもあるため、出席状況や成績なども全て知っている。そのためか、特にオレが1番怒鳴られたきがする。
辞める理由をなかなか話さないオレ達に怒鳴り続けていた担任は、ようやく大きく開けた口をとじ、自分の椅子に腰掛けた。
:08/08/26 23:40 :SH903i :8upHLEKc
#341 [りく☆]
『横井の傍にいてやれ…』
机の上に置かれたプリントを手に取り、担任がいつもの口調で言った。突然言われた言葉に、オレ達は何も答えれずただ立っていた。
:08/08/26 23:41 :SH903i :8upHLEKc
#342 [りく☆]
『オレはお前達の担任であり顧問だぞ、誰と仲がいいかとか、生徒の健康状態とか一応把握しているつもりだ。
しかし、お前達の行動は決して許される訳ではない。どれだけ迷惑をかけることか……。』
そう言うと、担任は手に持っていたプリントを机に置きオレ達をみた。
『だから個人的に言う…
横井の傍に居てやれ。』
:08/08/26 23:41 :SH903i :8upHLEKc
#343 [りく☆]
オレ達にそう言うと、担任は再びプリントを手にとり、手でオレ達に帰るように合図した。
そんな担任の仕草を見て、オレ達は彼の発言に驚きながらも、その場を去った。
『あっ…新垣。
お前は放課後また来い。いっぱいサボってくれた御礼に課題をやるから♪』
:08/08/27 00:20 :SH903i :FGOSOYT6
#344 [りく☆]
職員室を出ようとしたオレに、付け加えるように言った。
せっかく彼の感動的な発言で清々しい気分になれていたが、一気にそんな感情は掻き消された。
…今からせっかく昼休みなのに
そぉ思いながら、一人ブルーな気持ちで滝沢達についていく。
:08/08/27 00:25 :SH903i :FGOSOYT6
#345 [りく☆]
『しかし、まさか先生があんな事言うとはなぁ♪』
『本当♪びっくりだよね。』
教室に戻るとすぐ、滝沢と祥子がそんな会話を交わしていた。オレも会話に入りたかったが、課題が頭から抜けないため未だに沈んでいる。
そんなオレの心境を察したのか、2人とも何も言わずに、オレを見ながら笑っていた。
:08/08/27 00:34 :SH903i :FGOSOYT6
#346 [りく☆]
『サボったつけだね。』
『分かってるよ!!ちゃんと課題してくるし。』
祥子にそう反論した後、オレは机に突っ伏していた。
そんなオレを余所に、滝沢が口を開く。
『そぉいえば、今日美里いないな。後、彼女も…』
辺りを見渡していた祥子も黙って頷いた。彼女とは、優希のことだろう。
:08/08/27 00:43 :SH903i :FGOSOYT6
#347 [りく☆]
そんな滝沢の言葉にも会えて振り向かず、オレは机に突っ伏したままだった。
別に美里がいようがいまいが関係ない。あの事はいつか話せばいいのだから。
そんなオレの行動に対して、滝沢は何も言わずただ黙っていた。
:08/08/27 00:51 :SH903i :FGOSOYT6
#348 [りく☆]
チャイムの音が聞こえ、2人は自分の席へと帰っていった。
…美里も優希もいないのか…
一人になると滝沢の言葉が気になってしまい、そんな想いが込み上げてくる。堪らず辺りを見渡したが、やはり2人の姿はなかった。
…オレの知らない真実
滝沢と祥子に言われたこの言葉がふと浮かんだ。
:08/08/27 00:55 :SH903i :FGOSOYT6
#349 [りく☆]
やはり美里は、オレの知らない優希の何かを知っているのかもしれない…。
そんな事を考えているうちに、気がつけばオレは爆睡していた。
滝沢に叩き起こされ、辺りを見渡すと、みな帰る支度をしている。
『午後の授業を全寝する奴とか始めて見たし。』
:08/08/27 00:58 :SH903i :FGOSOYT6
#350 [りく☆]
赤くなった頬を隠しながら、とりあえず笑ってごまかしていた。
『あれを見ても笑えるか?』
そう言った滝沢の指差す先を見てみると、オレの笑顔は一瞬にして固まった。
『うそだ…』
黒板に大きな文字で「新垣課題追加決定!!」と書かれていたのだ。
:08/08/27 01:02 :SH903i :FGOSOYT6
#351 [りく☆]
『あまりにもぐっすり寝てるからだろ。担任も呆れてたよ。
まっオレ達先に行ってるから課題終わったらきな♪』
そう言い残し、滝沢と祥子は先に病院へと向かったのだった。
オレは一人残されたまま、黒板の文字をただ眺めていた。
:08/08/27 01:05 :SH903i :FGOSOYT6
#352 [りく☆]
『やっと終わったぁ♪』
課題をやり始めて1時間半、ようやく積んで置いてあった課題を終わらした。書いた内容があっているかは定かではない。
しかし早く卓也に会いたいオレは適当に書いて終らせたのだ。
:08/08/27 01:08 :SH903i :FGOSOYT6
#353 [りく☆]
『何が終わっただ!!
全然違うじゃねぇか!!』
オレの解答を一通りみた担任がオレに怒鳴った。まぁ当然の結果ではあるが…
担任が解答をチェックしている間に、帰りの支度を済ませていたので、怒鳴られながらも教室をでようとした………が、担任の強烈な視線を感じ、渋々振り返った。
:08/08/27 01:12 :SH903i :FGOSOYT6
#354 [りく☆]
『頼みます!!
