.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#1 [ぱる.。+]
:07/09/10 07:15 :SH903i :tbKD4FSE
#2 [ぱる.。+]
私の名前は時枝繭。
今は夏休みの中盤に差し掛かったところ。
そして私は田舎のおばあちゃんの家に泊まりに来ています。
都会に居ると、たまに田舎に憧れたりしちゃうから。
「………。」
「………。」
…………日暮しが鳴いている。
:07/09/10 15:48 :SH903i :tbKD4FSE
#3 [ぱる.。+]
「…おばあちゃん。」
食卓の静寂を破ったのは私の方から。
「なんだい、繭ちゃん?」
おばあちゃんは微笑み、私を見て返してくれた。
おばあちゃんが食事の時に静かなのは、いつもは喋る相手が居ないからかも。
:07/09/11 16:34 :SH903i :yH.K3jE6
#4 [ぱる.。+]
それでもきちんと答えてくれるおばあちゃんが何となく嬉しかったりして。
…と、そんなおばあちゃんに会うのも田舎に泊まるのも楽しみだったけど。
私が此処に来たのはもうひとつ理由がある。
「この辺にね、[恋愛成就]の洞窟があるって聞いたんだけど…」
そう!大好きな早川先輩との恋愛を成就させたくて私は来たのです!
:07/09/11 16:39 :SH903i :yH.K3jE6
#5 [ぱる.。+]
「あぁ、あれかね。…昔から有名だからねえ…。
恋は愛じゃない、
恋と愛は真逆。
但し、恋愛となれば
繋がりを持つ。
なんて変な言い伝えみたいなものがあるんだよ。」
…結構素敵な言い伝え。さすが、恋愛成就の隠れた名所だと思う。
:07/09/11 16:47 :SH903i :yH.K3jE6
#6 [ぱる.。+]
「そう、そこ!…近いなら明日行ってもいい?」
「あぁ、いいよ。…でもねえ、ちと草むらを歩くから。明日はおばあちゃんの用意する服を着て行きなさいな。」
私が持って来た服はミニばかり。
おばあちゃんの服…なんか和服しか来てるイメージないけど、借りるかな…
「わかった!有り難う!ご馳走様!!」
:07/09/17 16:38 :SH903i :MxS/zels
#7 [ぱる.。+]
私は床につくと、ケータイを開いた。
薄暗い部屋の中で開いた液晶画面の光は、私の目を刺す。
私は、手慣れた手つきで画像フォルダを開く。
「…早川先輩、やっぱり格好イイィ-!」
以前情報部の友達に頼みに頼んでもらった隠し撮り画像。
:07/09/17 16:51 :SH903i :MxS/zels
#8 [ぱる.。+]
や、隠し撮りとかまでいくとストーカーじみてるかもしれない。
そこを思うと少し自分に引くけど…でもやっぱり。
「明日は絶対恋愛成就だな♪」
片思いの少女とは、こういうものじゃない?
あれ、私だけ?まあいいや。
(う-ん!どんなところなんだろうっ!)
:07/09/17 16:54 :SH903i :MxS/zels
#9 [ぱる.。+]
「ほいさ!完成だよ!」
「き、きついよ…?」
案の定、着せられたのは和服。
ま、予想通りって言う訳だ。
「ちぃっと位はきついモンさ。根性だよ。」
根性…。昔の人は、服一枚も根性だったんだ。凄い。
:07/09/17 16:58 :SH903i :MxS/zels
#10 [ぱる.。+]
「根性、か…。ところで、おばあちゃん、今何時…」
朝ご飯を食べたまでは、違和感無かったんだけれども、外を見ればまだ薄暗い。
もしかして、相当早起き?
「ん、今は6時半さよ。…ちと遅いねえ。」
時計が無いじゃん…。何故時間が分かるのですか!?
:07/09/17 17:03 :SH903i :MxS/zels
#11 [ぱる.。+]
「え、じゃあまだ出かけるのは早いかな…?」
さすがに6時半だと、早いような気がする。…外は霧かかってるし……。
「そうさねえ…。うん、まあ近いし平気だとは思うけど、好きにしなさいな。」
「じゃあ、それまで和服の着付け教えて!」
.
:07/09/17 19:42 :SH903i :MxS/zels
#12 [さく]
応援してます☆★
頑張って下さい!!
楽しみにしてます。
:07/09/27 17:19 :SH902iS :☆☆☆
#13 [ぱる.。+]
うひゃあ..ろんぐ放置ッ..!!
ものすごくすみません!!
更新!!
