〜運命のヒト(2)〜
最新 最初 🆕
#201 [あや]
頑張って書いてくださいまってます。+゚'*+。☆+゚':*

⏰:08/04/02 23:40 📱:P703i 🆔:qyqkgmrw


#202 [我輩は匿名である]
あげる

⏰:08/04/12 21:13 📱:PC 🆔:☆☆☆


#203 [我輩は匿名である]
あげる(*ノ∀`)ノ

⏰:08/05/08 00:45 📱:W61CA 🆔:☆☆☆


#204 [タク]
書いて下さい
待ってます

⏰:08/05/17 15:28 📱:SH903i 🆔:z7TUM/oo


#205 [我輩は匿名である]
更新待ってます!

⏰:08/05/30 11:39 📱:PC 🆔:avZr0JWQ


#206 [我輩は匿名である]
更新希望

⏰:08/07/01 21:58 📱:N904i 🆔:zxq2ggmw


#207 [りー]
今全部読みましたとってもおもしろかった
早く続きが読みたいすごい気になります更新お願いします

⏰:08/07/02 14:21 📱:N905i 🆔:GI.FC1eQ


#208 [タク]
書かないんですか
楽しみにしてます

⏰:08/07/06 01:13 📱:SH903i 🆔:5ZxjYlp2


#209 [我輩は匿名である]
更新希望です

⏰:08/07/28 00:34 📱:PC 🆔:1rqAfToo


#210 [りく☆]
長く放置してしまい、本当に申し訳ありません
応援してくれた方々本当にありがとうごさいます
これからまた更新していきたいと思うので、よかったらよんで下さい

放置してすいませんでした

⏰:08/08/21 00:50 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#211 [りく☆]
『猛志先輩に会って何を話したんだ?』

話し終え、一息ついている滝沢にオレはすかさず聞いた。何故猛志先輩が優希のことを知っているのか気になって仕方がなかったからだ。

⏰:08/08/21 00:51 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#212 [りく☆]
そんな慌てているオレをよそに滝沢は、ゆっくり息を吐きオレを見た。いつになく鋭い目つきだった。まるで、今からオレの想像を越える程の話をすることを忠告するかのように。
そんな彼の目つきに一緒オレは固まってしまった。静かな屋上に張り詰めた緊張感が広がるのがわかった。

⏰:08/08/21 00:52 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#213 [りく☆]
『何も教えてくれなかった…』

目線をそらし滝沢か言った。その目からは少し悔しさが伝わるのがわかる。

『何も?』

意外な解答に思わず聞き返した。呆気にとられたオレを見ながら、滝沢はまた話を続けた。

⏰:08/08/21 00:52 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#214 [りく☆]
やっとの思いでたどり着いた滝沢に待っていた現実はあまりに厳しいものだった。祥子との話を中断してまで来た彼にたたき付けられた猛志先輩の答えは、教えられないの一言だったという。

⏰:08/08/21 00:53 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#215 [りく☆]
滝沢がオレのために優希について知りたがっていることを話すと、他人事に一生懸命になっている滝沢を面白がる様に、彼は笑いながら滝沢に語りかけた。

「確かに荒井優希については知ってるよ。あいつとは昔からの腐れ縁たからな。だが……ここで教えたら面白くねぇんだよなぁ。マジ言いたいけどさ♪」

⏰:08/08/21 00:54 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#216 [りく☆]
滝沢はただ握りこぶしを作る事しかできなかった。今までの自分の苦労を嘲笑われ、親友に必死になる姿を馬鹿にされた。あの猛志先輩に。その悔しさはあまりに大きなものだったが、彼にこの怒りをぶつける事はできない。しかしこのまま引き下がれない滝沢は、再び猛志先輩に尋ねた。

⏰:08/08/21 00:55 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#217 [りく☆]
「彼女の名前を知っているということは、何知ってるんですよね?」

「あぁ…よく知ってるよ。昔のあいつならな。今は知らねぇな。そんなに新垣が心配か?」

また笑いながら猛志先輩は滝沢にった。

「あいつを…りくを救うには、過去を探るしかないんですよ。猛志先輩お願いします。知っていることがあるなら話して下さい。」

⏰:08/08/21 00:55 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#218 [りく☆]
滝沢は土下座して頼み込んだそうだ。あんなに自分を馬鹿にした相手に。そんな滝沢を見て猛志先輩の表情から少し笑顔が消えた。

