.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#178 [桔妁]

カナさんありがとう!!

年末年始は忙しくて、あまり更新できないかもしれませんが、頑張ります

⏰:07/12/31 14:04 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#179 [桔妁]
 
「え、いや……これは…」

しどろまどろしているために、怪しい感じが滲み出ている。

「…まぁ、何があってもいいけど……凄い怪我じゃん!!なんで、休んでないのよ!!

感情に任せて怒鳴る繭に、背中の筋が伸びる天弥。

だが、その後は微笑みが止まらない。

⏰:07/12/31 14:12 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#180 [桔妁]
 
「な、何!?笑わなくたって…」

「いや、はは…なんでもね-よ…あはは!」

折角怒ってやったのに笑われるなんて…。

なんかいつでも上に見られているようで腹が立つ…。

「じゃあ、俺これ届けるから行くな!」

⏰:07/12/31 14:18 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#181 [桔妁]
 
「ど、どさくさに紛れて逃げるつもり!?」

まだ喚く繭の横を風のように走って通り抜ける天弥。


「ちょ…待って、よっ!」

間一髪、横を過ぎ去る前に繭は天弥の腕を掴んだ。

「……いぃッ!!!!」

ゴトン、と天弥の腕から木箱が落ちた。

⏰:07/12/31 14:27 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#182 [桔妁]
 
「あ、ごめ…」

掴まれているのとは逆の手で、地面に爪を立てる天弥。

その痛さを物語るには十分だった。

そこから繭が視線を掴まれた腕に移すと、そこに巻いてあった包帯(真っ白でなくて黄ばんでいる)が、ひらひらと外れていった。

「あ……」

天弥がそう一声、発したときにはもう、繭は見てしまっていた。

⏰:07/12/31 14:35 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#183 [桔妁]
 
痛々しい、火傷を負った腕を。


(火傷…?嘘、だって天弥は山菜を………)

はっと、繭は思い出した。

いつだったか。頼仲と遊んだ日の帰り道に、盗賊が死んでいて、その先に刀を持った天弥がいて。

そのときも、天弥は"山菜採り"と言っていた、と。

⏰:07/12/31 14:40 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#184 [桔妁]
 
(じゃあ、まさか…天弥は嘘をつくときに"山菜採り"って言うんだとしたら……)

では、この火傷はつまり…

「いや、や…違くて…な…」

苦笑いで弁解する天弥の事を、繭の目にはどう映っただろうか。

「ナギさんを斬ったのも、何人の人も焼いたのも、私を助けたのも……天弥、?」


否、多分、何も見えてはいないだろう。だって繭の目は、水で滲んでいたのだから。

⏰:07/12/31 14:46 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#185 [桔妁]
 
それを、後から見る影があった。

頼仲の兄だ。

繭が家に辿り着けるか心配で、こっそり後をつけていたのだ。



「……繭殿に、気付かれてしまいましたか…。繭殿がどう心変わりしてしまうか…。天弥殿、残念だったな…」

ぽつりとつぶやいた頼仲の兄は、町の方に向くと歩きだした。

後ろに感じる空気は、耐えられるようなものではなかった。

⏰:07/12/31 15:04 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#186 [桔妁]
 
―第5章―

 ――見えなくて、大きくて
 抱えきれない大切なもの。―


.

⏰:07/12/31 15:09 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#187 [桔妁]
 

「…繭が、おかしいんだ!」

ここは頼仲の家である。

そこに押しかけたのは、天弥だ。

雪降る中を走って来た天弥はあまりに寒々しく見えて、
普段は家に上がっても挨拶ひとつしない頼仲の兄が、今回ばかりは手ぬぐいを差し出してくれた。

「…で、繭がどうしたのじゃ。」

⏰:07/12/31 15:18 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


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