:07/10/09 01:34 :SH903i :JE1I2vBk
#14 [ぱる.。+]
――1時間後―
「うぅっ…出来ない―…」
おばあちゃんは熱心に教えてくれていた。…でも、私は物覚えがもの凄く悪い子なのです。
「…まぁ、まぁ…さぁ、あと一息だよ!!!」
おばあちゃんは、やっぱり熱心に教えてくれた。
私がマスターするのは、後1時間後の事―…。
―プロローグ終―
:07/10/09 01:42 :SH903i :JE1I2vBk
#15 [ぱる.。+]
―第1章―
―嗚呼、愛しき貴方とは
中々、壁が多く――
.
:07/10/09 01:44 :SH903i :JE1I2vBk
#16 [ぱる.。+]
「行ってきま-す♪」
私は草履を履く。
こうなれば足元まで雰囲気を出して、とことん大和撫子になりませう!!!!!
「いってらっしゃいな……、と-、近場なのに荷物が多いんだねぇ、繭ちゃんは。」
おばあちゃんは私の持つ和風の鞄に目配せをする。
:07/10/09 01:48 :SH903i :JE1I2vBk
#17 [ぱる.。+]
幸い、今回持参した鞄は和柄なので、和服でもぴったりなのだ。
中は勿論…
女の子グッツだらけなのだ☆(半分嘘なのだ☆)
「いいの!今ドキの子の癖なの♪」
私は家を飛び出す様な勢いで家を出た。
:07/10/09 01:51 :SH903i :JE1I2vBk
#18 [ぱる.。+]
「…早川先輩ィイ♪もう少しですよぉ♪♪」
…ニヤニヤしながら歩く私は、もはや変態なのか…?
いやいや!恋する女の子は皆そうだよね。
と、ある地点で私の足は留まる。
「え…草村は?…あれ、森?」
目に止まるは森。雰囲気が悪い訳じゃないけれど森。
:07/10/09 01:55 :SH903i :JE1I2vBk
#19 [ぱる.。+]
「虫だらけじゃん、森……」
私は虫が嫌いです。
私の中には、
森=毛虫=甲虫=蜘蛛
とゆ-方程式があります。
でも、こんなハードルは想定内な恋する女の子なのである。
「ふふふ♪アー●の虫よけ(携帯用)登場!!」
:07/10/09 01:58 :SH903i :JE1I2vBk
#20 [ぱる.。+]
田舎のおばあちゃんの家という訳だから、勿論用意していた虫よけグッツである!!
(アー●は蚊だけしか避けないような気もしますが)
「ふふふん♪こんなハードル低すぎよ♪♪」
恋する女の子は強いんです、いやいや、まじで。
:07/10/09 02:00 :SH903i :JE1I2vBk
#21 [ぱる.。+]
恋する女の子は、ある意味ストーカーかもしれません。
あれ?私だけかなぁ?
普通、好きな人の住所と両親の名前と下着の色と、使ってるワックスとかシャンプーリンス、放課後の日課やベットの下のあれこれ……以下略
知ってるんじゃない?
あれ?私だけなのかなぁ?
:07/10/09 02:04 :SH903i :JE1I2vBk
#22 [ぱる.。+]
それからそれから、私と先輩の結婚生活まで考えますっ♪
お帰りなさい貴方♪
何になさいます?
ご飯?お風呂?
そ・れ・と・も♪
キャ――――♪
と、繭が妄想の最長を上げた瞬間だった。…歓喜の悲鳴は叫びに変わった。
:07/10/09 02:07 :SH903i :JE1I2vBk
#23 [ぱる.。+]
「キャ―――――!?」
私、繭は落ちていました。
おばあちゃんは言っていた。「草村が少しある」と。
でもね、少し歩いただけで崖なんて…―
私の意識は、飛びました。あぁ、死ぬのかな、私。
けれど思うは貴方のこと。
―死のハードル高すぎですよ神様…。
せめて、生かして下さいよぉ…
:07/10/09 02:11 :SH903i :JE1I2vBk
#24 [ぱる.。+]
「…………。」
気が付くと川でもなく、御花畑でもなく、古ぼけた家の中に居た。
申し訳なさそうに上にかかる布、何処からか撫でる風が心地よい。
「…死、んだわけじゃない…?」
むくりと起き上がろうとした時である。
右足に激痛。
「………痛ァッ!!!!」
:07/10/09 22:21 :SH903i :JE1I2vBk
#25 [ぱる.。+]
―…考えてみれば。
私は崖から転落した訳だから当たり前と言えば、当たり前、か。
というか、足以外今の所すべて無傷なのは、殆ど奇跡ではないか…?