「過去を知りたいのか?」

そぉゆっくり語りかけてきたという。その言葉にゆっくり滝沢が顔を上げると、猛志先輩は滝沢にみっちゃんの場所を教えたそうだ。

⏰:08/08/21 00:56 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#219 [りく☆]
猛志先輩とみっちゃんは東京での仕事仲間だったらしい。こいつならあいつの過去をよく知っている、と言われ滝沢はみっちゃんの居場所へと行ったのだった。そしてみっちゃんから過去を聞いた。それが滝沢の口から語られた真実だった。

⏰:08/08/21 00:57 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#220 [りく☆]
『オレが過去を知った理由、納得したか?』

全てを話してすっきりしたのか、滝沢は壁に寄り掛かり微笑みながらオレを見ていた。

『それでみっちゃんに会えたのか…』

滝沢が自分の為にそこまでしてくれたことに驚きながら、とりあえず真実を知り納得していた。

⏰:08/08/21 01:04 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#221 [りく☆]
『みっちゃんって…三浦のことか?』

滝沢の質問に頷くと、彼はあの顔でみっちゃんと呼ばれているのが可笑しいのか、少し笑っていた。

『昔のあだ名だから仕方ないだろ』

そんな滝沢に少し投げやりに言った。確かに笑われても仕方がないからだ。

⏰:08/08/21 01:08 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#222 [りく☆]
しばらくお互い顔を見合わせながら笑った。

誰かと笑いを共有しあうなど、オレにとっては久しぶりの事だった。

笑いを押さえるように一息ついた滝沢は、また真面目な表情へと戻した。

⏰:08/08/21 01:11 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#223 [りく☆]
『オレの話は以上だ。』

そぉ滝沢は言い切った。次はお前の番だと言わんばかりの目つきで。

…ついに話す時がきたか

意外にもオレの心は落ち着いていた。

⏰:08/08/21 01:14 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#224 [りく☆]
ここまでしてくれた滝沢になら、そして心配してくれた友人になら話してもいいと思えたのだ。

前にみっちゃんに言われた「お前は友人を信用してない」っという言葉を今ならすぐに否定できる自信があった。

黙ってそんな事を考えているオレを滝沢が心配そぉに見ているのに気がついた。

⏰:08/08/21 01:18 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#225 [りく☆]
『りく……気を悪くしたか?』

『イヤ…ちょぃ考えこんでただけ。』

滝沢の心配を早く消したくて、すぐに言葉を返した。

『ならぃぃけど。
なぁりく、一つ聞いていいか?』

ゆっくりとした口調で滝沢がオレに問いかけた。

⏰:08/08/21 01:21 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#226 [りく☆]
『三浦も言ってたんだが……』

滝沢が話の途中で言葉を止めた。

『どぉしたんだ?』

すかさず問いただす。もしかしたら滝沢はオレに気を遣っているのかもしれない。そぉ思えた。

『気にしないで言っていいよ。聞きたいことってなんだ?』

⏰:08/08/21 01:24 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#227 [りく☆]
そんなオレの言葉に安心したのか、滝沢は話を続けた。

『三浦が言ってたんだが、

お前が変わってしまったのは、山へ旅行に行った後らしいな。荒井優希と両親の4人でいった旅行…

そこで起きた事故が関係あるのか?』


『あぁ…そぉだ』

滝沢の質問に慎重に答えた。夏の暑さに照らされてでてきた汗が、額をつたっていくのがわかった。

⏰:08/08/21 01:30 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#228 [りく☆]
滝沢はあっさりオレが認めたことにただ驚いていた。
今まであんなに口を閉ざしていたオレが、今は真っすぐ滝沢の目を見ている。
もはや今のオレには何の迷いもなかった。

今まで硬く閉ざされていた過去が、ゆっくりとその姿を見せようとしている。

⏰:08/08/21 01:34 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#229 [りく☆]
親父からの虐待
親の離婚

優希との出会い
そして2人で親父の虐待に耐えた日々
2人で語り明かした夢


深山での出来事……


全てを話すのに、オレは何の戸惑いもなかった。ただ無心で有りのままを滝沢に話したのだ。

⏰:08/08/21 01:38 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#230 [りく☆]
『じゃぁ……お前の親父さんは事故死じゃなくて…』

