.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#131 [桔妁]
「し、賞味期限…平気かナ?」
「え、」
冷や汗かいたふうに笑う繭は、なんか憎めないが…
腐ったチョコだったら…どーするんだよ俺!!
「あ、来年の一月まで平気だ!あははっ!!」
口の中のチョコボールのことを気にしていたら繭がいった。
「な、なんだよ……。…ていうか…なんで本当に俺にチョコボールなんか?」
:07/12/25 00:12 :SH903i :ooso8LXg
#132 [桔妁]
そこがやはり疑問だ。
誰より食い意地のはった女だから、絶対に有り得ないのに……
「ん?…本当にクリスマスプレゼントだよ!」
そういう繭を、今日は信じようと思う。
「でもさ、普通…チョコはバレンタインじゃねーの?」
そこで、俺がチョコボールを食べながら、そうやっていえば。
:07/12/25 00:16 :SH903i :ooso8LXg
#133 [桔妁]
「いいじゃん!…ほんと、有り難うのひとつくらい言ってくれればいいのにっ!!」
がみがみ言う繭が楽しくて仕方ない。
こいつにとって、家族や友達に会えないのは不幸なのだろうけど、俺は繭に会えて、今までの三年間の不幸な日々が変われたから幸せだ。
本当のクリスマスの日には、きちんとプレゼントをあげよう。少なくとも、俺と過去に居て、楽しいと思える日が、ひとつでも増えるように。
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:07/12/25 00:21 :SH903i :ooso8LXg
#134 [桔妁]
―Side繭――
夕刻―――…。
「静かでつまらない……。」
床に座っている繭だが、自分の心臓の音が聞こえるくらい静かで、つまらない。
と、収納スペースに一際古い箱があるのに気がついた。
「…金めのものかな……。小判とかならもらっちゃおー…」
興味本位で、箱に手をかけて、中を見た。
:07/12/25 00:25 :SH903i :ooso8LXg
#135 [桔妁]
「?服??」
それは、小さめのTシャツと短パンだった。
恐らく、というか確信を持ち天弥のだろう。
そして箱の底に、紙が入っていた。
手紙のようだ。
「…旅行楽しんでいらっしゃい……、おばあちゃんの言う事を聞くのよ。寂しくなったら、電話するのよ。」
お母さんの字だろうか。愛情が滲み出ているようだ。
:07/12/25 00:29 :SH903i :ooso8LXg
#136 [桔妁]
慣れた慣れたと、天弥は言っているだろうけど。
「天弥だって…帰りたい、よね…」
三年間、どんな思いだったんだろう。知らない土地で一人きりで…。
「よしっ!!元気つけてやらなくっちゃね!!」
私は、隠し持っていたチョコボールを鞄から取り出した。
「現代の味を食べさせてやろうかな!!」
:07/12/25 00:31 :SH903i :ooso8LXg
#137 [桔妁]
そう、私だって寂しいけど。
天弥が居たからだいぶ違う。
そのへんは、私だって分かってるんだから。
少しでも、繭が来てくれてよかったよ俺。とか思ってくれたらいいなって。
だから、まぁ…
早川先輩よりは下だけどね、天弥だって幸せでいて欲しいなって思うわけです。
―――
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:07/12/25 00:36 :SH903i :ooso8LXg
#138 [桔妁]
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通じていないようで
通じている
そんなふたりの
冬の始まりは
なんとなく
暖かかった。―
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:07/12/25 00:39 :SH903i :ooso8LXg
#139 [桔妁]
―第4章―
―新しい心の名前
さようなら古い心――
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:07/12/25 00:41 :SH903i :ooso8LXg
#140 [桔妁]
「お疲れ様、今日はあがりでいいよ。」
この店の主人の言葉は決まって定刻に。
「有り難うございます!」
私は、いつもとはきっと違う明るい声で言う。
だって今日はデートなんだから!
「…て、あれれ…天弥?」
:07/12/25 01:40 :SH903i :ooso8LXg
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