私は、痛みを堪えゆっくりと起き上がり、足を見る。
「………」
丁寧に、日本手ぬぐいのような布で止血がしてある。…木の枝で固定もしてある。
:07/10/11 00:11 :SH903i :ajRZbal2
#26 [ぱる.。+]
間違いなく、誰かが手当てをしてくれた跡だ。
「崖の下の、村の人かな…」
繭は、とりあえずまた横になる。
…待っていれば、家の主が帰ってくるだろうし、家に通る風は眠気を誘う。
繭は静かに、ゆっくりと意識を落としていった。
:07/10/11 00:16 :SH903i :ajRZbal2
#27 [ぱる.。+]
・
◇
・
気付けば、烏が鳴き交わしていて、空はオレンジ色に輝いている。
ふと、家の中に目をやれば、和服の人が囲炉裏の前に座っている。
「……あ、の…」
私が呼ぶ声と同時に、人は振り返った。
…同じ歳位の男の子だろうか、彼はこちらに歩みよる。
:07/10/11 00:20 :SH903i :ajRZbal2
#28 [ぱる.。+]
「…起きたか」
その男は、目が鋭い…言えば目つきの悪そうな、すこし背の低めの人だった。
私は問い掛けに小さく頷く。
「二日寝てたんだ、あんたは。…今、雑炊は食えるか?」
また私は、小さく頷くが慌てて聞く。
「あ、あの、」
:07/10/11 00:23 :SH903i :ajRZbal2
#29 [ぱる.。+]
「何?」
チラりとこちらを向かれる。
「や…。ありがとう…」
「……。」
……何故無言!!!!!
やりにくい、助けてくれたのはありがとうですが、やりにくい……!
しばらくすれば、お雑炊をこちらに持って来た。
:07/10/12 07:20 :SH903i :W00sXFiA
#30 [ぱる.。+]
中を箸で混ぜてみる。
お湯が多く、米らしいものが入っていない...。
アワ、ヒエというもの、みたいな感じ。
おばあちゃんの近所は貧困に悩んでいるのか..。
試しに口に運ぶ。
味付けは、シンプルに塩。
「……。」
正直に、まずい。
:07/10/13 08:05 :SH903i :Hv.9eWTE
#31 [ぱる.。+]
繭はそれを口に流し込み、とりあえずお礼。
「助けてくれて、ありがとう…ございます…。」
すると目つきの悪い人は繭の隣に座り、ため息を付きつつ言った。
「さっき、聞いた。…それとさ、お前、服買わない?」
「え?」
私は、ふと自分の服を見る。…折角、おばあちゃんが着せてくれたのに、ボロボロだ。
:07/10/14 20:08 :SH903i :af55k7C2
#32 [ぱる.。+]
「え、あ、」
「…じゃあ、待ってろ。」
繭は呆気にとられるだけだ。
目つきの悪い人は、表に出ていってしまった。
「…………あの-…」
繭の小さな声は、木造の建物が吸い込んでいった。
:07/10/14 20:16 :SH903i :af55k7C2
#33 [ぱる.。+]
「折角おばあちゃんに借りたのにな…」
改めて服を見ると、崖から転落しただけあって結構ボロボロであった。
借り物をこんなにしてしまうなんて、さすがに罪悪感を感じる。
ただ、そんな中でも自分の命が助かったのは奇跡的だったのではと思う。
:07/10/23 12:53 :SH903i :i/kZHN5c
#34 [ぱる.。+]
ふと、部屋の隅に目をやれば、自分の和柄の鞄が置いてあった。
自分と一緒にあの人が持って来てくれたんだろう。
中身を確認するべく、繭は這いながら鞄に手をやる。
携帯とその電池パックは鞄の中で分列されていて、眼鏡は割れていて。
転落の衝撃の強さを物語っている。
:07/10/23 12:58 :SH903i :i/kZHN5c
#35 [ぱる.。+]
おまけにお財布も小銭口が空いているものだから、鞄の中身は散らかっている。
仕方なく繭は、鞄の整理に取り掛かった。
「携帯無事かなぁ……」
財布の中に小銭をしまい込み、眼鏡の破片などは仕方なく眼鏡ケースに保管。
携帯の電池を入れて、電源ボタンを押す。
「…………駄目か…」
:07/10/23 13:03 :SH903i :i/kZHN5c
#36 [ぱる.。+]
さすがに携帯は死んだらしくて、仕方なく繭は携帯を鞄にしまい込む。
それからは相当に暇で、ただ部屋を流れる風は気持ちがよくて。
繭はまた、しばしの眠りに落ちるのであった。
:07/10/23 13:07 :SH903i :i/kZHN5c
#37 [ぱる.。+]
「……い、おい〜…」
聞き覚えの無いその声で目が覚めると、鋭い目がまず先に視界に入る。
そこで、あぁそういえば私は看病されてたんだっけと繭は思い出す。
「あ、寝てましたか私…」
そう言い上半身を起こすが早いか、目の前に見えるのは薄紅色の和服。
:07/10/23 13:13 :SH903i :i/kZHN5c
#38 [ぱる.。+]
「…あ、これ……」
本当に、この人は和服を買ってきた、ようだ。
着れるか?と聞いてくる彼に私は、
着れないっていったら着替えさせちゃうのかよ、
とか、少し余裕をこきながら、着れますと答えた。
すると、彼は外へと出ていってくれた。
気を利かせてくれたのだろう。
:07/10/23 23:22 :SH903i :i/kZHN5c
#39 [ぱる.。+]
突然ながらお知らせ。
この度、ハンネを変えます。
ぱる.。+ → 桔妁(きなこ)
理由は、新しくはじめたHP
でのハンネに合わせようと
思う、という勝手事ですが、
どうか
これからもお願いします。
:07/10/23 23:27 :SH903i :i/kZHN5c
#40 [桔妁]
私は今寝転がっていた、一段高いところに座り、和服を着替えた。
座って、地に触れる足の鼓動が痛い。
(そういえば、こんなん買ってもらって、しかも初対面で……悪い、よね…?)