オレの過去を知り動揺を隠せずにいた滝沢が、やっと絞り出した言葉だった。

『オレが彼女に…優希に殺させてしまったんだ』

過去を噛み締めるように答える。他人に話すと改めて自分がした事の重大さがわかってきた。

⏰:08/08/21 16:32 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#231 [りく☆]
その深山での事件以来のオレの状況の変化や優希との別れ、そして滝沢たちと出会うまでを続けて滝沢に話した。
何故オレが結衣をすぐに愛さなかったのか、そして彼女が亡くなってからのオレの心境の変化、優希との再開後のオレの行動の真実。それらすべてを滝沢に話した。

⏰:08/08/21 16:32 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#232 [りく☆]
過去を全て知った滝沢は、何も反論することなく黙って聞いていた。
オレの口から出る一言一句漏らさず聞くように、目を閉じてオレの話しに耳を傾けていた。

⏰:08/08/21 16:33 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#233 [りく☆]
不思議な気持ちだった。
あれだけ過去を知られる事を拒み、全てを独りで抱え込んでいた自分が、何も包み隠さず他人に全てを話すなんて……
しかし、心境は清々しいものだった。それは全てを話せたからなのか。しかしそれだけの理由であれば、話す相手など誰でもいいはずだ。

⏰:08/08/21 16:33 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#234 [りく☆]
オレはやっと心から人を信用し、有りのままの自分をさらけ出す事ができた。
そんな当たり前のことにオレは、新鮮味を感じていた。今なら胸を張って言えるだろう。
オレは滝沢たちを心から信用しているかけがえのない親友であると……

⏰:08/08/21 16:34 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#235 [りく☆]
『お前はこれからどぉするんだ?』

全てを聞いた滝沢は、意外にも冷静な顔でオレに聞いてきた。

『どぉしようもないよ……』

弱気に答えてしまった。

⏰:08/08/21 16:35 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#236 [りく☆]
それは滝沢の言う通り、これから何の解決策がないことに気がついたオレの悲しみであった。
話したところで全てが許される訳ではない。

⏰:08/08/21 16:35 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#237 [りく☆]
『けど…お前がやっと話してくれて嬉しかったよ。まぁ内容には正直ビビったけど。

でも約束しただろ……お前が全てを話してくれた時は全力で協力するって。』

オレの両肩を掴み滝沢が言う。


『お前はもぉ…独りじゃないんだ』

⏰:08/08/21 16:36 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#238 [りく☆]
深山での出来事からずっと篭っていた暗闇に、やっと光が差し込んできた。

別にそれを望んで話した訳ではない。

しかし、滝沢のそんな優しい一言にオレはただ涙を流していた。

⏰:08/08/21 16:41 📱:SH903i 🆔:Gn6lI.io


#239 [りく☆]
『男が泣くなんてダセェぞ』

笑いながら滝沢がオレに言葉をかける。

『う…うるせぇ』

涙を流しながら必死にだした言葉だった。
オレが落ち着くまで待っていた滝沢がゆっくり口を開いた。

⏰:08/08/22 00:56 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#240 [りく☆]
『彼女は…お前と全く話したくないような感じなのか?』

『直接なにか言われた訳ではないけど…絶対嫌だろ』

二人で屋上の壁にもたれかかりながらオレは滝沢に言葉を返した。

⏰:08/08/22 00:57 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#241 [りく☆]
優希が許してくれている訳がない。必ず守ると約束したのに裏切ったオレなんて……許されるはずがない。そんなオレの気持ちを悟ったのか、滝沢は黙ったまま夏の青空を眺めていた。

⏰:08/08/22 00:58 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#242 [りく☆]
『そぉいえば……美里が彼女と仲良さそぉにしてたぞ。美里に頼んで話す機会を』

『ダメだ!!』

沈黙を破る為に話し始めた滝沢の言葉を途中で止めた。美里に話すなんて…考えられない。そんな想いからでた行動だった。

『美里と何があったんだ?』

不思議そぉにオレの顔を覗き込む滝沢に、オレは美里に言われた嘘を語った。

⏰:08/08/22 00:58 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#243 [りく☆]
美里と2人っきりになった時に言われた言葉。その言葉を嘘と決定づけるカイさんとの出会い。優希とカイさんとの関係……全てを話した。

