.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#81 [桔妁]
 
「う、うん。」

「何じゃ-?ちょっとか男前で惚れたか?」

繭は、はぁとため息を付いた。

無邪気に笑う彼は十九歳だったのか、と。

そして意外と強いのねと。

「まぁ、絶対惚れないけど。」


そう繭が呟けば、次は残念そうなため息が隣から聞こえた。

⏰:07/12/16 15:08 📱:SH903i 🆔:tZ4U.oSM


#82 [桔妁]
 

「ま、まだ食うのか!?」

「うん♪あ、あれも-♪」

町に着いた私達は、早速回り歩いた。

特に、何故か頼仲くんはお金持ちで、色々と食べたり買ったりしてくれた。


「いや、さすがに限界があるってもんだ!!…っておい!」


私は遠慮なく頂いていた。

⏰:07/12/17 01:49 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#83 [桔妁]
 
「あ、あれ何だろ?」

町を進んでいくと、雑貨屋のような店があった。

「…お守り屋じゃ-。胡散臭い石っころに願掛けしたい種類が書いてあるんだけどな。」

頼仲は乗り気ではないが、此処は女の子!

繭も例外はなく、お守りだのおまじないだのという類に弱いのだ。

⏰:07/12/17 18:31 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#84 [桔妁]
 
「…こんなんでいいんか?」


どうしても欲しかった私は、他にはもう欲しがらないからこれを買ってと頼んだ。

「仕方ないな。はい、おじちゃん。この子に一つ。」

頼仲がそういっている間に私は石を選んでいた。

「……あ、おじさん、この石がいい!!」

⏰:07/12/17 18:34 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#85 [桔妁]
 
「なんでェ、ケツみてェな石がいいんか。…で、入れたい文字はあるかいねェ?」

ケツみたいな石とは、失礼な。…私が選んだ石は、ほのかにピンク色で、さらにハート型の石である。

ここに"恋愛"って掘ってもらえば最高だと思う。

「ええ-、じゃあ恋愛って書いて下さい!」

私は紙に恋愛の二文字を書いた。ついでにハート型も。間違えて逆さまに書かれたら嫌だったから。

⏰:07/12/17 18:41 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#86 [桔妁]
 
それが出来上がるまでに、一時間程かかるらしいので、私達は茶屋でのんびりしていた。

「頼仲くんって、十九歳だったんだね…。全然わからなかったよ…。」

「そうか?皆には歳相応だと言われるがな。………というか、繭は凄いよなァ。」

他愛もない話をしているときに突然、繭は凄いと言われてきょとんとした。

⏰:07/12/17 18:45 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#87 [桔妁]
 
「…そらやだよ。あいつァ、他の人間とあんなに話をしないからな。

…わしとおまいさんと……それ以外は会話しちょるのを見た事はないな。」


そりゃあ、そうだろう。小学生にしていきなり過去へと連れていかれたのだ。

心を閉ざしてしまっていても不思議はないだろう。

その点で、頼仲くんの場合は天弥を助けたから話してくれるんだろう。そして私は同じ神隠し仲間だから。

⏰:07/12/17 18:49 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#88 [桔妁]
 
「…天弥も色々あるんだろうなぁ……。あ、あの-…鬼道村に縁結びの洞窟って、あったりしない?」

ここ最近、忙しすぎて全然探せなかった洞窟。頼仲くんは何か知っているだろうか。

そう思った、が。

「ん?そんなん鬼道村にはないな。」

「え、嘘だァ!!」

「いやいや本当さ。」

⏰:07/12/17 18:53 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#89 [桔妁]
 
「な、なんと…」

じゃあ、相当浅い歴史のモノだったと言う事か。

恋する乙女の為の昔ながらの縁結びスポットじゃなかったのか!

「そ、そうなんだ…ありがとう…!!」

御利益があるかと思ったのに!過去に連れて来られてまで田舎に来たのに…


「何、落ち込んでるんじゃ-?」

「ううん、なんでもないよ-ん……」

⏰:07/12/17 19:49 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#90 [桔妁]
 
―――

――


「わぁ、おじさん有難う!」

日も西の山に消えかけて、空は紫色だ。

「おぉ-、ごっつい手の割に、ちっこく掘るんだな-!!」


おじさんからお守りを貰って、帰り道を歩いていると、遠くから悲鳴が聞こえた。

「盗賊共かの。誰か侍が倒してるのかもな。」

⏰:07/12/17 19:54 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


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