しっかり着替えてからそれを思う私は馬鹿だと思うが。
「着替えたか?」
しばらくすると、彼が入って来た。…そういえば、彼、彼と呼んでいて名前も知らない。
:07/10/23 23:32 :SH903i :i/kZHN5c
#41 [桔妁]
「あの、こんな和服貰っちゃって…しかも、名前知らない人に……」
「…あ、これは貰い物だからいいよ。……名前、言ってなかったっけ?」
買ってくるっていったの誰だよ!!貰い物かよ!!
それにっ!
「名前は、まだ聞いてませんし、ちなみに私も言ってません、よ?」
:07/10/23 23:36 :SH903i :i/kZHN5c
#42 [桔妁]
「そうだったか、」
首を傾げて言う彼は少し可愛さがある。目は怖いが。
「俺、は…天弥(ソラヤ)って言う。」
変わった名前、だけど聞いたことのあるような名前。
「天弥さん、…私は、時枝 繭です。」
普通に自己紹介なのに、こんな情景は新鮮ですこし照れる。
:07/10/23 23:43 :SH903i :i/kZHN5c
#43 [桔妁]
天弥は繭を見て驚いている。
「時枝、繭――…苗字、あるのか?」
「は?」
私は首を傾げるしかなかった。
そして、唐突な質問を続ける天弥。
:07/10/24 11:56 :SH902iS :vEfPNceo
#44 [桔妁]
「…―今、何年何月何日?」
「え、平成1X年の8月12日、ですが。」
すると天弥は嬉しそうな、また悲しそうな顔をして言った。
「…落ち着いて、聞いて。……此処は過去だよ。」
私は、こいつが何をいったのか、意味こそ分かるが馬鹿にした。
:07/10/24 12:02 :SH902iS :vEfPNceo
#45 [桔妁]
「…はい?」
「そりゃ、信じらんないかもしんないけどな……。」
ドッキリだろうか、それにしても真剣な天弥……
「天弥……」
ふと思った。いや、思い出した。
:07/10/24 12:14 :SH902iS :vEfPNceo
#46 [桔妁]
ミゾウラ ソラヤ
溝浦 天弥。
彼の事を全く知らないといえば嘘になる。
繭は、中三という事もあり、卒業研究に取り組んでいる。
テーマは[神隠し]
そして資料を漁る中、出て来た一人の名前…天弥。
:07/10/25 21:30 :SH903i :5/L4oiLw
#47 [桔妁]
彼は三年前の夏、当時十二歳の時に、田舎に遊びに行ったきり帰らず、
しかも、当時の事件を目撃した彼の祖母は、天弥は目の前で消えたと言うのだ。
祖母は、今はこの世に居ないが、あの頃は少し頭にきていたみたいで、"目の前で消えた説"は消滅したのだが。
その後、一時期は300人体制で捜すも見つからず、今では風化しつつあるのか…
:07/10/30 07:52 :SH903i :ruBS5tUk
#48 [桔妁]
その、天弥が今目の前に居るのだ、
そう思えば此処が過去というのはよく理解出来る。
信じられないけど。
でも、神隠しされた彼と同じ所に居る私も神隠しにあったのだろう…。
「…じゃあ、此処は何処?」
:07/10/30 07:55 :SH903i :ruBS5tUk
#49 []
続き楽しみにしてます(*pq・v・*)
:07/11/05 01:44 :N701i :xXpN/Zrk
#50 [桔妁]
ろんぐ放置ごめんなさい。
こっちは話の構成を考えるのが
なぜか進まず。。
これからはビシバシ更新です
:07/12/14 18:32 :SH903i :mTWrr0Hk
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