『まさか猛志先輩に兄がいたとはな……しかもそれが彼女とは。

あっ……だから猛志先輩は彼女のことを知っていたのかな?』

必死に推理をする滝沢の横で、オレはただ首を傾げていた。

⏰:08/08/22 00:59 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#244 [りく☆]
猛志先輩と優希の関係など知らない。オレはまだ美里の嘘が許せないでいた。そんなオレの気持ちを表情から悟ったのか、滝沢はまた話し始めた。

『それにしても美里も変な話をするな…何かお前らに問題でもあったわけじゃないだろ?』

⏰:08/08/22 00:59 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#245 [りく☆]
『あるわけないだろ。』

『だよな…』

またしても沈黙がやってきた。結局は解決の糸口は見つからないのか。
しかし、滝沢に話したことで今までの事を振り返ることができた。

…美里はなぜあんな嘘を

⏰:08/08/22 01:00 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#246 [りく☆]
優希がオレに許しを貰おうとすることなどあるはずがない。彼女が自分を責める理由などどこにもないはずだ。
なら何故美里はあんな手の込んだ事をして嘘を言いたかったのか。誰も特にならない嘘を何でわざわざ言ったのか、美里の行動の真意が全くわからなかった。

⏰:08/08/22 01:00 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#247 [りく☆]
『カイさんって人と彼女の関係は確かなのか?』

『あぁ…本人が言っていた』

滝沢の確認に、記憶を辿りながら答えた。

『ならなんで美里は嘘を……

もしかしてお前の知らない何か別の真実があるんじゃないか?』

頭を抱えていた滝沢が、思いついたように言った。

⏰:08/08/22 01:01 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#248 [りく☆]
『オレより美里を信じるのかよ。オレの話聞いただろ。優希がオレに許しを得ようとするなんてありえない。』

少し感情的になって答えてしまったオレを見て、滝沢は再び視線を前に戻した。

⏰:08/08/22 01:01 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#249 [りく☆]
『オレの知らない真実…』

ふと滝沢から言われた言葉が口からでてきた。今まで考えた事のない思考だ。

『お前が言ってる事を疑ってるわけじゃねぇが……何か気にならないか?もしかしたら何か分かるかもしれないし。少し調べてみないか?』

⏰:08/08/22 01:02 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#250 [りく☆]
『何やってるの?』

屋上に入る入口の扉から声が聞こえた。扉は閉めてあるから顔はわからない。しかし、聞き覚えのある声だった。あの声は間違えない……祥子だ。

オレと滝沢はお互い同時に扉に視線を移した。

『祥子か……。あいつ誰と話してるんだ?』

⏰:08/08/22 01:35 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#251 [りく☆]
扉が閉まっているため、祥子がオレ達を確認できるはずがない。それをわかったうえでの滝沢の発言だった。

つまりオレ達が話している時、誰かが扉のそばにいたのだ。

『話を聞かれた…』

思わず口からでた言葉だった。滝沢達以外には知られたくない過去だったからだ。

⏰:08/08/22 01:44 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#252 [りく☆]
『勇貴とりく知らない?』

祥子は再び扉のそばにいる誰かに語りかけていた。しかし、相変わらずその相手は黙っている。
恐らくオレ達に存在を知られたくないのだろう。

オレは過去を知られたことに、ただショックを受けていた。

⏰:08/08/22 01:52 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#253 [りく☆]
『祥子のやつ、オレ達を探してるみたいだぜ。

…おいっ、りく。大丈夫か?』

呆然と立ち尽くしたオレに慌てて滝沢が話しかけてきた。滝沢も瞬時にオレがショックを受けている原因を察知したのか、それ以上何も言ってこなかった。
滝沢はオレの肩を軽く叩き、扉の方へと歩きだした。

⏰:08/08/22 01:56 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#254 [りく☆]
『祥子!!
オレとりくならここにいるぜ。

ついでに盗み聞きしてる奴も出てこいよ。』

少し怒った口調で滝沢は扉に向かって言った。彼もオレの話を聞かれたことに腹をたてていた。

『そこにいるんだ♪

ってか盗み聞きって……美里あんた何やってんの?』
驚いた口調で話している祥子の声が聞こえた。

⏰:08/08/22 02:02 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#255 [りく☆]
『美里がいるのか?』

