.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#142 [桔妁]
「行くよ?…ていうか…天弥は、ど-したのよ?こんな時間に…」
「…仕事。」
そっけなく答える天弥に多少の苛々を覚える。
「ああ、ふ-ん。……あ、あの人だ!…じゃあ行く…」
足を一歩進めようとすると、不意に天弥が着物の裾を掴んだ。
「…やめとけ。」
そう私には聞こえた。…だが振り払って歩いていった。
:07/12/25 01:48 :SH903i :ooso8LXg
#143 [桔妁]
「本当にいらしたのですね!」
「俺が契りを破るとでも思ったか。…では、行くか。乗れ。」
前方に、馬――…。
しかも白馬!!!
王子様ァ!!!!
「チッ………」
二人が乗り、そして走りだす馬を追う少年が居た事は、誰も知らない。
:07/12/25 01:54 :SH903i :ooso8LXg
#144 [桔妁]
「そらや-……あれ、居ないんか?」
同時刻。頼仲とお雪が家にやってきたが、二人は居ない。
「折角一緒に呑もうとしたのにのう…。」
「何処へ行かれたのでしょう?」
頼仲は、持ってきていた酒を少し呑み、言った。
「まぁ…仕事でもやっとるんだろうねぇ……」
:07/12/25 08:38 :SH903i :ooso8LXg
#145 [桔妁]
「…ここ、ですか?」
繭がついたのは、町はずれの小屋の中だ。
中には高級そうな着物や、金銀財宝が置いてある。
「あぁ、今の宿泊場所だ。さぁ、座れ。」
「あ、有り難うございます…」
微笑んでくれると、やはりカッコイイ。
:07/12/25 08:42 :SH903i :ooso8LXg
#146 [桔妁]
「茶屋の娘…名は何と?」
出された飲み物は、お酒のようだった。まだ未成年だけど…早川先輩が出してくれたのだから…と、ちびちび飲む。
「私は繭と申します……あの…貴方は…」
「俺か?ナギだ。…まぁ、流れ者だから……………て…………るん……」
あ、れ……?
繭の意識は遠退いていった。いつの間にか、ナギさんの声も聞こえない。お酒の飲み過ぎ、にしては少な過ぎる量だし……
そんなことを考えている間に、完全に意識がなくなった。
:07/12/25 12:55 :SH903i :ooso8LXg
#147 [桔妁]
:07/12/25 21:01 :SH903i :ooso8LXg
#148 [桔妁]
その頃…息を切らした天弥は町中に居た。
天弥の脚力は、並外れていた。だが、さすがに馬に追い付く事は不可能で…
「くそ…見失った……」
町に入った所で、馬を見失った。
「なんで繭を……………ん?」
急に、後ろから気配を感じた。
「天弥殿!!!!」
それはひとりの侍格好をした男だった。そして、天弥のよく知る人物…
「頼仲の兄上…?」
:07/12/25 21:18 :SH903i :ooso8LXg
#149 [桔妁]
頼仲とは打って変わった真面目な人柄の彼は、いつも何かと力になってくれる。
「弟から聞いたよ。今日"奴ら"が動いたんだって…。」
「…頼仲が?」
呼吸を直しながら俺は天弥は聞く。
「まぁ、正確には遊郭のお雪の客が漏らした話だが……今晩、娘を売って一儲けするらしい。」
娘…いわずと知れた、繭だろう。
「有り難うな…」
:07/12/25 21:31 :SH903i :ooso8LXg
#150 [桔妁]
場所の目星はついていた。
繭に出会ってしばらくのとき、村に現れた不貞な奴らの処理任務についた。
そのときに突き止めた場所は、町の端にある賭博場の地下だ。
取引はそこで行われるに違いない。待ち伏せればいいだろう。
「…じゃあ、俺は行く。」
そう頼仲の兄に別れを告げようとすると、彼は言った。
:07/12/25 21:37 :SH903i :ooso8LXg
#151 [桔妁]
「天弥殿は…変わったな。あの、繭殿のお陰だろうが……。余り、見失うなよ。」
それを聞いた天弥が、頼仲の兄の方を振り向いた時の眼は、冷えていた。とてもとても暗く…………。
年上の彼から見ても身震いをするような。
"これ"が天弥の職業なのだと、余計に実感させられる。
「……息を切らしていくな。負けるぞ。」
それだけを言うと、頼仲の兄は戻っていった。
:07/12/25 21:46 :SH903i :ooso8LXg
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