.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#184 [桔妁]
 
(じゃあ、まさか…天弥は嘘をつくときに"山菜採り"って言うんだとしたら……)

では、この火傷はつまり…

「いや、や…違くて…な…」

苦笑いで弁解する天弥の事を、繭の目にはどう映っただろうか。

「ナギさんを斬ったのも、何人の人も焼いたのも、私を助けたのも……天弥、?」


否、多分、何も見えてはいないだろう。だって繭の目は、水で滲んでいたのだから。

⏰:07/12/31 14:46 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#185 [桔妁]
 
それを、後から見る影があった。

頼仲の兄だ。

繭が家に辿り着けるか心配で、こっそり後をつけていたのだ。



「……繭殿に、気付かれてしまいましたか…。繭殿がどう心変わりしてしまうか…。天弥殿、残念だったな…」

ぽつりとつぶやいた頼仲の兄は、町の方に向くと歩きだした。

後ろに感じる空気は、耐えられるようなものではなかった。

⏰:07/12/31 15:04 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#186 [桔妁]
 
―第5章―

 ――見えなくて、大きくて
 抱えきれない大切なもの。―


.

⏰:07/12/31 15:09 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#187 [桔妁]
 

「…繭が、おかしいんだ!」

ここは頼仲の家である。

そこに押しかけたのは、天弥だ。

雪降る中を走って来た天弥はあまりに寒々しく見えて、
普段は家に上がっても挨拶ひとつしない頼仲の兄が、今回ばかりは手ぬぐいを差し出してくれた。

「…で、繭がどうしたのじゃ。」

⏰:07/12/31 15:18 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#188 [桔妁]
 
「繭、なんか…寝てないみたいで……。体調が悪そうで…」

本気で心配しているようであったが、頼仲の兄がぽそりと言った。

「それは、天弥殿が殺し屋だってばれたから、だろう。」

「え、なんで頼弦(ヨシツル)がそんなこと言えるんだ?」


天弥は膝を抱えて、そこに頭を入れた。「兄上と呼びなさい」という頼仲の兄の声は、天弥に遠く聞こえた。

(…やっぱり、ばれたらやべーよな……。)

頭の中は数日前から、繭の潤んだ目の像を鮮明に映し出す。

⏰:07/12/31 15:34 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#189 [桔妁]
 
「………」

「……………すまん…」

頼弦が謝るが、空気はよどんだままだ。


「…や、でも!あれじゃ、そらやが言っていた"くらすめす"?のときに簪渡したら、機嫌もよくなるじゃろ?」

「…クリスマス、な。…でも、頼仲の言うことも一理あるかもしれねーな…」

天弥の目に、生気が戻りつつあった。

⏰:07/12/31 15:47 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#190 [桔妁]

来年もよろしくお願いします!!

紅白は見てませんでしたが
白組が勝ちましたね!!

私はよゐこの無人島SPを
見ていました!笑

本当、来年はさらに成長を
遂げて、皆様に小説を
お送りしたいと思います!

では、残り少し!!よいお年を!!

⏰:07/12/31 23:46 📱:SH903i 🆔:ioR6Y8w2


#191 [桔妁]
 
――――


「あ、あの…ま繭―…繭…」

夕刻。数日前までは華のある話が舞っていたはずの夕食時だ。

近寄るだけでピリピリしそうな空気の中心に居る主に、天弥は話し掛ける。

だが、主である繭は目も合わせてくれようとしない。

「…ま、繭………」


と、急に繭が立ち上がった。
繭は、家を飛び出して、走っていった。

⏰:08/01/01 02:07 📱:SH903i 🆔:a.l0GRvc


#192 [桔妁]
 


ただ一直線に、目指すのは崖の下へ――…。


降りしきる雪の寒さは、現代の北風よりも冷たく、身体に染みていった。

ひとつひとつの雪が、涙を流す言い訳となった。



だが、どの雪も繭の心にはかなわなかった。

⏰:08/01/01 02:18 📱:SH903i 🆔:a.l0GRvc


#193 [桔妁]
 

気が付けば、正面が壁…。

そう、崖の下だ。

繭は、崖を素手の拳でなんども殴るようにしていた。

ここ数日、繭はあることを思っていた。


(天弥は、ここで私を救ってくれて…ご飯もくれたし、現代同士で仲良くしてくれた……。

野蛮な連中とかエロ親父からもかばってくれてた…

⏰:08/01/01 02:24 📱:SH903i 🆔:a.l0GRvc


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