驚きを隠せない滝沢が声を上げて言った。
それと同時に扉が開き、慌てて入ってくる祥子と、戸惑いを隠せずにいる美里の姿が見えた。

『別に…盗み聞きしてたわけじゃぁ』

目線にやり場のない美里が、俯きながら言った。

⏰:08/08/22 02:05 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#256 [りく☆]
『別にいいじゃん。
勇貴がりくに愛の告白でもしてたら別だけど♪』

何も知らない祥子は笑いながらオレ達を見ていた。

『何バカ言ってんだよ。ってか愛の告白は違うから』
呆れた様に滝沢が祥子に言い返した。祥子もベロを出して、冗談だよと言わんばかりの表情で滝沢を見ていた。

⏰:08/08/22 02:10 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#257 [りく☆]
『美里……お前聞いていたのか?』

ふざけ合う2人を余所に、オレは真顔で美里に言った。

『だから……盗み聞きは』

『聞いたどうかを聞いてるんだよ!!』

言い訳しようとした美里にオレは怒鳴り返した。
もはや何と言おうとオレは彼女を許す気になれなかった。

⏰:08/08/22 02:13 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#258 [りく☆]
美里は何も答えず、逃げるように屋上から走り去った。
その様子を祥子はただ呆然と見つめていた。


『あの様子じゃ……聞いていたな』

ため息混じりで滝沢がいった。もはや美里を追いかける気力すら湧いてこない様子だ。

⏰:08/08/22 02:16 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#259 [りく☆]
優希と一緒にいる美里なら、いつかは知る事かもしれない。
しかし、優希は彼女に全てを話してはいなかった。だから、もしオレが話した事が優希にバレたら……そう考えただけで背筋に寒気が走った。

あんな過去、優希は誰にも知られたくないはずだから…。

オレは絶望感にどっぷりと浸り、ただ立つことしかできなかった。

⏰:08/08/22 02:21 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#260 [りく☆]
『何があったの?』

ようやくパニックから抜け出した祥子が口を開いた。この屋上での話は、自分からはできないと思ったのか、滝沢は黙ってオレを見た。しかし、そんな彼の視線に気がつくことなく、オレは美里が駆け降りた階段をただ見つめていた。

『また…後で話すよ。
とりあえず人に聞かれたくない話だったんだ。』

滝沢がオレの代わりに遠回しに祥子に説明してくれた。

⏰:08/08/22 02:27 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#261 [りく☆]
『美里ならいいじゃん。仲良しなんだし』

不思議そぉに祥子が答える。

『それがいろいろ訳ありで……

ところでお前、オレ達に用があるんじゃなかったのか?』

話を変えるため、滝沢は祥子に尋ねた。
祥子は自分の用件を思い出したらしく、急に慌てた表情になった。

⏰:08/08/22 02:30 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#262 [りく☆]
『た……卓也の居場所がわかったの!!』

行方不明になっていた卓也の居場所がわかった明るい報告なはずだ。なのに祥子の顔には笑顔は存在しなかった。

『どこにいたんだ?』

それを察したオレ達は、慎重な口調で祥子に聞き返した。

『時間がないの……ついて来て。』

そう言うと、祥子は階段を勢いよく降りていった。

⏰:08/08/22 02:35 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#263 [りく☆]
祥子から逸れないように、オレと滝沢は必死についていった。
ちょうど休み時間だったため、他の生徒にぶつかりなら慌てて階段を降った。

祥子は誰にぶつかろうとも、謝りもせずにただ前だけを見ていた。
そんな祥子の背中から、ただ事ではないということが伝わってきた。

⏰:08/08/22 02:40 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#264 [りく☆]
学校を出ると、門の前には1台の車が止めてあった。それは、卓也がたまに送り迎えしてもらっていた車だった。

何も躊躇いもなく祥子は車に乗り込む。それにつられてオレ達も車に乗った。

『あっ……美里も連れてくるんだったんだ…』

息を切らしながら祥子が言う。

⏰:08/08/22 02:44 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#265 [りく☆]
『美里はいいよ。』

状況をのみこめずにいたオレだったが、美里がくることだけは拒んだ。
そんなオレの心境を悟ったのか、祥子は渋々車のドアを閉めた。

『あんた達と美里に何があったのよ…』

窓越しに学校を見ながら祥子がぼやいている。

⏰:08/08/22 02:48 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#266 [りく☆]
『その話は後でするとして……祥子、卓也はどこで何をしてるんだ?』