今日だけは帰らせて…』
手を合わせ、オレは微笑みながらお願いした。そんな半ばふざけたオレを見ていた担任は、意外にも真面目な表情をしていた。
…ガチで怒ったかな?
教室に嫌な沈黙が続く。
:08/08/27 01:15 :SH903i :FGOSOYT6
#355 [りく☆]
『横井は…すぐ帰ってこれるよな?
あいつの課題もちゃんと用意してあるからよ♪』
『は…はぃ。
でも課題は嫌な退院祝いですよ♪』
担任の言葉に笑顔で返した。彼の言葉や口調から、どれだけ卓也を心配しているかがすぐにわかる。
オレはただ笑顔でいることしか出来なかった。今のオレには信じる事しかできないのだから…
:08/08/27 01:19 :SH903i :FGOSOYT6
#356 [りく☆]
:08/08/27 01:21 :SH903i :FGOSOYT6
#357 [スマイル]
:08/08/27 06:25 :N905i :KCbBbKfk
#358 [スマイル]
↑すみません、書く場所を間違えました
m(__)m
:08/08/27 06:30 :N905i :KCbBbKfk
#359 [りく☆]
スマイルさん
全然気にしないで下さい
返事は感想板に書かしてもらいました
:08/08/27 23:34 :SH903i :FGOSOYT6
#360 [りく☆]
担任と別れた後、オレは慌てて学校をでた。早くしないと面会時間が終わってしまう。
そんな思いがオレの足を急かさせた。
『お疲れ様です。
どうぞ、お乗り下さい。』
『ジィ…ありがとう♪』
門をでると、目の前にジィが車を止め待っててくれた。相変わらず笑顔で迎えてくれる。
:08/08/27 23:41 :SH903i :FGOSOYT6
#361 [りく☆]
オレはジィの車へとすぐに乗り、病院へと向かってもらった。
『りくさんもいろいろと大変な様で…。勇貴さんが言ってましたよ♪』
そう言いながらジィは笑っていた。おそらくオレが学校に残された原因を滝沢から聞いたのだろう。
:08/08/27 23:41 :SH903i :FGOSOYT6
#362 [りく☆]
『授業中の居眠りは控えないといけませんよ♪』
『ジ……ジィ、余り学生を茶化すなよ』
『今「ジジイ」と言いましたか?』
『言ってないって…
だから茶化すなって
……ジィもなかなかのSだなぁ』
:08/08/27 23:42 :SH903i :FGOSOYT6
#363 [りく☆]
笑いながらジィとそんな会話をしていた。
ふとジィの顔を見ると、少し考え込んだ顔をしている。
『ジィ、どぉした?』
…もしかして卓也が
そんな考えが込み上げてきた。考え込んでいるオレを、ミラーごしに見ながらジィが話しかけてきた。
:08/08/27 23:43 :SH903i :FGOSOYT6
#364 [りく☆]
『なかなかのエスとは、どういう意味で?』
『あ……Sのこと?』
:08/08/27 23:44 :SH903i :FGOSOYT6
#365 [りく☆]
ジィが高齢だってことをすっかり忘れていた。そして英語には滅法弱いことも…。
真顔で尋ねてきたジィに、思わず爆笑してしまった。確かにジィがSMの意味などわかるはずがない。
そんな可笑しさと、卓也への不安が無くなった事でしばらく笑いが止まらなかった。
:08/08/27 23:44 :SH903i :FGOSOYT6
#366 [りく☆]
『何かおかしな事でも言いましたか?』
少し恥ずかしげにジィが再び尋ねてくる。
『いやいや、何でもないよ♪
ジィは最高だねって言っただけだって。』
『最近の若者の言葉は難しいですね。』
半ば嬉しかったのか、ジィは気分をよくしていた。
:08/08/27 23:45 :SH903i :FGOSOYT6
#367 [りく☆]
そんなたわいもない話をしているうちに、気がつけば病院に着いていた。
『ジィありがとう♪』
そう言い残し、オレは車を後にした。そして、卓也のいる病室へと向かう。
卓也の病室は、最上階の6階にあるため、オレはエレベーターを待っていた。
:08/08/27 23:45 :SH903i :FGOSOYT6
#368 [りく☆]
1階のフロアには、診察や会計をまつ患者たちでいっぱいだった。
そんな人達を見渡していると、見覚えのある顔が視界に入った
間違いない……美里だ。一人でソファーに座っている。
そんな彼女を見ていたら、ふと目が合ってしまった。
:08/08/27 23:46 :SH903i :FGOSOYT6
#369 [りく☆]
あっちもオレに気がついたのか、驚いた顔でこっちを見ている。
堪らずオレは、目線をそらした。エレベーターはまだ3階で止まっているため、ボタンを連打して押す。
『そんなに押したってエレベーターはこないよ。』
振り返ると、そこには美里が立っていた。
:08/08/27 23:47 :SH903i :FGOSOYT6
#370 [りく☆]
少し不機嫌そうな顔で彼女をみた。
何か企んでいるかは定かではないが、微笑みながらオレを見ている。
『何か用かよ?』
『そんな冷たく言わないでよ。それに、ずっとこっちを見てたのはりくの方じゃん。』
:08/08/28 00:03 :SH903i :GTQiGb2.
#371 [あやか]
更新頑張ってください
前からまってます><
:09/01/01 22:49 :SH903iTV :.u2pK082
#372 [あやか]
かけるなら
がんばってください!
:09/07/03 23:54 :SH903iTV :aE6c82/Y
★コメント★
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