車の中で冷静になった滝沢が、祥子に尋ねた。あの祥子の慌て様からただ事ではないことは承知している。だから、オレと滝沢はじっと祥子を見つめ答えを待った。

『卓也坊ちゃんは、只今病院にいらっしゃいます。』

⏰:08/08/22 02:52 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#267 [りく☆]
答えにくそうな祥子の代わりに、運転手が答えた。
彼はよく知っている。昔から卓也の世話をしていた人だ。みんなからはジィと呼ばれていた。

『ジィ……病院ってどういう事だ?』

ハンドルを握るジィに滝沢が尋ねた。ジィは信号で停車し、一息ついて答えた。

⏰:08/08/22 02:56 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#268 [りく☆]
『卓也坊ちゃんが病気をおもちなのは、みなさんご存知ですか?』

ジィの質問にみんな黙って頷くと、彼は再び言葉を続けた。

『ここ数日前から急激に病状が悪くなり、入院しているのです。』

ジィの声が少し震えているのがわかった。その声がオレ達を不安にする。

『卓也は大丈夫なのか?』
恐る恐るオレはジィに尋ねた。

⏰:08/08/22 03:02 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#269 [りく☆]
車を降りたオレ達は慌てて病院へと乗り込んだ。

「私の口からは何とも……ただ坊ちゃんの意識があるのは確かです。ただ、原因のわからない病気ですので、何とも言えないのが現状なのです」

病院の廊下を走りながらジィの言葉を思い出していた。
卓也が何らかの病気を抱えていることは知っていたが、これほど重大とは。オレの心には不安が広がっていた。

⏰:08/08/22 03:08 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#270 [りく☆]
『あった……卓也の部屋だ。』

滝沢の声にオレとしょうこが彼に駆け寄る。走りまわった末にようやく卓也の病室をみつけた。

病室の中からは物音さえ聞こえてこない…。ただ病院の廊下につけられたクーラーの音だけが、微かに聞こえてくる。

⏰:08/08/22 15:56 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#271 [りく☆]
『開けるぞ…』

ドアノブにそっと手を置いたオレが、2人の目を見て言った。滝沢だけが頷き、祥子はただ黙ってドアを見ていた。もしかしたら部屋の中から卓也の声が聞こえるかもしれない……そんな希望を抱きながら。

⏰:08/08/22 15:57 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#272 [りく☆]
ゆっくりとドアを開けた。少しずつ広がるドアと壁の隙間からは、廊下よりもやや暖かい風が通ってきた。どぉやら病室の窓が開いているらしい。
隙間が段々と大きくなり、病室の姿がわかってきた。病室はホテルのシングルルームみたいになっており、ドアの前には部屋まで続く短い廊下があった。

⏰:08/08/22 15:58 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#273 [りく☆]
その廊下の脇には、洗面所へと続く扉があった。
ゆっくりと廊下を歩き進んで行くと、ベットのある部屋が見えてくる。タブルベットとまではいかないが、普通の病室のベットよりかは少し大きめなベットが部屋の奥に置いてあった。

⏰:08/08/22 15:59 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#274 [りく☆]
そしてその脇には、面会者用のソファーが並べてある。後は見やすい位置に置かれたテレビや、衣類をまとめるクローゼット、冷蔵庫などが置いてあった。

『病室にしちゃぁ豪華だな…』

部屋を見渡した滝沢は思わず言葉をもらした。

⏰:08/08/22 15:59 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#275 [りく☆]
『卓也のことだからな……1番いい部屋じゃねぇのか?』

呆気にとられながら滝沢の言葉にオレが答える。

2人して呆気にてられていた。それは病室が豪華だからではない…。

⏰:08/08/22 16:00 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#276 [りく☆]
お互い何を言っていいか分からず、とりあえずくだらない会話をしたのだ。

立ち尽くしたオレ達を見て、ドアの前にいた祥子が慌てて駆け寄ってきた。

『卓也は?』

慌ただしく言う祥子の顔を見ながら、オレ達はベットを指差し言った。

⏰:08/08/22 16:00 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#277 [りく☆]
『もぉ……卓也いないぜ。』

ベットの上の布団は綺麗に畳まれ、誰もそこにはいなかった。

『何で…いないの?』

オレ達3人は、誰もいないベットをただ呆然と見ていた。

⏰:08/08/22 16:02 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#278 [りく☆]
 


『病室で待ってなきゃダメって言ったでしょ』

廊下から女の人らしき声が聞こえた。どうやら患者さんに何か言っているらしい。

『尚美さん来るの遅いからさ、迎えに行ったんだよ♪』

⏰:08/08/22 16:45 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#279 [りく☆]
この声が聞こえたと同時にオレ達は振り返った。廊下では看護婦と患者のやりとりが見えた。

『病人は動いちゃダメ。』

『だってぇ…尚美さんが来ないと寂しいんだもん』

甘える口調で患者が答えていた。

⏰:08/08/22 16:45 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#280 [りく☆]
もはやかける言葉さえ見つからない。

…あのバカが

『人が心配している間に何やってるんだよ!!』

滝沢が話しかけたのと同時に2人が振り向いた。笑顔でこっちを見つめる看護婦と、驚いた顔をした患者…卓也の顔がはっきりと見える。

⏰:08/08/22 16:46 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#281 [りく☆]
『滝沢!!それに…祥子とりくも!!
お前ら来てたのか♪』

驚きを隠せない卓也がオレ達に話しかけてきた。看護婦は面会客が来たことを察し、部屋から少し離れた。

『お前がナース追っかけてる間に来たんだよ。まぁお邪魔の様なら帰るけど』

⏰:08/08/22 16:46 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#282 [りく☆]
素っ気ない口調で滝沢が言う。祥子はあれだけ心配していたため、拍子抜けしていた。

『そんなこと言うなよ…。今から診察があるだけだって。すぐ終わるからソファーに座って待ってろよ♪』

⏰:08/08/22 16:47 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#283 [りく☆]
そぉ言うと、卓也は看護婦を部屋へと入る様に手招きしていた。

『相変わらず自由人だな』

オレ達はそんなバカみたいな事を言って笑うしかなかった。

⏰:08/08/22 16:47 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#284 [りく☆]
 



『熱もないようだし……後はゆっくり休んでてね。また動き回っちゃだめよ』

診察が終わったのか、そぉ言うと看護婦は荷物をまとめ始めた。

『えぇ〜尚美さん帰っちゃうの?』

⏰:08/08/22 16:48 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#285 [りく☆]
『友達が来てくれてるじゃない♪もぉ一人じゃないでしょ。』

甘える卓也を軽くかわし、看護婦はオレ達に軽くお辞儀して去っていった。

『邪魔だったか?』

冷静な眼差しで卓也を見ながら滝沢が言った。もはやオレと祥子は呆れて言葉もでない。

⏰:08/08/22 16:49 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#286 [りく☆]
『後10分遅かったら、もっと尚美さんと話せたんだけどな♪』

ベットに座った卓也が笑いながら滝沢に言った。

『まったく……入院してることくらい教えてくれてもいいじゃなぃ!!』

ため息混じりに祥子が言った。そんな彼女の言葉にも、卓也は笑っている。

⏰:08/08/23 01:12 📱:SH903i 🆔:dLuGxfF.


#287 [りく☆]
『お前らに言ったら毎日くるだろ?そしたら尚美さんに会えなくなる』

っと答えるだけだった。

『こんな元気ならわざわざジィに呼ばれて来る必要なかったな』

そう滝沢は言い放ち、ソファーから立ち上がった。

⏰:08/08/23 01:13 📱:SH903i 🆔:dLuGxfF.


#288 [りく☆]
『ジィが呼んだのか…


あ……あいつ年寄りだからな、心配性なんだよ♪』

『あんまりジィを馬鹿にするなよ。りくちょぃ外行くから付き合え。』

卓也の言葉に適当な返事をしながら滝沢がオレに外に出るよう言った。

⏰:08/08/23 01:13 📱:SH903i 🆔:dLuGxfF.


#289 [りく☆]
そんな滝沢にオレは黙って頷き、ソファーから腰を上げる。そんなオレ達をみて、卓也が話しかけてきた。

『そぉ怒るなよ。
ってかどこに行くんだ?』

『ちょぃとジィに文句を言いに……』

そぉ滝沢が言うと、祥子に見えない様に、手で煙草を吸う仕草を卓也に見せた。

⏰:08/08/23 01:14 📱:SH903i 🆔:dLuGxfF.


#290 [りく☆]
『あんまり怒鳴るなよ。
ジィの心臓が止まっちまう♪』

了解と合図するかのように、ウィンクしながら卓也が答えた。

『じゃぁ祥子、女たらしの相手頼むぜ♪』

病室をでる間際にそんな台詞を言って病室を後にした。

⏰:08/08/23 01:14 📱:SH903i 🆔:dLuGxfF.


#291 [りく☆]
後ろで祥子が何か言っているのがわかったが、構わずオレ達は廊下を歩いていく。




『りく……お前も気がついたろ?』

病院の屋上へとたどり着いたオレ達は、煙草をくわえながら話していた。

⏰:08/08/23 01:15 📱:SH903i 🆔:dLuGxfF.


#292 [りく☆]
『あぁ……あいつとは付き合い長いからな。よくわかるよ。』

口から流れでる煙りを見ながら答えた。

『ジィが言っていたことは間違いじゃないな。


そんなに深刻なのかよ……卓也の病気……。』

⏰:08/08/23 01:16 📱:SH903i 🆔:dLuGxfF.


#293 [りく☆]
フィルターを噛みながら滝沢が吐き捨てるように言った。

オレも滝沢も祥子も……卓也が無理に元気に振る舞っていることぐらいわかっていた。普段の卓也なら看護婦にあんな態度はまずとらない。
きっと卓也自身も自分の病気の深刻さに気がついているのだろう。

⏰:08/08/23 01:16 📱:SH903i 🆔:dLuGxfF.


#294 [りく☆]
だからその恐怖感から逃れるためにあんな行動をとっているのだ。
オレ達に入院したことを言わなかったのも、卓也自身の気持ちが落ち着いてなかったからだろう。でないと、オレ達の前で弱い自分を見せてしまうから。卓也は昔から自分の弱みを見せるのを嫌うタイプだ。

⏰:08/08/23 01:17 📱:SH903i 🆔:dLuGxfF.


#295 [りく☆]
『多分…卓也が落ち着いたのが最近なんだろうな。だからジィはオレ達を連れてきても大丈夫と判断したんだろう。
それまで独りあの病室で病気に怯えていたのか……』

独りで悩むことがどれだけ辛いか……オレには嫌なくらいわかった。そぉ思いと思わずぼやいてしまった。

⏰:08/08/23 01:17 📱:SH903i 🆔:dLuGxfF.


#296 [りく☆]
『気がついておられましたか…。』

オレと滝沢以外誰もいなかったはずの屋上に、気がつけばジィが立っていた。

『ジィ……いたのかよ』

灰皿に煙草を押し付けながら滝沢が言った。ジィはただ笑いながらオレ達を見ている。

⏰:08/08/23 23:23 📱:SH903i 🆔:dLuGxfF.


#297 [我輩は匿名である]
更新されてて嬉しいです//
これからもがんばって下さい

⏰:08/08/24 01:08 📱:PC 🆔:2Gb.qc0I


#298 [りく☆]
匿名さん

ありがとうございます更新遅れてますが、読んでくれたら嬉しいです

⏰:08/08/25 16:26 📱:SH903i 🆔:KFcVEDsQ


#299 [りく☆]
『卓也の病気はそんなに深刻なのか…?』

何も語らないジィにオレが問い掛けた。ジィは少し困った様に下を向き、しばらく沈黙を守った。

⏰:08/08/25 16:27 📱:SH903i 🆔:KFcVEDsQ


#300 [りく☆]
『原因不明なんです。
どんな治療をすればよいのか…どんな薬を処方すればよいのか……まだわかっていません。坊ちゃんのお父様がアメリカに行ったのも、すべては治療方法を見つけるため……』

下を向いたままゆっくりジィが語った。オレ達はただジィを見ながら黙って聞いていた。

⏰:08/08/25 16:27 📱:SH903i 🆔:KFcVEDsQ


#301 [りく☆]
『しかし、結局治療方法は見つかりませんでした。
そして坊ちゃんの「最後はあいつらと一緒がいい」という強い要望により日本に戻ってきたのです。


まさかこの私より先に……坊ちゃんが……』

倒れる様に膝をつき、ジィは肩を震わしていた。そんなジィの様子から、卓也の病気の深刻さなどすぐに読み取れた。

⏰:08/08/25 16:28 📱:SH903i 🆔:KFcVEDsQ


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